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「特捜最前線」がマイブームになっているオヤジです。リアルタイムの頃は津上刑事より若かったのに、今はおやっさんよりも年長者になりました(苦笑)
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2023年03月09日

私だけの特捜最前線→76「津上刑事の遺言!〜特捜のフルメンバーが集結した記念すべきドラマ」

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※このコラムはネタバレがあります。

今回は放送350回記念作品として放送された「津上刑事の遺言!」を紹介します。放送当時、唯一の殉職刑事だった 津上刑事こと荒木しげるさんを再登場させ、過去のレギュラー刑事もゲスト出演した回です。

交通事故の被害者は青信号で渡ったのか

4年前の細菌爆弾事件で殉職した津上刑事宛に、子供の字で書かれた嫌がらせハガキが特命課に届きます。調べたところ、書いた少年は津上が死んだことを知らず、自分との約束を反故にしたと思い込んでいたのです。

津上が少年と約束したのは、横断歩道を渡っていて車にはねられた父親が、青信号で渡っていたことを証明するというものです。加害者は「歩行者の信号無視」を主張し、その言い分どおりの執行猶予判決が下っていました。

津上は、同じサイクルで稼働していた近くの信号で、老婆が同時に渡っていたことを突き止めていたのです。特命課は総力を挙げて老婆を探しますが、証言を取る寸前で老婆は病死してしまいました。

唯一の手掛かりを失った特命課でしたが、叶刑事(夏夕介)が信号機のサイクルに気づきます。コンピューターによってサイクルを逆算し、事故当時に歩行者信号機が何色だったのかを突き止めていくのです。

加害者を立ち会わせた検証の結果、信号機は青だったことが証明され、加害者も自分が信号無視をして被害者をはねてしまったと自供します。津上と少年との約束は4年越しに果たされたのでした。

キーマンの叶刑事と津上の回想シーン

ドラマのキーマンになるのが、叶刑事でした。津上の後任として入った叶はメンバーで唯一、津上がどんな人物だったのかを知りません。そのことをおやっさん(船村刑事、大滝秀治)に語るシーンがあります。

叶は「自分は何だか焦っている。みんなが燃えているのに、自分だけが冷めているような・・・」と言い、おやっさんに津上がどんな刑事だったのかを問いかけます。

おやっさんは 「愛を持って捜査にあたった男だ」と語り、生前の津上がおやっさんの前で「子供との約束は必ず守ります」と誓った時のことを振り返ります。叶は、おやっさんを通して津上という人物を知ったのです。

捜査のキーワードとなる 「現場100回」「盲点」は、津上がメモ帳に書き残した言葉でした。警察学校卒業後に特命課に着任した津上が、神代や先輩刑事から教わった「心得」でもあったのでしょう。

橘刑事(本郷功次郎)や桜井刑事(藤岡弘、)の回想の中に、津上と交わした「現場100回」「盲点」という言葉が登場し、これが捜査の突破口になるというドラマの展開は見事の一言に尽きます。

西田敏行さん、桜木健一さんも登場

この作品は、「殉職した津上がやり残していた捜査を特命課が引き継ぐ」というストーリーにしたことで、津上のシーンを回想という形にし、荒木しげるさんがゲスト出演をすることができました。

さらに、放送初回からの津上の同僚だった高杉元刑事こと 西田敏行さん、津上の殉職の時に一緒だった滝元刑事こと 桜木健一さんという、過去のレギュラー刑事もゲスト出演しています。

仕事をやり残して死んだ津上と、約束をひたすら待っていた少年のために、特命課の誰もが捜査を引き継ぎたいと思っていたでしょう。捜査にあたり、神代課長(二谷英明)は特命課のメンバーにこう告げます。

「交通法規の無視も、我々が日頃取り扱っている事件と同等だ」。つまり、被害者が信号を守っているのなら、加害者が信号無視をしたわけで、法を守る者として見逃すことはできないという姿勢を表したのです。

ともすれば、「津上の遺志を継ぐ」という視点になりがちなドラマの展開なのですが、特命課が単なる交通事故をなぜ再捜査するのか、という「大義名分」を与えているところに長坂秀佳脚本の妙があると思います。



ラストシーンは、 山口百恵さんの「いい日旅立ち」をバックに、雪の中を走ってきたり、夕景で手を振ったりする津上が現れます。夕景のシーンは、津上殉職編のラストに登場した場面を使っています。

そこへ重ねるように「津上、これでお前も安心してゆっくり眠れるな」というナレーション。あえて、西田敏行さんに語らせた演出は素晴らしく、ドラマのフィナーレを見事に飾ってくれました。

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