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2012年10月18日

鶴見俊輔「思い出袋」岩波新書 「知の巨人」に学べ!! これがいい!! 志の強さがビシバシ伝わって来ます。 頭(こうべ)を垂れ、背筋を伸ばし、熱い魂に己の魂がバイブする感動を味わえ!!

鶴見俊輔「思い出袋」岩波新書 

「知の巨人」に学べ!!これがいい!!

志の強さがビシバシ伝わって来ます。

頭(こうべ)を垂れ、背筋を伸ばし、

熱い魂に己の魂がバイブする感動を味わえ!!





朝日新聞の日曜の書評か何かで
知った本だと記憶しています。

この本もランチタイムのお楽しみで、
一章ずつ、毎日 読んでいきました。

著者に関しては全く知らなかったので
何の先入観もありませんでした。

つまり、何も知らない。


それゆえ、読んでいって、
鶴見氏が生きた時代が
とても古いことに驚きました。

何歳なんだ?
あとで、
80代 のときに書かれた文章だと知って、
さらに驚きました。

文章が若い!!
背筋が伸びていて、
迷いがない
礼儀正しく、
エネルギーと情熱に満ちている。

自分が80代になったときに、
こんな文章のかける「 人物 」になりたいと
思わずにはいられませんでした。

何気ない話題から、
深く考え、
物事の本質 に迫ろうとする、
鶴見氏の生き方のようなものが見えてきて、
憧れます。

それが、 哲学 なんですね。
知的に生きるとはこういうことだよ。
そんな感じ。


先の大戦の時代に青年時代を過ごした迫力。
しかも、 敵地アメリカで学生 をやっていて、
時代の流れで、戦争捕虜になり、
「捕虜交換船」で負けそうな日本に帰ってくることを選んだ人生。


そこに、選択があったという事実にまず驚愕します。
何者やねん ?!

この事実だけで鶴見氏がただ者でないことは伝わりますよね。
ビシバシと時代の迫力、
鶴見氏の生き方の迫力が伝わってきます。


そんな人がこんな文章も書くんですよ。
「私は、 自分の内部の不良少年 に絶えず水をやって、
枯死しないようにしている。
小学生のころ、旧東京市を横切って学校にかよっていた。
そのころ電車の乗り換え切符は細長くて、
その上に電車の系統図が印刷してあった。
往きは、五回乗り換えくらいで早く学校につく必要があったが、
帰りは 途中下車 して、ゆっくりといろいろなところに
立ち止まるゆとりがある・・・・」(途中下車)

ちょい悪でダンディーで知的だあ 〜!!
真似したくなりませんか?
僕はなるなあ〜。

校長先生 のことをおぼえている。
七十年たってもおぼえているのは、めずらしいと思う。
旧東京市を横切り、電車を乗りついて小学校に達するのが、
一年生には苦しかった。他にもそういう一年生がいるらしく、
朝礼のときに、ばたん、ばたんと倒れる気配がする日もあった。
 校長先生の話は、みじかかった。
今日は天気がいいね。
それだけ言って、壇から降りてしまうこともあった。
全校生徒八百人を前にして、それだけ言って終わるのは、
今、私が老人になってみると、めずらしいことだと思う。
高い位置に昇ったことのある人は、引退してからも、話が長い。
結婚披露宴などに呼ばれて、話のとまらない人は、
高い位置に昇ったことのある人だ。
 校長先生は、雨の日に校内の廊下などですれちがうと、
○○君、元気か 」などと呼びかけてくる。
一年生それぞれに、そうだった。・・・」
知られない努力

何気に凄い校長先生のことが、伝わってきますよね。
話が短くて、一年生全員の生徒の名前を覚えているなんて
この章のタイトルが全てを物語っています。

内容紹介
戦後思想史に独自の軌跡をしるす著者が、
戦中・戦後をとおして 出会った多くの人や本、
自らの決断などを縦横に語る

抜きん出た知性と独特の感性が光るこの多彩な回想のなかでも、
アメリカと戦争の体験は 哲学を生きぬく著者の原点 を鮮やかに示している。
著者80歳から7年にわたり綴った『図書』連載「一月一話」を集成。


鶴見/俊輔
1922年生まれ。
ハーヴァード大学哲学科卒
著書に「戦時期日本の精神史」「戦後日本の大衆文化史」
「戦後日本の思想」「教育再定義への試み」「不逞老人」(笑)
「言い残しておくこと」「鶴見俊輔集」(全17巻、筑摩書房)
「鶴見俊輔座談」(全10巻、晶文社)
「鶴見俊輔書評集成」

帯にはこうあります。
「勁くしなやかな思想と言葉」

また、抜き書きとして、帯に書かれている言葉。

・先生の心の中にある唯一の正しい答えを念写する方法に習熟する人は、
優等生として絶えざる転向の常習犯 となり、
 自分がそうあることを不思議と思わない。
・大学とは、私の定義によれば、個人を時代のレヴェルになめす働きを担う機関である。
・ヴェトナム戦争は、 アメリカがアメリカと戦って敗れた 戦争である。
 このことをアメリカ国民が理解するのはいつか。




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