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田舎で完全予約制の鍼灸院をやってます。 田舎とは言っても、車で30分くらいでイオンもあり(田舎じゃん!)、バスは一日に数本あり(超! 田舎じゃん!)、でも、JRの駅が徒歩圏内(ま、はいはいって感じ)にあります。
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2020年11月13日

孤独死と殺処分。遺品整理人・特殊清掃人が見つめたセルフネグレクトとペット道連れ死

孤独死と殺処分。遺品整理人・特殊清掃人が見つめたセルフネグレクトとペット道連れ死。

(※セルフネグレクトとは、自己放任という意味で、ゴミ屋敷や、医療の拒否、過度な不摂生など、自らを追い込むことから“緩やかな自殺”とも呼ばれている。)

 日本少額短期保険協会・孤独死対策委員会による最新の孤独死レポートによると、孤独死者の平均年齢は61歳で、さらに高齢者に満たない年齢での孤独死の割合は、5割を超え、20〜50代は4割弱を占める。という。

 男女比は、8対2。つまり、男性のほうが、圧倒的に多い。

 独居老人の孤独死が話題になった記憶はあるが、もっとも「孤独死」を耳にし目にしたのは、東日本大震災後、避難所から仮設住宅、そしてやっと公営の災害復興住宅に入った後の「孤独死」だった。身近なたくさんの人を亡くし、家を流され、プライバシーのない避難所生活を耐え、仮設住宅に仮の居を得て、ようやく自宅と呼べる場所を手に入れた、その結果、待っていたのは「孤独死」だった。

 災害復興住宅と呼ばれる公営住宅は、耐震のため鉄筋コンクリート造り、それ故、防音もしっかりしているので、外にSOSが届かない。高齢者は、外へ向かうための扉の重さですら重労働になり、引きこもるようになってしまう、というお話を聞いた。

 それまであったコミュニティは壊され、仲の良かったご近所さんとも離れ、庭先で誰かと挨拶を交わすこともなく、コンクリートの部屋の中でテレビの音声だけが響いている。

「自分が動かなければ、空気の動きがない」とどこかで聞いた。
 恐ろしいほどの静寂の中、ぼんやりと窓を見上げる。窓の外を人が通ることもない。何故なら、大抵の災害復興住宅は数階建ての高い建物だからだ。

 都会の孤独死も、この震災後の悲劇と変わりはないのだろうか。

 団塊ジュニア、ゆとり世代こそが実は最も孤独死に近い世代だという。現在の孤独死年間3万人は、「大量孤独死時代」の序章に過ぎないとも。

「孤独死」の背景には貧困もある。

「この仕事をしていると日本全体が見えてくるんですよ。このままいくと、餓死や貧困の問題は本当に大変なことになるんじゃないかと思います。例えば親の仕送りがなくなって餓死で亡くなった大学生とか、実際にいたんです。そういう……自分で生きていくことができない状態にある人、っていうんですかね、そういう現実があるんですよね。」 と語るのは、遺品整理人の小島美羽さん。

 離婚に寄って子どもと引き離され、生きる気力を失って、引っ越し先のアパートでセルフ・ネグレクトに寄る死を迎えたまだ若い女性。

 ハードワークでろくな食事も取れず、ある日、もしかして心臓発作か何かで動けなくなり、30代の若さで亡くなった男性。それでも、人の出入りの激しいブラック企業だと、来なくなった社員を心配もしないという。どうせ辞めたんだろう、と。それで発見が遅れる。気づいてくれるのは隣人の「異臭に寄る苦情」。

 何よりこころを掻き毟られるようにつらいのは、一緒に暮らしていた犬や猫、小動物の末路だ。飼い主が孤独死し、数カ月も発見されずにいると、当然、食べ物も飲み水もなくなり、同居動物たちも餓死するしかなくなる。しかし、生き残っても彼らには「殺処分」が待っているのだとか。

 遺族が、故人の飼っていた動物を引き取ることはほとんどないそうだ。そして、新しい飼い主を探して、ではなく、「殺処分か保険所」という選択しかない。

 小島さんは、何度もそういう犬や猫たちの新たな飼い主探しをしてきた。

 死に逝く飼い主を見つめた動物たち。腐っていく飼い主だった死体を見つめ続けた動物たち。それを思うとあまりにも苦しい。

「ペットを飼う方には、その後自分が死んでしまったり、世話ができなくなったときにどうするかまで考えて飼ってほしいです」。

 それから、遺品に関しても。若い内から遺書は用意していた方が良いと小島さんは締めくくっている。

「結局どんなに信頼していた人でも、遺品を勝手に持っていってしまうことはあるんですよね。若い方でも生きている間に、これはどこで売ってほしい、誰にあげてほしい、というのをリストにして、パソコンや紙に残したり、家族に話しておくのがいいのかなと。

 突然死は30代の方が多いです。20〜30代の方は自分が亡くなるなんて思っていないので、遺書がない場合がほとんどですからね……。もう生前に売っておく、というのも一つの手ですけど、それでは宝物を手放すことになるし……。「この人だったら譲ってもいい!」という人に「きみにあげるよ」と事前に話しておくのがいいかもしれないですね」。


 「孤独」は「孤独死」という負のイメージばかりだが、一方で老後はむしろ「孤独なほうがうまくいく」と言う意見もある。

 『孤独こそ最高の老後』の著者・松原惇子さんは、独りの老後を応援する団体であるNPO法人「SSSネットーワーク」を運営し、1000人以上の孤独老人を見てきた。松原氏自身も独身で、70歳を超えた今、1人で暮らしているとか。

「1人の人ほど大きな病気にかかっていません。気を張って生きていることで、細胞が頑張ってくれているのか。頼る人がいないので、普段から自己管理を徹底しているからか、理由は定かではありませんが。」

 確かに、それはそうかもな、と思える。

 大病院がなくなったら、住民が健康になったというハナシも聞いたことがある。確か、財政破たんした富良野だったかな?


 また「いい年になったら「行きつけ」の居酒屋を持て」と言うのは、太田和彦氏。1946年生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)卒業後、68年資生堂宣伝部に。89年独立しアマゾンデザイン設立。2000〜07年東北芸術工科大学教授。著書に『太田和彦の居酒屋味酒覧』ほか。

「僕がアドバイスしたいのは、1番に、迷わず居酒屋に行け。2番に、1人旅をしろ。要するに1人で生活することの楽しさを知る。」

「居酒屋だといろいろ考えてるうちに、酒の力で無の境地になる。そこで浮かんでくるのはただ1つ、「次、何注文しようかな」。それがいいんです。群衆の中の孤独を楽しむ」。

 太田氏の独特のお酒と人生論。
 かっこいい男性の横顔が見えるなぁ、と思うのだが。

「50代以降は得るものより失うものが多くなる、って嘆きも聞くけど、失うものが多いほうがいいんです、楽になるから。裸一貫、身一つの心地よさ。酒ってうまい、人生って面白いものだなって。得るものはない、ただ深まっていくだけ。仙人のように生きると楽ですぞ。」

 孤独に死んでも、「良い人生だったな」と思えれば良い。

 一人きりで死んでも、行きつけの居酒屋があれば「あれ、今日は来ないな」と気づいてもらえる。

 実は、これ、実際にありました。shuroの鍼灸の恩師の一人。盲目の先生だったのだけど、彼は毎晩同じタクシーを頼んで居酒屋へ送迎してもらい、同じ居酒屋さんで食事をして一人暮らしを楽しんでいた。それがある日、タクシーの依頼がなく、居酒屋さんにも現れなかった。

 異変に気付いた周囲が通報してくれたお陰で、彼は死後すぐに発見された。命には間に合わなかったけど、でも、ご高齢の先生だったから、寿命でもあったんだと思う。最後まで元気に居酒屋さんで楽しくお酒を飲んで、天国に旅立たれたのだ。

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