里帰り出産
梨央は東京で産もうか大阪で産もうか悩んでいた。俺も悩んでいた。梨央と離れて暮らすのが嫌だった。梨央は最初のうちはつわりが激しくて苦しんだがそのあとは比較的元気だった。家事もゆっくりだがやってくれる。食事もいつも通り作ってくれた。こちらから出かけよう、何か買って帰るといった日は作らずに待っていた。
それでも、俺の留守中に何かあったらどうするのかそれが心配だった。東京へ帰れば常に義母が居てくれるから安心だ。東京からもいつ帰ってくるんだと度々聞かれる。俺としては気が進まなかったが梨央には帰るように言った。
梨央は、「あなた私のお腹が大きくなるの嫌なの?」と言ってなかなか東京へ行こうとしない。毎晩梨央のおなかに向かって話しかけるのが楽しみだった。ベッドで大きなおなかをした梨央と寝るのが楽しみだった。胸やおなかを触りながら抱いて寝ると幸福だった。梨央のお腹を触ると中から小さな足でけられることもあった。はっきり小さな足がおなかの中からけってくる。想像を絶していた。
それに梨央は時々は気を利かせて、優しく俺の夜のケアもしてくれた。いかにも妻に尽くされている夫という感じがしてうれしかった。結局里帰り出産はしないことになった。
義母は度々大阪へやってきては俺に嫌味をいった。曰く、あなたが帰らせたくないオーラを出すから梨央は帰りたくても帰れないのだと。そして臨月も近づいたある日、梨央が昼寝をしていて、義母と二人でコーヒーを飲んでいた。
「真さん、以前もお話しした通り私、最初の結婚で流産しているの。夫のDVと姑の嫁いびりが原因だった。3階建ての邸宅に住んでたの。3階に私たちの居室があって、1階にキッチンがあったの。いつも、一番早く起きてお手伝いさんと朝食の支度をするの。キッチンに入りさえすればお手伝いさんが休憩させてくれたわ。だからとにかくキッチンにたどり着きたかったの。その日はめまいが激しかった。気が付いたときには、階段を踏み外して腰を激しく打ち付けていたわ。その子は、まだ形にもなれないままに死んでしまったの。」義母の目が少し赤くなっていた。
「だから心配で、梨央は里帰り出産と決めていたの。でも、あなたたちを見ているうちに考えが変わった。ホントに梨央を愛してくれてありがとう。梨央が里帰りしたくないのは、あなたが自分を守ってくれていることが分かっていたからだわ。今の夫は梨沙が生まれるときも、梨央が生まれるときも毎朝実家の母に「お願いします」って挨拶して出勤したての。守られるってこういうことよね。
あなた、毎朝隣のお手伝いさんに挨拶してくれてるのよね。時々ケーキとかハンカチとか軽いプレゼントも持って行ってくれてたのよね。お手伝いさんが東京の田原に連絡をくれたの。田原の弟から夫に連絡があって。夫がとても感謝していたわ。梨央には言ってないの。だって、あの子またあなたにのぼせるじゃない。少しは親にも花を持たせてほしいもんだわ。」といった。お義母さんは俺にずけずけ物を言った。俺の実家の母よりもこの人と親しくなっていた。それから12日後に梨央が出産した。
続く
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2019年09月19日
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