米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げサイクルも年内にピークを迎え、来年にかけて徐々に利上げペースが鈍化していく見通しです。インフレ率の低下傾向や経済成長鈍化などを受け、FRBも利下げに転じる可能性も出てきました。こうした中でドル円レートは円高基調が続いており、ドル安・円高を後押しする要因は尽きていないとみられます。
具体的には、米国の利下げ観測や日銀の金融緩和姿勢の持続などが円高要因として働いています。エネルギー価格下落に伴う輸入コスト減少も、対ドルでの円高を招く材料の1つでしょう。世界的な経済減速への警戒感から、円建て資産を買う動きも根強く、安全通貨とされる円の堅調さが支えとなっている形です。
年内に130円台まで円高が進む可能性も
こうした要因を考慮し、当面130円台半ば程度まで円高が進むとの見方が大勢です。ただし130円前後を大きく割り込むような急速な円高は、日本の輸出企業の業績を直撃するリスクがあることから、あまり望ましくない面もあります。したがって当面は130円台半ば程度が円高の範囲とされており、これを大きく突破する円高が進む可能性は低い水準だと言えそうです。
FRBの利下げ時期やペース次第ではありますが、2023年中には一時的に130円台まで円高が進む局面が出てくる可能性があります。ただしその後は、各国の金融政策の正常化ペースなどを睨みつつ、130円台半ばを中心としたレンジ相場に移行していく流れが予想されます。
円相場の行方は、世界的な政治経済情勢次第
中長期的な円相場の行方としては、世界的な政治経済情勢の推移如何に左右される部分が大きいと見られます。米中関係やウクライナ情勢、新興国経済の建て直しなど、不透明要因は外部に多数ある状況です。こうした地政学リスクと金融政策の正常化ペースの兼ね合いで、米ドルと円の主導権争いが当面続きそうです。
ただ新型コロナ前の水準までドル高・円安が進むとは考えにくく、むしろ世界経済の減速懸念から円買い需要は根強いものがあるとされます。
今後は130円台前半を上下に値動きするレンジ相場が中心となり、中期的には円高方向へのバイアスがかかりやすい展開が予想されています。
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