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2022年07月31日

日経が報じた日本の電力事情です。

IMG_20220731_080111195.jpg

電力不足で節電が呼びかけられている。
電気料金の値上げは痛い。

事業所にとっても家庭にとっても明らかに負担増となってしまう。
節電と呼びかけられる前から節電している。

日本の電力事情が今日の日経に出ていたので、そのまま載せました。
原紙を読みたい方は、一番下にリンクがあります。


日本経済新聞 WEB版2022/07/31
電気が足りない 安定供給に壁、資源小国に迫る転機
日経ヴェリタスセレクト2022年7月31日 4:00 [有料会員限定]

2021年12月に就任したドイツのショルツ首相が初めてのアジア訪問先に選んだのは、中国ではなく日本だった。岸田文雄首相と会談した翌日の4月29日、経済代表団を引き連れて訪れたのは川崎市の製油所内にある水素エネルギー実証プラント。実質的な運営は千代田化工建設が担っている。

次世代の発電燃料として期待の高い水素は、マイナス253度以下で液化して貯蔵・運搬するのが一般的だ。だが、千代田化工は水素とトルエンを結合させ常温の液体で運ぶ技術を持ち、すでにブルネイと日本の間での輸送に成功している。

ドイツが目をつけたのはこの技術力だ。ウクライナ危機でロシアからの天然ガスの調達が危うくなる中でも、世界各地から水素をかき集める中長期的なエネルギー戦略を描く。

今冬は老朽化した火力頼み
翻って日本は、目先のエネルギーの台所事情をやりくりするのに精いっぱいだ。

岸田首相は参院選後の7月14日の会見で「最大9基の(原子力発電所の)稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保する」と語った。夏場よりも厳しい電力不足が予想される冬へ向け政府として万全の体制を敷くことをアピールしたが、肝心の中身にサプライズはない。関西電力の高浜4号と美浜3号、九州電力の玄海3号といった、既に再稼働している原発を予定に沿って運転させるだけ。「原発稼働の加速を示唆したわけではなく、電力業界にとってニュートラルだ」(SMBC日興証券の橋本宗治シニアクレジットアナリスト)

しかも、実際に動く原発は西日本に偏っている。需要に対する供給余力を示す「予備率」は23年1月に東京電力ホールディングスと東北電力の管内で1.5%が見込まれ、安定供給に最低限必要な3%を東日本を中心に依然として大きく下回っているのが実情だ。

危機感を募らせる経済産業省は7月20日、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の小委員会を開き、休止中の火力発電所の再稼働を電力各社に求めた。これらは老朽化しており、故障のリスクは高い。二酸化炭素(CO2)の排出量も大きく、50年までに国内の温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする政府方針に逆行する。

当面の危機回避を優先した不安定な電力供給に対し、大口の需要家からは不満の声が漏れる。「急な節電要請が連続すると出荷に影響する」(関東の電炉会社社長)。AGCは6月末の節電要請で、値上げが浸透し採算が改善したカセイソーダの生産量を鹿島工場(茨城県神栖市)で絞った。三菱総合研究所の福田桂主任研究員は「電力需給の逼迫で電気の周波数が変動した場合、半導体など精密な製品の質に悪影響を与える恐れがある」と指摘する。

生活への打撃じわり拡大
資源高騰によるエネルギー価格上昇の打撃も徐々に大きくなっている。セブン&アイ・ホールディングスは電気代の値上がりで国内コンビニエンス事業の22年3〜5月期の営業利益が前年同期比2%減の592億円となった。

東京ガスは一般家庭向けガス料金の上限価格を10月分から段階的に引き上げる。引き上げは実に9年ぶりで、資源高が続けば関東圏の平均的な家庭のガス料金は6000円弱から来年3月には最大7600円程度になる見通しだ。

日銀の調査統計局が4月にまとめた「脱炭素社会への移行過程におけるわが国経済の課題」という調査論文には、こんな記述がある。「エネルギー基本計画の諸前提が成立する限り、再生可能エネルギーの導入を急速に進めたとしても、そのコストがエネルギー価格上昇を介して経済を下押しする程度は小さいと見込まれる」。諸前提が崩れた現状では結論は逆になる。

日本はこのままエネルギー危機に翻弄され続けるのか。優れた技術はある。官民で築いてきた国際協調関係もある。現実を踏まえつつ脱炭素をあきらめない。戦略を大転換する時だ。

学頭貴子、蛭田和也、向野崚、梅国典、柘植衛、松本桃香が担当した。グラフィックスは安藤智彰。

原文は下記ジャンプします
[日経ヴェリタス2022年7月31日号]



タグ: 電力事情
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