2024年02月05日

「住民税の申告不要」制度廃止により確定申告の課税方式選択にご注意!

住民税では、確定申告と異なる課税方式の選択ができなくなったため、 上場株式等の配当所得等についての確定申告では注意が必要です!

株式等の譲渡損益や配当所得の税計算においては、課税方式の選択によって納税額が変わってきます。

今年度から所得税と住民税は同じ課税方式となるため、確定申告での課税方式の選択には住民税への影響を考えて選択することが必要となります!

1.確定申告とは異なる課税方式が選べる住民税の「申告不要制度」は廃止に!

株取引に伴う節税目的で確定申告しても、住民税でかえって、負担が重くなり確定申告がしづらい面がありましたが、2016年の税制改正で、住民税で「申告不要」が行えるようになり、確定申告とは異なる課税方式を選択できるようになりました。 

しかし、残念ながら、令和4年初めに岸田政権で、この制度の廃止が検討されることになりました 従って、株取引の節税目的で確定申告する場合は、注意が必要です。

2.所得税と住民税とでは株取引の譲渡・配当所得に対するの考え方に相違があるので注意が必要!

所得税と住民税では、株式運用による譲渡所得や配当所得に対する考え方に差があります。 

住民税では、地域負担に応分の負担をという主旨から、配当控除や、過去の繰越損による本年度の利益圧縮には否定的で税負担の軽減という配慮は乏しいものになっています。

従って、確定申告で、折角、所得税節税に一番良い課税方式(総合課税か分離課税かの選択)を選んだにもかかわらず、住民税ではかえって負担が増大してしまうというケースが生じます。 

例えば、損益通算や損を繰り越すために「分離課税方式」で確定申告をすると、住民税でも「分離課税方式」が適用されます。 

この場合、住民税でも損益通算などで税還付を受けられる場合がありますが、損益通算や繰越損との相殺で益が残った部分は翌年の住民税算定に譲渡所得として参入されるため負担増になる可能性があります。 

特に、介護保険などでは、 繰越損による今年度渡所得の利益圧縮が認められず に今年度の利益(譲渡所得+配当)が所得に算入されて保険料の算定基礎に含められ負担増を招くことになりかねません。 

従って、確定申告で分離課税、特に過去の繰越損を活用する場合は、これら 介護保険料等の負担増よりも 住民税の還付金の法が大きく見込める場合を除いて得策な課税方式の選択とは言えません。

また、「配当控除」による節税目的で総合課税方式で確定申告した場合には、住民税でも総合課税方式が自動的に適用されることになりますが、この場合、住民税では、支払った配当課税5%よりも低い住民税率の2.8%しか税額控除が受けられずかえってマイナスとなります。

配当を受け取った時は、所得税で15%、住民税で5%の税金を徴収されています。

しかし、税額控除の適用を受ける「配当控除」の場合、所得税では、配当所得の10%ですが、住民税では、配当所得の2.8%しか受けられません。

このため、確定申告で「総合課税」を選択し、住民税でも「総合課税」によって「配当控除」を受けると、給与所得に配当所得が加算されてしまい住民税が高くなる可能性が大となります。

3.「課税方式の選択」は、所得税と住民税の節税メリット比較で判断する必要がある

住民税で異なる申告方法の選択ができなくなったため、確定申告の際は、所得税での課税方式が住民税に及ぼす影響も勘案して決定する必要があります。

所得税の税軽減ばかりに囚われると住民税で思わぬ負担増に招きかねません。 

従って、e‐taxで両税制での節税メリットを見極め、住民税への影響を考慮して課税方式を決める必要があります。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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