組織とは
・複数の人が共同で目的を達成するために必要
【組織の要素】
・バーナードは3つの要素を提唱
・共通の目的、貢献する意欲、コミュニケーション
【組織の均衡条件】
・ 誘因が貢献以上になっている状態 (誘因 ≧ 貢献)
・見方を変えれば、組織は「誘因を生み出す変換をするシステム」
・誘因≧貢献ですので誘因 = 貢献、つまり誘因が貢献を超えなくても、組織は存続し続ける
【組織の基本構造】
・ 経営層⇒管理者層⇒作業(員)階層:作業階層は分業化(財務、購買、生産、営業)
【組織と戦略の関係】
・ 組織は戦略に従う(チャンドラー提唱):先に戦略があり、組織は戦略の実行手段
・ 戦略は組織に従う(アンゾフ提唱):戦略は組織の能力や特性に規定される。
組織の設計原則
【専門家の原則】
・仕事を分業化する事により専門性を高め、仕事の効率を向上させる原則
【権限・責任一致の原則】
・権限と責任は等しくなければならないという原則:権限<責任、モチベーションの低下:権限>責任、無責任な行動
【統制範囲の原則】
・スパン・オブ・コントロール:コントロールの及ぶ範囲
・1人の管理者の管理できる人数には限界がり、それを超えると効率が落ちる。
【命令一元化の原則】
・メンバーは1人の直属の上司から命令を受ける。指揮系統の一元化
【例外の原則】
・別名、権限委譲の原則
・管理者はなるべく日常的な提携業務の意思決定を下位のメンバーに権限移譲する。
・管理者は例外的な意思決定(戦略的な意思決定)に専念する
組織形態
【組織の基本体系】
・ライン:経営の主活動(生産や販売)
・スタッフ:ラインを支援する(経営企画など管理職を支援する職能)
● ライン組織
・ラインから構成される組織
・命令一元化の原則を強く打ち出した組織形態、集権的な管理が出来る。管理者の負担が増える。
● ライン・アンド・スタッフ組織
・ライン組織にスタッフ機能を追加
・管理者の負担軽減、専門的な助言、 スタッフはラインに権限を持たないが不明確になり命令系統が混乱しやすい。
【機能別組織(職能別組織)】 :機能ごとに分業(購買・生産・販売など)成長してくると+管理スタッフ
・メリット:専門家を追求(規模の経済、経験曲線⇒業務効率が上がる)、 命令一元化の原則 (統制が取りやすい)
・デメリット:管理者の負担が重くなる(複数事業の場合複数事業の生産など)、組織の硬直化(別の機能との連携が上手く出来ない:官僚制の逆機能)、利益責任が不透明
【事業部制組織】 :事業ごとの分権的な組織
・複数の事業に進出したり顧客層が広くなってくると、機能別組織から事業部制組織に移行していくケースが多い
・ プロフィットセンター :利益責任単位:事業部単位の利益責任を負う
・メリット:迅速な意思決定、トップの負担軽減、管理者としての教育や育成
・デメリット:(重複して)無駄が多く非効率的、排他的な組織として独断経営( セクショナリズム )、短期的な利益追求
【カンパニー制組織】 :事業部の発展形で事業部をさらに分権化(社内分社化)
・ インベストメントセンター :利益だけではなく投資に対する責任も持つ組織( バランスシート経営 ):トップは プレジデント
・メリット:経営責任が明確になる、意思決定が迅速、経営者育成
・デメリット:カンパニー間の連携がとりにくい、実際には本社に上司がいるので独立したインベストメントセンター経営が難しい
〈純粋持株会社〉
・持ち株会社の内、自らは事業を行わずに他の会社の経営権をにぎることを本業としている会社
・企業グループ全体の戦略や企画の立案に専念。傘下の子会社はそれそれの事業に専念。
【マトリックス組織】 :格子状の構造をした組織、機能別組織と事業別組織の両方のメリットを狙った組織
・縦に生産や営業など機能別の組織、横に事業部別などの組織を掛け合わせる形(2つの命令系統がある)
・メリット:機能別組織と事業別制のメリットを同時に得る事が出来る。(高い専門性と機能間での連携) 人材を複数の役割で有効利用できる。
・デメリット: ワンマンツーボス (命令系統が不明確になる)(管理者の間で意見の対立や権力争いが起きやすい)
〈国際化と組織形態〉
段階に適した組織
1,輸出:輸出担当部、海外事業 所 を設置
2,現地生産・販売:海外事業 部 を設置
3,グローバルな事業展開:事業ごとに国内事業と海外事業を統括して行う体制。さらに、地域別と言う切り口を加え「グローバルマトリックス組織」に移行する事もある。
組織の運営
【組織のライフサイクル】
● 企業段階:起業家のリーダーシップ:管理活動はまだ重視されていない。
● 共同体段階:起業家は権限委譲し分権的な組織に:管理活動を整備していく段階
● 公式化段階:管理機能が発展し規則や手続きが導入
⇒ 官僚制の逆機能 (規則を守ることが目標になる。組織は硬直化し環境変化に対応できない)
⇒組織構造を動態化(大企業病):経営と現場の情報伝達のスピード
対策:組織の階層をフラット化(階層を減らす)、プロジェクトチーム制(タスクフォース)(日常的でない複雑な問題・課題の迅速な対応)(チーム型作業組織:チームごとにタスク、労働生活の質QWLの向上が期待)、横の連携を強化、情報共有するための仕組み構築
● 精巧化段階:分業と調整のバランスを追求、企業の再活性化
≪官僚制の逆機能≫
・規則や機構が目的追及を損ねている状態
?@ セクショナリズム:部署内の権限や利害に固執し組織全体の最適化を図る事が出来ない
?A 形式主義:内容よりも形式を重んずる考え方
?B 規則万能主義:現実の課題に対して、規則が無いからと対応できないとする考え
?C 事なかれ主義:問題が発生しているのに、関わろうとせず放置する事
?D 員数主義:本来の意図した目的に用いる事が出来ない物でも、文章上、数の帳尻を合わせて、書類上の数値があっていれば良しとする考え
?E 繁文縟礼(ハンブンジョクレイ):規則が細かく、手続きが煩雑なため非効率になる事
?F 目的置換:本来は手段に過ぎない規則や手続きが目的になってしまう事
【環境変化への対応】
・ 組織のコンティンジュンシー理論 :状況(外部環境)により最適な組織構造は異なると言う理論。
・バーンズとストーカー
安定した産業⇒官僚的組織が向いている
不安定な産業⇒柔軟な組織
・ローレンスとローシュ
不安定な環境に置かれている組織が業績を向上させるためには⇒分化と統合の2つの機能を持つ組織
コンフリクト(葛藤)解決:立場が異なる組織間でコンフリクトが発生⇒解決⇒高い業績
【不確実性への対応】
・管理者や部門間の情報処理の負荷が重くなり十分に変化に対応できなくなる可能性がある。
・対応するには:処理する情報を減らすか情報処理能力を増やす⇒ スラック資源(余剰資源) を持っておく、自己完結型の組織にする(プロジェクトチームなど)
情報処理能力を増やすには:横断的な組織を設ける。情報処理システムを整備する。
〈リスクマネージメントと危機管理〉
・ リスクマネージメント :企業の収益獲得活動のために必要となるリスクを適切に管理することを言う。
・リスク:社内外の事業環境変化自体(マイナスだけではなく、プラスもリスク)
・ 日常的で発生が予見でき、大よその損害額が見積れるリスク が対象
・クライシス(危機):戦争や災害の様に発生の可能性が予見困難で被害額の見積りも困難な場合を言う。
・規模などにより、リスクとクライシスは範疇が変わり重複する部分が多い
・リスクマネージメント:一般的に、?@リスクの発見及び特定、?Aリスクの算定、?Bリスクの評価、?Cリスクの対策と選定、?Dリスク対策の実施、?E残留リスクの評価、?Fリスクへの対応方針及び対策のモニタリングと是正、?Gリスクマネジメントの有効性評価と是正というプロセスを経る。
〈 クライシスマネジメント 〉
・あらかじめ予測することが困難である事態が発生し、それに 適切に対応しなければ企業の存続が脅かされてしまうような危機 への対応
・日常的なリスクと違い、 発生してからでは管理することができない 。
・事前に事業継続計画(BCP:BusinessContinuity Plan)を策定し、対応を日常的に訓練することが重要。
・ 事業継続計画(BCP) :企業が事故や災害などの緊急事態に遭遇した場合に、 資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続や早期復旧を可能とするための方法や手段 などを事前に取り決めておく計画
〈組織スラック〉 :過剰な人員、設備、生産のロスタイム、内部保留など余剰資源
●組織スラックの機能
・利害関係者を組織に繋ぎとめるための誘因:株主・債権者・取引企業・顧客・従業員など
・コンフリクト解消のための資源:企業内や利害関係者間における対立を解消するための経営資源に活用
・ワークフロー・プロセスにおける緩衝材:サプライヤーの急な納期の延長や急な需要の増加に対処できる。
・戦略的行動やイノベーションの促進:イノベーションの為の源泉にする。(スラックス革新)
【組織間関係論】
● 資源依存モデル:外部組織から自由裁量が制限される状況
・外部の組織に資源を依存している度合いが強いと自由裁量が制限される。
・依存度を高める要因:組織にとって資源が重要。外部の組織が自分の組織に対して自由裁量(パワー)を持っている場合。資源の集中度が高い場合
・依存度のマネジメントの方法:代替取引先を見つけ取引先を多角化。外部組織と協調したり第3者から外部組織の操作を試みる。
〈取引コストアプローチ〉
●ある活動を企業内部で行うか、外部の組織で行うかを選択する
・M&A:内部に取り込む方法
・アウトソーシング、OEM:外部に出す方法。
・取引コスト:取引相手を探して交渉するコスト、契約するためのコスト、正しく実行されるか監視するコストなどすべて含める。
・取引コストが高い:活動を内部に取り込んだ方が効率的:価格交渉、契約履行のチェックなどの業務が削減:市場原理による最適化が働きにくい⇒完全に内部化せず関連会社や系列会社など中間的な組織にする方法も
・取引コストが低い:活動を外部にだす
タグ: 企業経営理論
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image