標的となった業績不振の米ゲームソフト販売大手ゲームストップなどの株価が急騰。値下がりを見込んで空売りしていた大手ヘッジファンドは、高値での買い戻しを迫られ、多額の損失が発生した。アメリカのメディアは「個人投資家がウォール街を打ち負かした」などと株式市場をめぐる異例の状況を伝えている。
空売り株を巡る市場が大混乱した背景には、大量の流動性によるバブルじみた副作用が現れていること、新型コロナウイルスのパンデミックが究極の価格変動要因であり続けることにある。
レディットの掲示板では、ゲームストップ株などを買うよう呼び掛ける投稿だけでなく、「ヘッジファンドを攻撃しろ」とヘッジファンドを敵視し、特定銘柄の株価を押し上げて対抗するよう求める声が目立った。レディットの株式の掲示板利用者は270万人超に急増し、「ウォール街対個人投資家」の様相を呈している。
「ヘッジファンドの重役たちは豪華なディナーの席上で、ひっそり交わされる会話から情報を入手し、投資判断を行うが、個人投資家らは、レディット掲示板ではるかに透明性の高い情報をもとに勇気ある投資判断を行っており、ヘッジファンドよりも有力な勢力になっている。
格差に敏感なミレニアム世代の若者は、コロナ禍の直接給付で余ったお金、投資に使える自由な時間、金持ちだけがさらに豊かになる現実への反発で、今回の投機騒動はパンデミック下で株価だけ高騰する米国経済の歪みを映し出している。
若者たちがウォール街に仕掛けた攻撃の背景には、パンデミック後に金持ちがさらに金持ちになる中で、個人投資家の不満が高まっていることがあり、ウォール街のエリートたちに対する「階級闘争的なものに近い」とも言える。
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