宣言は感染拡大防止のための最終手段というより、何がなんでも東京五輪を開催するための宣言なのは見え見えだ。
宣言により菅首相はコロナに負けてしまった。「コロナに打ち勝った証し」を強調して五輪を最優先にした結果、感染状況も有観客もこの有り様。
観客の有無にかかわらず、五輪の開催自体がその矛盾をはらんでいるからだ。
記者会見での質疑応答で「甘い見通し」「遅い対応」「不十分な中身」を列挙して菅首相の政治責任を追及したところ、菅首相はマトモに答えず、のらりくらり。「一進一退の状況から脱して、決め手となるのがワクチンだ」とダラダラと話し続けた。
コロナ禍から延々と抜け出せない「無間地獄」を招いた責任はみじんも感じられず、強調するのはワクチン接種の加速ばかり。
菅首相の無能・無策ぶりは数字が証明している。結果が出ないのは、同じ失敗を繰り返しているからだ。失敗から教訓を得ず、科学的知見も生かさない。菅首相の失敗と国民の“生き地獄”は無限に続きそうだ。
迷走の果てに菅首相が思い描いていた形とは異なるものなってしまった以上、最後まで「有観客開催」をこだわり続けた菅首相はその政治的責任をとる必要がある。
さらに菅首相は小池都知事にも負けてしまった。小池都知事が退院翌日に開いた記者会見で、五輪開催について「無観客も軸に」と踏み込んだ発言をし、その翌日には東京都議選に電撃参戦して「無観客」を掲げる都民ファーストを一気に浮上させた。
また小池都知事は選挙後一気に動いて、自民党の二階俊博幹事長、公明党の山口代表とそれぞれ面会し、さらには尾身会長との電撃面会で5者協議の前に無観客の大きな流れを作ってしまった。派手な言動に走らず、水面下で根回しをした小池都知事の方が役者が一枚上手である。菅首相は完全にしてやられており、求心力は一層低下し、もはや自らの手によって解散が打ちづらくなった。東京五輪の前に政局化してしまっている。
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