ニュートン 別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
発達の心理学
序:人は生まれてから子供時代を経て大人になり、やがて老いていきます。
この間、反抗期を迎える青春期、
人生の目的や自分探しに直面する青年期、
責任も充実も感じる中年期、
仕事をリタイアして第二の人生を考える老年期
を経験します。
女性にいたっては、出産を経験することもあるでしょう。
年齢ごとに現れる人の心理についてみていきます。
生涯を通した心の発達
人は誕生してから死ぬまで成長し続ける
発達心理学者のエリック・エリクソン(1902〜1994)は、
「人には生涯にわたって体、及び自身を取り巻く環境の変化があり、
それを乗り越えるという課題が繰り返し発生する」
という視点を持っていました。
そしてこの視点から、
独自のライフサイクル論を提唱しました。
それによると、人の一生は乳児期から老年期まで8つの段階に分けられます
(図 〔〕内はフロイトの「心理性的発達理論」と対応させています)。
例えば幼児期は、信頼の感覚を獲得する時期になります。
母親など最も親密な相手との関わりにより、
他者は信頼できるものであり、
自分には価値があり、
この世界は居心地が良いと
いった感覚を持つことが
重要な課題になります。
エリクソンのライフサイクル理論
エリクソンは、人が生まれてから死ぬまでの生涯を通した発達理論を構築し、
発達心理学に大きく貢献しました。
アイデンティティの研究でも非常に有名です。
エリクソンは、人の発達段階には
危機と、それを肯定的な要素で乗り越える
という段階が繰り返し現れると考え、
ライフサイクルを8つの段階に分けました。