神奈川 71
秋田 78
弥生「7点差。この試合の最大の点差ね。少しずつ差が開き始めたわね。」
中村「このままずるずると言ってしまうのでしょうか?」
弥生「・・・。さすがに経験豊かな秋田の選手たちね。しかし・・・、(神奈川の子たちのポテンシャルはこんなものなの?)」
赤木「まだだーー。あきらめるな。」
赤木が吠えた。ここまでいいところはあまりなかったが、情熱は失っていなかった。
当然、他の神奈川のメンバーも誰一人あきらめていなかった。
河田「面白れぇ。そうこなくちゃ。」
秋田のメンバーも闘志をむき出しで試合をしてくる方が楽しくて仕方がないのだ。
牧から赤木へボールが回った。
赤木は燃えていたが、冷静だった。後ろに河田がいて自分ではいけないことはわかっていた。
すぐにあたりを見るとフリーの神を発見し、パスを出した。
三井「・・・。何かおかしい。確かにフリーになるのが上手いがあの秋田が神をフリーにするわけが・・・。」
と三井が考えているうちに神がシュートを放った・・・。
が、その瞬間、また一ノ倉が横からボールをたたき落とした。
一ノ倉「よっし!!」
そのボールに向かったのが、中山だった。が、その横から藤真がボールを奪い取った。
藤真「落ち着けっ!これ以上の点差は致命傷になるぞ。」
しかし、神奈川は攻め手を欠いていた。
ただ、ボールを回して時間が過ぎ去っていた。
赤木「牧っ。よこせっ!」
赤木が牧からボールをもらい、強引に押し込もうとしたが、河田がブロックをしようとした。
「ピピーーーッ。ディフェンスチャージング」
河田「ちっ。手に当たってしまったか。ついてたな。赤木。」
赤木は何とかフリースローを2本とも決めた。
神奈川 73
秋田 78
確かに神奈川はついていた。審判によってはオフェンスチャージを取られてもおかしくないくらい微妙な判定だった。
高頭「なぜだ!?なぜ、神がことごとく止められる!?」
高頭の心境は穏やかではなかった。しかし、それ以上に神も取り乱していた。
藤真「とりあえずディフェンスだ。一本止めて流れをつかもう。」
藤真が檄を飛ばした。
しかし、そう簡単ではなかった。秋田の攻撃が松本がベンチに下がったとはいえ、その分中山の動きがよくなっており、マンツーマンではマークが食い違い始めていた。
最後は深津がミドルレンジからのシュートを決めた。
神奈川 73
秋田 80
ここでたまらず高頭がタイムアウトを取った。
高頭「辛抱だ。ここは離されずついていけ。チャンスは必ず来る。」
智将高頭にしては珍しく具体的な策がでなかった。それだけ追い込まれていたのだ。
清田「神さん・・・。」
神がベンチでうなだれていた。
その頃、仙道が三井に耳打ちしていた。
三井「・・・!?な、なんだと!」
仙道「一度、外からも確認してもらえませんか?」
三井「わかった・・・。」
仙道は、今までの練習の中で神とマッチアップした際に、思ったことがあったのだ。
それを今、秋田が利用しているのではないかと感じ、三井に確認を頼んだのだ。
メンバーに今言うと動揺があるかもしれないため、ベンチにいる三井にあえて頼んだ。
神奈川ボールで試合が再開された。
藤真がフロントまでボールを運んだ。
藤真も少し気になっていた。なぜ、神ばかりが狙い撃ちされるのか?
神を絡めずに勝負をしようとしていたが、他のマークが厳しいのだ。
そしてタイムオーバー寸前にフリーの神へパスが回った。
三井「(・・・1、2)あっ」
またもや一ノ倉に神のシュートがはたかれた。
今度は拾ったのが深津だった。
深津が速攻に行こうとしたところで牧が立ちはだかった。
牧「ったく。後輩をかわいがってくれたお礼をさせてもらうぞ。」
牧は深津をライン際に追い込み、パスが出せないような状況に追いやった。
深津「くっ。」
圧倒的な威圧感だった。後半になればなるほどしり上がりに調子を上げる牧の真骨頂だ。
その隙をついて藤真がダブルチームに来ようとした瞬間、牧がボールを奪い返した。
すごいスピードだった。あっという間に深津からボールを奪うと、そのままシュートを決めた。
神奈川 75
秋田 80
(続く)
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