リオデジャネイロ五輪出場枠を懸けた世界選手権第4日は10日、当地で男女の計5階級が行われ、女子58キロ級で伊調馨(ALSOK)が10度目の優勝を果たした。
決勝はペトラマーリト・オッリ(フィンランド)にテクニカルフォールで圧勝した。
同63キロ級の川井梨紗子(至学館大)は2位。決勝はロンドン五輪銅メダルのバトチェチェグ・ソロンゾンボルド(モンゴル)にフォール負けした。
2人は日本レスリング協会の規定で、12月の全日本選手権に出場すれば五輪の代表に決まる。
同75キロ級の飯島千晶(警視庁、神奈川県出身)は準々決勝で周倩(中国)にテクニカルフォール負け。
敗者復活戦でも敗れ、この大会での五輪枠獲得はならなかった。
男子フリースタイル65キロ級では石田智嗣(警視庁)が3回戦で昨年の王者ソスラン・ラモノフ(ロシア)に0−8で判定負けした。
五輪では実施しない女子55キロ級の木村安里(群馬大、群馬県出身)は、準々決勝でベラルーシ選手に2−5の判定で敗れた。
決勝まで全て無失点のテクニカルフォール勝ち。それでも、女子58キロ級を制した伊調の採点は「25点」。
4連覇を狙う五輪行きを圧勝で決めてなお、理想のレスリングを出し切れない悔しさを隠さなかった。
「最後は百点に近い試合をしたい」と臨んだ決勝は第2ピリオド終盤に決着した。
慎重に進めたというより、思い描く形でなければ点を取らないこだわりさえ見られた。
「ちゅうちょして足が動かなかったのが反省点」。
残り約40秒、相手の足をすくって背中から落とした鮮やかな4点技も意図する終わり方ではなかったという。
31歳の状態は万全ではない。
10代の終わりからマット上での負けを知らずにいる代償は、体の隅々に行き渡っている。
「痛くないところがない。どの部分も60〜70%」。
週1回の休みを半日増やすなど休養への意識を高めた一方、自らを襲う痛みも強さに変えた。
「患部に影響しない組み手で戦えば技の幅が広がる。どこか痛いときに痛くないところを鍛えれば、治ったときに違うことができる」
体は変わっても探求心はさびつかない。
「アテネ五輪予選の時は自分が出られるかもというドキドキ感があった。でも今はレスリングそのものを追究している。アテネの時はまだかわいい感じだったけど、本当のレスラーになれたかな」。
来夏もまた、最高の舞台で格闘の神髄を見せる。
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