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銀河大計画別館の管理人。 「銀河大計画」は、1993年から細々とやっている同人誌です。 ゆうすけが書いたネタや没ネタなどを、別館で細々と掲載します。どうぞよろしく。 アイコン卵酒秋刀魚さん。

2024年09月25日

エルフ湯つからば(by西義之)

異世界ファンタジーもので、ながらく謎とされてきた冒険者たちの公衆衛生に関する疑問について、ひとつの答えが出ました。
それがこのマンガ「エルフ湯つからば」です。
作者は西義之。少年ジャンプで「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」などを描いてきた方です。
作品のあらすじというか、世界観はこんなかんじ。
「冒険には心強い仲間や強い武器も必要だが、傷ついた時の癒やしも重要である。浸かればあらゆる疲れや汚れを洗い流してくれるという幻の移動温泉「エルフ湯」。たった一人で温泉を率いる番頭・ユフは、懸命に冒険者の「癒やし」のために風呂を入れてくれるという・・・。異世界を舞台に繰り広げられる、まったく新しい冒険物語、開幕!」
エルフ湯つからば01.jpg
「エルフ湯つからば」
エルフのユフさんが曳く「移動温泉」

エルフのユフさんが屋台?のお風呂を提供してくれるという、異色のファンタジーです。
西先生、ジャンプの系統出身だけあって、バツグンに絵が上手い。風呂屋台とか薬湯の材料とかユフさんの衣装とか、いろんな細かい部分にデザインセンスの良さが光ります。
(ユフさんの衣装は風呂屋の三助の衣装をモチーフにしていて、異世界感とセクシー度がプラスされています。)
移動風呂のしくみなどは、セリフではなく、絵で見せてくれる辺りが、じつにプロの仕事らしい。

管理人がこのマンガを初めて読んだのは、某SNSです。タイムラインに第1話が流れてきたのを何気なく読んで、その発想のユニークさに驚きました。
エンターテインメントは数多ありますが、異世界とエルフと風呂という三題噺は未開拓でした。
その後、コミックスの1巻を手に入れたので喜んで読んでみました。5話まで収録されていて、どのエピソードも傑作です。
エルフ湯は作中では「伝説」「絵本の物語」ぐらいのレベルで伝わっている「幻の湯」です。
単に汚れを落とすだけでなく、人生を一変させるほどの癒しの効能がある、とされています。
エンタメの王道として「カタルシスを与える」というものがありますが、このマンガは文字通り、登場人物にも読者にも、カタルシスを与える効果をもっています。
その過程についても、セリフではなく「絵」で見せるところがこの作品の見どころです。
コミックスは現在1巻まで発行されていて、連載が止まっていたようですが、再開されるようです。
西先生のご活躍に期待します。

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2024年09月16日

猫の腎臓病としぃちゃんのこと

管理人のゆうすけです。
このブログを読んでいる人で、猫を飼おうかと思っている人はいませんか。
そういう方に、ひとつだけ有意なアドバイスをしておきます。

やめておきなさい。猫は飼わない方が良いですよ。

管理人宅には5匹の猫がいましたが、じつは先日、いちばん古参のしぃちゃんが天に召されました。
2008年頃からいるはずなので、たぶん享年16歳。飼いネコとしては平均的な寿命ですが、飼い主としては20年でも30年でも生きていて欲しいと思うので、平均寿命という言葉には何も意味は無いです。

今年(2024年)の8月ごろから慢性腎臓病が悪化して、急速に痩せてきたので、病院で皮下点滴などの治療を受けていました。
8/13に血液検査をした際のBUNが140以上。絶望的な数値でした。
BUN(血液尿素窒素)は腎臓の機能を評価する指標として用いられており、猫のBUNの正常値は8〜30程度です。
1週間ほど継続して点滴を続け、数値的には140→130→101と下がるものの、劇的な変化はなく食欲も減退傾向が続き、体重も落ちていきました。
半年以上前から加齢による老化ははっきりしていましたが、食欲も歩行状態も通常範囲だったので、予想以上に腎臓の悪化が進んでしまったようです。
ほとんどの猫に言えることですが、高齢になるほど腎臓病にかかる割合は高くなります。
猫はもれなく腎臓病になる、といってもいいかもしれない。
そして、慢性腎臓病は現在の医療科学では完治しません。
数年後に画期的な猫の腎臓病処方薬が出るはずですが、治すのではなく、燃え広がるのを留める薬です。
腎臓は一度機能が失われるとほとんど回復しない臓器なのです。

猫の慢性腎臓病が進行した場合、若い猫ならば皮下点滴や投薬などで余命を延ばすことも可能です。
しかし、16歳の猫にそれが可能かといえば、難しいと言わざるを得ない。
人間にすれば80歳以上の後期高齢者を想像してみてください。
ただし、皮下点滴などで脱水を抑えてやらないと、確実に死に向かいます。
猫は自分で治療の継続や中止を申し出ることはできません。飼い主の責任においてそれを判断しないといけない。
冒頭に言ったように、猫は飼わない方が良いです。
人より遅く生まれ、人より先に老いて死んでゆきます。
人と異なる時間を生きるものと、共に生きるということは、必ず避けられない死別を迎えます。
そしてその死の選択をするのは飼い主自身です。

管理人は、体重の減少傾向が止まらないことと、自力で食事をとることが難しくなった時点で、皮下点滴を止め、全ての治療行為を終了しました。
食事はできなくともまだ水を飲むことは出来るので、その介護をしてやりながら、ゆっくりと衰えてゆくのを見守りました。
全ての動物は、老いて衰えてゆくときは、水だけで自ら蓄えた脂肪や筋肉を燃やしていきます。
個体によりますが、1〜2週間の間に蝋燭の灯りが燃え尽きるように命を閉じます。
無理に点滴を続けると、逆に肺に輸液が溜まって苦しめる結果になります。

某日の未明、しぃちゃんはこの世を去りました。
自分がしてきたことに後悔がないかと問われれば、それはわからない。
もっとできたことがあっただろうとも思う。
猫を飼って後悔したかと問われれば、それは全く無い。
いまはただ悲しい気持ちで溢れているけれど、後悔はない。
一緒に暮らした16年は、かけがえのない時間だった。ただ幸福だった。
しぃちゃんに感謝している。ありがとう。いつまでも大好きだよ。
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posted by ゆうすけ at 14:08 | TrackBack(0) | ペット

2024年09月10日

エイリアン ロムルス

「エイリアン ロムルス」は映画「エイリアン」シリーズの最新作です。2024年公開。
「エイリアン」の1作目は1979年公開なので、なんと45年も続いているご長寿シリーズなのです。
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「エイリアン ロムルス」
2024年公開 SFホラー映画
『エイリアン』シリーズのスピンオフ映画
フェデ・アルバレス監督
リドリー・スコット製作

「SFは絵だねえ」というのは有名な言葉ですが、「エイリアン」に関してはまさにその通りです。
HRギーガーというスイス人の画家がデザインしたクリーチャーが圧倒的な印象だったので、現在までシリーズが続けられています。
今作は、第1作と第2作の間に入るエピソードです。
1作目のあと、回収されたエイリアンを宇宙ステーションで実験していたら大惨事になり、そのステーションは廃棄。その後、植民星で暮らしているヤンチャな連中が、星から脱出するためにその廃棄ステーションをっ勝手に使おうとして乗り込んだら、再び大惨事に・・・というお話。

映画の出来はそれほど悪くは無いんだけど、いかんせん二番煎じ。新しい驚きとか恐怖とかは湧いてきません。
エイリアンの成長過程も皆さんご存知なので、予定調和的なホラーとなります。
副題の「ロムルス」というのは映画内では廃棄宇宙ステーションの船名ですが、もとは伝説上のローマの建国者の名前です。 軍神マルスの子で双生児の兄で、弟のレムスとともに 狼に育てられ、協力してローマを建設したが、のちに争ってレムスを殺した、という人物。
いちおう最後まで観ると、暗喩なんですね、ああそうですか、となります。
「エイリアン」シリーズは、たぶんこれからもしつこく作られると思いますが、管理人的には1作目と2作目だけ観ておけばOKです。
プレデターと戦ったりするやつは、ほんとに見なくていいからね。
posted by ゆうすけ at 08:24 | TrackBack(0) | 映画・TV

2024年09月01日

きみの色

2024年8月30日に山田尚子監督の新作「きみの色」が公開されました。
「きみの色」は高校生のトツ子、きみ、ルイの三人があるきっかけでバンドを組むことになり、音楽を通してお互いのあいだに生まれる友情と鮮やかな感情を描いた作品です。

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管理人的にはこの夏、いちばん期待していた作品でした。
公開されてすぐに観に行きました。うん、なんだろう、この気持ち。
山田尚子監督は大好きな監督ですが、この作品に関しては手放しで喜べる感じではないかな。
好きな監督だけに、採点基準が高くなります。
「リズと青い鳥」という傑作を世に出してしまったので、ずっとそこが基準になってしまう。

今回はオリジナル劇場アニメということで、原作はありません。
原作無しで山田監督が自由にやってみるとこうなるのか、という映画。
いわゆる作家性はいかんなく発揮されていると思います。逆に商業性は遠ざかります。
山田監督は以前のインタビューで「ひとやま当てたい」旨の希望を述べていましたが、この映画ではちょっと無理かな。
管理人は好きですけど、大ヒットはきびしいと思います。
アニメーションならではの、動きや色彩、音楽はとても美しく心躍ります。
残念なのは、ストーリーやキャラクタの説明が少しずつ足りないところ。
説明しすぎないのはいいけれど、省略しすぎてよく分からない部分もあります。
山田監督は繊細な演出で「語るより絵で見せる」タイプですが、それでもやはり。
たとえばキャラクタに係わる点で、「きみ」が突然に学校をやめた理由とか、語らないままで良かったのでしょうか。少し疑問が残りました。
この作品の肝であるトツ子の共感覚(他者の色が見える)についても、物語の展開にうまく作用しているかというと、すこし物足りない。
「リズと青い鳥」で「天才が覚醒する瞬間を見せる」というカタルシスを与えた監督としては、もう少し上があってもいいんじゃないかなと思うのです。
ちなみに映像がすごく綺麗なので、お金に余裕がある人は、IMAXで観ると良いかもです。
制作はサイエンスSARUですが、これが京都アニメーションだったらどうなっていただろう、という想像もしてしまう。
posted by ゆうすけ at 10:34 | TrackBack(0) | 映画・TV
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