神奈川 92
秋田 92
第4Qの激戦をもってしても、決着はつかなかった。
弥生「ふーっ、最後のプレーは見ごたえがあったわ。仙道君もイカシてたし。」
中村「僕の記者人生で、山王VS湘北戦に勝るとも劣らない名勝負です!」
(ポカッ)← 弥生が、ぶった。
弥生「あんたの記者人生って、そんなにないやないの。
しかし、最後の牧君の顔は不満そうだったわね。」
そのころ、神奈川ベンチは揉めていた。
牧「神、なぜゴールを狙わなかった!!お前なら、打てたはずだ。」
神「・・・。」
三井「何を怒ってんだ。とりあえず確実な方法を取っただけだろう!?」
牧「三井はすっこんでろ」
三井「!?なんだと」
三井が怒り狂う前に、赤木が制した。
赤木「牧よ。あの場面、仙道へのパスで間違いなかったと思うが。
高頭監督も難しいようなら仙道へのパスでという作戦だったはずだ。」
牧「甘いな、赤木。あの形は、海南では何千、何万回と練習してきた必勝の形だ。
あのくらいのマークで打てなくなるようなやわな鍛え方をしていない。
神、答えろ!」
神「確かに、打てたタイミングだと思います。ただ、打てなかった。
気づいたら仙道にパスをしていた。」
神は正直に答えた。
牧は神を責めたいわけではなかった。ただ、来年、海南を引っ張るのは間違いなく神なのだ。
来年の神は、チームを引っ張る立場だ。他者に頼らず、自分で切り開くくらいの気概が欲しかったのだ。
たとえ外しても勝負に行ける場面では勝負にいってほしかった。そういう思いが強く、強い口調で責めたのだ。
同学年の仙道がプレッシャーを感じずむしろ楽しんでプレーをしているところも牧を苛立たせた。
高頭「牧、神。今は、海南のことより神奈川のチームのことを考えるべきだ。
確かに、神には、勝負に行くという気持ちが三年生のお前たちに比べると薄いのかもしれない。
ただ、逆に三年生の試合を自分で壊せないという思いは強いのは感じてやれ。
神よ、これから考えるより先に動けるように帰ったら猛特訓だ。」
神「は、はいっ。」
高頭「さて、延長戦だ。なーんもかんがえておらん。が、ここまで来たら気持ちの問題だ。
牧、赤木、藤真、三井、仙道。お前たちで勝負を決めてこい。」
高頭は、今考えられる調子が良い5名の名を告げた。
一方、秋田ベンチは、
堂本「やられたな。まさかシュートでなく、パスでくるとはな。」
深津「やられたらやり返すだけピョン。まだ負けてないピョン。」
河田「ふー、本当に面白れぇな。神奈川は。赤坊主や流川がいなくても仙道みてぇな沢北に似たやつもいる。」
堂本「延長戦は体力の限り走れ。跳べ。それだけだ。
お前らは体力では負けん。
河田、深津、野辺、松本、美紀男。お前ら、インターハイの悔しさは忘れてないな!
全力で勝負を決めてこい。あいつらは疲れてシュートの精度も落ちる。
リバウンドを河田、野辺、美紀男で制空権を支配しろ。」
両監督は、最後の作戦タイムを終了した。
(続く)
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