ポックリ病から生き返った人間がいる
m3から転記 2018年06月14日
ブルガダ心電図 心室細動が原因だった
ポックリ病は、第二次世界大戦からの復興期、日本人がむしゃらに働いた時代に若い壮健な青年が夜間睡眠中、突然うめき声をあげて死ぬ必死の突然死の一群で、東京都監察医務院が気づいて名付けた。
東京都では年間約100例あり、原因はまったく不明であった。
しかし同様の青壮年急死は、フィリピンではbangungut(目覚めて唸る)、ラオスではnonlaitai(眠って死ぬ)と、それぞれの地では助かることのない恐ろしいこととして知られていた。
このポックリ病に罹りながら、医師が処置をして運良く生き返った1例が日本にある。
1988年8月6日午前3時頃、壮年男性(42才)が大きな鼾をかき、尿失禁を起こしているのに妻が気づき、近医に往診を依頼した。
男性の妻は医師の到着まで男性に大声で呼びかけながら必死に体を揺すり、3時25分に到着した医師はヒドロコルチゾン200mg、塩酸エチレフリン5mgを投与するなどの処置をしてから3時50分に病院に収容した。
6時には患者の意識が完全に戻り、トイレまで歩行した。
安静時心電図は奇妙な不完全右脚ブロックST上昇(V1,2)波形(後のBrugada波形)であった。
8カ月後、ST (V1,2)は上昇したままであったが、右室腔の軽度拡張と右室壁の動きの低下は著しく改善していた。
同様の急変症状を東南アジア系米国移民の青年が起こし、米国救急隊が到着すると心室細動であった経験が3例あり、電気的除細動で救命している(1987年)。
1992年にBrugada等、1993年には宮沼等が、相前後して特発性心室細動がこの奇妙な波形と関連深いことに気づいた。
その後、この奇妙なBrugada波形を仲立ちにして、ポックリ病が特発性心室細動と気づかれた。
元木賢三、辻村武文 "いわゆる"ポックリ病からの生還例と思われる1例
心臓 1990:22:1216-1220
※この患者さんは「その後は再び人一倍元気に、普通生活を送っている」とのことでしたけど、2004年2月に再び発作を起こし、国立循環器病センターで除細動器の埋め込み術を受けており、2004年4月18日現在もお元気だとか。器械は1回作動していることが記録されているそうです。
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2018年08月16日
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