Fintech(フィンテック)を利用した給与の前払いサービスPayme(ペイミー)とenigma(エニグマ)とは?
近年、企業の間ではアベノミクスのおかげで景気が上向いていると強気な言葉が多くなり、就活を控えた学生も雇用されやすくなったと喜んでいます。
しかし、末端の消費者にはその恩恵はほどんどなく、物に対する購買意欲も高まっていません。
そんな中、近年苦しい消費者の生活実態を表すかのような新しいサービスが提供されており、それがFintechを利用した給与の前払いサービスです。
給料日前の突然の物入りの時には助かります。前払いシステムを提供しているサービスには色々ありますが、代表的なものとして「Payme(ペイミー)」と「enigma(エニグマ)」が挙げられます。
なお、Fintech(フィンテック)というのは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、インターネットを活用した金融サービスを指しています。
Payme(ペイミー)の特徴
Paymeは「BtoB型(企業間取引)」の給与前払いサービスです。なお、既に発生している給与(就労済み分の給与)の「前払い」であり、出勤していない分の給与を受け取る「前借り(バンス)」とは異なります。
【Paymeの利用方法】
Paymeの利用システムは以下になります。
?@会社がPaymeと契約します。会社は従業員情報を登録し、従業員ごとのIDを受け取ります。
?A従業員はスマホからPaymeに前払いを申請します。事前に、会社のメールアドレスを登録し、パスワードを設定します。
?B最短で即日にPaymeから従業員に前払い給与が立替払いされます(口座振込)。
前払いの可能な給与額は給与の凡そ70%になっています。
【Paymeのメリット】従来、前払いサービスはいくつもありましたが、若干面倒で、前払いが行われるまでに時間もかかっていました。Paymeはインターネットを活用して手続きを簡略にし、前払いも即日にできるようにしています。また、会社にとっても、サービス導入・システム運用などにかかる費用が無料になっています。
【Paymeの手数料】Paymeは手数料として、前払い給与額の3〜6%を取られます。手数料の3%の差は企業の規模や信用度の違いです。例えば、給与を10万円前払いしてもらうと、3,000〜6,000円の手数料が抜かれます。要するに、この手数料がPaymeの利益になります。
【手数料の負担は誰?】手数料で問題となるのが、だれが負担するのかということです。手数料はPaymeから会社に請求されますが(利用者に立替払いした額+手数料)、会社がその手数料を従業員に支給することは無いと思われます。会社にしてみれば、個人の前払いにおける費用を会社の利益から削ることは考えられません。
【ペイデイローン】Paymeの実態を客観的に見れば、「ペイデイローン(Pay Day)」(給料日ローン)と言えなくもありません。ペイデイローンとは、主に低所得者を対象とした給料前借サービスのことで、次月の給与を担保に、利用者にお金を貸し付けるものです。Paymeを貸金業とするなら、3%もの利息を先取りしてお金を貸す行為は法律に違反します。
利息の先取りの場合、金利(年利)の計算は以下になります。
年利(%)=利息÷(元金−先取り利息)×365日÷借入日数×100
従って、10万円の前借に対し、3,000円の手数料を取った場合、翌月(30日後)に返済されたと仮定すれば、金利は以下になります。
3,000円÷(10万円−3,000円)×365日÷30日×100で37.6%という莫大な金利になり、利息制限法における最高金利の20%をはるかに超えます。
ただ、Paymeは給与の前払いを会社に変わって代行する形をとっており、利用者に直接貸し付けるわけではありません。また、手数料を取るかどうかはあくまでも企業側の判断であり、そこにPaymeが介在しているわけではありません。
enigma(エニグマ)の特徴
enigmaも基本的なシステムはPaymeと変わりません。
給与の前払いをして欲しい利用者がenigmaのスマホアプリで申請すると、enigmaが企業の代わりに給与を支払ってくれます。
enigmaは申請額の6%、プラス100円を前払い給与から受け取ります。例えば、1万円を申請すると、銀行口座に振り込まれるのは手数料の700円を引いた、9,300円です。
なお、従業員データや給与データ、勤怠打刻データが連携されているため、従業員は働いた分の給与額をスマホで確認でき、必要な時に必要なだけ給与を受け取れます。
9時25分までに申請すれば、その日の12〜15時までにお金が振り込まれます。
近年、Fintechと呼ばれるサービスが非常に増えて便利になってはいますが、ひとたび利用を間違えると、却って生活が束縛されることにもなりかねません。
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