照れながら小さくガッツポーズをした。
しかし、後続は凡退。勝ち越すことは最終回まで訪れなかった。
同点で迎えた中盤の攻撃。
1アウト、ランナ−1、2塁でバッターは4番打者 龍太郎。
最高の見せ場が訪れたかのように思えたのもつかの間。
もはや、バッテリーに勝負の気配がない。
ストレートのフォアボールである。
ここで、今、自信を無くしている龍太郎に言いたい。
「この展開で敬遠されるバッターなんてそういない。
そんな選手はみんなプロに行っている。」
そして後続は凡退。
チャンスを活かすことが出きなかった投手の心理は
いかがなものだろうか。なんとも流れの悪い展開だ。
案の定、1点のリードを許した自チームは最終回の攻撃を迎える。
しかしながら、打順は1番、3塁打を放っているキャプテン神からだ。
神は本来4番バッター。しかし、腰に故障をかかえての出場。
野球の世界では、いくら素質や実力があろうとも、故障して
しまえばアウト。野球ができなくなるのだ。
「無事、すなわち名馬なり」
※名馬=名選手
龍太郎にはむしろその言葉は当てはまる。
故障するほど、無理をしたことがないからだ。
「さあ、遅い球を右に持っていけ」
龍之介の応援もいよいよピークを迎えた。
とにかく、一人出れば龍太郎に打順がまわる。
龍之介は好打者達を信じて祈った。
続投している変化球投手の球威はもはやない。
「頼むぞ〜。」
力んだ神は緩い球をひっかけてショートゴロ。らしくない。
続く2番左打者は流してショートゴロ。
そしてたのみの3番バッター努力の優等生出木杉君も、
ひっかけて内野ゴロ。最後のバッターとなる。
4番打者龍太郎にとうとう打席はまわってこなかった。
「ゲームセット」
試合終了後、負けた気にならない負け方に、選手はみな
悔し涙を流した。
しょせん、野球とはこのようなもの。
勝負の世界とはこのようなものなのである。
流れ、展開、運、作戦、実力、etc.
色々な要素が勝ち負けを左右する。
しかしながら、負けてこそ学ぶものがあり、今、君の悩み、迷いが
それである。
ここで 「何苦礎」と思い努力をするのか、 「挫折」して野球をやめるのか。
「何苦礎」と思い努力をして成功したのがメジャーリーガーまで上り詰めた
岩村選手であり、君が一度は目指したプロ野球選手なのである。
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