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2018年05月16日

山本耕史主演BS時代劇「鳴門秘帖」第4回「悲しき慕情」

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 5月11日の午後8時から、BS放送のNHKBSプレミアムで、吉川英治原作、山本耕史主演NHKBS時代劇「鳴門秘帖」第4回「悲しき慕情」が放送されました。
 阿波へ旅立った法月弦之丞(山本耕史さん演じる)は旅先でも命を狙われる。
 徳島藩に仇なす者として彼をつけ狙う天堂一角(渡辺大さん演じる)などにより危機一髪のところ、弦之丞は大坂の料理屋の娘・お米(武田玲奈さん演じる)に救われる。
 お米はたちまち、弦之丞に惚れてしまうが、労咳を患っている身の上。しかも、弦之丞には甲賀宗家の一人娘・千絵(早見あかりさん演じる)という許嫁がいると知り、世をはかなんで、みずからの命を捨てようとするのだった。
 そんなお米を「見返りお綱」(野々すみ花さん演じる)が助ける。彼女は弦之丞に思いを寄せるだけに、お米に同情する。
 一方、弦之丞に協力する岡っ引きの万吉は、阿波出身の「お十夜孫兵衛」のために捕らわれの身になってしまう。
 孫兵衛とも因縁浅からぬお綱は、彼を助けるために「西洋カルタ」で孫兵衛やその仲間と勝負する。
 万吉とお綱が窮地に陥ったその時、虚無僧姿の弦之丞が姿を現す。



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2018年05月14日

鈴木亮平主演NHK大河ドラマ「西郷どん」第18回「流人 菊池源吾」













 5月13日の午後8時から、NHK総合(地上波)にて、鈴木亮平主演NHK大河ドラマ「西郷どん」第18回放送「流人 菊池源吾」が放送されました。
 いわゆる「安政の大獄」が始まり、追われる身となって薩摩へ逃れた西郷吉之助(鈴木亮平さん演じる)と京の勤王僧・月照(尾上菊之助さん演じる)だったが、薩摩は島津斉彬(渡辺謙さん)の死後、斉彬の父・斉興(鹿賀丈史さん演じる)が実権を握り、西郷吉之助と月照に本当の居場所は無くなった。
 ともに処罰されるところ、大久保正助(瑛太さん演じる)の陰でのはたらきで西郷吉之助だけが助かることとなったが、絶望した吉之助は月照とともに海へ漕ぎ出し、入水自殺する。
 これが前回のあらすじです。
 さて、今回は、吉之助だけが救われ、吉之助の実家に運び込まれ、ずっと床について目を開けなかった吉之助がようやく目を開ける。家族や正助が枕辺にあつまり、喜びの声をあげるが、自分一人だけが生き永らえたことを知った吉之助は「なぜ自分だけが」と悲しみにくれる。
 で、薩摩藩としては、幕府の追及を逃れるために吉之助には「菊池源吾」と改名させて、大島(奄美大島)へ送った(という内容のナレーションがあった)。
 絶望の果てに、抜け殻のようになった吉之助は、島の人とかかわりを持つこともなく、ただ生きているだけの状態となる。
 そんな吉之助を見守る役目を与えられたのが、龍佐民(柄本明さん演じる)を当主とする龍家の人々だった。
 奄美では秀吉・家康が生きていた時代より薩摩藩の支配下にあり、さとうきびが特産品となっていたが、それはほとんど強制的に作らされたものだった。他の作物を作っていた畑も強制的にさとうきび畑にかえさせられ、重税を課せられる。奄美で獲れたさとうきびで作った黒砂糖が薩摩藩の財政を潤し、富を生み出していたが、奄美の人にとっては自分たちでつくったものさえ口に入れられない、地獄のような生活だった。
 その為、龍家の人々も薩摩の武士を快く思っていなかった。
 龍家の娘・と ま(二階堂ふみさん演じる)は吉之助に対してもハッキリと薩摩藩に対する不満・批判を口にする。
 そればかりか、奄美の人々が重税にあえいで苦しんだ末に作られた財を西洋の文物の為に浪費したとして、斉彬に対してまで批判する。それを聞いた吉之助は激怒。
 「殿がどれだけ国の為、民の為を思っていたか!」
 だが、ここで吉之助の言う「民」は奄美の人々を想定しないでのことだった。
 怒ると ま愛加那は海に向かい、吉之助への呪いの言葉を発する。

 薩摩本国からの、正助からの手紙により、安政の大獄の詳細、特に橋本左内(風間俊介さん演じる)の死を知った吉之助はまた深い悲しみに襲われる。その直後、彼は高熱を発し……。
 自分の呪いの言葉によって吉之助が苦しんでいるのだと感じたと まは必死に看病する。

 今回は奄美大島という地の特殊性を出そうとしてか、字幕が入りました。
 実際、島以外の人にとっては意味が分からない言葉が多いから、字幕が入る理由も分かるのですが、鹿児島県以外の人にとっても分かる言葉もあれば全然分からない言葉もあるという点では、それまでの薩摩の城下とか吉之助の家周辺でのシーンも同じことなので、なんで今更、という気がしないでもありません。
 また、今回から字幕が入ったということで、ネット上の反応がすごい、とか、「大河ドラマでは異例」などとニュース記事が書かれていましたが、鹿児島以外の人にとっては大変分かりにくい薩摩言葉が出てそれの標準語役としての字幕が出る、というのは、かつて「翔ぶが如く」(西田敏行さん・鹿賀丈史さん主演)であったことなので、「異例」という気はしません。
 あの「翔ぶが如く」の時の薩摩言葉と字幕の衝撃が強烈だったので、今年の大河ドラマでの薩摩言葉や奄美地方の言葉は、それほど分かりにくいとは思えません。もちろん、私自身が、長い年月のうちに徐々に薩摩言葉に慣れてきて、知っている薩摩言葉や言い回しが増えたから、なのでしょうが。


 今回のドラマのように、歴史の裏側的な面を描いているのは良いと思います。名君と言われる島津斉彬も重税を課し島の人々を搾取していた。英雄とされる人にも人から恨まれる面もある。例えば戦国大名にしても、その大名の地元では偉大なお殿様だとか義の人と言われる人でも戰では略奪行為を容認していた、とか、その軍勢が人さらいをしていた(日本国内でも)、とか、人身売買としていた、と、そういうこともあるものです。維新の陰に苦しんだ人もいる、と描かれる面が無ければ、薄っぺらい内容と批判されても仕方ないと思いますね。











2018年05月13日

山本耕史主演BS時代劇「鳴門秘帖」第3回「阿波への旅立ち」














 5月4日の午後8時から、BS放送のNHKBSプレミアムで、吉川英治原作、山本耕史主演NHKBS時代劇「鳴門秘帖」第3回「阿波への旅立ち」が放送されました。
 先には門前払いをくらわされた甲賀屋敷に入り込み、ついに幼馴染で許嫁の千絵(早見あかりさん演じる)と再会した法月弦之丞(山本耕史さん演じる)だったが、それもつかの間、猛火につつまれ、千絵を見失い、離れ離れになってしまう。
 甲賀の者どもに追われる弦之丞は、因縁浅からぬ「見返りお綱」(野々すみ花さん演じる)にかくまわれる。
 一方、千絵は、甲賀宗家断絶に危機に際して千絵の婿に収まって甲賀宗家を牛耳ろうと目論む旅川周馬(武田真治さん演じる)の言動に心乱される。そして千絵と周馬の二人は、千絵の父・世阿弥(中村嘉葎雄さん演じる)の消息を尋ねて阿波へ向かうこととなる。
 弦之丞もまた、「鳴門秘帖」の謎を追い、世阿弥の行方を捜しに、阿波へと旅立つこととなる。
 弦之丞を慕うお綱も、そのあとを追って阿波へ向かう。
 甲賀の者と、阿波・蜂須賀家の家臣たちに命を狙われる弦之丞は、旅先で、お米(武田玲奈さん演じる)という女と出会う。

 さて、事態は急を告げ、大きく動き出し、さまざまな人物が絡んできました。冒険小説的な趣向で、この先どうなるのか? と興味を抱かせ想像を膨らませる展開となり、目が離せません。
 原作小説をすでに読んでいる者にとっては、原作との違いがいろいろあり、違いをいろりおみて比較しながらドラマのストーリーを追うこととなるでしょう。










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2018年05月06日

鈴木亮平主演NHK大河ドラマ「西郷どん」第17回「西郷入水」

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 5月6日の午後8時から、NHK総合(地上波)で、鈴木亮平主演NHK大河ドラマ「西郷どん」第17回「西郷入水」が放送されました。
 前回放送で、井伊直弼(佐野史郎さん演じる)による歴史上有名な「安政の大獄」が始まり、越前福井藩の橋本左内(風間俊介さん演じる)が幕府の捕り手によって捕らわれる。
 同じく幕府から狙われた西郷吉之助(鈴木亮平さん演じる)と京の勤王僧・月照(尾上菊之助さん演じる)。
 命懸けで薩摩へ向かい、厳しい追及をのがれ、なんとか無事に薩摩へ入国でき、家族との再会を喜ぶ吉之助だったのだが……。
 吉之助を重用していた島津斉彬(渡辺謙さん演じる)が亡くなったことで、藩政の風向きが変わり、斉彬の父・斉興(鹿賀丈史さん演じる)の発言力が断然強くなる。
 斉彬の弟の久光(青木崇高さん演じる)は、斉彬の遺志として、自分の息子を藩主に据え、自分はその後見人になって兄・斉彬の遺志を継ぎ兵を挙げることをお許しください、と斉興に言い、斉興もそれを了承したかにみえたが、いざ、藩の重役たちを前に宣言しようとした時、斉興が現れ、久光の方針を真っ向から否定する。
 それはとりもなおさず、斉彬のやり方を否定し、ひっくり返すものだった。
 斉彬のやりかたを「浪費に藩財政を赤字にさせるばかり」と言い、「赤字財政を黒字にしたのはワシ」とうそぶいた。赤字財政を黒字に転換したのは家老の力だった調所広郷の力によるもの。まさに、「西郷どん」における偉大なヒールです。
 斉彬のやりかたでは幕府ににらまれ、島津家がお取り潰しになる。それでもいいのか?
 そう言って藩重役たちの心を揺さぶり、久光の息子をも動揺させる。
 さらに、久光には、いい気になるな、お前に何ができる! と一喝。経験もなく対外的な人脈もない久光は家臣たちへの根回しも無かったのか、父親の一喝にぐうの音も出ない。
 そうして、島津藩としては月照をかくまうことが出来なくなり、吉之助の「日向行き」が決まった。「日向行き」とは、実際に国外追放で日向国へ移送することではなく、「処刑」を意味していた。
 大久保正助(瑛太さん演じる)は、あらゆる手段を使って吉之助を救おうとする。斉興にも会い、「ここで西郷を斬っては西郷を慕う者たちの反発を受け内紛が起こる」と言う。
 藩の内紛こそ、藩お取り潰しの絶好の口実となる。斉興の恐れていたことだ。斉興は吉之助の処分を思いとどまる。
 そしてようやく、有効な手段として見えた西郷救済の道は、西郷吉之助に月照を斬らせ、西郷を密かに隠れさせる、というものだった。
 そのことを吉之助に伝える正助。吉之助は感謝の言葉を述べる。
 しかし、月照を斬って自分が助かるというのは義に背くことだ。吉之助に出来るはずがなかった。
 そして、サブタイトルの通り、吉之助は月照とともに船で海に漕ぎ出し入水する。

 自分だけ生き永らえたいならば大久保の提案通りのするが、西郷吉之助の人間性と言いますか、性格上、そのようなことはできなかったのでしょう。命懸けで月照を守って薩摩まで来たのに月照を殺すなどできない。ならばいっそ月照とともに死のう。まさに武士の時代の武士らしい、熱い一途さですね。
 西郷吉之助が人気があるのは、そういうところなのでしょう。義の為に、誰かの為には、平気で命を懸けられる。歴史上、人気がある人物というのはそういう人物として描かれますね。



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2018年05月05日

渡瀬恒彦主演、山本周五郎原作「上意討ち」






 4月29日の午前8時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、渡瀬恒彦主演、山本周五郎原作「上意討ち」が放送されました。
 主人公は福井藩士の六兵衛(渡瀬恒彦さん演じる)という、藩内きっての気の弱い侍。
 彼が仕える福井の殿様は、或る時、昂軒(若林豪さん演じる)という剣術使いを藩の剣術指南役として仕官させる。
 この昂軒は剣一筋の男と見え、世渡り上手ではない。新参者を快く思わぬ藩の者たちと争いごとが起こり、数人と斬り合った挙句、殿様の小姓をも斬ってしまい、ついには出奔する。
 激怒した殿様は上意討ちを命じる。
 が、昂軒の腕を恐れた藩士たちは尻込みをする。そこで「「われこそは」と名乗り出たのが「臆病侍」と陰で笑われていた六兵衛だった。
 六兵衛が臆病者と言われていることにより、彼の妹が良縁なくて困っているという事態に、一念発起して、汚名返上と目論んだのだ。
 さて、昂軒探しのに旅に出た六兵衛は、ついに勗件と出会ったものの、剣の腕の差は歴然としている。なかなか手が出せない。
 彼がとった秘策がなんとも「武士らしくない?」ものだった。
 「尋常な勝負」を避け、旅先で出会った女(宮崎美子さん演じる)とともに昂軒に向かって「ひーとーごーろしー!」「ひとごろしだー!」と叫んだのだ。
 宿場町で「ひーとーごろしー!」「ひーとーごーろしぃー!」と叫び声が上がれば、たちまち大騒ぎになる。「なんだ?」「なんだ?」と人々が注目する。昂軒は逆上し、冷静さを失う。六兵衛を追いかけるが、逃げられ、追いつかない。さらに逆上する。
 六兵衛たちの姿が見えなくなったと思ったところでまた「ひーとーごーろしー!」と叫ばれる。また追いかける。だが追いつけず、取り逃がす。
 どこへ行っても「ひーとーごーろしー!」「ひーとーごーろしぃー!」と叫ばれる。昼となく夜となく叫ばれる。しまいには、いつまた叫ばれるかと気が気でなくなり、昂軒は、おちおち眠れなくなり、憔悴し、精神的にも参ってしまう。
 昂軒が憔悴しきったところで、六兵衛が勝負を挑む。
 ところが、ここで意外な展開となる。
 原作のタイトルは「ひとごろし」です。山本周五郎氏らしい設定・展開ともいえる作品です。
 過去に何度もドラマ化されています。
 この渡瀬恒彦主演作品では、渡瀬さんを六兵衛役として主役に据えたのが面白いです。
 腹の据わったヤクザだったり、器量のある武将だったり、有能で部下からも慕われる警部だったりと、「臆病者」とは程遠い人物の役が多い渡瀬さんが、よりによって「臆病者」として笑われるような人物を演じたのですから、かなりのギャップです。
 そのいつもとかなりギャップのある役を見事に演じている。それがこのドラマの大きな見どころでもあります。



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2018年05月04日

山本耕史主演NHKBS時代劇「鳴門秘帖」第2回「甲賀屋敷炎上」












 4月27日の午後8時から、BS放送のNHKBSプレミアムで、吉川英治原作、山本耕史主演NHKBS時代劇「鳴門秘帖」第2話「甲賀屋敷炎上」が放送されました。


 甲賀宗家の屋敷を出てから甲賀忍びたちに襲撃された法月弦之丞(山本耕史さん演じる)は、危うく難を逃れる。
 また、阿波徳島蜂須賀家に仕える者たちも法月弦之丞を狙い、彼に襲い掛かる。
 そうれは何故かというと、京の公家や西国の有力大名による徳川幕府転覆計画の重要な証拠となる書類「鳴門秘帖(なるとひちょう)」を弦之丞が奪取しようとしているのではないか、と蜂須賀家の者が考えたからだった。
 その疑いは、初めに弦之丞を襲った時点では杞憂に過ぎなかったが、実際に弦之丞が幕府の要人・京都所司代から呼び出され、「鳴門秘帖」を探せ、と密命を受けたことで本当のこととなる
 弦之丞を慕い、弦之丞のために命懸けで働こうとする下ッぴきの銀五郎(忍成修吾さん演じる)は、弦之丞の許嫁の千絵(早見あかりさん演じる)にその件と弦之丞の千絵への想いを伝えようとし、甲賀屋敷に忍び込もうとするが、屋敷の庭にあった仕掛け(不法侵入者防止の)にひっかかり、甲賀の忍びに追われた挙句、殺されてしまう。
 銀五郎の死を知った弦之丞は、千絵の父が阿波で行方不明になったこともあり、自分の命をかけて阿波へ行く決意を固める。
 一方、弦之丞と辻斬り「お十夜孫兵衛」との邂逅の現場に居合わせた「見返りお綱」は、自分の過去を思い出す。
 小娘だった頃、すでに他人の懐の中のものを盗む癖があった。ある日、掏った自分の腕をつかんだ氏素性のよさそうな少年に、見逃してもらったことがあった。自分を掏摸と知りながら役人に突き出すこともせず見逃した少年。その成長した姿があの法月弦之丞なのではないか?
 その想いがやがて、弦之丞への恋慕となり、お綱は弦之丞のために一肌脱ごうとする。
 弦之丞に再び出会い、自分はあの甲賀屋敷の旅川周馬(武田真治さん演じる)を知っていると言い、彼にかなりの額の金を貸していると打ち明けた。そのことで旅川周馬を呼び出すから、その隙に弦之丞に甲賀屋敷内入ってくれというのだ。
 しかし、うまく手筈通りに甲賀屋敷内に入れたものの、弦之丞と千絵は再会したのも一瞬で、千絵を我が妻にせんとする旅川周馬が邪魔をして、甲賀屋敷には火が放たれる。そして、千絵が唯一こころを許している家来が弦之丞の前に立ちふさがり、弦之丞は千絵の目の前でその若い家来を斬ってしまう。



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2018年05月03日

中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女」












 4月28日午後8時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女」が放送されました。
 江戸の町に「軽業小僧」と異名をとる盗人が出没していた。
 火付盗賊改めの筆頭同心の酒井祐助(勝野洋さん演じる)は、「軽業」という言葉に注目する。
 じつは数年前から、関東一円を「駒止の弥太郎(石倉三郎さん演じる)」という盗賊が荒らしまわっていたがその手下に軽業上がりの男がいるという情報を得ていたのだ。
 長谷川平蔵(中村吉右衛門さん演じる)は「駒止一味」が江戸の豪商に狙いをつけたのだろうと警戒を強める。
 その頃、長谷川平蔵配下の密偵、大滝の五郎蔵(綿引勝彦さん演じる)は、深川付近で、かつて「駒止の弥太郎」の引き込みをしていた女(余貴美子さん演じる)を目撃。調べると、その女は「菱屋」という袋物問屋で働いていた。女がいまだに「駒止一味」の引き込みとして働いているならば、「駒止一味」は菱屋に狙いをつけたということだ。
 平蔵は菱屋を見張らせるが、なんら不審な動きはなく、本当に盗賊に狙われているのか分からなくなってきた。
 そこで平蔵は、一計を案じた。
 江戸で名医として知られる、井上立泉という医者がいた。その一子、玄庵(市川染五郎=現松本幸四郎さん演じる)は武術、特に弓術のたしなみがあり、盗賊改めの仕事に興味がある様子。それで玄庵に協力を依頼するのだった。

 現松本幸四郎さんの、「市川染五郎」と言っていた時に制作されたドラマです。
 ご存知のように、現松本幸四郎さんの父、松本白鴎さんは中村吉右衛門さんの実兄です。中村吉右衛門さんと松本幸四郎さん(ドラマ制作当時は市川染五郎さん)とは叔父甥の関係にあります。その叔父甥がテレビドラマで珍しく共演。
 その幸四郎さん演じる玄庵が平蔵に協力して面白がって、もっとやりたい、というようなことを言って「生兵法は怪我の元だぞ」とたしなめられるシーンがありますが、叔父甥の関係として視てしまうと、なかなか面白いです。
 中村吉右衛門さんの実父の先代白鴎さんが「鬼平犯科帳」の主演として平蔵を演じていた時、若き日の吉右衛門さんは平蔵の息子・辰蔵を演じたのを思い出しました。こういう親子や親戚同士の共演もまた面白いものです。

 さて、平蔵の策で密偵のおまさ(梶芽衣子さん演じる)は「菱屋」に女中として入り込み、「駒止一味」の引き込みと思われる「おもと」という女の様子に注目する。そして、おもとが菱屋の主人(主人ではあるが入り婿で義母や妻には頭が上がらない)と密会していることを知る。
 奉公人あがりで、家付き娘だった妻に威張られ、義母に対しても「おかみ」として見てしまい、その二人の前では小さくなってしまう菱屋主人。そんな男の心のよりどころはおもとだった。
 一方のおもとは、主人の気持ちにこたえ、主人を想って身をささげようとしているようにも見える。「引き込み女」が主人をたぶらかしているようには見えない。
 おまさはすっかり、おもとに同情する。おまさもまた、盗賊改めの密偵になる前は盗賊の引き込みをつとめていたのだ。
 おまさは玄庵に治療してもらっている身として、しばしば店を出る。それでおもとと主人の密会も目撃したのだが、店の者には怪しまれなかった。
 おもととも仲良くなった。
 ある日、おまさはついに、おもとに打ち明けた。というより、まず、「押し込みの日はいつだい?」「あんた、引き込みだろう?」という風に、二人っきりの時に切り出したのだ。そして、自分も引き込みだと打ち明けたのだ。
 それに対するおもとの返答がおまさをちょっと驚かせた。
 やはりそうかい、といって「あんた、同じにおいがしたよ」と笑ったのだ。
 もうその頃には、おもとは盗賊の女の顔と口ぶりに変わっていた。
 盗賊同士が同じ店に狙いをつけてかちあえば、後から来た方は先に狙いをつけて唾つけた方に譲るのがスジというもんだ、とハラの据わった様子で言うおもとに、おまさは、自分の御頭に会ってくれという。そうしたうえで話をつけて「駒止」が押し込めばいい、と言う。
 あんたのお頭は誰だい?
 そういうおもとに、おまさは答える。「大滝の五郎蔵親分さ」
 「大滝の親分は足を洗ったって聞いたけど?」
 結局、おもとはおまさの案内で大滝の五郎蔵に会う。その場には、五郎蔵よりもっと上だという、正体不明の大物がいた。それこそ、長谷川平蔵である。
 おもとは五郎蔵が「お頭」と崇める男がかの「鬼の平蔵」だとは夢にも思わない。
 このあたりの話の流れが実に面白い。
 謎の大物(平蔵)は、これがおまさにとって最後の仕事だとおもとにいう。おまさに好きな男が出来て、そのためにおまさは盗賊から足を洗うことになっている、というのだ。
 足を洗うことなど許されないおもとにとって、それは想像の外の話だった。
 「うらやましい」とおもとは言う。
 その後の展開でわかる、盗賊の掟に縛られて自由など少しも許されない「引き込み女」の悲しい運命が視聴者の心をうつ。
 このドラマは、おまさが号泣するシーンで終わります。

 盗賊に使われ、一日一日を「引き込み」として辛い思いで過ごした経験のあるおまさだからこそ分かる、おもとの気持ち。盗賊の世界に染まりながらも純な気持ちも持つ女。その両面を梶芽衣子さん、余貴美子さんの二人が見事に演じています。












2018年05月02日

吉川英治原作、山本耕史主演NHKBS時代劇「鳴門秘帖」1回「運命のうず潮」

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 4月20日の午後8時から、衛星放送BSプレミアムにてNHKのBS時代劇「鳴門秘帖」(吉川英治原作)が放送されました。
 主演はNHK大河ドラマ「新選組!」の土方歳三役や、大河ドラマ「平清盛」の藤原頼長役、「陽炎の辻 居眠り磐音江戸草紙」の坂崎磐音役、NHK朝の連続ドラマ「あさが来た」の土方歳三役、BS時代劇「薄桜記」の丹下典膳役などで知られる山本耕史さんです。
 主人公は法月弦之丞(山本耕史さん演じる)という武士。彼の父親は徳川幕府の大番頭・法月一学(塩野谷正幸さん演じる)である。
 法月家の嫡男として生まれた弦之丞は、将来大番頭となることが約束されたようなものだったが、敷かれたレールの上を往くのを嫌うように、家を出て、剣の修行の旅に出た。
 彼には許嫁がいた。幼馴染である、「幕府の隠密・甲賀宗家」の頭領・世阿弥(中村嘉葎雄さん演じる)の娘・千絵(早見あかりさん演じる)である。
 許嫁の千絵への想いを捨て、剣の修行に出た弦之丞。彼の帰りをひたすら待ち続ける千絵。
 そのころ、西国の有力大名と京の公家が幕府転覆の陰謀を企てていた。その中でも重要なかかわりを持っていたのが阿波の蜂須賀家だった。
 阿波を探りに行った世阿弥は行方不明となる。
 そうとは知らぬ弦之丞は剣の師。戸ヶ崎夕雲(品川徹さん演じる)のもとで修業をかさね、ついに相伝をゆるされることになる。
 しかし夕雲流の奥義を授けられる為には師の夕雲と真剣勝負をしなくてはならなかった。
 弦之丞は師に勝った。それは師との死別を意味していた。
 死に際して、夕雲は弦之丞に、しょせん剣は人を殺すためのもの、剣をもって生きることは「ひとでなしの道」を生きること、という意味のことを語る。
 おのれが選んだ道が「ひとでなしの道」だったことを知った弦之丞は虚無僧姿となり、江戸の町に姿をあらわす。
 夜の闇に包まれた江戸の町を虚無僧姿のまま行く弦之丞。その行く手に、お十夜頭巾の怪しい男が立ちふさがった。その男は近頃江戸を騒がしている辻斬り・「お十夜孫兵衛」こと関屋孫兵衛(袴田吉彦さん演じる)だった。
 孫兵衛に斬りかかられた弦之丞はすんでのところでかわす。虚無僧のかぶる深編笠が切られ、弦之丞の顔がのぞく。
 対峙する二人をみていた女、「見返りお綱」(野々すみ花さん演じる)はわざと堀に石を落とし、音を立てる。その音で孫兵衛は斬るのをやめ、身を引く。
 「見返りお綱」はスリだった。弦之丞に近づき、弦之丞の持ち物をスリ取ろうとするが見破られ、手を抑えられる。
 しかし、奉行所や番屋に届け出るわけではなく見逃す。
 さて、後日、弦之丞は許嫁の千絵に会うために甲賀宗家屋敷を訪れるが、筆頭弟子を名乗る旅川周馬(武田真治さん演じる)という男が門前で立ちふさがる。
 千絵が気鬱の病で誰にも会えぬ、と周馬は言い、弦之丞に会わせようとしない。実は、気鬱の病というのは嘘で、周馬には何事かたくらみがあった。
 一方、周馬は、千絵には、弦之丞が来たが「もう会えぬ」と言った、と嘘を言い、弦之丞を慕う千絵の心を乱すのだった。
 そして知恵と会うのを諦め、甲賀宗家の屋敷をあとにした弦之丞に、甲賀の忍びたちが襲い掛かる。

  波乱万丈の物語のスタートです。ただし、法月弦之丞と「お十夜孫兵衛」、それに「見返りお綱」との出会いが重要なだけに、この出会いのシーンを最初に描いたわけですが、そのあとで時間をさかのぼって弦之丞の少年時代や剣の修行に旅立つシーン、剣の師・夕雲との真剣勝負のシーンなどが出てきたので、なんか駆け足で状況を説明しているかのような感じで、いろいろ詰め込んだ形にみえましたのがちょっと残念。












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2018年04月30日

羽生PA「鬼平江戸処」の「五鉄」の「軍鶏鍋定食」

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 東北道羽生PA(上り方面)に立ち寄った時の話の続きです。
 「鬼平江戸処」の一番奥に或る食堂「五鉄」は「鬼平犯科帳」に登場する食べ物屋「五鉄」にちなんだ名前の店で、物語の中の「五鉄」の名物料理が「軍鶏鍋」であるだけに、現代の「五鉄」の名物料理も「軍鶏鍋定食です。
 そこで食事することにした私は、「軍鶏鍋定食」に心惹かれましたが、値段が1500円でしたので、ちょっと考えました。
 ドラマを見ていて、「鬼平」ファンとしては「軍鶏鍋」がどんなものか食べて確かめてみたいところですが1500円の出費はちょっとキツイ。
 とはいえ、他の店にはなかなか無いものですから、ここで食べるのはいい記念、いい思い出になりますし、ここで食べるからこそ価値があるかも、と考え、注文しました。
 出来上がったものを写真におさめました。





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2018年04月29日

鈴木亮平主演NHK大河ドラマ「西郷どん」第16回「斉彬の遺言」

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 4月29日の午後8時から、NHK総合(地上波)にて、鈴木亮平主演NHK大河ドラマ「西郷どん」の第16回「斉彬の遺言」が放送されました。
 幕末といいますか、黒船来航からさほど経っていない当時の日本にあって、もっとも近代的な軍隊であったと言っていい薩摩の精鋭を率いて京へ向かおうとしていた島津斉彬(渡辺謙さん演じる)。
 しかし、いざ出発するよりも前に、急死してしまいます。
 京で、月照(尾上菊之助さん演じる)からその報せを聞いた西郷吉之助(鈴木亮平さん演じる)は絶句します。
 自分を認めてくれた殿さまが死ぬとは。生涯の忠誠を誓った殿さまが世を去り、未来への希望を失った西郷は絶望するのです。
 自分が建言した策が挫折。薩摩藩から日本の未来を大きく変えるという道は大きな障害が立ちふさがり、結局、最後の手段として、帝の勅許を得るために水戸の隠居こと徳川斉昭(伊武雅刀さん演じる)を動かそうとしますが……。
 強硬に動けば相手も強硬に出る。作用反作用の法則のようにというべきでしょうか。井伊直弼(佐野史郎さん演じる)は敵視する相手を粛正する動きに出る。
 井伊直弼に対し強きに出ていた一橋慶喜(松田翔太さん演じる)も、もはや井伊に対し何も言えなくなりました。
 あの「安政の大獄」が始まるのです。
 近衛忠煕(国広富之さん演じる)を動かした黒幕的な僧として幕府から睨まれた月照は、近衛家を守るために敢えて幕府に出頭しようとしますが、吉之助が止めます。
 そして吉之助は一緒に薩摩へ逃れようと提案します。
 しかし、手配書が街道筋の宿場町に出回り、吉之助と月照は追い詰められます。
 絶望的な思いになった吉之助は、斉彬の幻影をみます。
 一方、吉之助に協力していた橋本左内(風間俊介さん演じる)にも追手が迫り……。

 島津斉彬が死んでもその意思は西郷吉之助が受け継ぐべきだと言われ吉之助がそのような自覚を持つ回でした。
 また、幕末史について思うたびに月照や橋本左内が生きていたら(吉田松陰についてもそうですが)その後の歴史はどうなっていたか? と思うのですが、それは変えられない事実で「if」を考えてもどうにもなりません。 ただ、反対派を憎むだけではかえって反発が強くなり体制が弱体化するという皮肉さは「歴史の鑑」となるところです。 














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