2023年03月24日
522.Lake
おはようございます。あるへです。
本日はこちら「レイク」のレビューです。
アメリカの片田舎を舞台に、二週間だけのスローライフを体験できるリラックス系インディーゲームですね。非常に癒されました。
何が素晴らしいって、やっぱりこの湖の周囲に位置する街の空気感ですよね。都会の喧騒とは無縁で、でも田舎過ぎでもなく、雄大な山々を背後に広い湖を称え、のんびりと過ぎていく時間を愉しむ。登場するキャラクターたちは個性豊かで、郵便配達員という肩書を利用して自然にコミュニケーションを取ります。
真面目なものからくだけたものまでいろいろな受け答えはできるのですが、直後のリアクションも含めて相手に大きな変化が無いのはちょっとがっかりかな。カットやシーンの数なんかも極力シンプルなゆえか、選ぶ選択肢によってはちぐはぐな会話になったりやや不自然に感じる部分もあります。全編フルボイスなところは素晴らしいですけどね。逆にインディーゲーなので、攻略のこととか肩ひじ張ってフラグ管理をせずに済むのは利点でもあります。
おそらく好感度なんか無いし、ちょいちょい予定とかが入るのですが、バッティングしそうな状況でも実は全部実行可能で、スケジュール管理も気にしなくていいのもまぁ、良いよね。全部で二周やりましたが、初めは気にしてわざわざ断ったりしてましたが、全部引き受けちゃって問題ありません。
たぶん夜になるまでに配達を全て終わらせなければならないとかいう制限もないとは思いますが、朝の天気予報の通りしばらくすると曇ってきたり雨が激しくなってきたりといった時間による天候の変化はこだわりを感じました。素晴らしいと思います。
欲を言えばドライブ中は一人称視点が欲しかったですね。単純にこの空気感に没頭したいというのもありますが、意外とトラックが角ばっていて視界の邪魔になるので、そういった意味でもドライバーの目線で運転したかったです。
さらに言えばせっかくの美しいプロビデンスオークスの街をもっと堪能したいという動機づけに、ちょっとした集め物があってもよかったと思います。まぁ、そのためには足でいろいろ歩き回るには不便なゲーム性ですし、そうなると周囲の作り込みももう少し頑張らなきゃならないジレンマがありますけど。
逆に、たしか時代設定が1980年代のアメリカ、オレゴン州だと思うのですが、グラフィックはどちらかというとローポリの部類で、よく見えると作り込まれてはいるのですが、すっきりしたテクスチャからはあまり時代性を感じられませんでした。運転中にかかる曲も、「古さ」をいまいち感じられない今風の曲で、それも関係しているかもしれません(アーティストを起用してライセンスを取得していたりとこだわりは感じられるんですけど)。addit'87というパソコンや固定電話のくだりも演出されるんですけど、ちょっと噛み合ってないかなぁ。
もう一つ気になったのが、主人公のプロ意識の低さですね。細かいことですが運送業者が顧客の配達物の中身を気にするのはちょっとどうかと思います。
ゲームとしての演出(プレイヤーは別に郵便局員ではない)、主人公の心の声、会話のきっかけ、地方公務員(公務員?)ゆえの大らかさ等々、様々な理由があってこっちの方がいいと判断したのかもしれませんが、「意外と重い、軽い」とかはともかく、「隣と筆跡が一緒だわ、パーティーの招待状かしら」とか「うーん、これは請求書ね」「あ、面白そう!」とか、相手に面と向かって「中身はテディベアかしら」とか、ちょっとこんな配達員が実在したらかなり嫌われそうなセリフです。
それから、ロマンスの進行の早さもちょっと気になったり。
主人公は仕事の休暇として本来二週間の間だけのつもりでここにきているので、だらだらやってられないというのもわかるのですが、昔なじみのおばさんや母親が口を出してきたりして。
主人公の気持ちに没入して感じるならなおさら、くっそ忙しい仕事を放り出して二週間だけ羽を伸ばしにここへ来たってのに、将来や恋愛のことなんか考えたくもないわって感じ(笑)
プライバシーが薄いのも、男と女が一緒にいればそれだけで惚れた腫れただの、これも田舎社会の側面でしょうか。
まぁ、いろいろ突っ込んでますけど、それらが気になって仕方ないようなものではないし、ボリュームも多くはないしで、雰囲気やこの街の空気感に癒されつつ、のんびり荷物を配達して、変哲のない日常を過ごして、そして人生について考えましょう。
前述した通りキャラクター達の個性はきちんと立っていて、製作者のエゴを感じさせずに自然にセリフとして吐き出しているので、何でもない日常が美しく見えるリラックスムービーな感じを出しつつも、出勤初日から最終日まで起承転結が設置されており、ドラマとしては飽きさせず非常に心地よかったです。
低予算ゲームなんだなと感じられる部分は様々な点から透けて見えますが、それでもこだわるところにはしっかりとお金をかけて、最初から最後までブレない作りで費用対効果を最大限に生かせた良いゲームだと思いました。
ひたすらモンスターを狩り続ける日々の気晴らしに最高でした(笑)
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