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2019年10月25日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <65 寄付>
寄付
真也は最近は俺と遊園地に行きたがらなくなった。急流下りが大好きな父親に付き合ってはいられないようだ。最近は大型のジェットコースターに乗りたがった。そういえば、俺も昔はああいうのに乗っては女の子をキャーキャー言わせて喜んでいた。ところが、今はあんな恐ろしいものに乗る人間の気が知れなくなっていた。年を取ったということなのだろう。
妹の由梨は6歳からバレエを習いだした。発表会は家族で見に行った。ところが、小学校を卒業するころには別のお稽古ごとに夢中になった。今はダンスに夢中だ。
俺は、去年T・コーポレーションの社長になった。義父はもう経営にかかわるつもりはなさそうだった。義母と二人旅行に出るのが何よりも楽しみの様だ。浜野興産は郁美の夫が継いでいた。風羽田はペアブロッサムの施設長になっていた。
俺の両親も円満な夫婦だった。母は俺にとっては嫌な女だが父にとっては大事な恋女房の様だった。もうどうでもよかった。最近は全く付き合いがなかった。郁美の夫は有能で浜野興産の経営も落ち着いていた。今が一番いい時なのかもしれない。
俺は体型も緩んで年相応に老け込んでいた。梨央はエクササイズジムにもうかれこれ15,6年通っていたが、それでも最近太り出していた。
ある日新聞を読んでいると「犯罪被害者の支援のために私財を寄付!」と見出しが見えた。あまり大きな記事ではなかったが寄付した人の顔写真も載っていた。見たことがあるようなないような、そんな写真だった。
「神戸市で喫茶店を経営する須藤律子さんが亡き夫の遺産を犯罪被害者の会に寄付した。」と書かれていた。須藤律子、聞いたことがあるようなないような、律子という名前には覚えがあった。
「須藤律子さんは15年前、夫を暴漢に殺され、そのショックで当時妊娠3カ月だったが流産した。その後、不動産業を営む須藤さんと再婚、昨年亡くなった須藤さんの遺産を全て犯罪被害者の会に寄付した。」とあった。
その、あとがきとして須藤さんは三宮の老舗喫茶店、「それいゆ」を経営しながら長い間犯罪被害者の支援に取り組んできたと書かれていた。須藤が「それいゆ」の大家だった不動産会社の社長の苗字だと思い出した。
梨央にその記事を見せた。梨央は手で口を覆って涙ぐんだ。「きっとお幸せだったんだと思う。」といった。人生は不思議だった。あの時、苦し紛れに「それいゆ」の大家だった須藤に律子さんのことを頼んだ。本当にちゃんとしてくれるか心配だったが、なんと結婚してしまったのだ。
律子さんの談話も載せられていた。「犯罪被害は理不尽です。突然大切な人を亡くしたり体に大きなダメージを追うことが珍しくありません。時には何もかも無くしてしまうこともあります。私は、犯罪被害にあってから、しばらくの間、幸福な人たちを恨みました。支援してくれた人まで恨んだんです。こんなに惨めな気持ちはありません。犯罪被害者の方に少しでもお役に立ちたいと思いました。」とあった。
梨央は「私達恨まれてた?だから、あなたを誘惑したの?私、思うつぼだったのね。」といった。梨央はとても複雑な顔をした。一生許さないといったのだから今でも腹が立つのだろう。それでも、律子さんが今も「それいゆ」を経営していることがうれしかった。
続く
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コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
真也は最近は俺と遊園地に行きたがらなくなった。急流下りが大好きな父親に付き合ってはいられないようだ。最近は大型のジェットコースターに乗りたがった。そういえば、俺も昔はああいうのに乗っては女の子をキャーキャー言わせて喜んでいた。ところが、今はあんな恐ろしいものに乗る人間の気が知れなくなっていた。年を取ったということなのだろう。
妹の由梨は6歳からバレエを習いだした。発表会は家族で見に行った。ところが、小学校を卒業するころには別のお稽古ごとに夢中になった。今はダンスに夢中だ。
俺は、去年T・コーポレーションの社長になった。義父はもう経営にかかわるつもりはなさそうだった。義母と二人旅行に出るのが何よりも楽しみの様だ。浜野興産は郁美の夫が継いでいた。風羽田はペアブロッサムの施設長になっていた。
俺の両親も円満な夫婦だった。母は俺にとっては嫌な女だが父にとっては大事な恋女房の様だった。もうどうでもよかった。最近は全く付き合いがなかった。郁美の夫は有能で浜野興産の経営も落ち着いていた。今が一番いい時なのかもしれない。
俺は体型も緩んで年相応に老け込んでいた。梨央はエクササイズジムにもうかれこれ15,6年通っていたが、それでも最近太り出していた。
ある日新聞を読んでいると「犯罪被害者の支援のために私財を寄付!」と見出しが見えた。あまり大きな記事ではなかったが寄付した人の顔写真も載っていた。見たことがあるようなないような、そんな写真だった。
「神戸市で喫茶店を経営する須藤律子さんが亡き夫の遺産を犯罪被害者の会に寄付した。」と書かれていた。須藤律子、聞いたことがあるようなないような、律子という名前には覚えがあった。
「須藤律子さんは15年前、夫を暴漢に殺され、そのショックで当時妊娠3カ月だったが流産した。その後、不動産業を営む須藤さんと再婚、昨年亡くなった須藤さんの遺産を全て犯罪被害者の会に寄付した。」とあった。
その、あとがきとして須藤さんは三宮の老舗喫茶店、「それいゆ」を経営しながら長い間犯罪被害者の支援に取り組んできたと書かれていた。須藤が「それいゆ」の大家だった不動産会社の社長の苗字だと思い出した。
梨央にその記事を見せた。梨央は手で口を覆って涙ぐんだ。「きっとお幸せだったんだと思う。」といった。人生は不思議だった。あの時、苦し紛れに「それいゆ」の大家だった須藤に律子さんのことを頼んだ。本当にちゃんとしてくれるか心配だったが、なんと結婚してしまったのだ。
律子さんの談話も載せられていた。「犯罪被害は理不尽です。突然大切な人を亡くしたり体に大きなダメージを追うことが珍しくありません。時には何もかも無くしてしまうこともあります。私は、犯罪被害にあってから、しばらくの間、幸福な人たちを恨みました。支援してくれた人まで恨んだんです。こんなに惨めな気持ちはありません。犯罪被害者の方に少しでもお役に立ちたいと思いました。」とあった。
梨央は「私達恨まれてた?だから、あなたを誘惑したの?私、思うつぼだったのね。」といった。梨央はとても複雑な顔をした。一生許さないといったのだから今でも腹が立つのだろう。それでも、律子さんが今も「それいゆ」を経営していることがうれしかった。
続く
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コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。