龍之介は、いくら龍太郎に嫌われようが、龍太郎が常軌を逸しようが、
最後には信じて止まない。いつまでも、可愛い大好きな実の子供のなのである。
「お父さんのそんなとこが嫌いなんだよ
俺、ぐれてやろうかな。」
そんな言葉を発した龍太郎は、一瞬、いわゆる『キレた』状態になってしまったのだろう。
すぐにそれを察した龍之介は、龍太郎から距離をおくことになる。
ちょうどそんな中、異動の話は訪れた。
「是非にその話を進めてください。近い将来、野球の上手な長男を
呼び寄せ、甲子園で優勝したことのある名門高校に通わせることが
できる時がくるかもしれないですから。」
龍之介の心の中には、小さいながらに野球を頑張ってきたカッコいい
龍太郎のイメージしか思い出せない。
「準備は出来たよ。後は、お前の 脱反抗期待ちだ。」
そうして間もなく、龍之介は甲子園で優勝したことのある名門校付近に
単身赴任した。お気に入りのノートPCを持って・・・
単身赴任先で、ノートPCを開けると、そこは近代マンション。
Wi-Fiにより、無線でインターネットが楽しめる。
起ち上がったノートPCの画面には、一番可愛かった頃の龍太郎が
微笑みかけてくる。
「お父さん 大好きだよ!」
・・・と
何があろうと、実の息子。
愛する気持ちに未だ変わりはない。
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