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2020年11月22日
皮膚は人の体の中で最大の臓器、共生している肌の微生物たちとの連携プレーで水と脂のバランスを保つ。
皮膚は人の体の中で最大の臓器、共生している肌の微生物たちとの連携プレーで水と脂のバランスを保つ。
体の70%は水、この水分量が保たれているのは、皮膚があるからであり、私たちは干涸びることなく乾燥した陸上でも生活ができるということです。
皮膚は不要な分や必要に応じて慎重に体外に水を排出もしますが、水分を取り込むことはありません。
こうした『排泄』や『分泌』の作用では、汗をかいたり、皮脂を分泌させたり、吹き出物や皮膚の炎症症状によっては、滲出液といった液体のかたちで体外に出されます。この『排泄』と『分泌』も皮膚の重要な機能です。
このように肌のことについてお話ししてくださったのは、統合医療啓蒙家。NPO法人ホリスティック療法協会代表理事であり、NPO法人ホリスティックビューティ協会特別顧問のアレクサンダー陽子さん。
彼女がそもそも肌のことに興味を持ったきっかけは、4歳から仲の良かった幼なじみが皮膚のトラブルで病院通いをはじめ、10歳になっても、まだ完治していない“アトピー皮膚炎”と診断された皮膚疾患に疑問をもち、肌とは何か、薬とは何か、症状とは何かを追求しはじめたことに寄ります。
その10歳のときに知った、故祖父(医師、中医師)の患者さんへの片栗粉の処方(プラセボ)を知ったことが、症状の治癒に必要なもの、必要でないもの、また足を引っぱるものについて考えるきっかけだったとか。
同時に、経済やお金の循環のからくりや、会社と政府の癒着、世の中で起こるさまざまな出来事についての関係性を知り、幻滅しました。自分の体は自分にしか守れないのだと悟り、特別なことをするのではなく、ただ毎日を重ねる中で健康を維持し続けるのはどうしたらいいのかと、模索されたのだそうです。
さて『健やかな肌を保つにはどうしたらいいのか?』
肌はその健やかさを奪われるまでは、意外とそのお手入れ法に疑問もいだかないほど放置されてしまう臓器でもあります。そう、肌は臓器なのです。
それではまず初めによく耳にする角質について。この角質層は、皮膚の表皮細胞たちが死んでしまった屍集団で、だいたい10〜20層ほどの角質細胞が重なってできています。そして、この角質細胞たちが「細胞間脂質」をはさんで重なりあい、この細胞間脂質の存在が、肌を守るバリア機能がうまく働くために重要なのです。角質層が薄くなるということは、このバリア機能に大切な「細胞間脂質」も失われてしまうということも意味します。
さらに、肌の水分保持にはNMF (ナチュラルモイスチャリングファクター) という水溶性物質の天然保湿因子が関係しています。これは、「肌表面に存在する、水に馴染むことができる箱」とでもいいましょうか。
この水溶性物質は、 40%が遊離アミノ酸、そして、ピロリドンカルボン酸(PCA)、乳酸ナトリウム、尿素、ミネラル類、糖・有機酸などで構成されています。これらの成分は水分と結合して、結合水の形で吸着させ維持し、保湿性を発揮しているのです。つまり、これは肌の柔軟性にも関わっています。死んで機能していないケラチンの塊は、また水が結合すればクタッとしなっとなるのはイメージつくでしょうか?
皮膚の健やかさを語るときに大切なのは、その水と脂のバランスです。この角質層における、水だけを保持する力や、脂を分泌し水と脂を一緒に保持する力、またこの脂の種類がなんなのかに至るまで、繋げてお手入れに生かす必要があります。
角質層が適度な厚みに保たれているのも、理由があります。必要ではない分が自然にはがれるようになっているのです。脂やタンパク質を分解する酵素がそのときの必要量が分泌され、ビタミンA なども、この辺の角質層の剥離に必要なときに必要なだけが出されて使われ、死んだ角層は垢としてはがれていくのです。
肌の健康に必要な分の角質層は保たれるように仕組まれているのに、多くのひとは、水と脂のバランスをたもち防御する皮膚バリアを台なしにする、合成界面活性剤入りの化粧品やクリーム、軟膏などを利用して、皮膚の健康を保とうとします。
そしてもうひとつ。水と脂のバランスには、共生している肌の微生物たちとの連携プレーが大事です。
体が外界と接しているのは皮膚だけでなく、口のなかから、お尻の穴までの粘膜も同様。
ちくわで例えれば、外側のシワシワしたとこ(皮膚)と、内側のつるっとしたとこ(粘膜)の性質は、同じであるということ。
・ 皮膚も粘膜も溶かさない(穴をあけない、傷を付けない)
・ 外敵からまもるためにpH値を一定に保つ
・ 微生物の力も借りて、その場を強化し敵とも戦う
・ 必要なもの以外、通さない。
以前、『あなたの体は9割が最近〜微生物の生態系が崩れはじめた〜』矢野真千子 訳 河出書房新社を読んだときこんなことが書かれていた。
ヒトマイクロバイオータは指紋のように各人で少しずつ異なり、まったく同一の微生物を持つ人間は二人といないそうだ。とはいえ、もちろんそれは細かく見れば違うということに過ぎず、大ざっぱに見ればヒトに宿る微生物は似たようなものらしい。
例えば。
顔や背中では、毛穴から出る脂を餌にするプロピオニバクテリウム属の細菌が、ひじや前腕では、もう少し多様なグループの微生物が共生している。へそ、脇の下、股の下など湿気の多い場所は、高い湿度を好み、汗に含まれる窒素を餌とするコリネバクテリウム属とブドウ球菌属の細菌の棲みかとなっているとのこと。
そして重要なのは、微生物がつくる「第二の皮膚」は、本来の皮膚細胞に寄る防御を強化して、人体内部を二重に守っているという事実である。
(※注 微生物の集合を遺伝子の観点から表す場合をマイクロバイオーム、個体の観点から表す場合をマイクロバイオータという。)
肌に限らず、身体中に常在する微生物は身体にとってバリアであるのだが、それを化粧品で壊すことも、いちいち消毒薬で手を消毒することも、せっかくのバリア、つまり常在細菌叢を破壊し、むしろ他の病原菌を蔓延らせることに他ならない。
過度な石鹸による手洗いだって同じ。
「清潔」とは、ときに身体の細菌叢にとっては迷惑な概念、行動ではないだろうか。
体の70%は水、この水分量が保たれているのは、皮膚があるからであり、私たちは干涸びることなく乾燥した陸上でも生活ができるということです。
皮膚は不要な分や必要に応じて慎重に体外に水を排出もしますが、水分を取り込むことはありません。
こうした『排泄』や『分泌』の作用では、汗をかいたり、皮脂を分泌させたり、吹き出物や皮膚の炎症症状によっては、滲出液といった液体のかたちで体外に出されます。この『排泄』と『分泌』も皮膚の重要な機能です。
このように肌のことについてお話ししてくださったのは、統合医療啓蒙家。NPO法人ホリスティック療法協会代表理事であり、NPO法人ホリスティックビューティ協会特別顧問のアレクサンダー陽子さん。
彼女がそもそも肌のことに興味を持ったきっかけは、4歳から仲の良かった幼なじみが皮膚のトラブルで病院通いをはじめ、10歳になっても、まだ完治していない“アトピー皮膚炎”と診断された皮膚疾患に疑問をもち、肌とは何か、薬とは何か、症状とは何かを追求しはじめたことに寄ります。
その10歳のときに知った、故祖父(医師、中医師)の患者さんへの片栗粉の処方(プラセボ)を知ったことが、症状の治癒に必要なもの、必要でないもの、また足を引っぱるものについて考えるきっかけだったとか。
同時に、経済やお金の循環のからくりや、会社と政府の癒着、世の中で起こるさまざまな出来事についての関係性を知り、幻滅しました。自分の体は自分にしか守れないのだと悟り、特別なことをするのではなく、ただ毎日を重ねる中で健康を維持し続けるのはどうしたらいいのかと、模索されたのだそうです。
さて『健やかな肌を保つにはどうしたらいいのか?』
肌はその健やかさを奪われるまでは、意外とそのお手入れ法に疑問もいだかないほど放置されてしまう臓器でもあります。そう、肌は臓器なのです。
それではまず初めによく耳にする角質について。この角質層は、皮膚の表皮細胞たちが死んでしまった屍集団で、だいたい10〜20層ほどの角質細胞が重なってできています。そして、この角質細胞たちが「細胞間脂質」をはさんで重なりあい、この細胞間脂質の存在が、肌を守るバリア機能がうまく働くために重要なのです。角質層が薄くなるということは、このバリア機能に大切な「細胞間脂質」も失われてしまうということも意味します。
さらに、肌の水分保持にはNMF (ナチュラルモイスチャリングファクター) という水溶性物質の天然保湿因子が関係しています。これは、「肌表面に存在する、水に馴染むことができる箱」とでもいいましょうか。
この水溶性物質は、 40%が遊離アミノ酸、そして、ピロリドンカルボン酸(PCA)、乳酸ナトリウム、尿素、ミネラル類、糖・有機酸などで構成されています。これらの成分は水分と結合して、結合水の形で吸着させ維持し、保湿性を発揮しているのです。つまり、これは肌の柔軟性にも関わっています。死んで機能していないケラチンの塊は、また水が結合すればクタッとしなっとなるのはイメージつくでしょうか?
皮膚の健やかさを語るときに大切なのは、その水と脂のバランスです。この角質層における、水だけを保持する力や、脂を分泌し水と脂を一緒に保持する力、またこの脂の種類がなんなのかに至るまで、繋げてお手入れに生かす必要があります。
角質層が適度な厚みに保たれているのも、理由があります。必要ではない分が自然にはがれるようになっているのです。脂やタンパク質を分解する酵素がそのときの必要量が分泌され、ビタミンA なども、この辺の角質層の剥離に必要なときに必要なだけが出されて使われ、死んだ角層は垢としてはがれていくのです。
肌の健康に必要な分の角質層は保たれるように仕組まれているのに、多くのひとは、水と脂のバランスをたもち防御する皮膚バリアを台なしにする、合成界面活性剤入りの化粧品やクリーム、軟膏などを利用して、皮膚の健康を保とうとします。
そしてもうひとつ。水と脂のバランスには、共生している肌の微生物たちとの連携プレーが大事です。
体が外界と接しているのは皮膚だけでなく、口のなかから、お尻の穴までの粘膜も同様。
ちくわで例えれば、外側のシワシワしたとこ(皮膚)と、内側のつるっとしたとこ(粘膜)の性質は、同じであるということ。
・ 皮膚も粘膜も溶かさない(穴をあけない、傷を付けない)
・ 外敵からまもるためにpH値を一定に保つ
・ 微生物の力も借りて、その場を強化し敵とも戦う
・ 必要なもの以外、通さない。
以前、『あなたの体は9割が最近〜微生物の生態系が崩れはじめた〜』矢野真千子 訳 河出書房新社を読んだときこんなことが書かれていた。
ヒトマイクロバイオータは指紋のように各人で少しずつ異なり、まったく同一の微生物を持つ人間は二人といないそうだ。とはいえ、もちろんそれは細かく見れば違うということに過ぎず、大ざっぱに見ればヒトに宿る微生物は似たようなものらしい。
例えば。
顔や背中では、毛穴から出る脂を餌にするプロピオニバクテリウム属の細菌が、ひじや前腕では、もう少し多様なグループの微生物が共生している。へそ、脇の下、股の下など湿気の多い場所は、高い湿度を好み、汗に含まれる窒素を餌とするコリネバクテリウム属とブドウ球菌属の細菌の棲みかとなっているとのこと。
そして重要なのは、微生物がつくる「第二の皮膚」は、本来の皮膚細胞に寄る防御を強化して、人体内部を二重に守っているという事実である。
(※注 微生物の集合を遺伝子の観点から表す場合をマイクロバイオーム、個体の観点から表す場合をマイクロバイオータという。)
肌に限らず、身体中に常在する微生物は身体にとってバリアであるのだが、それを化粧品で壊すことも、いちいち消毒薬で手を消毒することも、せっかくのバリア、つまり常在細菌叢を破壊し、むしろ他の病原菌を蔓延らせることに他ならない。
過度な石鹸による手洗いだって同じ。
「清潔」とは、ときに身体の細菌叢にとっては迷惑な概念、行動ではないだろうか。