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2017年04月20日

HP-42S: 数値の表示形式 ── ALL (全表示モード)

今勉強している HP-42S という電卓では, 数値の表示方法は次のようになっている.
表示には 12 桁の数値部分と 3 桁の指数部分が用いられる.
($a$) 数値を指定の桁数に丸めるフォーマット. 3 種類ある.
 ・ FIX (固定小数点表示)
 ・ SCI (科学向け指数表示)
 ・ ENG (工学式指数表示)
($b$) 数値の全桁 (数値部分 12 桁を用いる) を表示するフォーマット. ALL フォーマットと呼ばれる.

HP-42S では絶対値が $1 \times 10^{-499}$ から $9.99999999999 \times 10^{499}$ の範囲にある数値を表示できる. 結果が $9.99999999999 \times 10^{499}$ を超えるような計算を行った場合, Out of Range というエラーメッセージが表示される. 結果が $1 \times 10^{-499}$ より小さくなるような計算を行った場合には $0$ に置き換えられる.

これらのうち, ALL フォーマットで表示される数 (全表示モード) について調べてみた.

12 桁の数値部分が使われる. 3 桁の指数部分は使われない.
10 進表示の各位の数を $i_{p}$ ($i_{p} = 0,..., 9$; $p$ は添数) で, 小数点以下の各位の数を $f_{q}$ ($f_{q} = 0,..., 9$; $q$ は添数) で表わすことにすれば, 全表示の数は一般に次のように表わすことができる.
\begin{equation*}
i_{m} \cdots i_{0} . f_{1} \cdots f_{n} \quad
(m, n \in \mathbb{Z};\, m = 0,..., 11;\, n = 1,...,11;\, m + n = 11)
\end{equation*}
具体的に列挙すると以下のようになる.
(1) $i_{11} \cdots i_{0}: \quad 10^{0} = 1$ 刻み, 小数点以下無しで $-(10^{12}-1)$ から $10^{12}-1$ まで.
\begin{equation*}
-999,999,999,999,\, -999,999,999,999,... \\
...,\, -1,\, 0,\, 1,..., \\
...,\, 999,999,999,998,\, 999,999,999,999
\end{equation*}
(2) $i_{10} \cdots i_{0} . f_{1}: \quad 10^{-1} = 0.1$ 刻みで $-(10^{11}-0.1)$ から $10^{11}-0.1$ まで.
\begin{equation*}
-99,999,999,999.9,\, -99,999,999,999.8,... \\
...,\, -0.1,\, 0.0,\, 0.1,... \\
...,\, 99,999,999,999.8,\, 99,999,999,999.9
\end{equation*}
(3) $i_{9} \cdots i_{0} . f_{1}f_{2}: \quad 10^{-2} = 0.01$ 刻みで $-(10^{10}-0.01)$ から $10^{10}-0.01$ まで.
\begin{equation*}
-9,999,999,999.99,\, -9,999,999,999.98,... \\
...,\, -0.01,\, 0.00,\, 0.01,... \\
...,\, 9,999,999,999.98,\, 9,999,999,999.99
\end{equation*}
(4) $i_{8} \cdots i_{0} . f_{1}f_{2}f_{3}: \quad 10^{-3} = 0.001$ 刻みで $-(10^{9}-0.001)$ から $10^{9}-0.001$ まで.
\begin{equation*}
-999,999,999.999,\, -999,999,999.998,... \\
...,\, -0.001,\, 0.000,\, 0.001,... \\
...,\, 999,999,999.998,\, 999,999,999.999
\end{equation*}
(5) $i_{7} \cdots i_{0} . f_{1}f_{2}f_{3}f_{4}: \quad 10^{-4} = 0.0001$ 刻みで $-(10^{8}-0.0001)$ から $10^{8}-0.0001$ まで.
\begin{equation*}
-99,999,999.9999,\, -99,999,999.9998,... \\
...,\, -0.0001,\, 0.0000,\, 0.0001,... \\
...,\, 99,999,999.9998,\, 99,999,999.9999
\end{equation*}
(6) $i_{6} \cdots i_{0} . f_{1}f_{2}f_{3}f_{4}f_{5}: \quad 10^{-5} = 0.00001$ 刻みで $-(10^{7}-0.00001)$ から $10^{7}-0.00001$ まで.
\begin{equation*}
-9,999,999.99999,\, -9,999,999.99998,... \\
...,\, -0.00001,\, 0.00000,\, 0.00001,... \\
...,\, 9,999,999.99998,\, 9,999,999.99999
\end{equation*}
(7) $i_{5} \cdots i_{0} . f_{1}f_{2}f_{3}f_{4}f_{5}f_{6}: \quad 10^{-6} = 0.000001$ 刻みで $-(10^{6}-0.000001)$ から $10^{6}-0.000001$ まで.
\begin{equation*}
-999,999.999999,\, -999,999.999998,... \\
...,\, -0.000001,\, 0.000000,\, 0.000001,... \\
...,\, 999,999.999998,\, 999,999.999999
\end{equation*}
(8) $i_{4} \cdots i_{0} . f_{1}f_{2}f_{3}f_{4}f_{5}f_{6}f_{7}: \quad 10^{-7} = 0.0000001$ 刻みで $-(10^{5}-0.0000001)$ から $10^{5}-0.0000001$ まで.
\begin{equation*}
-99,999.9999999,\, -99,999.9999998,... \\
...,\, -0.0000001,\, 0.0000000,\, 0.0000001,... \\
...,\, 99,999.9999998,\, 99,999.9999999
\end{equation*}
(9) $i_{3}i_{2}i_{1}i_{0} . f_{1} \cdots f_{8}: \quad 10^{-8} = 0.00000001$ 刻みで $-(10000-10^{-8})$ から $10000-10^{-8}$ まで.
\begin{equation*}
-9,999.99999999,\, -9,999.99999998,... \\
...,\, -0.00000001,\, 0.00000000,\, 0.00000001,... \\
...,\, 9,999.99999998,\, 9,999.99999999
\end{equation*}
(10) $i_{2}i_{1}i_{0} . f_{1} \cdots f_{9}: \quad 10^{-9} = 0.000000001$ 刻みで $-(1000-10^{-9})$ から $1000-10^{-9}$ まで.
\begin{equation*}
-999.999999999,\, -999.999999998,... \\
...,\, -0.000000001,\, 0.000000000,\, 0.000000001,... \\
...,\, 999.999999998,\, 999.999999999
\end{equation*}
(11) $i_{1}i_{0} . f_{1} \cdots f_{10}: \quad 10^{-10} = 0.0000000001$ 刻みで $-(100-10^{-10})$ から $100-10^{-10}$ まで.
\begin{equation*}
-99.9999999999,\, -99.9999999998,... \\
...,\, -0.0000000001,\, 0.0000000000,\, 0.0000000001,... \\
...,\, 99.9999999998,\, 99.9999999999
\end{equation*}
(12) $i_{0} . f_{1} \cdots f_{11}: \quad 10^{-11} = 0.0000000001$ 刻みで $-(10-10^{-11})$ から $10-10^{-11}$ まで.
\begin{equation*}
-9.99999999999,\, -9.99999999998,... \\
...,\, -0.00000000001,\, 0.00000000000,\, 0.00000000001,... \\
...,\, 9.99999999998,\, 9.99999999999
\end{equation*}
書き出して眺めてみると面白い並びになっている.
ここで行っているのは, 無限の対象である実数を有限の世界で表現しようという試みであり, そう思うと興味が尽きない. じっくり考えてみたい.
奥が深そうだ.

こんな感じで今度は指数表示の場合も調べてみる.
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posted by 底彦 at 20:30 | Comment(0) | TrackBack(0) |
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