神奈川 88
秋田 90
弥生「残り1分20秒。神奈川はここを決められたら厳しいわ。
(しかし、沢北君を抜いたメンバーでここまで強いとは・・・。)」
中村「そうですね。しかし、それは神奈川メンバーもわかっていますよ。」
ここで、神奈川のメンバーがフルコートのマンツーマンを選択した。
この選択は、高頭の指示ではない。皆の意思がこれしかないとシンクロしたのだ。
堂本「まさか。急造チームができるはずがない。深津、振り切れー」
しかし、深津の前に立ちはだかったのは帝王牧。
牧も深津も一言も言葉を発せない。それほどの緊張感で向かい合っていた。
中山「深津さん、早くフロントへ!!」
ベンチの中山も懸命に応援をしていた。
清田「牧さん、がんばれ!」
神奈川ベンチも心は一つになっていた。
フロントコートに入れさせない懸命の牧のディフェンス。
フロントコートへ向かうために必死で揺さぶりをかける深津。
二人は集中しすぎていて、まわりが見えていなかった。
その間隙をぬって、不意に三井がダブルチームに行った。
この一本を止めるために、最後の賭けに出たのだ。
三井「ここで止めるしかねぇ。」
河田「三井がいったぞーーー」
その声に反応してフリーの松本へパスが放たれた。
誰もが三井の策が外れたと思った瞬間、右手が伸びてきた。
仙道だ。
仙道が松本へのパスを読んでいたのだ。
そして、すぐさま牧、深津から距離をとってレフトサイドへ展開していた三井へノールックでパスがでた。
三井「でかしたっ、仙道!」
そう、三井は深津からボールを直接奪おうとしたのではなく、あえて松本をフリーにすることで松本へパスがでるだろうとそして、そのパスを仙道がとってくれるだろうと思っていたのだ。
そして、仙道も三井が深津へ向かった瞬間、一ノ倉のマークを外し、松本へ向かった。
ただ、これはあくまで賭けだった。一瞬でもタイミングがずれていれば、深津は一ノ倉へパスしていたかもしれないし、河田を選択していたかもしれないのだ。
しかし、何の打ち合わせもなくこの作戦を選択した二人には迷いがなかった。
そして、三井がスリーを放とうとした瞬間、今度は一ノ倉が懸命に手を伸ばしてきた。
秋田もここまできて負けたくないのだ。
全選手のコンセントレーションがマックスになっていた。
三井「ちっ。」
そういいながら冷静に、ワンドリブルを入れて、一ノ倉を交わし、レイアップを決めた。
神奈川 90
秋田 90
桜木「うぉおおおー、ミッチーの奴やりやがった。」
宮城「花道っ。追いついたぞ。」
流川「・・・。」
流川も三井、仙道のプレーには度肝を抜かれていた。
ただ、悔しさではなく、追いついた喜びの方が大きかった。
チームを離脱しているがチームの勝利を願っていたからだ。
弥生「残り1分ね。このままいくとちょうど1回ずつのオフェンスね。」
ここで堂本がタイムアウトを取った。
(続く)
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image