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2024年03月29日

550.ルインバース

ルインバース-2024_02_13-17-24-49.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「Ruinverse」のレビューです。

 始めに言ってしまうと、総評は中庸でとりたてて面白い作品ではありませんでした。アスデバスタイルのなんちゃってFF戦闘ですが、本作はキャラの育成に手間がかかり、その手間を惜しむようなプレイでは加速的な成長が見込めず、しばらくは厳しい戦闘を強いられました(毎回Kemcoゲーは最高難易度で挑んでいるので)。
 そのバランス自体は悪いことではないんですけどね。しっかりレベルを上げて準備したり、バフデバフを意識して戦略的に立ち回れば、別に詰むほどではありません。

 今作にもハクスラの概念があり、敵を倒すとランダムなオプションのついた武器や防具を落とすことがあり、どんなスゲェ装備を掘れるかが、わりと今作の目玉だったりします。
 が。
 代わりに従来の強化システムが撤廃され、拾った装備をそのまま使うしかありません。
 本作の敵たちはボロボロ装備を落とすので、すぐにアイテム欄が埋まり、頻繁に街に帰って装備を売らなければならない手間がありました。捨てることもできますが、アイテムをひとつひとつチェックして捨てなければならないので膨大な手間がかかります。お店での売買では「すべて選択」ボタンがあるのにね。

 本作の装備の質というのはベースアイテム+強化値で表されます。ベースアイテムが50の攻撃力を持つ剣だったとして、パーティーの平均レベルから計算してそれが低すぎる値だったとすると、剣+50で攻撃力100の剣がドロップするんですね。
 このようにして敵からドロップする装備はランダム幅を持ちながらも常に現在のパーティー戦力に合うように調えられてドロップするので、つまり何が言いたいかというと自分たちのパーティー戦力がカンストするまでは常に装備を取り換え続けることになる、ということです。
 ボス戦前など特定ポイントの前でパーティーの役割やスキルツリーを睨みながら最適な装備を付け替えるのはある意味楽しいことなのかもしれませんが、ちょっと戦うだけでポンポンレベルが上がるような本編攻略中に、何かする度に膨大なインベントリの中から最適な装備を、五人分振り分けるのは果てしなくだるいです。
 で、だるいし五分も続けて遊べばもっと強力な装備が落ちるとわかってるなら……全員最強装備ボタンを一回ポチればそれでいいっすよね(笑)

 せっかくのハクスラ要素がこれで死にます。装備は飾りとなり、オート装備はステータスの上昇だけを見ているので、いろんな強力な効果がついた装備より、それより1だけ最終的な攻撃力や防御が高い、他に何もついてないコモン装備を優先しちゃいます。

 これらのことが重なり、本作はハクスラ押しのゲーム設計でありながら、肝心のハクスラがまったく楽しくないゲームでした。
 私にはこれの問題を霧散させ、本作を何倍も楽しめるたった一つの解決策が容易に見えるのですが、どうも今までの作品から、作り手の中にはその概念自体がまったく無いみたいなのです。
 フィルターですよ。フィルター機能。
 敵が落とした有象無象、コモンだろうとマジックだろうと、片っ端から拾っちゃうのがそもそもハクスラとして致命的なんですよね。
 せめて欲しいオプション、いやせめてマジック以下は拾わない、たったそれだけで装備を掘る楽しさは何倍にも膨れ上がるというのに。

 他にもスキルツリーの存在や、そのスキルやステータスを成長させるためのドーピングアイテムがリアル時間を要するなど、今作のキャラ強化は果てしなく面倒くさいです。それじゃあ強くなれないし先に進めないんじゃないかと言われれば、そこはそれ、Kemcoですから。全体魔法ぶっぱなしてレベル上げればハクスラとかどうでもよくなるくらい強くなれます。だからこそ装備の厳選に本気になれない。

 で、戦闘と同時にシナリオについてもやっぱり尖った部分と他の部分のアンバランスが発生して、捉えどころのない凡庸なシナリオになっちゃってるんですよね。
 本作のキャラクター個人に関しては、練り込みは甘いけれどもまだ及第点だとは思っています。本作は純粋な恋愛要素よりもBLやGLとしての色が強く、仲間であるとあるヤブ医者の性癖はまったく受け入れることが出来ず、終始気色悪いと感じていましたが、まぁそれを置いても。
 ただ、本作のストーリーはそんなキャラクターに紐づいて世界観も重要な伏線となるのですが、この世界観設定がつつけば簡単に崩れるような、まるでトランプタワーのような脆弱さで、攻略中矛盾点や疑問を持ったとしてもスルーする技術がプレイヤーに求められます。
 が、そうするとお話やキャラの掘り下げに付いていけなくなるので、無理やり噛んで飲み込まなくてはならなくなるんですね。
 そのため話はイマイチ頭に入らず、ぼんやりと追っているうちにゲームクリアとなり、煩雑さを嫌うと単調になる戦闘と相まって、つまらなくはないんだけど味がしない、いろいろ要素があってクソゲーではないんだけど全てがバラバラのまま。
 そんな後味でした。

 従来の闘技場に代わる遊技場で、100戦目の相手はかなり強いですが、これを安定して回せるようになると、今までの苦労が嘘みたいに強くなれるので、この、とうとうゲームが壊れた瞬間だけは楽しかったです。Kemcoはたいてい、この瞬間が用意されてるんですよね。

 まぁ、そこから先はさらに虚無感が募りましたけど。
 実績にも絡まない、追加ストーリーの更に先の追加ストーリーは「もうやめて! もうダンジョンの追加はやめて! こんなデカいダンジョン複数作るくらいならもっと本編に手を入れて!」と叫びました。
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