神奈川 48
秋田 47
牧「ナイスだ藤真。」
藤真「来ると思ったぜ。」
普段はライバルの二人だが、今日は勝利という二文字のために、心が通じ合っていた。
松本「すぐ取り返そう!」
松本から深津へボールが回った。
深津は不思議と落ち着いていた。前半、屈辱的な戦法を取られていたが、自分を取り戻していた。
深津は、左手を高く上げて指を三本立てた。
三井「サインプレーだ。何か仕掛けてくるぞ!」
三井が叫んだ時には、深津が野辺に向かってドリブルをしていた。
仙道が深津の動きに反応していた。
しかし、一瞬で深津はストップし、仙道に背を向けた。
その瞬間に松本が深津の手からボールを受け取った。
松本を追おうとした三井が深津にぶつかった。仙道も深津が邪魔になりワンテンポ遅れた。
松本がフリーの状態でシュートを打とうとしていたところに赤木が強烈なハエタタキの体制に入った。
赤木「くらえっ!」
しかし、松本はそのプレーを読んでいた。
松本「甘いっ!!」
左手にボールを持ち替え、そちらの手でボールを左に落とした。
そのボールを受け取った河田が、凄まじい勢いでダンクを決めた。
神奈川 48
秋田 49
赤木「ちっ。」
三井「すまん。深津にしてやられた。」
珍しく三井が謝った。ここまで、いいところがない赤木に対して気を遣ったのだ。
赤木はその三井の優しさがわかっていて、かえってつらかった。
あれだけ対河田に向けて特訓をしてきたはずだったのに、全く歯が立っていないからだ。
そして、その気持ちがよりプレーに現れ、悪循環になっていった。
三井の3Pシュートがリングに嫌われた。
その際のポジション取りが完全に河田と野辺に赤木、仙道が負けてリバウンドをあっさり取られたのだ。
そのプレーを見ていた桜木がものすごく苛立っていた。
そして桜木は立ち上がって、ベンチの方へ歩き出した。
その間に、中山が絶妙のポジション取りでフリーになり、3Pを決めた。
ディフェンスの際でも、ポジション取りに赤木が河田に負けていた。
神奈川 48
秋田 52
桜木が1Fのフロアに降り立って、入ろうとした際に、警備員に止められた。
警備員「ここからは、関係者でないとは入れません。」
桜木「関係者だ!!ふんぬーーー」
と言い放ち、警備員に頭突きをかまして失神させた。
桜木「ちがーーーーーーーーう!!」
大きな声で桜木が叫んだ。
赤木「!?」
三井「あのバカっ!」
安西先生、彩子さんが流川の付き添いに行っていたため止める人がいなかったのだ。
桜木「こらーーー、ゴリッ。この天才に教えた基本ができてなーーーーい。
リバウンドはポジションが大事だっていってただろう。
天才に甘えすぎてサボってるから基本を忘れてるんだーー。」
そうこうしているうちに他の警備員も駆け寄ってきた。
桜木「リバウンドを制する者が試合を制するんだろう!?
丸ゴリなんかに負けんな!」
赤木「・・・。」
赤木はインターハイの山王戦で魚住が現れた時のことを思い出した。
奇しくも桜木に言われたことが魚住に言われた「泥にまみれろよ。」という言葉を思い出したのだ。
赤木は、打倒河田という個人的な目標でチームに貢献できていないことに気づいたのだ。
そしてその頃流川と安西先生が帰って来ている最中で、桜木の言動の一部始終を見ていた。
安西「逆転されていますね。」
流川「・・・。」
流川は何とも言えない顔をしていた。
安西「赤木君が河田君を意識しすぎているのは前半から気づいていましたが、それを桜木君がわからせてあげましたか・・・。あなたのライバルも成長してきてますね。」
流川は自分が怪我をしていて苛立っていたので、安西が流川のライバルという表現をしたことに対して反応しなかった。どこかでライバルとして認め始めていたのかもしれなかった。
(続く)
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