最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。
判断力・直観力
社会的判断?@
前頭連合野は“ヒトを人間たらしめる脳”
脳の中には、“脳の中の脳”ともいうべき、最高次の中枢に位置すると考えられている部位がある。
それが、大脳前頭葉の前側を占める『前頭連合野』である。
前頭連合野が壊れると、人間はどうなってしまうのだろう?
それを物語る有名な例がある。
1848年、アメリカの工事現場監督だったフィニアス・ゲージ氏は、事故によって前頭連合野の大部分を失ってしまった。
一命を取り留めたが、人望の厚かった彼の性格は一変して野蛮になり、また将来への計画性を持つこともできなくなってしまった。
覚せい剤や麻薬の多くも、前頭連合野の活動に影響を与えて人格を崩壊させる
前頭連合野は、まさに“ヒトを人間たらしめる脳”であると言えるのだ。
ちなみに、人の前頭連合野の大脳皮質に占める割合は2〜3%しかなく、ネズミはそもそも前頭連合野を持たない。
前頭連合野には、脳の様々な領域から、非常にたくさんの入力が入ってくることが知られている。
前頭連合野は、入力と出力のはざまで膨大な情報処理を行っており、その情報処理の機能単位はコラム構造だと考えられる。
コラムの1個1個がIC(集積回路)のような役割を果たし、それらが集まって階層的なネットワークを作っているのだと考えられている。
また、近年の脳科学によって、前頭連合野は社会性に関連した幾つかの機能を持っていることがわかってきた。
明日はそれらを詳しく見ていく。
ヒトの前頭連合野は大脳皮質全体の3割を占める
大脳前頭連合野(赤く示した部分)は、霊長類で特に大きく発達した部分である。
アカゲザルやニホンザル(総称してマカクザルと呼ぶ)の前頭連合野が大脳皮質に占める割合は12%で、ヒトでは約30%である。
前頭連合野は、霊長類以外の哺乳類ではほとんど発達していない。
猫の前頭連合野が大脳皮質に占める割合は2〜3%しかなく、ネズミは前頭連合野を持たない。
フィニアス・ゲージ氏の悲劇
1848年のアメリカで、工事現場責任者だったフィニアス・ゲージ氏の頭を、火薬の爆発によって吹っ飛んだ鉄棒が直撃した。
鉄棒は左の頬に突き刺さって額の上部へと貫通した。
事故後、ゲージ氏は奇跡的に一命を取りとめたが、左目と前頭連合野の大部分を失った。
視覚、運動能力などにはほとんど障害がなかった。
しかし、それまで温厚だった彼の性格は一変して乱暴になり、将来に対する計画性や夢を持つことが一切できなくなってしまった。
あなたの前頭連合野を働かせる三つのテスト
ここにあげたテストは、どれも前頭連合野の機能を必要とする課題である。
ロンドン塔テスト
左の状態から、5回の作業で右の状態にする手順は?
(1回のそうさで動かせる玉は1個のみ)
このテストでは、前頭連合野の機能である『計画性』が試される。
短期記憶テスト
10秒間よく見てください。
明日問題を出します。
ストループテスト
1. まず、下の文字を声に出して読んでください。
赤 青 黄 緑
2. それでは、下の文字が何色に書かれているか(文字を読むのではなく)を、声に出して読んでください。
1に比べて、2は時間が多くかかったのではないだろうか?
このテストでは、文字の意味によって、色を答える過程を邪魔されてしまう。
このようなテストを「ストループテスト」という。
このテストでは、「定型行動の抑制」(ここでは、文字を読まないように我慢すること)という前頭連合野の機能が試されている。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
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2019年03月19日
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