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2016年06月02日

566話 中学総合体育大会地区予選最終日

シードで初戦を勝った自チームは

後、1勝で県大会に進出できる準決勝からの試合。


しかし、力あるチームや相性の悪いチームが2チーム

存在する。H中学と、T中学だ。


「H も T も負けたよ。N と Jに夫々負けたみたい。」


「Nはいい仕事するねぇ〜。Jが準決勝の相手になるけど、

 練習試合でも苦戦してるし、これも接戦になるかな。」


自チームはなんとも、ついている。

苦手なチームと対戦するよりも、一見格下のJ,Nなどのほうが

心理的に有利に立てるからだ。


準決勝

1対0で勝利。

点を取られなければ負けない。

しかし、点を取れなければ勝てない。

貴重な1点をもぎとったのは、キャプテン神。

レフトにタイムリーヒットを放ったとのこと。


対戦相手、J中学校とは練習試合でも苦しめられていた。

しかし、ランナーを二人置いて、強打者神と勝負してJは

敗れている。それと同じ負け方。学習能力ないのか、逃げを

嫌う男気なのか。それが自チームを助けたといえる。



決勝戦

嫁ちゃんからのメールが次々と送られる。

「6回表M中3点先制入れた。ピッチャーM打たれる


M中学校は練習試合でもよくバットが振れていた。

ストレートにタイミングが合えば、持っていかれる。



「まあ、Mくんスットレート主体だから、仕方ないね。

でも、6回裏。そろそろ相手も落ちてくるよ。

それじゃあそろそろ逆転しますか



案の定、逆転勝ちした自チーム。

4点目は龍太郎のヒットで出塁、巨体ともちんレフトオーバーの 

タイムリーで勝負あり。


危なげだが、負ける気がしない実に強い勝ち方である。



優勝おめでとう(^○^)


2016年06月01日

565話 中学総合体育大会地区予選初日

「勝ったよ!」


嫁ちゃんからのメールはいつも淡白だ

嫁ちゃんは平日2日連続で休みを取り、観戦モードに入っている。

一方夜勤の龍之介は、「果報は寝て待て」を決めた。


詳細を尋ねると、1点差のゲーム。

新人戦で大勝した自チームとしては、苦戦したといえよう。


「それで我が子の活躍は?

 どこ守ったの?」


「最初は、あっち、あっち、

 ほれ、え〜っと、サードの後ろ、

ライト ?!

 そんで、途中からいつものショートへ。

 来た球は全部ミズなく処理できてたよ。」


「あっ、まあ レフトは楽やし、ショートは

 慣れてるし、流石に守備で心配はいらんね。」


「あっ、レフトかっ



「それで、バットはどうなん?」


「いや、打ってたよ!」


「えっ、ヒット?どこに打ったん?」


「えっ〜と、どこ?どこと言われても、

 ごめん、あずきの学校の支度あるから

 想像してみて じゃぁ



まったく状況は分からないが、まずは一勝。


「よかったよかった。」

    >既に独り言


そして一笑

2016年05月31日

564話 本当の気持ち・・・

結局、喧嘩別れとなってしまった印象の龍之介と龍太郎。


龍之介は、いくら龍太郎に嫌われようが、龍太郎が常軌を逸しようが、

最後には信じて止まない。いつまでも、可愛い大好きな実の子供のなのである。



「お父さんのそんなとこが嫌いなんだよ

 俺、ぐれてやろうかな。」



そんな言葉を発した龍太郎は、一瞬、いわゆる『キレた』状態になってしまったのだろう。


すぐにそれを察した龍之介は、龍太郎から距離をおくことになる。



ちょうどそんな中、異動の話は訪れた。



「是非にその話を進めてください。近い将来、野球の上手な長男を

呼び寄せ、甲子園で優勝したことのある名門高校に通わせることが

できる時がくるかもしれないですから。」



龍之介の心の中には、小さいながらに野球を頑張ってきたカッコいい

龍太郎のイメージしか思い出せない。



「準備は出来たよ。後は、お前の 脱反抗期待ちだ。」



そうして間もなく、龍之介は甲子園で優勝したことのある名門校付近に

単身赴任した。お気に入りのノートPCを持って・・・



単身赴任先で、ノートPCを開けると、そこは近代マンション。

Wi-Fiにより、無線でインターネットが楽しめる。



起ち上がったノートPCの画面には、一番可愛かった頃の龍太郎が

微笑みかけてくる。



「お父さん 大好きだよ!」 



・・・と



何があろうと、実の息子。



愛する気持ちに未だ変わりはない。

























2016年05月30日

563話 私をプールに連れてって

「お父さん 明日プールに連れってってよ


あずきは水泳が苦手なのだが、学校での水泳練習が始まったばかりだ。

人並みに泳ぎたいあずきは、休みの日にも練習をしたがっている。


「うん、いいよ。じゃあ、明日早めに行こうね


子どものやる気を活かさないのはもったいない。

もともとスポーツをする能力は高いあずきだが、

スポーツの習い事をさせていなかったことは、

残念である。



翌朝



「じゃあ、そろそろいくか。


そのプール施設は、温泉が隣接している。

温泉は早くからやっているのに、プールは午後1時から



「先に昼ごはんをゆっくり食べようっか。」



近くに、バイキング形式の食事処があり、そこに移動した。



「お父さんこんなご馳走食べたの久しぶり。

 毎日、自分で造ってるとチャーハンか焼きそばが

 ほとんど。栄養が偏っちゃうよね。たまにはこんなに食べて

 もいいよね


龍之介はまあるいお腹をさすった。



「あのおじちゃん、なんか可哀想。

 折角一人で座って食べてたのに、相席にされちゃって。」


あずきは、他人を気遣う心ももっている。

優しい女の子。


ちらっと、見た龍之介は・・・やっぱり。

温泉にいた時から気づいていたのだが、龍之介には

従兄となるお兄ちゃん。


シャイな龍之介は今さら声をかけることが出来なかった。


「じゃあ、そろそろ行こぅか。」



なんともデートをしているかのようなこの感覚。

龍之介は今、幸せを かみしめている



「お父さん、あずきにも ガムちょうだい

   >いやいや、ガムじゃない









562話 単身赴任

2DKのマンション

龍之介にはやや贅沢な広さだが、その8割りは会社持ちなので、

実質1万ほどの家賃はとてもリーズナブルだ。


本社に勤務し始めて、あっという間に2週間がたった。

仕事の量が流石に多く、しかも、時間に厳しく、スピードが要求される。

工場ではないが、それに似た機械との戦いを彷彿させる。


龍之介の悩みは睡眠を取る時間。

夜勤専任となり、寝る時間が未だ身体にしみついていない。


隔週で家族の待つ自宅に帰宅しているが、いつ寝ていいのやら

寝ないといけないのやら悩みどころだ。



「お父さん 土曜日は何時に着く。」

あずきからラインでのメッセージ


「7時くらいだよ。」

龍之介はあずきに会うのを楽しみに高速をとばした。

         >交通ルールは守りましょう



龍之介は丁度7時に自宅のある団地の敷地に到着した。

すると集会所の片隅に小さな女の子がポツンと一人で立っている。


龍之介は一目でその子があずきだと分かった。


「どうしたのあずき。乗んなよ



「いや、お父さんが7時に帰ってくるっていうから・・・



それは、大好きな彼氏を待つデートの時のようにとてもわくわく、

そして、そわそわして予定時間より早く家を出て待っていたのだろう。



家に入るやいなや、あずきは龍之介に抱き着いた。


「お父さん お姫様だっこして



こんなあずきは、もう小学校5年生である。













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