おはようございます。あるへです。
いやぁ、面白かったです。すごく。
普段私はホラーやらないんですけどね。ちゃんとジャパニーズホラーを意識してつくられているので、ばん! ぎゃーー!っていう感じじゃなくて、出るか出るかと思ってるその瞬間が一番のホラーなんだということを実感させてくれます。
そしてそれだけではなく、前後の繋がりを検証しながら緻密に編み上げられたストーリーはそこかしこに伏線が張り巡らされ、終盤の展開から読後感まで無理や矛盾を感じさせることなくしっかりと計算された作りでした。ホラーものには珍しくトゥルーエンドがハッピーエンドなので、そこらのホラーものとは一味も二味も違いますよ。
また、キャラクターも非常に個性的で、彼らのセリフや掛け合いがとても味わい深いです。
実績的には本筋を追いながら分岐の直前でセーブして、バッドの方を見たら巻き戻ってハッピーな方で進めていくってのが効率的なんですが、探索パートでは複数のキャラからパートナーを選び、道中の反応などもかなり違って、時には意外な人物像を知れたりもしました。
この辺に、ゲームとしてはシンプルな構造ながら、時と場合とどのキャラクターかによって、思った以上に反応やセリフのレパートリーがあったので、結構びっくりしました。
ゲーム自体のボリュームは控えめなので、一周で終わらずにバッドエンドルート、ハッピーエンドルート、丸二周はやらないと勿体ないんじゃないかなぁ。
この探索中のキャラとの会話や反応が、面白いところでもあるしストーリーとキャラがよく練れているところでもあるし、プレイヤー自身の心境としても心の休まる瞬間でもあります。
ぎゃーとかうわーじゃなくて、出そう出るかもそこに何かいそうという、想起を主軸にし、プレイヤー自身の中で恐怖を増幅させていくスタイルなので、結局何もない通路でも結構怖かったです。
ところでこれ、エクスペリエンスという日本の会社が出してる、たしかシリーズもののホラーゲームなんですがこの会社が普段どういうゲーム出してるか知ってますか?
ダンジョンRPGなんですよね。
Xboxで言うと、迷宮クロスブラッド、円卓の生徒、剣の街の異邦人(Stranger of Sword City)、黄泉を裂く華あたりです。
およそホラーとは結び付かない作風じゃないですか(一応、円卓以外はホラーを意識してはいる)。
だからこそ、なんですかね。
このダンジョンRPGの探索が、本作でも同じ手法で表現されていて、なんと、最終的に怪異とはこのダンジョンRPGの戦闘シーンのようなイメージで対抗することになるんです。
これが異常に熱い!
単なるアクションゲームやシューターとしてホラーゲームを遊ぶよりもよっぽど演出と、後がない切羽詰まった空気感とともに、自分自身自ら考えて行動する余裕が保たれているというかなんというか……。焦りはあるけど落ち着いて自分のこれからの行動を組み立てる余裕はあるというか。
コマンド選択式なんですよ。でも全然世界観は壊れなくて。にじり寄ってくる怪異の姿がまた堪んないんですよねぇ!
その怪異も、実際としてモンスターみたいな感じで出てくるんですけど、これも意思や意味をくみ取れないただのモンスター、意味の分からない存在、ではなくて、拾ったものや怪異の行動には意味があって、なんならその怪異にはちゃんと「顔」があって、表情があって、「眼」も見ようによってはなんだかコミカルで……だからこそ恐怖を感じるというか、刺すような鋭い恐怖ではなく、それこそ本当に日本人受けしそうなじんわり冷汗をかくような、そんなデザインなんですよね。好き。
ダンジョンRPGを作っている会社だからこそ出来る珠玉の演出法だと思います。これはちょっと洋ホラーやバイオハザードでさえも真似できない。真似というか、そもそも敷いてるものが違うんですけどね。
とまぁ、個人的に神作。Xboxでジャパニーズホラーといえばコレ。普段ホラーをやらない人や、洋ホラーのぎゃーとかうわーとかバンバンみたいなのが嫌って人にはすごくお勧めしたい作品なんですが……。
クオリティとしてはまったく文句ないです。ボリュームも、疲れるよりはこれくらいの長さで全然いいし、後味も爽やかです。
ただ……、これフルプライスなんですよね。今ストア見たら定価6264円でした。
ちょっとねぇ、高すぎない? これが配信された当初は7000円オーバーだったような気がしなくもないですけど。
加えてこれ海外ストア、少なくとも北米ストアには置いてないんですよ。
私はずっと前からチェックしてて、過去にセールされた時に即買いしましたけど、そこに頻繁に顔を出す常連でもないんですよね。
エクスペリエンス作品全体に言えますけど、この会社の作品はクオリティ的には満点でもボリュームがもう一つなところがあって、セールにもほとんど売りに出されないという特徴があります。
気長に待つか、中古ショップで実物ディスクを仕入れるか、はたまた他のハード(PS4、PS VitaやSwitch)ならばもう少し気軽に手を出せるかもしれません。
いやぁ、やってほしいな、いろんな人にやらせてみたい(笑)
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