■性感染症はどのような病気なのか
性感染症、省略して性病と言われる事もありますが、英語で表記するとSexually Transmitted Diseaseとなるため「STD」と表記されることもあります。
性病と聞くと1つの病気のように感じる方もいらっしゃいますが、性感染症とは複数の病気を総合して読んでいる言葉です。
先ほどSexually Transmitted Disease(STD)という英語の言葉をご紹介しましたが、性病の感染力の強さを強調するために、Sexually Transmitted Infection(STI)と表記すべきではないかと言う声が強くなってきています。
性感染症には以下のようなものが含まれます。
・梅毒 詳細
・尖圭コンジローマ 詳細
・淋菌感染症 詳細
・性器カンジダ症 詳細
・性器ヘルペス 詳細
・性器クラミジア感染症 詳細
・C型肝炎 詳細
・B型肝炎 詳細
・ケジラミ症 詳細
・後天性免疫不全症候群(エイズ) 詳細
・膣トリコモナス症 詳細
このような性感染症がありますが、厚生労働省のHPでは以下の5つが強調されています。
「性器クラジミア感染症」
「性器ヘルペスウイルス感染症」
「尖圭コンジローマ」
「梅毒」
「淋菌感染症」
■性感染症は最近になって出てきた病気なのか
性感染症と聞くと、1980年代に一気に話題になった「HIV」をすぐに思い浮かべられる方もいらっしゃいます。
しかし性病は近年になって認識された病気ではなく、日本では梅毒という病気で戦国時代よりも前の室町時代から知られていた病気です。
基本的に性交渉によって流行る病気であったため、芸者や遊女が集まっていた花柳界から名前を取って「花柳病」と呼ばれていた事もありました。
つまり日本では古くから性感染症が存在しており、新しい病気ではないという事になります。
日本の文献の中に「解体新書」という本があり、これは江戸時代の医師であった杉田玄白が執筆したものです。
杉田玄白によると、1年間に800人ほどの梅毒患者の診察を行っていたという事なので、性感染症が流行していたことがよく分かります。
他にも英国の軍医も、同時代において横浜で診察を行ったところ、診察をしたほとんどの遊女が梅毒患者であったと報告しています。
これほど長い期間に渡って性感染症は認識されてきたにも関わらず、なぜ根治されなかったのでしょうか?
■性感染症は完治する可能性が高い
性感染症は、きちんと治療を行う事で完治できる可能性が高い病気です。
しかし、どの時代でも性感染症が存在している事は、根治するのが難しいという事を示しています。
なぜ根治するのが難しいのでしょうか?
いくつかの理由は複合的に絡まっているため、性感染症STDもしくはSTIは根治が難しい病気になっています。
◯自然治癒は期待できない
風邪やすり傷などは、病院に行って治療をしなくても、自宅で静養していると自然に治ってしまうものです。
その他にも身体の免疫力によって、細菌やウイルス自体が死滅することもあります。
「免疫機構によって性病は治る」というという間違った知識が広がってしまっているのは大きな問題と言えるでしょう。
確かに身体の免疫は、非常に優れたものですが、性感染症に関しては免疫機構による自然治癒はできず、必ず病院での治療が必要です。
◯自覚症状が分かりにくい
多くの病気には、気分が優れない、頭痛がする、吐き気がするなど自覚症状があるため、病院に行くきっかけがあります。
しかし性感染症の中には、自覚症状がないものもあり、結果として発見が遅くなり性病が感染して広がってしまう事もあります。
非常に分かりやすい症状としては、膿が性器から出て来るというものがありますが、必ずしも全ての性感染症に同様の症状が出るわけではない事を覚えておきましょう。
仮に、性器に異常を感じたとしても、性病にかかるはずはないと考えてしまう方も多く、また病気の種類ゆえに相談しづらいため、そのまま放置されてしまう事もあります。
また上記で挙げた性病の中には、性行為をしていなくても感染する粘膜感染タイプのものもあります。
ですから性交渉をしていないので、自分はSTDにはなっていないと思ってしまうというケースも少なくありません。
◯病院に行って検査しづらい
インフルエンザに感染したとしたら、ほとんどの方がすぐに病院にいって検査を受けて、治療を受ける事でしょう。
同じ感染症であっても、性感染症になると、ほとんどの方が感染を疑っても病院に行くという選択をしないようです。
恥ずかしいという気持ちや誰かを裏切ったという気持ちがあるため、検査すら躊躇してしまう方もいらっしゃいます。
また検査をする時には、自分の性器を医師に見せなければならないと思い、病院から足が遠のいてしまう方もいらっしゃいます。
そのため治療開始が遅くなり、感染者が増えたり、症状が進んでしまうこともあります。
◯配偶者や恋人に確認するのが難しい
自分が性病に感染した場合、感染源として非常に濃厚になるのは配偶者や恋人になるでしょう。
しかし相手に性感染症にかかっていないか尋ねるのは非常に難しいことかもしれません。
そのためパートナーにSTDについて話すことができず、自分だけ治療を行う方もいらっしゃいます。
借りに配偶者や恋人が感染しているなら、自分が治療によって治っても、性交渉によって再び感染してしまうでしょう。
もし配偶者が性感染症にかかっていないなら、STDが他の人から感染ったという事になり、結果としてパートナーを傷つけることになると感じる方もいます。
性感染症の多くは完治できる病気ではあるものの、以上のような理由から治療が始まらないという事があるようです。
STDは放っておいても治ることはありません。
大切な家族や配偶者に感染してしまい、家族を苦しませることになる可能性は非常に高いでしょう。
ですから、少しでも早く治療を始められることをお勧め致します。
検査をするのは、どうしても恥ずかしいという気持ちは、とても理解できるものです。
以前であれば、必ず病院に行って検査をしなければならなかったでしょう。
しかし今では病院に行かなくても性感染症の検査をすることが可能になっていますので、気になる方がすぐに調べてみてください。
勇気を出して自宅で検査をするなら、大切な自分と家族を守ることになります。
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