■UH-1Jは知られざる名機
■UH-2導入は混乱した地べた事業部航空畑の健全化をもたらすかもしれない
UH-1Jの後継機であるUH-2が昨年度納入されました。令和3年度に補正予算分も併せて大量発注されているようですから、4国契約と考えると来年辺りは目にする機会も多くなるでしょう。前作のUH-1Jの初飛行の知らせを会社で聞いた記憶がありますから、隔世の感があります。
UH-2(機体番号45151)
画像引用元: By 陸上自衛隊航空学校・明野駐屯地 (JGSDF Aviation School, Camp Akeno), CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=78496847
写真の機体にはMWS(ミサイル警戒装置)とRWR(レーダー警戒装置)、FLIRが付いていますが、MWSは米国ノースロップ・グラマン社のAN/AAR-47辺りでしょうか。RWRはAH-1Sと同様にAN/APR-39辺り、また写真では確認できませんが、CMD(カウンターメジャーディスペンサ)はBAE社のAN/ALE-47でしょう。
CV-22Bに搭載されたAN/AAR-47
画像引用元: By Boevaya mashina - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=118332331
AH-1Sに搭載されたAN/APR-39
画像引用元: By Hunini - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=85574473
MCH-101掃海・輸送ヘリコプター(8651号機) 右スポンソン後部に装備されたAN/ALE-47
画像引用元: By Hunini - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=69031388
細かく搭載機器関連を見てみましたが、CNI(Communications, Navigation, & Identification)系とこの辺りが原型機であるベル412EPIとの最大の違いでしょう。勿論、データバスはMIL-STD-1553Bです。有体に言うと、UH-2は412EPIへ軍用データバスを追加した機体と言えるかもしれません。
なお、漏れ伝わる話に依るとUH-2の生産は3段階に分かれており、150機のうち最初の50機は完全ノックダウン、次の50機は国産化率50%、次の50機で国産化率100%を目指すそうです。
UH-2にはその導入の経緯から毀誉褒貶がありますが、個人的には当初構想されていたOH-1ベースの国産機じゃなくて良かったと思ってます。業界内ではK案が選定された後も以下の理由等でやはりF(S)案が良いという声が多かったのですし、実際K案が進んでいたらさらなる混乱を引き起こしていたと想像します。
・K案のベースとなるOH-1は運用側から必ずしも評価が高い機体ではなかった。そのためK案にも一抹の不安があった。
・前作のUH-1Jは手が掛からず使い勝手が大変良いことから、運用側からの評価が非常に高かった。また、ライセンス生産機でありながら、国産化率が高かったため有事(311)の部品調達や前倒し修理などの緊急対応が可能だった。
・ペーパープラン機よりも、既に実績がある機体ベースの方が。。
汎用ヘリや攻撃ヘリのベースとなることを期待されたOH-1はエンジンの問題その他を抱えて、当初の計画から大幅に縮小されて、担っていた任務は近い内に無人機へ移行して早期退役することとなりました。個人的に三宿の小ヘリ時代から馴染みがあるので、余り言いたくはないのですが失敗作です。
これにより、近い将来地べた事業部の航空畑はCH-47JA、UH-60JA、UH-2、無人機へと集約することになります。UH-60JAは高性能な機体ですが、高価でありまた既に調達を終えてますから今後の主力とはなり得ません。CH-47JAは今後も調達が予定されていますが、数的にも実質的に地べた事業部航空畑の中核となるのはUH-2でしょう。従って、今後のUH-2の評価が地べた事業部航空畑の行く末を決めることになります。場合によってはさらなる増産も期待出来るでしょう。
自分的には名機UH-1JのDNAを引き継いだUH-2も高い評価が得られる筈と思っています。
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