※このコラムはネタバレがあります。
今回は第228話「通り魔・あの日に帰りたい!」をご紹介します。主役は 叶刑事(夏夕介)ですが、通り魔の容疑者として特命課が取り調べる少年(中村雄一)のインパクトが大きい回でもあります。
通り魔の犯人になりきっている少年
通りがかりの人にガソリンを浴びせ、火をつけて焼死させるという 連続通り魔事件を追う特命課に、殺人未遂に終わった2件の容疑者として少年が逮捕され、取調室に連行されます。
少年は「すべて自分の犯行だ」と自供しますが、取り調べられることが楽しいかのように嬉々としています。その態度に叶は違和感を覚え、おやっさん(船村刑事)は「まるで犯人を演じているようだ」とみるのです。
叶は、自らが少年と同じ生活をすることで、少年の心理を探ろうとしました。少年は夜間警備員で、無人のビルを一晩中定期巡回し、朝方帰宅して床に就くという「昼夜逆転の孤独で退屈な日々」をおくっていたのです。
やがて、少年が真犯人から「通り魔の犯人役」を買っていた疑いが強まります。取調室で独りぼっちにするという神代課長の荒療治で、少年はついに真実を自供します。真犯人も少年と同じ孤独な若者だったのです。
少年は殺人未遂の罪で少年院に送られます。収容先で叶が見たのは、仲間と楽し気にコミュニケーションをとる少年の姿。ここでも少年は「陽気な若者の役」を演じているのでしょうか・・・
「孤独」にスポットを当てたドラマ
このドラマでは、事件の動機を 「孤独」というところに置いています。そして、真相解明する役として、孤児院育ちで自らも孤独をイヤというほど味わってきた叶刑事を充てているのが出色です。
「通り魔の犯人役」を買うという心理は、ちょっと想像がつきませんが、犯人役を譲り受けた少年は自らも模倣犯となりました。孤独という強烈なストレスが、少年を「自分こそが真の通り魔だ」と思い込ませたのでしょう。
取調室で叶は「自分から心を開かなきゃ、手を伸ばさなきゃ、誰も振り向いてはくれない」と少年を叱責します。この言葉は、もしかすると叶自身の体験から導き出された教訓だったのかもしれません。
昭和の時代には、こうした「孤独」をテーマにした刑事ドラマがいくつもありました。他人とのコミュニケーションの手段が限られていた時代ならではの話だとも言えるでしょう。
今は誰もがスマホを持ち、SNSを通じて誰とでもコンタクトができる時代になりました。それでも、コミュニケーションが苦手な人は少なくないのです。 「孤独」は永遠のテーマなのかもしれませんね。
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