あずきは水泳が苦手なのだが、学校での水泳練習が始まったばかりだ。
人並みに泳ぎたいあずきは、休みの日にも練習をしたがっている。
「うん、いいよ。じゃあ、明日早めに行こうね」
子どものやる気を活かさないのはもったいない。
もともとスポーツをする能力は高いあずきだが、
スポーツの習い事をさせていなかったことは、
残念である。
翌朝
「じゃあ、そろそろいくか。」
そのプール施設は、温泉が隣接している。
温泉は早くからやっているのに、プールは午後1時から
「先に昼ごはんをゆっくり食べようっか。」
近くに、バイキング形式の食事処があり、そこに移動した。
「お父さんこんなご馳走食べたの久しぶり。
毎日、自分で造ってるとチャーハンか焼きそばが
ほとんど。栄養が偏っちゃうよね。たまにはこんなに食べて
もいいよね」
龍之介はまあるいお腹をさすった。
「あのおじちゃん、なんか可哀想。
折角一人で座って食べてたのに、相席にされちゃって。」
あずきは、他人を気遣う心ももっている。
優しい女の子。
ちらっと、見た龍之介は・・・やっぱり。
温泉にいた時から気づいていたのだが、龍之介には
従兄となるお兄ちゃん。
シャイな龍之介は今さら声をかけることが出来なかった。
「じゃあ、そろそろ行こぅか。」
なんともデートをしているかのようなこの感覚。
龍之介は今、幸せを かみしめている。
「お父さん、あずきにも ガムちょうだい」
>いやいや、ガムじゃない
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