こんなブログに来る様な方には今更説明など不要だという事は十分に承知しておりますが、ランサーエボリューションというクルマは三菱自動車が「世界ラリー選手権」に参戦する事を目的としてホモロゲ—ション取得の為に開発、生産していた車種という事になります。この少し前、ギャランVR-4でWRCに参戦していた三菱はそのコンポーネンツを一回り小さい車体のランサーに押し込んで…というストーリーはあちこちで見聞きする事が出来ると思いますので、ここではランサーエボリューションがデビューした頃に私が見て感じていた事を…。
■Gr.Aの時代
※画像は拾いモノです。著作権等問題ありましたら削除致します。
90年代…世界ラリー選手権、いわゆる「WRC」は日本メーカーのクルマが大活躍していた事もあり、インターネットが発達した2020年現在よりも身近に感じていた様に思います。当時私は中学生ぐらいでしたが、不定期にやっているWRCのTV番組で4ドアの555インプレッサやランサーエボリューション、カストロールカラーのセリカが森林の中(1000湖ラリー)やぬかるんだ泥道の中(RAC)を駆け抜けていく姿にシビれましたし、ゲームセンターに行けばラリーのゲームが置いてありました。
■WRカーの登場
少し時間が経つと、ほぼ 市販車そのままの姿で走ってたのラリーカーは「WRカー」になり、参戦メーカーも増えWRCは隆盛を迎えます。( セアトとかシュコダとか…それまで聞いた事もない様なメーカーも参戦して来ます…)書店ではF1雑誌に並んで、1戦ごとに専門誌が発売されシーズンが終了すればシーズンを総括した高額なムックも出ていましたね。欧州勢もラリーカーをイメージした限定車を販売していたようですし街中ではインプレッサ、ランサーエボリューションのレプリカを割とよく見かけました。今では到底考えられない事ですね。
私も高校生から浪人生活を経て大学生になった頃がWRCが一番盛り上がっていた(身近に感じていた)様に思います。この頃インターネットもADSLを始めとした高速な通信環境が急速に普及し、スバルのHP等でリアルタイムでSSごとのレポートやタイム、順位を見たりしていました。( 2003年のツール・ド・コルスは文字のレポートを読んでいるだけでものすごく興奮した事を覚えています。)
■SUBARUとMITSUBISHI
この当時私はどちらかというとランエボよりもコンスタントに結果を残すインプレッサの方に憧れていました。ワークスのランエボはクセが強く、T.マキネンが4連覇を果たすもののR.バーンズ以外の セカンドドライバーは皆空気状態で専門誌やクルマ雑誌でも 「市販車の特性でも素直なマシン特性のインプレッサと比較して、エンジン特性はランエボに分があるものの電子制御による車体の挙動は不自然な感覚で…」みたいな試乗記事やレビューも多く、2000年頃には既に成績に翳りが見え始めていた三菱がWRカーを投入するも成績が振るわず(本社のリコール問題等もあり)参戦休止、撤退に追い込まれてしまったのに対してC.マクレー、R.バーンズ、P.ソルベルグとエースが抜けても次代のチャンピオンが出て来るストーリーもあって応援のしがいがあったのです。
日本でのWRCの盛り上がりとしてはラリージャパンが初開催された2004年がピークだったと思います。翌年以降スバルの成績が降下、それと共に熱が引いて行き リーマンショックがモータースポーツを直撃。スバルの撤退と共に日本におけるWRCは見る影もなくなってしまったと思います。私もしばらくは専門誌でリザルトを追いかけるぐらいはしていましたが就職して忙しくなって行くと共に、WRCを見る事はすっかりなくなってしまいました。
■祭りの後・・・
祭りはいつか終わるもの。 熱狂した時代が去った後…祭りが終わった後に市場に残されたのはWRCワークスカーのベースモデル、ホモロゲ—ションモデルとしての使命はなくなった(市販車改造部門の競技ベース車としてはインプレッサWRXと共に唯一無二でしたが…)高性能なロードカーとしてのランサーエボリューション(とインプレッサWRX)だったのです。2010年代に入り工業製品としての自動車に求められるのはしびれる様な加速や、意のままに操れるハンドリングといった動力性能ではなく、更なる安全、環境(燃費、排ガス)への配慮…明らかに時代の流れにそぐわないこの2つのモデルは2016年にランエボが、2019年には相方のWRX−STIもそれぞれ 「ファイナルエディション」を花道にして市場から退場して行きました。ある意味ランエボが生まれた頃からその終わりまで見る事が出来たのは幸運だったのだと思っています。
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