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2016年08月26日

573話 中学軟式野球の結末 

最後の県大会初戦

龍太郎は4番レフトで出場した。

4番と言っても長距離打者ではなく、本来のスラッガ−として期待される

4番ではない。龍太郎の努力不足は親の目から明らかである。


しかしながら、初戦、一番の強敵を龍太郎がウエストされながらも

絶妙なスクイズで突き放し、展開良く快勝した。


2回戦は初戦よりも実力の劣るチーム。楽勝することが予想された。


しかし、相手投手は軟投派。変化球主体でかえってやっかいである。


初回、初戦同様龍太郎にチャンスがまわってきたが、ここもベンチは

スクイズを支持するだろう。

しかし、龍之介はとても嫌な感がはたらく。昨日、ビデオをとり研究した

相手ベンチが、このスクイズは読むと思われ、四球でも良いと考えない

か。ジュニア時代には名前の通った選手で、一応4番である。


案の定、初戦よりも大きくウエストされた。手を伸ばした頭の上。

しかし、喰らい付く龍太郎はバットの真でとらえる。

しかし、それが裏目にでて3塁手の小フライとなりチャンスが潰れてしまう。


1点差で追い上げる自チーム。

龍太郎2打席目。ランナーを置いて、今度は初球からヒッテイング。

レフトの左にライナーを打ち放ち、3塁打の同点タイムリー。



打席に向かう龍太郎に、バックネット裏で応援している

龍之介が声をかけていた。


「初球からいけ。」


龍太郎は俺の目の前で、とうとうやってくれた。

とうとうやってくれたのだ。


それはまるで、龍之介自身がバッターボックスに立ち、思い描いた

通り初球から振りぬいたかのように、龍太郎と一体となった瞬間で

あった。




つづく・・・




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