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2016年05月14日

204.Puzzle Quest :Galactrix

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「パズルクエスト :ギャラクトリクス」のレビューです。

 本作は傑作パズルクエストの血を引く続編的な作品です。世界観もストーリーもまったく繋がりはありませんが。

 本作の何よりの特徴は3マッチでありながらピースが6角形になり、フィールドの形が変わったことですね。
 さらに宇宙が舞台ということで、自分がどのようにピースを入れ替えたかで落ちてくる方向を変えられる、というのがすごく斬新で、かつ世界観とマッチしていて素晴らしいと感じました。

 そのため、ルールが少しややこしくなり、目が慣れるまでは連鎖が読めず苦労すると思うのですが、そこを乗り越えれば非常に味のあるパズルが出来ると思います。
 むしろ盤面が広がり、マッチの自由度も上がっているので「マッチできないのでフィールドリセット」というのが起こりにくいですし(というか本作をコンプまでの攻略中、戦闘においてこのような展開は一度もありませんでした)、「おいおいおいおい!」って思わず声が出るほど連鎖が起こりやすいです。
 まぁ、これは敵にも言えることなので必死になって取られないように地雷ピースを潰していても、敵の大連鎖で新しく降ってきた地雷が即爆発とかあるあるすぎる展開ですけどね。
 「落ちる」というより、自分が「こっち」へ引っ張るんだ、という意識を持つと、大分見方が変わって、慣れが早くなるかもしれません。

 そんなわけで、装備も揃わない序盤は、前作以上に運ゲーです。加えて目も慣れていないので半分わからん殺しされて嫌気が差すかもしれません。
 まま、そこはぐっとこらえて(苦笑)

 ただ、本作になって前作のような圧倒的な自由度はかなり抑えられました。相変わらずパズル自体は非常に面白く、飽きが来ないのですが、レベルアップによるスキル振りは4種類に絞られ、職業選択の概念やそれに伴うレベルアップによるスキル習得は省かれ、これらは店でのスキル購入に集約されました。
 また、キャラの代わりに船を改造して戦うのですが、これも店の購入による基礎ステータスの底上げだけと、かなり狭くなりましたね。
 前作とは反対に、世界観は大風呂敷を広げ、RPG部分では組み合わせ次第で大暴れできる要素を極力削り、純粋にパズルと運と戦略で戦ってもらおうというコンセプトが見えます。

 本作はレベルアップがかなり早く、エンカウントでの戦闘で稼ぐよりもクエスト報酬で経験値を稼いだ方が、というより意識しなくてもあっという間にレベルカンストしてしまうくらい早いです。
 そこでもらえる5ポイントを4種類のステータスに割り振るのですが、攻撃の要となる砲撃スキル(赤)に2、他1くらいの割合で振っていったところ、最高レベルである50の時点でちょうど砲撃スキルが100を超えました。
 ここで、名前忘れたけど、あ、「ショックネット」ってやつ(敵を2ターン休みにする。加えて砲撃スキル10につき1ターン追加)と、戦闘中の赤エネルギーの最大値を20(だったかな……?)くらい底上げする装備と組み合わせることで、なんとショックネットのリチャージ時間が敵のターン休みを上回り、「エネルギーさえ確保できれば」永遠に俺のターン! が可能になってしまいました(笑)
 こうなると、序盤辛酸を舐めさせられた予測不可能の連鎖反応が有利に働き、「特定の色を赤にする」装備なんかと組み合わせて楽しくなりました。

 ここまでくると、もう敵はいないも同然なんで、やり込みのモチベーションもなくなってしまう諸刃の剣なんですが……。

 とにかく今作は、このような域に達するまでは、なかなか気が抜けず、頭を使っての戦闘が続きました。前作よりも(いろんな意味で)上限が低くなってますので、よりパズルらしい、パズル寄りのRPGになっていると思います。

 さて、このようにパズルとしては非常に面白く、やり応えもあったのですが……。
 ストーリー、および世界観については、前作の足元にも及ばない、言ってみれば……その、えっと、……ゴミでした(あぅw)。

 さっきちらっと言いましたけど、世界観は風呂敷広げ過ぎなんですよね。前作のように一つ一つの地域にフォーカスした「エピソード」というのが皆無で、名前のある数々の「系」や「惑星」は、文字通り名前のあるポイント以上の意味がありません。
 これが非常に残念で、ジャンプゲートの仕様なども相まって、「遠くに来たな……」とか「ここはこんな星なのか!」とか、そういった想像の余地がまったく無いんですよね。
 さらにサブクエストたちも非常に淡泊で、「どことどことどこに荷物を届けろ」といった内容なら本当にそれ以上のエピソードはなく、ただ淡々とまずどこに行き荷物を配達する旨のコマンドを選ぶ、それを三回繰り返して戻ってはい終わり、といったものがいくつもあるのです。

 いやぁ、これはいただけない……。
 もう一つ難点をあげるとするなら、それはジャンプゲートのハッキングミニゲームです。
 本作には数多くの「系」が存在し、この系を行き来することが本作の「旅」になるのですが、系から系へ初めて移動する際、まずはオフラインになっているジャンプゲートをハッキングのミニゲームでオンラインにしなければならないのですが。
 これ、非常につまんないです。

 ミニゲーム自体は、本作のパズルを利用したタイムアタックのような体なのですが、クリアしても得るものは何もなく、前作の城の内乱のように稀にオフラインになるのでハッキングし直さなければならなく、非常に面倒臭いです。
 何が面倒って、系がすごく多いのでそれぞれのルートを開拓するためにとにかくハッキングをこなさなきゃならないのが一番面倒でした。
 特に序盤、最初に道を全て開けておいて行き来を楽にしようと考えたのが悪かったのか、延々とハッキングをやらされる羽目になり、経験値の1ポイントももらえない虚しさが面倒くささの感度を引き上げています。
 地味に気を遣う噂集めのミニゲームは経験値もらえるのに。

 噂を集めると、本作の世界観を補完する設定などが読めるのですが、視点がマクロ過ぎてやっぱり愛着に欠けます。
 宇宙モノ、スペースオペラものというのは、この塩梅が肝なんですよね。
 壮大感を出すために歴史やファンタジー要素の説明をしたくなるところですが、足元がスカスカだとただの設定にしかならなくなるんですよね。
 世界観や設定はエピソードで魅せろ、というのがセオリーです。

 そんなわけで、本作は良作とは言えず、しかしパズルはそれなりに面白かったので駄作とも言い切れず、及第点あたりをうろうろしてるような微妙な作品でした。


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