我が家の自閉症の子供達。
揃って病弱なだけでなく、言葉の発達も全員遅かった。
第1子が発達検査後に「自閉症」と診断された時、
まずは、日常的に 「言葉」を促す必要性を強く感じ、
「自閉症児の言語指導」に特化した本を探した。
しかしながら、当時は、なかなか見つけることが出来ず、
とりあえず購入したのが この本だった。
イラストが入った薄い本で、非常にわかりやすい。
入門用の書籍として、適切で、良書だと思った。
特に、療育の言語指導前には、さらっと読んでおいたため
日数が限られている療育を有効活用する上で、非常に役立った。
また、私が言語以外の家庭療育を行う上で
今後も念頭におくべきポイントも この本で いくつか取得した。
ex.表4「自閉症の異常な強みと弱み」 Frith(1989)
このようなポイントに関して、子供を十分に観察して把握し、
日々の療育で 如何に知恵を絞って利用していくかにより
療育の効果は かなり変わるのではないだろうか。
当面の間、私がどんな風に教えたら効率的なのか
将来、子供が自分で学ぶ方法として、どんなことを教えておけば良いのか
そんなことを考えさせられた本だった。
なお、この本は 一般的な意味での「発語訓練」や「言語訓練」の本ではない。
「自閉症児はコミュニケーション障害の一つの結果として言葉がでない」ことを重視し、
生活全体を視野に入れたアプローチをして、「コミュニケーションを教える」ことで、
コミュニケーションの道具としての「ことば(音声言語以外も含む)」を促すものだ。
また、この本では、「定型発達の子供では、ことばがどのように獲得され、
自閉症児の場合はどこが違うのか」が、よく説明されている。(5歳児まで)
cf.「?U コミュニケーションの発達と自閉症」
よって、子供が小さい場合は、
先手を打った言語指導としても 役立つだろう。
この本で、「自閉症とことば」について学びながら
サピア=ウォーフの仮説
( 言語的相対論
とも言われる 共に wikipedia へ)を思い出し、
気持ちは とても重くなった。
・・・言語なくして世界を理解することは難しいだろう。
はじめに
I ことばとコミュニケーション
A.自閉症とことば
B.ことばとコミュニケーション
C.コミュニケーションとは
II コミュニケーションの発達と自閉症
A.ことば以前のコミュニケーション
1.アイ・コンタクト(視線の使い方)
2.感情のコミュニケーションの発達
a.顔の認知の発達
b.感情表現,感情理解
3.模 倣
4.発声と喃語
5.ジェスチャーによるコミュニケーション
B ことばによるコミュニケーション
1.ことばの出現
2.1歳児のコミュニケーション
a ことばの理解
b ことばの表出
c その他のコミュニケーション・スキル
3.2歳児のコミュニケーション
a.ことばの理解
b.ことばの表出
c.その他のコミュニケーション・スキル
4.3歳児のコミュニケーション
a.ことばの理解
b.ことばの表出
c.その他のコミュニケーション・スキル
5.4〜5歳児のコミュニケーション
a.ことばの理解
b.ことばの表出
c.その他のコミュニケーション・スキル
III 自閉症の見立て
A.診断としての見立て
1.広汎性発達障害と自閉症
2.自閉症スペクトラム
3.高機能自閉症,高機能広汎性発達障害
4.診断にまつわるトラブル
5.言語障害との違い
6.AD/HDとの違い
7.LDとの違い
8.個性か障害か
B.支援のための見立て
1.チームで行う評価
2.情報を集める
a.既成の検査
b.その他の情報収集
3.クールな目で子どもたちを観察することの大切さ
4.子どもの世界を探る3つのマップ
IV ことばを育てるために
A.子どもたちの世界をわかりやすく整える
1.子どもの世界をわかりやすく整える工夫
a.まずは日々の生活体験から気づく
2.意図的にものの使い方を紹介する
3.こだわりは力なり
B.伝えられる経験と伝える経験:コミュニケーションの紹介
1.もの(実物)を使って「伝えられる」経験をする
2.「伝えること」を経験する
a.要求を伝えることに気づいていない場合
b.すでに行為で要求している場合
c.困った行動(問題行動)はシンボルを紹介するよい機会
C.コミュニケーション・シンボルについて
1.シンボルの種類
2.新しいことは確実なシンボル・レベルで
3.シンボル・レベルは状況に応じて変えるもの
4.シンボルの長さ
D.時間の壁をスケジュールで乗り越える
1.子どもが求めている情報を提供する
2.自分をコントロールする力を増す
3.苦手な変化に対抗する力を増す
4.スケジュールまでの移動の工夫
5.大人が子どもを思うように動かす手段ではない
E.一人ひとりの子どもの世界に合わせて伝える
1.例:「今は水遊びをしない」ことを伝えたい
a.A君(5歳)の「世界マップ」(関係すると思われる項目の抜粋)
b.Bちゃん(5歳)の「世界マップ」(関係すると思われる項目の抜粋)
c.C君(5歳)の「世界マップ」(関係すると思われる項目の抜粋)
2.伝え方の工夫のための3つのステップ
F.見直そう,ことばのかけ方
1.曖昧な表現をしていませんか?
2.余分なことばかけは混乱のもと
3.「だめ」はショックを与えるだけ
G.最大の難関,苦手な表出を支援する工夫
1.表出の3つのステップ
a.こんな便利なものがあることを紹介する
b.嫌なことを避けられる経験も大切
2.自分で考えていいことを伝える
3.伝える方法を紹介する
a.伝える方法の紹介のしかた
b.紹介する場面はわかりやすく
c.焦らず確実さを優先させて
d.思い込みで紹介の機会を逃さないように
e.いわゆることばの訓練
f.語彙を増やす
g.文を組み立てる
h.お話を組み立てる
i.より高度な表現方法を紹介する
4.「伝えること」を実行する
H.チームで育てる子どものことば
おわりに
あとがき
チェックリスト
アイ・コンタクト、顔の認知、感情表現、感情理解、模倣、発声、ジェスチャー、
遊び方、感覚、記憶、認知、注意、衝動性、自発性、計画、モニター力、
運動機能、不安のコントロール、好きなこと,嫌いなこと、伝え手として、
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