小学生の半数が学校でトイレに行けず、5人に1人が便秘であることが最新調査で判明。
変わらぬ「学校で排便できない子供たち」の実態が明らかに。
小学生の5人に1人が便秘状態で、さらに小学生の2人に1人が学校では排便しない−−。
NPO法人日本トイレ研究所(東京都港区、加藤篤代表)が小学生4833人を対象に調査したところ、現代の子どもが成人女性と同程度に便秘状態になっている可能性が浮かびあがった。
【医療プレミア編集部】
調査は今年3月、全国47都道府県の小学生の保護者を対象に「小学生の排便と生活習慣に関する調査」として実施された。同研究所は、排せつ教育や公共トイレの整備などに取り組む民間団体。
調査結果によると、国際的な便秘の基準に照らし合わせて、小学生の5人に1人(20.2%)が便秘状態にあった。
一方で、その保護者のうち32.0%は、子どもが便秘状態にあることを認識していなかった。
◇「学校で我慢するのは、友達に知られたくないから」
また、小学生の2人に1人(49.7%)が学校で排便しない、またはほとんどしないと回答。
学校での排便を我慢することについても、2人に1人(52.8%)がよくある、時々あると答えた。
「学校で排便をしにくい」と回答した小学生に理由を尋ねたところ、55.9%が「友達に知られたくないから」と回答。「学校で排便したことで、友達にからかわれることはありますか」という質問には、18.0%がよくある、時々あると答えた。さらに、友人の目を気にする傾向は学年が上がるにつれて強くなった。
一方、便秘状態にある子どもの保護者は、そうでない子どもの保護者に比べて「食生活、睡眠、運動などの正しい生活習慣が十分でない」と感じている傾向があった。睡眠に関しては、便秘状態にある子どもは、そうでない子どもに比べて午前7時以降に起床し、午後10時以降に就寝することが多い傾向があった。また、便秘状態にある子どもの保護者のうち、18.6%は特に対策をしていなかった。
◇便秘の全身状態にもたらす影響に懸念 さいたま市立病院で子どもの排便外来を開設し、治療にあたっている中野美和子・小児外科部長は「(便秘状態が)約20%という数値は、成人女性と同じ程度に小学生が便秘状態にあることを示し、極めて憂慮すべきこと。
これらの子どもの全てがこのまま、成人まで便秘状態を持ち越すわけではないと思われるが、最近、便秘と心血管疾患の関連の可能性も報告され、長期の便秘状態が全身状態にもたらす影響も心配される」と指摘する。
中野部長は「便意を我慢しないことが便秘の予防と治療において最も重要だ。学校で排便しにくいことが、便秘症が多いことと関連している可能性がある」と説明。さらに「子ども自身は便秘状態が続いても、慢性的であるために自覚することは難しく、自覚しても保護者が関心を持たなければ訴えにくい。
小児期に排便に関して無関心な環境にあれば、成人後も同様のことが続くことが予想される。
食育と同様、排せつについても保護者と子どもの双方に教育が必要」と注意を促している。
毎日新聞6月8日 16時48分
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image