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2019年09月06日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <17 特典>
特典
引っ越したいという話を梨央の実家に報告した。結婚記念日も近づいていたので挨拶がてら東京まで出向いた。梨央が近所の不良に目をつけられているという話を聞いた義父は緊張した面持ちで何か考えていた。
「どうだろう、大阪から通勤するのは難しいかね。大阪の北畠にいい土地があるんだが。父が亡くなった時に相続した土地があるんだが家をそのままにしている。僕たちにとっては思い出深い家だ。古い家で何度かリフォームしている。ご存知の通り田原隆は僕の実弟だ。敷地が広いんで弟と私で分筆しているが十分な広さがある。表通りが隆の自宅兼事務所になって裏通りの閑静な方がこちらの土地だ。隆の家には隆の母親とお手伝いさんが住んでいる。隆の母親は僕の叔母のような人だ。高齢でほとんど外出もしない。弟一家は普段は東京住まいだ。出来ることなら親族に隣に住んでほしいという希望なんだ。君たち夫婦には格好の家じゃないかと思うんだが。」
親が聞けば「待ってました!」声がかかるような話だった。梨央がメンタルの問題を抱えていることを知ったうえで強引に縁談を進めたのは、いずれはこういう話が出るのを見越してのことだ。だが、今の俺はこの話に無条件に飛びつくことができなかった。あさましい気がした。
「いや。妻の家に住むのは気が重いこともあるかもしれないが、うちは代々婿養子だ。皆慣れている。
いや、君に養子に入れという話じゃないんだ。気を悪くしないでくれ。大阪の家はうちにとっては大切な家だ。あの敷地全部が田原のものだ。今後もそうしておくためには君らに住んでもらうのが一番なんだよ。こちらの都合で悪いが考えてくれんかね。」義父はあくまで俺の顔を立ててくれる。
「実はこの話は家内が以前から希望していた話なんだ。君が浜野の事業に熱心なんで言い出しかねていたんだ。家内は君が好きなんだ、以前家内と梨央が電話中に君が呼ぶ声が聞こえたそうだ。大きな声でリオーってね。」
そんなことがあったっけ。リビングに行ってみると梨央が誰かと電話中だった。あの時の相手がおふくろさんだとは聞いていたけど、まさか俺の声がおふくろさんに聞こえていたとは思わなかった。まずいことをしたと思った。
「その時、梨央がちょっと待って、って小さな声で言って、そのあと二人がクスクス笑う声が聞こえたそうだ。」
そうだ、あの時、待ちきれなくて、ちょっと良くないことを梨央に仕掛けたのだった。しまったと後悔した。
「家内は、そのクスクス笑いで君たちが仲良くやっているのが分かったそうだ。梨央がとても明るくなった。君のおかげだ。思い切って嫁に出してよかったよ。神戸に連れて行くといってくれてうれしかった。」
「いえ、私が梨央さんと一緒に暮らしたかったので。」
「君には本当に感謝している。それにこれは急ぐ話だ。つまらんトラブルに巻き込まれる前に安全な場所へ避難してほしいんだ。あの家なら今すぐでも住める。隣は親戚だし土地柄も安全だ。」とそこそこ強引な話だった。
結局この話を有難く受けることにした。その翌日から恐ろしく忙しいスケジュールになった。義母が来て引っ越しの準備を手伝ってくれた。
この機会に浜野の家にある梨央の荷物も引き上げようとしていた。浜野の母は不満そうだった。「あなた、あの家の養子になるの?」「そういう訳じゃなくて、空き家にしておけないから住むだけですよ。」「何も荷物まで出さなくても。」「だって荷物をいつまでもほったらかしにもできないですよ。
和服類も必要だし。」「こっちの冠婚葬祭はどうなるの!」「言ってくれればきちんとしますよ!」と口喧嘩が続いた。
父は何も言わなかった。「あんたが何にも言えないからこの家はダメなんだ。」と心の中でわめいていた。
続く
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引っ越したいという話を梨央の実家に報告した。結婚記念日も近づいていたので挨拶がてら東京まで出向いた。梨央が近所の不良に目をつけられているという話を聞いた義父は緊張した面持ちで何か考えていた。
「どうだろう、大阪から通勤するのは難しいかね。大阪の北畠にいい土地があるんだが。父が亡くなった時に相続した土地があるんだが家をそのままにしている。僕たちにとっては思い出深い家だ。古い家で何度かリフォームしている。ご存知の通り田原隆は僕の実弟だ。敷地が広いんで弟と私で分筆しているが十分な広さがある。表通りが隆の自宅兼事務所になって裏通りの閑静な方がこちらの土地だ。隆の家には隆の母親とお手伝いさんが住んでいる。隆の母親は僕の叔母のような人だ。高齢でほとんど外出もしない。弟一家は普段は東京住まいだ。出来ることなら親族に隣に住んでほしいという希望なんだ。君たち夫婦には格好の家じゃないかと思うんだが。」
親が聞けば「待ってました!」声がかかるような話だった。梨央がメンタルの問題を抱えていることを知ったうえで強引に縁談を進めたのは、いずれはこういう話が出るのを見越してのことだ。だが、今の俺はこの話に無条件に飛びつくことができなかった。あさましい気がした。
「いや。妻の家に住むのは気が重いこともあるかもしれないが、うちは代々婿養子だ。皆慣れている。
いや、君に養子に入れという話じゃないんだ。気を悪くしないでくれ。大阪の家はうちにとっては大切な家だ。あの敷地全部が田原のものだ。今後もそうしておくためには君らに住んでもらうのが一番なんだよ。こちらの都合で悪いが考えてくれんかね。」義父はあくまで俺の顔を立ててくれる。
「実はこの話は家内が以前から希望していた話なんだ。君が浜野の事業に熱心なんで言い出しかねていたんだ。家内は君が好きなんだ、以前家内と梨央が電話中に君が呼ぶ声が聞こえたそうだ。大きな声でリオーってね。」
そんなことがあったっけ。リビングに行ってみると梨央が誰かと電話中だった。あの時の相手がおふくろさんだとは聞いていたけど、まさか俺の声がおふくろさんに聞こえていたとは思わなかった。まずいことをしたと思った。
「その時、梨央がちょっと待って、って小さな声で言って、そのあと二人がクスクス笑う声が聞こえたそうだ。」
そうだ、あの時、待ちきれなくて、ちょっと良くないことを梨央に仕掛けたのだった。しまったと後悔した。
「家内は、そのクスクス笑いで君たちが仲良くやっているのが分かったそうだ。梨央がとても明るくなった。君のおかげだ。思い切って嫁に出してよかったよ。神戸に連れて行くといってくれてうれしかった。」
「いえ、私が梨央さんと一緒に暮らしたかったので。」
「君には本当に感謝している。それにこれは急ぐ話だ。つまらんトラブルに巻き込まれる前に安全な場所へ避難してほしいんだ。あの家なら今すぐでも住める。隣は親戚だし土地柄も安全だ。」とそこそこ強引な話だった。
結局この話を有難く受けることにした。その翌日から恐ろしく忙しいスケジュールになった。義母が来て引っ越しの準備を手伝ってくれた。
この機会に浜野の家にある梨央の荷物も引き上げようとしていた。浜野の母は不満そうだった。「あなた、あの家の養子になるの?」「そういう訳じゃなくて、空き家にしておけないから住むだけですよ。」「何も荷物まで出さなくても。」「だって荷物をいつまでもほったらかしにもできないですよ。
和服類も必要だし。」「こっちの冠婚葬祭はどうなるの!」「言ってくれればきちんとしますよ!」と口喧嘩が続いた。
父は何も言わなかった。「あんたが何にも言えないからこの家はダメなんだ。」と心の中でわめいていた。
続く
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