オレンジ色の植物
最近、仙台でも写真のような植物を目にすることが多くなりました。
この植物について
実はこの植物は外来種です。 「ナガミヒナゲシ」という名称。名称のとおり、ケシ科の植物ですが、アヘンの成分は含んでいません。なかなか良い香りを放ちます。
アルカリ性の土壌を好む植物(注:アルカリ性の土壌に関係なくどこでも生えるどうです)であるため、コンクリートの構造物の近くに大繁盛します。元々、地中海が原産地であり、江戸時代に鑑賞用として日本に持ち込んだのがキッカケのようです。
道端に繁茂しているため、車のタイヤの溝に種が付着して全国に広まったという研究結果をみました。
観ていて綺麗な植物であるため、気にもしなかったが、あまりにも増えてきたため、ちょっと調べてみました。
この他の外来種
代表的なものとして、下の写真のような「 セイタカアワダチソウ」という植物も繁殖しています。明治時代に持ち込まれたもののようです。道路の中央分離帯、田んぼの休耕田、日陰だろうがどこでも生えます。また、多年生植物ですので、背丈が年々大きくなります。非常に厄介な植物です。
写真の出典: https://ja.wikipedia.org
なお、 福島県浜通りの福島第一原発の近くでは、見たことがない巨大なセイタカアワダチソウの群落をみることができます。
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記者さんもあまりウィキペディアに頼らないようにしてもらいたいものです。
私がナガミヒナゲシに興味を持ったのは6年前の朝日新聞記事です。
www.asahi.com/eco/TKY200904180186.html
その記事を契機に近隣のナガミヒナゲシをロゼットの出来る12月からタネを散らす前の5月にかけて抜いていますが、6年経ってもまだ地中に埋まっている種子から発芽します。
イギリスのサイトには埋土種子の生存期間を50年としているものもあり、一度侵入してしまうと駆除するのは困難です。
中には園芸種と勘違いして種を播いて歩く人(無自覚な花ゲリラと言いましょうか)もいたりして、まだまだ分布を拡大していくでしょう。
私は神奈川に住んでいますが、近隣の農家の方と話してもナガミヒナゲシを知っている方は皆無といっていいほどで、なかには農地に花畑のように咲かせている例もあるほどです。
以前はお節介にも前にあげた農環研ニュースや下記の資料をプリントアウトして咲かせている方に渡したりしていましたが砂漠に水をまくようなもので、やはり新聞やテレビなどのマスコミでニュースにしてくれないと知ってもらうのは難しいでしょう。
コラム 緑化植物 ど・こ・ま・で・き・わ・め・る - 日本緑化工学会
www.jsrt.jp/pdf/dokomade/35-4nagamihinageshi.pdf
なお外来種については、侵入生物データベースやご存知かもしれませんが環境省の外来生物法のサイトにくわしい記述があります。
外来生物法 -特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律-
www.env.go.jp/nature/intro/
ところでレガシィのMTにお乗りだそうで、思わず笑みがこぼれました。
「オールトの雲」とはそれまた遠い(笑)
ここで問題視すべきことは、この植物がアルカリ性に強いとか酸性に強いという話ではなく、この外来種が日本の在来種や畑作物と競合して、在来植物が影響を受けているこということです。
国立環境研究所のサイトをみると、生態的特性として、「温暖で日当たりが良い、渇いた肥沃地を好む、土壌の種類は選ばない」と記述されていますので、都市における生息環境は路傍(日が良く当たる背の低いコンクリート塀や地先境界ブロックの脇)が中心になることを誰が誤解して、アルカリ性を好むという解釈に至ったのではないかと私は想定しています。
私はこの植物がアルカリ性を好む、酸性を好むことは全く興味はなく、外来種が日本中に移入しているということが問題であると考えています。
日本の土壌は一般的に弱酸性だそうですが、畑に侵入したナガミヒナゲシが60cm以上と巨大化しているのに疑問を抱き、記事に載っている農業環境技術研究所に問い合わせました。
研究者の方は、最近は公的なサイトよりウィキペディアを信じる人がいて困るとぼやかれていましたが、ウィキペディアに書き込んだ人はその共同記事を自説の補強に使うというなかなか狡猾なことをしているようですね。
私が参考にした記事は、共同通信の記事です。
国立環境研究所のHP拝見しました。
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80080.html
たしかに生態特性として、国立環境研究所のHPには「温暖で日当たりの良い,乾いた肥沃地を好む.土壌の種類は選ばない.」という記載があります。
共同通信の記事には「アルカリ性土壌を好むため、都市部に多いのが特徴」という記載がありますが、前文をみると、「農業環境技術研究所が東京農大と共同で全国の専門家に呼び掛けて分布調査をしたところ、2007年時点では青森、沖縄の両県を除く全国で確認された」という記載があります。その後にアルカリ性土壌を好むという文書になっており、読者は「研究の結果、アルカリ性土壌を好む外来種が急増している」という認識を受けてしまいます。記事は上手く文が切れてきれていますが、コレは誤解を招きますね。
これからは注意してみるように記事をみるようにします。
正しくは「土壌の種類は選ばない」です。
一般的に植物の生育しづらいアルカリ性土壌でもお構いなしに生えてくるのを見て、そう解釈してしまったのでしょう。
ウィキペディアを参考にして書いたと思われる共同通信の記事を後から脚注に加え、さも信頼性があるように見せかけているのはたちが悪いですね。
侵入生物データベース > 日本の外来生物 > 維管束植物 > ナガミヒナゲシ - 国立環境研究所
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80080.html