似た男
梨央が結婚を口にしたのはある男の写真を見たときだった。その写真を見たとき、なんとなく知り合いのような懐かしい気持ちがした。家族みんながなんとなく、この男を知っているような錯覚をした。それぐらい、その男は、ある男と似ていた。
そうだ、あの金の仏様の横でほほ笑んでいるあの男、田原真一に似ていた。瓜二つというわけではなかったが家族全員が似ていると感じた。ハンサムというよりは男前だった。
僕はこの祖父の生きざまには憧れに近い感情を持っていた。絵梨も妻を追って逝ったこの祖父には好感を抱いていた。祖父は祖母をことのほか大切にしていた。家庭第一の人生だった。この男ならいいかもしれないと思った。
梨央もあの人なんだか知り合いのような気がすると笑った。毎日見ている顔だ。親しみを感じるのも無理はなかった。
梨央には内緒でその浜野真(はまの まこと)という男を調べた。不動産会社を経営する家の長男だった。同業者だということも縁談を進めてみようかというきっかけになった。本人にも特に大きな問題はなさそうだった。
父の会社で営業部長として働いている。いずれは役員として経営に携わるのだろう。同業者間でも評判は悪くなかった。
ただし、家庭は複雑だった。本人だけが先妻の子供で妹二人が後妻の子供だ。しかし、この点はあまり気にしなかった。というよりむしろ縁があるかもしれないと感じる理由になった。
田原家は一度、絶えた家だった。しかし島本真一と田原梨花が結婚してこの地に再び僕らの家族の木を張り巡らせた。島本真一は田原真輔の愛人の子だった。田原梨花と結婚して田原真一になった。Tコーポレーションの創業者だ。
それからも代々女系家族だ。僕達の父は大阪の田原亮子の連れ子だ。それが田原真梨、僕たちの母と結婚してこの家の家業であるTコーポレーションの社長になった。
そして僕は大阪の田原聡一の愛人の子供だ。それがこの家の養子になり一人娘の絵梨と結婚した。寄る辺ない育ちの男がこの家の娘と結婚して家族の木を繁らせてきた。
浜野真は寄る辺ない身の上ではない。しかし、寂しい立場には違いないだろうと勝手に憶測した。梨央の素直で優しい性格がこの男の寂しさを埋めるのではないかと思えた。不思議だが結婚など毛頭考えていなかった妹の梨央の縁談が先に進んだ。
続く
いつまでもキレイでいたい!すべての女性へプラセンタが美貌をサポート!ピュアプラセンタ
恋するように、自然に出会う恋活・婚活イベント『ゼクシィ縁結びイベント』
婚活パーティー・恋活イベントなら、ゼクシィ縁結びイベント
広告
posted by fanblog
2019年08月13日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9064358
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック