先週末から今週にかけてのビットコイン価格は、じりじりと下値を切り下げ、東京時間24日21時頃、81万25円(フィスコ仮想通貨取引所(FCCE))と5月安値をつけている。
先週想定した水準である80万円前半で、足元下げ渋っているが、強い反発とまではいかない状況にある。
今回の下げ局面では、円建てのビットコインよりドル建ての方が弱かったことから、下げの要因は米国側にあると想定する。
先週、二ューヨークで2018年のブロックチェーン・ウィークが開催されていたが、カンファレンス終了後、米国とカナダの規制当局が共同でICOの取り締まりを強化するOperation Cryptosweepを開始と発表。
さらなるICO規制への警戒感が浮上したことから、買い手控えの状況となった。
事業者として、規制強化は市場の健全化につながるため将来的な買い材料になると考えるが、発表のタイミングで投資家は売りで動いたわけだ。
また、米国金利引き上げ観測が強まっているなか、アルゼンチンペソやトルコリラ、ブラジルレアルなど新興国通貨が対ドルで大幅に下落している。
株式、為替市場ではこれまで楽観的にみられていたが、足元のトルコの混乱(金融引き締めを懸念するエルドアン大統領と、通貨安対策に躍起の中央銀行総裁との確執)が話題になったことで、市場関係者も真剣に捉え始めた状況だ。
仮想通貨もリスク資産の一種として捉えられ、投資資金を回避する流れが強まったと推測する。
今年の2-3月に世界的なボラティリティ上昇によって仮想通貨が下落したロジックと似ている。
ただ、今のところビットコインは80万円台を維持している。
日足のボリンジャーバンドでは、−2σ(84万円)を割り込んだことから下に走る(バンド・ブレイクアウト)状況になるかが警戒されたものの、4月に急落した後もみあいとなった80万円水準が一定のサポートラインとして意識されている。
日足のボリンジャーバンドの−3σ(77万円)まで走る地合いへの警戒感は残るが、新興国通貨の下落によって、2010年代前半に発生したギリシャなど南欧債務問題時に発生した仮想通貨への資金流入のような状況が発生すれば、強い反発となろう。
6月13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて利上げが実施されれば、新興国通貨はボラタイルな動きとなる可能性もある。
そのようななか、時価総額が十数兆円しかないビットコインを始めとする仮想通貨に投資資金が流入するとなればインパクトは大きいこととなろう。
一方、国内では引き続き金融庁による仮想通貨事業者に対する新たな指針の発表待ちとなる。
こうした発表を控えている以上、強い反発を期待するのは難しいが、こうしたニュースを材料とした売り圧力はさほど強くないだろう。
理由は、上述にある「規制強化は市場の健全化につながる」である。
初動で下げた局面では、押し目を狙う戦略を取りたいところだ。
今週から来週までの想定レンジは77万円から88万円とする。
引用元:Forbes JAPAN
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180525-00021261-forbes-bus_all