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マカ

ペルー原産の多年草でアブラナ科の植物。カブのような形の根の部分が滋養食材とされていて、いろいろな必須アミノ酸、脂肪酸、ミネラルが含まれているとのこと。種類も色々あるようです。

論文は他同様、あまり見つかりませんでした。ただ、文献やデータを調べてまとめた報告の中に、マカについても取り上げていたものが少しありました。

不妊症への効果はというと、十分な科学的実証データは得られていないようです。実験自体はされているようですが、実験の設計が甘いのか、統計的に有意な結果が出なかったのか…。そして、性欲改善にはたぶん有効とのこと。はっきり有効と言える程は影響がでなかったのかな。

安全性についても十分には検討されていないようですね。患者の治療に使ったデータも存在しているし、昔からある食材でもあるので、食材として食事に使う分にはたぶん大丈夫かな〜、と個人的には思います。サプリメント等を治療目的で不用意に摂取するのは避けた方がよいかなと。使うなら、お医者さんに相談するのが無難ですね。

亜鉛

亜鉛も精子に良いという話をよく見かけるので、調べてみました。

結果、精子パラメーターが異常値だと亜鉛濃度が低い、精漿中の亜鉛量が増加すると総精子数も増加する、クエン酸亜鉛が精子運動率を向上させる、といった報告もあれば、精子パラメーターと亜鉛濃度とはなんの関係もない、という報告もあるようです。摂取しすぎると悪くなる、という報告は今のところ見つけてません。

亜鉛は様々な生理的役割がありますし、毒性はあまり強くないとされているので、ある程度積極的に摂取してもよいかなと思いました。

亜鉛は魚介類(特にかき)や小麦、肉類に多くふくまれるようですね。ちなみに、私はノロウイルスがどうしても嫌で、かきは生食用でも火がしっかりとおっていないと食べられないです…。

栄養素が食品にどのくらい含まれているかは、次の文部科学省のサイトから調べられます。食品から含まれる栄養素を調べたり、栄養素から多く含まれる食品を調べたり、多く含まれる食品をランキングで調べたり、面白いですよ。

『食品成分データベース』

摂取量の目安量等は次のとおりでした。ただ、日本人用のデータはあまり調べられていないため、アメリカやカナダ人のデータから算出したようです。

年齢
男性(mg/日)
女性(mg/日)
推定平均
必要量
推奨量
目安量
上限量
推定平均
必要量
推奨量
目安量
上限量
0〜5 (月)
-
-
2
-
-
-
2
-
6〜11 (月)
-
-
3
-
-
-
3
-
1〜2
4
5
-
-
4
5
-
-
3〜5
5
6
-
-
5
6
-
-
6〜7
6
7
-
-
6
7
-
-
8〜9
7
8
-
-
7
8
-
-
10〜11
8
10
-
-
8
10
-
-
12〜14
9
11
-
-
8
9
-
-
15〜17
11
13
-
-
7
9
-
-
18〜29
10
12
-
40
7
9
-
35
30〜49
10
12
-
45
8
9
-
35
50〜69
10
12
-
45
8
9
-
35
70以上
9
11
-
40
7
9
-
30
妊婦
+1
+2
-
-
授乳婦
+3
+3
-
-

セレンの摂取について

セレンはたんぱく質を構成したり、抗酸化反応に役立ったりと、微量であれば人体に役立つ必須微量元素とのことです。しかし、必要量と中毒量の差がとても小さいので、サプリメントで安易に摂取するのは危険なようです。藻類、魚介類、肉類、卵に豊富に含まれているそうですから、日本では欠乏症が問題になることはあまりなさそうですね。

精子のパラメーターとセレンの関係も単純ではなさそうですし、意識してセレンを摂取する必要はないのかな、と思いました。

ちなみに、厚生労働省が『日本人の食事摂取基準』という資料を定期的に作成していて、2010年版が公開されています。色々な栄養素について、どの年代でどのくらい必要なのか、どのくらいでとりすぎなのか等が分かるので、面白いです。

セレンの食事摂取基準の部分は次のとおりです。

年齢(歳)
男性(μg/日)
女性(μg/日)
推定平均
必要量
推奨量
目安量
上限量
推定平均
必要量
推奨量
目安量
上限量
0〜5 (月)
-
-
15
-
-
-
15
-
6〜11 (月)
-
-
15
-
-
-
15
-
1〜2
10
10
-
50
10
10
-
50
3〜5
10
15
-
70
10
15
-
70
6〜7
15
15
-
100
15
15
-
100
8〜9
15
20
-
120
15
20
-
120
10〜11
20
25
-
160
20
20
-
150
12〜14
25
30
-
210
20
25
-
200
15〜17
25
35
-
260
20
25
-
220
18〜29
25
30
-
280
20
25
-
220
30〜49
25
30
-
300
20
25
-
230
50〜69
25
30
-
280
20
25
-
230
70以上
25
30
-
260
20
25
-
210
妊婦
+5
+5
-
-
授乳婦
+15
+20
-
-

○推定平均必要量(estimated average requirement: EAR)
ある母集団における平均必要量の推定値。ある母集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量

○推奨量(recommended dietary allowance: RDA)
ある母集団のほとんど(97〜98%)の人において1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量

○目安量(adequate intake: AI)
推定平均必要量及び推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない 場合に、特定の集団の人々がある一定の栄養状態を維持するのに十分な量

○耐容上限量(tolerable upper intake level: UL)
ある母集団に属するほとんどすべての人々が、健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限を与える量

○目標量(tentative dietary goal for preventing life-style related diseases: DG)
生活習慣病の一次予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量

参考
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準」(2010年版)
東京都食品安全情報サイト:食品衛生の窓
ネットで男性不妊に関係する栄養素を検索すると、
・セレン欠乏で精子の運動率が下がるから、運動率の向上に積極的に摂取するとよい。
・セレンは精子を作る材料になる。
というようなサイトが結構見つかりました。

実際どうなんだろうと思い、論文や公的機関のホームページを調べたところ、少ないですが、参考になるものがありました。

まず、不妊治療患者を対象とした調査で、

・精子濃度や精子数がWHOの基準未満の方が精液中のセレン濃度が低い。
・奇形率が50%以上の群が50%未満の群に比べて、セレンの濃度が低い。
・セレンは精子ミトコンドリア部分に多く存在して、その形状維持に関与する。
・セレン摂取不足の亜不妊症の男性へのセレンの経口投与で、血清セレンと精子運動率が増加する。
・精液、精子、精漿のセレン濃度が高いほど、精子濃度も高い。
・運動率とセレン濃度には関係性がない。

という内容がありました。これを読むと、精子のパラメーターが悪いと精子中のセレン濃度が低いようです。

次に、不妊患者と正常者を比較した調査では、

・精漿と精液のセレン濃度に差がない。
・精子セレン濃度は不妊患者の方が高い。
・精子セレン濃度の高い症例で、精子運動性と精子濃度の低下傾向が見られ、精子内セレン濃度の上昇が男性不妊症に関係している可能性がある。

とありました。不妊患者の方が、正常者よりもセレン濃度が高いようです。(ただ、この論文の全文は見つからなくて、概要のみ読みました。)

また、論文中で精液中のセレン濃度は高すぎても低すぎても運動率が下がる、という論文もあると紹介していました。

不妊治療患者では精子等のパラメーターが悪いとセレン濃度が低いが、運動率では差がない。不妊患者と正常者を比べると、不妊患者の方がセレン濃度が高い。精液中のセレン濃度は高すぎても低すぎても運動率が下がる。それぞれ調査対象等の条件が異なるので、結果の傾向が一致しないのでしょうが、セレンが高ければ良い、とは言えないかなと思います。色々な要因が精子等のパラメーターとセレン濃度に影響していそうです。

せめて、身体の状態のせいでセレン濃度が変化するのか、セレン濃度の影響で身体の状態に変化がるのか、どちらかが分かれば面白かったのですが。前者ならセレン濃度で身体の状態チェックに、後者ならセレン濃度のコントロールで改善に役立つのかなと思います。

あと、いい資料が見つからなかったのですが、セレンを摂取したらそれが精子中の濃度にどう影響するのかも気になります。多く摂取すればその分濃度が高くなるのか、どう摂取しても濃度は一定に保たれるのか、で対応が変わりますから。

結局、どのような状況で、どのようにセレンを摂取すればよいかは、まだまだ研究段階といったようです。

参考
不妊外来受診男性の精液中微量元素と精子パラメータ,篠原厚子ほか,日衛誌,60,418-425,(2005)
男性不妊症と精液中セレンについて,高崎登ほか,日本不妊学会雑誌,32 ,3 ,345-351
など
男性の妊活に役立つ栄養素ってなんだろう?と疑問に思い、ちょっとWEBで調べてみました。そしたら、亜鉛、セレン、鉄、カルシウム、マンガン、各種ビタミン、アルギニン、マカなど、いろいろ書いてありました。
ただ、マカって植物名で栄養素じゃない気がします。

いろんな方が情報提供されていましたが、医療や公的機関の情報ってあまりないですね。各栄養素の特徴や注意事項なら厚生労働省のページに書いてありました。
女性向けの情報に比べて、男性向けの情報は少ない。

栄養素によっては、とりすぎると逆に危なかったりするので、きちんと調べてみようかな、と思います。ちょっと立て込んでるので時間かかるかもしれませんが。
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