「母さんが倒れた」
と実家の父親から連絡がきました。
私は頭が真っ白になりつつも、着の身着のまま急いで病院へと向かいました。
母はお風呂場で転倒し、浴槽の角で後頭部を強打したらしく
私が病院へ到着した頃には、意識が朦朧としていました。
父もかなり動揺していて、車の運転は危険だと感じたので
私は実家に戻り、母の付き添いと父の面倒をみる事にしました。
偶然とはいえ、仕事を辞めていたおかげで、なんの心配もせず両親のそばで居られる事を心から感謝しました。
両親はいつか自分より先に居なくなると覚悟はしていましたが
今回の母の事故は、私にそれを身近に感じさせました。
普段の母は、優しくおっとりした人で、とても「嘘」を嫌う人でした。
そしてとても頭が良く、私はいろんな事を教えてもらいました。
しかし、頭を強打した母は日に日に変わっていきました。
それまでの母とは別人格の人が乗り移ってしまったかのようでした。
話しかけても、空を見たまま私の方を見なかったり
子供のような事を言ってみたり・・
母の変化を目の当たりにした父は、しだいに戸惑いを隠せなくなってきていました。
母をひどく罵倒したり、母の前で泣いてすがってみたり・・
私には、入院していない父の方が、精神的に参ってしまうのでは無いかと
片時も目を離せられなくなっていました。
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