2022年02月22日

確定申告|会社員・年金者が還付金を請求できる主なケース(リニューアル)

還付金は請求しないともらえません!

還付金とは、既に徴収された所得税が何らかの事由により払い過ぎとなり返還されるものです。

確定申告により還付されますが、請求しないと権利が消滅してしまいます。

従って、還付できる事由を自ら見い出して申告する必要があります! 

会社員や年金所得者にも意外とある還付金請求事由

会社員や年金生活者は基本的には確定申告”義務”はありませんが、確定申告することで還付金を受け取れる場合が多々あります。 

確定申告により節税できれば、住民税や介護保険、地域行政サービス費負担などの軽減にも繋がります。 

意外とある還付金請求の機会を整理しました。ご参考になれば幸いです。

zei_etaxパソコン確定申告.png

還付金が請求できる主なケース

以下のケースは、誰でも還付金請求の対象者になりますが、確定申告義務がない会社員や年金生活者の方には、つい見過ごされがちとなっています。 

大変もったいないことなので、是非、該当するものがないかどうかを注視していただきたいと考えます。 

なお、申告内容等は大まかな例示ですので、細部については、個々のケースに対応した申告内容に詰める必要があります。

還付金が請求できる主なケース

以下に該当するものがあれば、確定申告で還付金が受けられる可能性があります。

還付金が請求できる主なケース(主な対象者)
1.株式等で資産運用している場合

2.家族で多額の医療費又は「スイッチOTC医薬品」支出があった場合

3.ふるさと納税などで2,000円を超える寄付をした場合

4.災害や盗難等で被害を受けた場合

5.公的年金以外に企業年金を受けている場合(年金者)

6.ローンや自己資金で増改築やリフォームした場合

7.マイホームを購入し住宅ローン控除を初めて受ける場合(主に給与者)

8.年の途中で会社を退職して年末調整を受けてない場合(主に給与者)

9.年末調整後に控除内容に変化があった場合(主に給与者) 10.他の所得控除項目(生命保険料、地震保険料、扶養控除等)で控除額が増えた場合(主に年金者)

このような場合、確定申告で所得税の軽減が図られるばかりか、住民税や社会保険料の軽減に繋がる場合もあります。 

但し、所得税と住民税では、税の捉え方に若干の差があるため、中には、確定申告と同課税方式の場合では、住民税に負担が重くなる場合もあります。 

このため、住民税では、確定申告とは別に、「確定申告と異なる課税方式」を選択できる制度があり、そちらを選択した方が良い場合もあります。  

ケース毎の還付金請求ポイント

以下のようなケースでは確定申告により税金の還付が受けられる可能性があります。

特に、年収660万円以下(所得税法別表第五該当)の会社員や年金生活者の方には、還付金のチャンスが多いと思われます。

1.株式等で資産運用している場合

株式投資に伴う売買損益や配当所得にかかる税金(20%税率)の税軽減措置の適用を受けるための確定申告となります。 

主に、損益通算による税軽減措置を受けるための分離課税方式か、所得控除を受けるための総合課税方式かの選択で確定申告をすることになります。

運用結果 確定申告方法
?@ 株式等の売買により利益が出た(損があっても小さい)場合 ⇒総合課税方式で「配当控除」を受ける
?A 株式等の売買で大きな損が出た場合 ⇒分離課税方式で損を繰越す。但し、?@の配当控除を受けるメリットの方が大きければ?@を選択する。
? 前年迄に繰越損があり、今年の株式等の売買益及び配当がある場合 ⇒分離課税方式で損益通算をする。

詳細は、「 確定申告|株式等の譲渡損益・配当の賢い還付申告の仕方解説 」をご覧願います。

2.家族で多額の医療費支出があった場合

所得控除の一つである「医療費控除」の適用を受けて、所得税の軽減を図るための確定申告になります。 

プライバシーもあり、年末調整などには取り扱われず、あくまでも確定申告による医療費負担軽減措置となります。 

従って、医療費は、扶養家族全員の医療費(含む通院費等)が対象になります。

また、健康保険適用ありなしにかかわらず治療にようした費用となります。

医療費支出実績 確定申告方法
?@医療費が年間10万円を超えた ⇒所得控除項目の「医療費控除」
?Aセルフメディケーション税制の対象となる「OTC医薬品」を1万2,000円超買った ⇒所得控除項目の「医療費控除」

但し、?@と?Aの併用はできない。

3.「ふるさと納税」で2,000円を超える寄付をした場合

地域活性とふるさとへの恩返しをかねた「ふるさと納税」は、節税と返礼品の魅力から年々利用者は急増しており、なくてならない節税ツールともなっています。

 「ふるさと納税」は、確定申告義務のないサラリーマンや年金所得者には、確定申告せずとも利用できる「ワンストップ特例制度」があります。 

しかし、1年間の利用地域が多くなったり、他に、確定申告しなければならないことがあると、せっかくワンストップ特例を利用していても、確定申告する場合は、ふるさと納税すべてを確定申告に含めなければならなくなります。 

従って、ふるさと納税については、確定申告できるようにしておく必要があります。 

限度額内であれば、2000円を除く全額が、所得税(ご自分の所得税率分)と住民税で還付されます。

ふるさと納税実績 確定申告方法
「ふるさと納税」で2,000円を超える寄付をした場合 ⇒所得控除項目の「寄付金控除」

4. 豪雨・台風などの災害や空き巣などの盗難等で被害を受けた場合

自然災害や盗難などで損失被害を受けた場合は、税が軽減されます。 

なお、 「雑損控除」の適用を受ける場合は、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載し、災害等での支出金額を証する書類を添付するか、提示が必要になります。

 従って、自然災害等で補修した場合や盗難や横領での被害額も何らかの証憑が必要になります。

風水害・盗難等の被害 確定申告方法
風水害・盗難等の損害実績 ⇒所得控除項目の「雑損控除」

詳細は、「 確定申告|風水害等の被災は所得税等の税優遇や免除が受けられる! 」ご覧願ます。

5.公的年金の所得に企業年金所得を含む場合

年金所得者の多くの方は、厚生年金などの公的年金以外で、退職金の一部を拠出した企業年金からの年金も受け取られている方が多いと思われます。 

公的年金の場合は、国民健康保険等の社会保険料や配偶者控除等の所得控後の課税所得に税率を乗じて所得税が源泉徴収されていますが、企業年金は、それら所得控除なしに税率を乗じて源泉徴収されています。 

このため、年金額合計でみると、企業年金にかかった税金は割高になっています。

このため、確定申告するとその分が還付金の対象になります。

確定給付企業年金の源泉徴収税額は所得控除前のため、公的年金との合算による総所得から所得控除を差し引いた課税所得では税還付の可能性が出る。
⇒確定申告の第一票を使えば結果が出る

詳細は、「 確定申告|1月はe-Taxで還付申告の準備をしよう! 」をご覧願ます。

6.ローンや自己資金で増改築やリフォームした場合

景気振興や持ち家促進等から、新築ばかりでなく、増改築やリフォームにたいしても税優遇措置がとられています。 

住宅をリフォームした場合、各種優遇税制が受けられます!

住宅をリフォームした場合、工事内容や住宅要件を満たしていれば、次のような税制優遇措置が受けられます。

所得税の減税 住宅をローンや自己資金でリフォームをした場合、工事内容や住宅要件を満たしていれば、確定申告することで所得税の控除を受けることができる
固定資産税の減税 耐震、省エネ、バリアフリーなどの工事に50万円以上をかけてリフォームする場合は、確定申告で1年間に限り、固定資産税の二分の一又は三分の一が減額措置が受けられる
贈与税の非課税 リフォームのために父母や祖父母から資金の贈与を受けた場合、確定申告により一定額まで贈与税がかからない非課税措置の適用が受けられる場合があります

詳細は、「 リフォームに適用される「所得税減税」の種類と内容 」をご覧ください。 

従って、リフォームや増改築しておれば還付金の対象になります。

リフォームはいろんな税制優遇措置が受けらる。
⇒確定申告

7.マイホームを購入し住宅ローン控除を初めて受ける場合(給与者)

この場合は、大抵、マイホーム購入時に融資元から適切なアドバイスがあるので漏れはないと思われます。 

制度の概要

・毎年の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除 

・所得税で控除しきれない分は住民税からも一部控除 

・住宅ローンの借入れを行う個人単位で申請 

・令和元年10月の消費税率引上げにあわせて控除期間を13年間に拡充

住宅ローン控除を今後受ける申請
⇒確定申告

8.年の途中で会社を退職して年末調整を受けてない場合(主に給与者)

年の途中で退職して再就職をしなかった場合、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。 ⇒確定申告(略)

9.年末調整後に控除内容に変化があった場合(主に給与者)

年末調整が終わった後の12月31日までの間に、控除対象の扶養親族などに変動があれば、12月31日現在の控除対象扶養親族で判定を行うことになっています。 

従って、異動した場合は、確定申告する必要があるので、変動日には注意が必要です。 ⇒確定申告(略)

10.他の所得控除項目(社会保険料、生命保険料、地震保険料、扶養控除等)で控除額が増えた場合

会社員の場合、年末調整で確認した社会保険等の所得控除項目には、確定申告まで必要とする変動要素は少ないと思われます。 

しかし、年末調整のない年金所得者の場合、生命保険や地震保険、寄付控除などの申告場がないため、確定申告すると、課税所得が下がり、企業年金等で源泉徴収された所得税は還付される場合が多いといえます。 

従って、年金所得者で生命保険料や地震保険などの所得控除項目がたくさんある場合には、確定申告で還付が受けられる可能性は高いといえます。 是非、e-Taxで試算されることをお勧めします。 ⇒確定申告(略)

最後に

確定申告の義務がない会社員や年金所得者にも、このようにいろいろなケースで節税のチャンスがあります。 

確定申告は、貴重な節税機会となります。

税金は、申告しないと原則戻されることはありえません。

また、還付申告には時効があります。 

今回は、還付請求できる主なケースを整理しました。 

是非、これらに該当する場合は、是非ともe−taxを使って試算してみることをすすめします。 

e−taxについては、「 確定申告|1月はe-Taxで還付申告の準備をしよう! 」をご覧願ます。

ーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

おすすめカードリーダー

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2022年02月21日

確定申告|e-Taxを使えば還付金の有無確認が容易にできる!(リニュアル)

e-Taxは、PCで確定申告や還付金チェックができる便利なツール!

「e-Tax」の魅力は、「税務署に行かなくてもいい」、「土日や深夜でも申告できる」、「添付書類を省略できる」などのメリットがありますが、 何といっても還付金が得られるかどうかの確認が簡単にできることが一番の魅力ではないでしょうか?

必要事項を入力していく都度、還付金額が表示される上に、何度でも訂正できます。 

初めて「e-Tax」を使われる方を想定して「e-Tax」の利用手順を整理しました。 

一度試みれば翌年からは簡単にできるようになります。参考になれば幸いです。

zei_etaxパソコン確定申告.png

?T.e-Taxは、パソコンで確定申告や還付金有無を確認できる便利なツール

1.確定申告は重要な節税ツール

確定申告は、確定申告義務がない会社員(給与所得者)や年金所得者にとっても、特に株式投資や副業などをされている方、医療費支出が多かったり住宅を購入された方にとっては、大変重要な節税機会となります。

節税(還付金請求)項目にはどういうものがあるか

次の表のように、自分で確定申告しないと節税の恩恵が受けられないものが多くあります。

 また、これとは別に、株式運用されている方を対象に、取引などの損失を生かした損益通算や配当控除などの節税機会もあります。

給与所得者 雑損控除 医療費控除( セルフメディケーション) 寄附金控除 住宅耐震改修特別控除 住宅特定改修特別税額控除 など
年金所得者 生命保険料控除 地震保険料控除 雑損控除 医療費控除 セルフメディケーション税制による医療費控除の特例 寄附金控除 など

確定申告しないと所得税ばかりか住民税その他の負担軽減機会も逸する

これらの項目は、自分で気がついて確定申告しないと節税できないばかりか、節税することによって住民税や他の社会保険や地域行政サービス負担の軽減チャンスも逸することになります。

2.e-taxは、pcで確定申告や還付金有無確認が簡単にできる便利なツール

1)e-Tax(イータックス)とは

e-Tax(イータックス)とは、国税庁が運営するインターネット上の「 国税電子申告・納税システム」を利用することにより、 パソコンやスマホで 国税の申告・申請・納税等を行えるようにしたものです。

従って、 「e-Tax」は、パソコンやスマホがあれば、事前準備さえできれば、画面の指示に従って入力を進めれば簡単に作成できるようにシステム化されています。

おかしい入力があれば、都度指摘され、修正も何度でも可能です。 

e-taxでできること

・税務署に行かなくても自宅からネットで申告できる 

・生命保険料控除の証明書などの添付書類の提出省略 

・還付がスピーディー ・24時間受付でe-Taxの利用が可能

2)e-Taxは気軽に還付金(節税)の有無がチェックできる便利なツール

「e-Tax」の魅力は、「税務署に行かなくてもいい」、「土日や深夜でも申告できる」、「添付書類を省略できる」などのメリットがありますが、 何といっても、 「国税電子申告・納税システム」を利用して、 還付金が得られるかどうかの確認が簡単にできることが一番のメリットです!

特に、株式運用者にとって、節税方法には、総合課税方式と分離課税方式の選択によって節税額は異なり、住民税への影響も気になります。

従って、両方とも試算して有利な方を選ぶ必要がある場合があります。

こういった場合にも、簡単に、e-taxで試算確認ができ、有利な選択をするのに役立ちます。

 また、身近でパソコンに向かって作業できるので、毎年手軽に確定申告に関心を持っていられることではないでしょうか?

3)e-taxは、過去の確定申告書類等がいつでも閲覧・利用できます

etaxには、自分専用のBOXがあり、過去の確定申告書類や税務署との送信、受信メール等が保管されており、閲覧や再利用ができるので便利です。

?U.「e-Tax」利用の為の事前準備と利用手順

1.「e-Tax」を利用するための事前準備

税務署に出向くことなくパソコンやスマホで確定申告するためには、「e-Tax」を利用するための本人認証できる事前手続きや認証ツールなどが必要になります。 

「e-tax」利用のための事前準備事項は、次のような項目になります。 

詳細は、「 e-taxの事前準備はこれ!e-taxで還付金の有無が確認できる をご覧願います。

1)「事前準備セットアップファイル」のダウンロード

e-taxを利用するためには、毎年、事前にパソコンに「◯◯年度事前準備セットアップファイル」をダウンロードしてパソコンの環境を整備しておく必要があります。

2)「マイナンバーカード」か「IDとパスワード」の取得

e-taxで確定申告書を作成し申告するためには、間違いなく本人のものであることを裏付ける必要があります。 

このための本人確認に用いられるのが、「マイナンバーカード」か「税務署交付のIDとパスワード」になります。 

従って、パソコンで確定申告するには、「マイナンバーカード」か「税務署交付のIDとパスワード」のいずれかを事前に用意しておく必要があります。

3)「利用者識別番号」の取得

e-Tax利用のためには、「利用者識別番号(半角16桁の番号)」の取得も必要となります。

「利用者識別番号(半角16桁の番号)」は、納税者個人のアカウントとなるものです。

主旨は、他者のなりすましを防ぐため、16桁の識別番号とパスワード事前に登録しておくというものです。「受付システム」等の利用にも必要になります。

2.パソコンで 確定申告する作業手順

事前準備が整えば、確定申告に必要な「源泉徴収票」や「生命保険料」や「医療費」等の諸帳票を準備して、パソコンで確定申告の作成と申告手続きを行うことになります。 

詳細は、「 e-taxの事前準備はこれ!e-taxで還付金の有無が確認できる をご覧願います。

1)「確定申告書等作成コーナー」で作成開始する

?国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成コーナートップ」画面の 「作成開始」をクリック します。

2)税務署への提出方法の選択

?確定申告書の税務署への提出方法を、次の4つの選択タブから選び、該当するタブをクリックします。 

?@「マイナンバーカード方式(2次元バーコード)」

?A「マイナンバーカード方式(?Cカードリーダライタ)」

?「ID及びパスワード方式」

?C「印刷して提出」

?タブによって次画面が以下の様に異なります 

?@と?Aの場合  ⇒「作成する申告書等の選択」の画面に移ります。 

?の場合    ⇒「 e-taxを行うための事前確認」画面に移ります。 

?Cの場合    「e-taxを行うための事前確認」画面に移ります。

3)「作成する申告書等の選択」

?「作成する申告書等の選択」の画面で、「作成する申告書等」と「年分」を選択しクリック 

?「申告する税区分を選択する」画面 「所得税」を選択する 

? 「マイナーポータル連携」画面で「連携する」、「しない」のいずれかをクリックする。

?「確認して次へ」をクリックすると、マイナンバーカード方式等の認証手続き画面に移る。

4)画面の案内で入力で進める

後は、順次準備した源泉徴収票や生命保険・医療保険などの控除証明書、各種帳票類などをもとに、画面の指示に従って入力していけば進めていけます。

一度作業を経験すれば慣れます。毎年のことなので是非挑戦してみてください!

最後に

e-Taxの「 確定申告書等作成コーナー 」を利用すれば、簡単に還付金を受けられるかどうか確認できます。

所得税の節減は、ほとんどの場合、住民税の軽減に繋がり、ひいては地域行政サービス(国民健康保険料や介護保険料、児童手当等)の負担軽減にも繋がります。

一度、マイナンバーカード取得か、税務署へ行って本人確認のためのID取得とパスワード設定を行えば、毎年、無料で簡単に 「e-Tax(イータックス)」が利用できます。

e-Taxを利用して 節税利益を享受しましょう!

ーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

おすすめカードリーダー

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2022年02月20日

確定申告|節税ツール”e-tax”利用に必要な事前準備はこれ!(リニュアル)

確定申告は、難しく手間がかかりそう?

そう思って、折角の節税のチャンスを見逃している方が多いのではないでしょうか? 

しかし、e-taxを利用すればパソコンで簡単に作成でき、オンラインで送信すれば税務署に出向く必要もありません。

確定申告は、節税のチャンス!

確定申告義務がない「サラリーマン」方でも、医療費控除や住宅控除外に 年末調整で織り込めなかった控除対象・金額やふるさと納税や寄付金、株取引等運用損や配当控除などで節税できることも多く、年金収入者も、生命保険や地震料、ふるさと納税や寄付金、株取引等運用損や配当控除などで節税できる場合が多くあります。

※但し、サラリーマンでも、年収2,000万円を超える人や副業所得、或いは従たる給与が20万円を超える人は確定申告が必要です。

e-Taxを利用すれば、 パソコンで簡単に試算できます。

是非、 e-Tax を利用して節税に役立てましょう!

確定申告すれば意外と節税に繋がる場合が多い!

会社で年末調整を受けるサラリーマンも、医療費控除やふるさと納税、寄付金、配当所得や株式投資譲渡損などで還付を受けられる可能性があります。

特に年末調整などの機会がない年金者の方は、医療費控除は勿論、生命保険料や地震保険料、ふるさと納税、寄付金、配当所得や株式投資譲渡損などで還付を受けられる可能性はは高いと思われます。

e-Taxを使って節税(還付金)の試算をしよう!

e-taxを使えばパソコンで簡単に確定申告の試算ができる!

確定申告は、e-Tax(イータックス)を利用す れば、国税庁HP「確定申告書作成コーナー」の画面指示に従って、 パソコンで金額等を打ち込んでいけば簡単に作成できます。 

しかも、 瞬時に還付金額が表示されるので、還付金の有無や大きさが簡単には開くできます。重宝な試算ツールですね!

e-tax利用のための「事前準備」

e-Taxを利用するためには、事前準備が必要です。

しかし、一度事前準備事項を整えれば、毎年、パソコンやスマホでe-taxを利用して 簡単に確定申告書が作成でき、申告も自宅に居ながら税務署に提出できます。

何よりも、 簡単に、還付金が得られるか、節税ができるかが瞬時に分かります。

e-Taxを利用するために必要な事前準備

税務署に出向くことなく「e-Tax」(国税電子申告・納税システム」を利用してパソコンやスマホで確定申告するためには、本人確認の為の個人認証手続きにまつわる次の事前準備が必要となります。

1.「事前準備セットアップファイル」をダウンロード
認証などの為に、「事前準備セットアップファイル」をダウンロードしてパソコン環境を整備しておくことが必要

2.「マイナンバーカード」か「IDとパスワード」の事前準備
認証に必要な「マイナンバーカード」か「IDとパスワード」を事前に取得しておくことが必要

3.「利用者識別番号」の取得
他者のなりすましなどを防ぐため、個人アカウント(16桁の利用者識別番号)とパスワードを事前に登録しておくことが必要

以下、これらの事前準備のしかたを解説します。

1.「事前準備セットアップファイル」のダウンロード

e-taxを利用するためには、毎年、事前にパソコンに「◯◯年度事前準備セットアップファイル」をダウンロードしてパソコンの環境を整備しておく必要があります。 

このため、これに対処していなければ、認証場面で、「事前準備を行ってください」や「セットアップが未完了です」などのメッセージが表示され、先に進めません

「事前準備セットアップファイル」をダウンロードのしかた

まず、パソコンで検索して、「 e-Tax 事前準備 のご案内 - 国税庁 」にアクセスし、下の画面から、自分の個人認証方式に対応したタブをクリックする。

例えば、マイナンバーカード方式で個人認証を行う場合は、 「マイナンバーカード方式」タブをクリックする。 

すると、下の 「事前セットアップのダウンロード」画面が表示されるので、Windowsパソコンを利用されている場合は、 「windowsをご利用の方はこちら」タグをクリックします。

すると、タグの下に、次の様に赤色のダウンロードボタンを表示するので、これをクリックします。 

すると、作業しているパソコンの画面右上部に 「ダウンロード」と「 ファイルを開く」の表示が出るので 「ファイルを開く」をクリックします。

次に、 ダウンロードを「許可しますか?」の画面に代わりますので、「はい」をクリックするとダウンロードが始まます。 

後は、 指示に従ってクリックしていく インストールが完了します。 

以上で、あなたのパソコンは、今年度の確定申告に対応できる体制が整いました。  

2.「マイナンバーカード」又は「IDとパスワード」の準備

e-taxで確定申告書を作成し申告するためには、間違いなく本人のものであることを裏付ける必要があります。 

このための本人確認に用いられるのが、「マイナンバーカード」か「税務署交付のIDとパスワード」になります。 

従って、パソコンで確定申告するには、「マイナンバーカード」か「税務署交付のIDとパスワード」のいずれかを事前に用意しておく必要があります。

「マイナンバーカード」
市区町村への申請により交付される個人番号カードで、おもて面には本人の顔写真と氏名、住所、生年月日、性別が記載され、裏面にはマイナンバーが記載されています。
「ID・パスワード」
税務署に出向き、税務職員と対面により発行される本人認証のためのIDとパスワードです。

1)「マイナンバーカード方式」の場合の事前準備

(1)「マイナンバーカード」と、それを読み取る「ツール」が必要

マイナンバーカード方式の認証手続きには、「マイナンバーカード」と、それを読み取るツールが必要で、従来は、「カードリーダー」のみでしたが、今回からは、「スマホ」で読み取る方法も可能となりました。 

従って、「マイナンバーカード方式」は、次の?@と?Aを事前準備する必要があります。 

?@本人証明用の「マイナンバーカード」 

?A読み取る為の「ICカードリーダー」か、適合機種の「スマホ」

なお、?Aの読取りについては、次の様な画面で選択を求められことがあります。

(2)「マイナンバーカード」の取得方法

マイナンバーカードは、住民票のある市区町村で取得しますが、取得方法には、次のような方法があります。 

なお、マイナンバーカードに登録された電子証明証の有効期間は、交付から5回目の誕生日を迎えるまでとなっていますので、有効期限には注意が必要です。 

◯「交付申請書」による申請

通知カードに同封されていた「交付申請書」に必要事項を記入し、顔写真を貼って郵送するか、市区町村の窓口で申請できます。

いずれの方法でも発行までには1カ月程度かかるので注意が必要です。 

◯オンラインによる申請

オンライン申請用サイト で必要事項を入力し、スマートフォンのカメラで撮影した顔写真を登録して申請できます。 

◯証明写真機からの申請

マイナンバーカード対応のステッカーが貼ってある証明写真機から、画面の案内に従って必要事項を入力し、顔写真を撮影・送信して申請できます。

(3)読み取り用「ICカードリーダー」の取得方法

カードリーダーは、通販や家電量販店などで購入できます。

 「マイナンバーカード(個人番号カード)」に対応したカードリーダについては、「公的個人認証サービスポータルサイト」の 「マイナンバーカードに対応したICカードRW一覧」(外部リンク) で確認できます。 

なお、 公的個人認証サービスポータルサイト にアクセスし、利用者クライアントソフトをインストールして電子証明書を予め確認をしておくことが必要です。

(4)読み取りに使える「スマホ」の適合機種

パソコンの画面に表示された2次元バーコードをスマートフォンで読み取るためには、スマホが「マイナポータルアプリ」に対応している必要があります。 

マイナンバーカード読み取りの具体的方法は、スマートフォンにインストールした「マイナポータルアプリ」でパソコン等に表示された2次元バーコードを読み込むことで、スマートフォンとパソコン等の連携(接続)が可能となります。  https://youtu.be/_bSyj4rs2nc 

◯スマホの対応機種確認は「 こちら

2)「 IDおよびパスワード方式」の事前準備

パソコンで確定申告するために必要な「ID・パスワード」の取得は、税務署で担当官と面会し、運転免許証などの本人確認書類と照合を経て、「 ID・パスワード方式の届出完了通知 」の形で受け取ります。 

なお、「確定申告書等作成コーナー」で、マイナンバーカードとカードリーダーを使って「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を送信することにより、「ID・パスワード」を取得することもできます。

3.「利用者識別番号」の取得

e-Tax利用のためには、「利用者識別番号(半角16桁の番号)」の取得も必要となります。

「利用者識別番号(半角16桁の番号)」は、納税者個人のアカウントとなるものです。

主旨は、他者のなりすましを防ぐため、16桁の識別番号とパスワード事前に登録しておくというものです。「受付システム」等の利用にも必要になります。

用者識別番号の取得方法

取得方法は、下記のように多種あります。

注意!「再発行」の手続きを行うと、今までの情報は消滅します!

なお、既に利用者識別番号を取得されている方が、 新たに利用者識別番号を取得すると、今までの利用者識別番号は利用できなくなり、申告書等の送信結果が格納されている「メッセージボックス」の確認ができなくなります。

従って、今までの利用者識別番号、暗証番号が分からない場合は、「 変更届出 」の手続きを行ってください。 

具体的な取得手続きは、「 e-taxご利用の流れ 」をご覧になって、やり易い方法で取得してください。

【取得方法?@】WEBからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
【取得方法?A】WEBから利用者識別番号を取得する
【取得方法?B】マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-Taxを利用する
【取得方法?C】WEBからID・パスワード方式の届出を作成・送信する
【取得方法?D】税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
【取得方法?E】書面で利用者識別番号を取得する

「取得方法?@:WEBからマイナンバーカードを使ってアカウント(利用者識別番号)を登録する」の手順を紹介します。

?@まず、受付システムログイン画面を開く

「確定申告書等作成コーナー」の「作成コーナートップ」画面の右側にある「メッセージボックスの確認」の「確認する」ボタンをクリックすると、「受付システムログイン」画面が開けます。

作成コーナートップ メッセージボックスの確認 受付システムログイン画面

?A「受付システム ログイン」画面で「マイナンバーカードでログイン」ボタンをクリックすると、次のマイナンバーカード認証方式の選択画面が出ます。 どちらかを選択してマイナンバーカードの認証を受けます。

?すると、次の画面が表示されるので、マイナンバーカードの「利用者証明用パスワード(数字4桁)」を入力し「OK」をクリックする。

?C次の画面に代わるので、「初めてe-Taxをご利用される方はこちら」をクリックします。

すると、その下に、「マイナンバーカード情報の確認」ボタンが表示されるので、それをクリックする。

キャプチャ初めてetaxを利用.PNG

?D入力方法の選択は、「マイナンバーカードから読み取る」を選択し、「ICカードリーダライタで読み取り」か「スマホ」をクリックすると、利用者証明用パスワード(数字4桁)の入力画面が表示されます。

それを入力し「OK」をクリックする。 すると、下に「マイナンバーカード情報」欄に氏名等が表示されるので、内容を確認、間違いがないことを確認して「次へ」をクリックする。

CAPTUREマイナンバーカード.PNG

?E下表の「利用者情報入力」画面が出ますので、必要事項を入力し、「確認」をクリックする。

?F提出先税務署名に誤りがなければ、「OK」をクリックする。

?G【既に利用者識別番号を取得されている方へ】の注意・警告メッセージを確認して「OK」をクリックする。

これは、既に登録し利用されていたにもかかわらず、ここで新たに作成すると、前に登録していた識別番号は抹消され、今までのデータ等が見れなくなるとの警告です。

?H入力に誤りがなければ「送信」をクリックする。 ?I「利用者識別番号の通知を希望する」にチェックを入れて、「OK」をクリックする。

?Jすると、画面に「利用者識別番号」が表示されるので、「次」へをクリックする。

?K「利用者識別番号は再表示されない」ので、保存等を促すメッセージが表示されるので、「OK」をクリックする。

?L受付システムのメインメニューが表示されますので、これで「利用者識別番号」の登録が完了しました。

以上で、e-tax利用の事前準備が整えば、いつでもe-taxのシステムが利用できます。

e-Taxの利用手順

事前準備が整えば、いつでも「確定申告書等作成コーナー」を使って、所得税の確定申告作業ができるようになります。
e-taxを使った確定申告の流れは、国税庁.HPの「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、次の様な手順で作業を進めていくことになります。
1. 作成方法の選択」⇒「2. 税務署への提出方法の選択」⇒「3. 作成する申告書等の選択」⇒「4. 申告書等の作成・中断・再開」⇒「5. 申告書等の提出」
確定申告に必要な資料は、給与や年金等の源泉徴収票や健康保険等の社会保険料、生命保険や地震保険料、ふるさと納税や寄付金、医療費や住宅控除など様々ありますが、全てが整わずとも入力・保存、再開が可能なので、入力できるものから試していきましょう。

最後に

金額等を必要事項に記入していく都度、還付金(還付金を受ける為に確定申告する場合です。)が表示されます。

確定申告をするかしないかにかかわらず、毎年、e-taxで節税のチャンスがないかどうかの確認をされることをおすすめします。

確定申告で還付金を受けるなどで 所得税を節減できれば、住民税の軽減や住民税に紐づく社会保険料(国民健康保険や介護保険料等)や地域行政サービス負担費の軽減にも繋がります。

是非、e-Taxの事前準備を整え、節税に活用しましょう。 最後までお読み頂きありがとうございました。

ーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

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確定申告|会社員や年金者にも意外と多い所得税還付機会の確認を!(リニュアル)

1月になると確定申告のシーズン到来で、特に還付請求は直ぐできます!

前年度の諸帳票も手元に集まりますので、1月中旬には確定申告に必要なデーターが手元に整います。

還付金請求は直ぐにでもでき、確定申告すれば早く還付金が貰えます。 

従って、早く還付金の有無を確認し、メリットがあれば確定申告で節税チャンスを生かしたいものです。 

確定申告義務がない会社員や年金所得者も、確定申告すれば節税できるものが沢山あります。

株式取引や特に年金者の生命保険料控除など多々対象があります。 

その際、役立つのがe-Taxです。

利用するにはマイナンバーカード入手等の事前準備が必要です。

zei_etaxパソコン確定申告.png

会社員・年金所得者にも意外とある所得税の還付機会

1.会社員や年金所得者には確定申告義務はない

給与及び年金所得者は、会社や年金機構が税納入代行するので基本的には確定申告義務はありません。

但し、給よ所得者が、「個人事業主」であったり、「会社員でも2000万円以上の年収があったり、2箇所以上から給与を受けている方」、「株取引を一般口座で行っている方や、特定口座でも源泉徴収を選択していない方」などは必ず確定申告しなければなりません。

2.但し、給与・年金所得者も税還付の機会は多くある

所得税や住民税には、所得控除(税金を課さない金額)や税額控除の対象となる控除項目があります。 

医療費や社会保険料、生命保険料、扶養配偶者や扶養家族数、株などの損失、災害による損害などがあり、各世帯の状況に対応した税負担の軽減措置が設けられています。( 所得控除項目 ) 

控除金額が多ければ多いほど課税対象金額は小さくなり税金を軽減できます。

 従って、これらの各種控除項目の状況によっては確定申告すると、 収めた所得税や住民税の一部又は全部が還付されるばかりでなく翌年度の住民税負担等が軽くなる場合が多々あります。

3.確定申告で還付が受けられる主なケース

1)給与所得者の場合

毎年のことで言えば、主に、医療控除、ふるさと納税、株式の損益通算などに着目した還付申告の機会があります。 これらの思い当たる場合は、確定申告を検討されることをおすすめします。

(国税庁) 給与所得者は、次のような場合には、原則として還付申告をすることができます

2)年金所得者の場合

毎年のことで言えば、主に、医療控除、生命保険・医療保険や地震保険、災害や盗難などの損失、ふるさと納税、株式の損益通算などに着目した還付申告の機会があります。 
特に、会社員と違って生命保険・医療保険や地震保険等の控除の申告機会がないため、これらを含めて確定申告すると還付が受けられることが多くあります。
これらの思い当たる場合は、確定申告を検討されることをおすすめします。
年金所得者も次のような場合に還付申告できます。
(1) 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
(2) 多額の医療費を支出したとき
(3) 特定の 寄附をしたとき
(4) 上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき

4.e-taxを使えば、還付金の有無確認や有利な選択の試算ができる

「e-Tax」の魅力は、「税務署に行かなくてもいい」、「土日や深夜でも申告できる」、「添付書類を省略できる」などのメリットがありますが、 何といっても、「国税電子申告・納税システム」を利用して、還付金が得られるかどうかの確認が簡単にできることが一番のメリットです!

特に、株式運用者にとって、節税方法には、総合課税方式と分離課税方式の選択によって節税額は異なり、住民税への影響も気になります。

従って、両方とも試算して有利な方を選ぶ必要がある場合があります。

こういった場合にも、簡単に、e-taxで試算確認ができ、有利な選択をするのに役立ちます。 

また、身近でパソコンに向かって作業できるので、毎年手軽に確定申告に関心を持っていられることではないでしょうか?

最後に

確定申告義務がない給与及び年金所得者も確定申告すれば節税できる機会は沢山あります。 

仮に還付金を受ける可能性が無かったとしても確定申告作業を通じて節税ポイントなどが見えてくると思います。 

e-Taxを利用すれば簡単に還付金の有無確認でき、また申告も税務署に出向かずに手軽にできます。 

是非、年1度、この時期には、確定申告義務はなくても、還付金の有無を確認し、節税のための工夫を考えて見られることをおすすめします。

ーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

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株取引の確定申告|株運用の節税には「住民税の申告不要」の理解も重要(リニュアル)

株取引の節税目的で確定申告する場合は、住民税「不要申告」の理解が重要!

以前は、株取引について節税目的で確定申告をすると、自動的に確定申告での課税方式が住民税にも適用され住民税の負担増を招くことが多くありましたが、2016年の税制改正で、住民税において「申告不要」の手続きすれば、確定申告とは異なる課税方式の選択ができるようになりました。 

株式運用の節税目的で確定申告する場合は、住民税の「申告不要」に留意されることをおすすめします。

zei_etaxパソコン確定申告.png

住民税の課税方式は、原則、確定申告と同一に注意

市区町村での住民税の算定は、基本的には、税務署から送られてくる確定申告データーに基づいて作成されます。 

従って、確定申告で、株取引の節税のために「総合課税方式」を選択すれば、住民税も同じ課税方式に基づいた基礎データーにより住民税を算定します。

株取引の譲渡及び配当所得に対する所得税と住民税の捉え方に差があることに注意!

所得税と住民税では、株式運用による譲渡所得や配当所得に対する考え方に大きな差があります。 

住民税では、地域負担に応分の負担をという主旨から、配当控除や、過去の繰越損による本年度の利益圧縮には否定的で税負担の軽減という配慮は乏しいものになっています。 

従って、確定申告で、折角、一番良い節税方法を選んだにもかかわらず、住民税ではかえって負担が増大してしまうというケースが生じます。

「申告不要制度」により住民税では確定申告とは異なる課税方式選択が可能に

折角、株取引に伴う節税目的で確定申告しても、住民税でかえって、負担が重くなり確定申告がしづらい面がありました。 

このため、2016年の税制改正で、住民税で「申告不要」が行えるようになり、確定申告とは異なる課税方式を選択できるようになりました。 

これにより、確定申告では最も有利な節税方法が選択できるようになりました。 (しかし、残念ながら、令和4年初めに岸田政権で、この制度の廃止が検討されることになりました) 

従って、株取引の節税目的で確定申告する場合は、この「申告不要制度」の活用に留意が必要です。

住民税での「申告不要制度」は事前に届け出が必要!

確定申告とは異なる課税方式を選択すためには、「確定申告前」に、「住民税申告書」を市区町村へ提出し「申告不要」の旨を伝える必要があります。

詳細は、お近くの市区町村窓口にお問い合わせください。

異なる課税方式選択でメリットが出るケース

株取引による譲渡所得や配当所得等の申告において、異なる課税方式を選択することによりメリットが考えられるケースは主に次の2つが上げられます。(「特定口座を持ち源泉徴収あり」を想定)

?@配当控除を受ける為、所得税で総合課税を選択した場合、住民税は申告不要制度(または申告分離課税)」を選択する

税額控除の適用を受ける「配当控除」は、所得税では、配当所得の10%ですが、住民税では、配当所得の2.8%しか受けられません。

そもそも、配当を受け取った時は、所得税が15%、住民税が5%の税金を徴収されています。 

確定申告で「総合課税」を選択し 「配当控除」を受けて税軽減をはかる場合、確定申告を提出したままだと、住民税では、給与所得等に配当所得が加算され住民税が高くなる可能性があります。 

従って、この場合、住民税で「申告不要」をとれば、住民税では配当の影響を排除できることになります。

?A譲渡所得の節税目的で確定申告で申告分離課税を選択した場合に、住民税は「申告不要制度」を選択する

損益通算や損を繰り越したい場合、「分離課税方式」で確定申告をしますが、そのままにすれば、住民税でも「分離課税方式」により税還付を受けられる場合がありますが、翌年の住民税算定に譲渡所得(損益通算や繰越損との相殺で益が残った部分)が参入され負担増になる可能性があります。 

特に、介護保険などでは、繰越損による今年度渡所得の利益圧縮が認められず保険料の算定基礎に含められて負担増を招くことになります。 

従って、確定申告で分離課税、特に過去の繰越損を活用する場合は、住民税で「申告不要(別申告)」の手続きをすることによって、これらの影響を排除することができます。 

但し、「申告不要(別申告)」の場合には、住民税の還付(源泉徴収された所得税を含む20%のうちの住民税相当の5%分)は受けられなくなります。

従って、介護保険料の負担増よりも 住民税での還付金が大きく見込める場合は、あえて住民税を不要申告する必要がない場合もあります

最後は、損得の大きさで選択するしかありません。

最後に

確定申告の際は、所得税の税軽減ばかりに囚われると住民税で思わぬ負担増に招きかねません。 

従って、e‐taxで確定申告での節税メリットの大きさを見極め、住民税へのはね返り等を比較して住民税の申告方法(異なる申告を申し出るか否か)を決める必要があります。 

必要な場合は、住民税申告書を活用し確定申告前に、市区町村に相談することをおすすめします。

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確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

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2022年02月18日

株式投資の確定申告|利益・配当にかかった高い税金を取戻す申告方法(リニュアル)

確定申告には株式運用にかかる高い税金を減らせる仕組みがあるので利用しないとのはもったいないですね!

株式投資の利益や配当には、 一律に20.315% (所得税15.315%、住民税5%)もの高い金融税率が掛けられています。

確定申告には、総合課税方式か分離課税方式を選択することにより、運用状況に応じて、本来の運用成績や負担能力に見合った税負担が図れるよう損益通算や配当控除などの仕組みが用意されています。

株式運用される方は、ぜひ確定申告を活用して節税を図っていただきたいと思います。 当記事が少しでもお役に立てば幸いです。  

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?T.株式投資の高い税金を軽減できる確定申告の仕組

1.株式の売買や配当には約20%の高い税率がかけられている

株式等の取引で得た利益や配当には、運用者の所得や生活実態に関わらず 一律に20.315% (所得税15.315%、住民税5%)もの高い税率が掛けられています。

課税対象 所得税 住民税
上場株式の利益・配当
15.315%( 0.315%は復興税  5% 20.315%

2.確定申告には、株取引で「赤字の場合」も「黒字の場合」も高い税金を節税できる仕組みが用意されている

確定申告では、売買で被った損失と利益や配当などと損益通算して税軽減ができる『分離課税方式』と、所得税率と「配当控除」の利用により所得水準に見合った税軽減ができる『総合課税方式』の選択により、株式運用の税軽減が図れる仕組みが用意されています。

なお、以下では、全て「特定口座で源泉徴収選択」を前提とした取引を想定しています。

一般口座でも基本的な考え方は変わらないと考えます。

1)「売買損が大きく配当を含めても 赤字の場合 」の確定申告の仕方

年間取引で大きな損となり、年間配当を差し引いても大きな赤字が残った場合は、次のような確定申告によって節税が図れます。 

?@他の証券会社に持つ特定口座が利益又は配当で黒字となっている場合、分離課税の選択により損益通算で利益を圧縮し税金を節税することができる。

?Aそれでも損が残れば、その損を確定申告で「繰越控除」(損を繰越、将来の益と相殺できる)として登録をすれば、次年度以降の3年間、その繰越損が消えるまで、益又は配当所得と相殺して、税金を抑えることができる。

2)「売買で益となり配当を含めて 黒字の場合 」の確定申告の仕方

年間で、売買益と配当で大きな黒字となった場合 

?@他の証券会社に持つ特定口座が配当含めて赤字となっている場合、分離課税の選択により損益通算で利益を圧縮し税金を節税することができる。

?A過去の繰越控除があれば、分離課税の選択により損益通算で黒字を圧縮し税金を節税することができる。

?損益通算できるものがない場合は、 総合課税方式の選択により、 所得税率と「配当控除」の利用による所得水準に見合った税負担に軽減するこよができる。

3.株式投資の節税機会は確定申告しないと消滅する!

株式投資の損益通算や繰越控除等は、その年度年度に確定申告しないと節税機会が消滅してしまいます。

 一般の個人投資家は、大抵の場合、証券会社に 「特定口座」を設け 「源泉分離課税」を選択されておられます。
この場合、株式運用に伴う取引や配当の履歴並びにそれに伴い納税業務一切を証券会社が代行してくれるので個人は基本的に確定申告の必要はありません。


このため、個人投資家の方、特に、確定申告の義務がないサラリーマンや年金生活者の方は、あまり確定申告をされていないのではないでしょうか? 

従って、大変もったいない話ですが、大勢の方が、大きな税軽減チャンスを放棄していることになっています。 

確定申告は、都度行わないと権利が消滅します。是非、e-taxを利用して税軽減チャンスを逃さないよう留意されることをおすすめします!

4.所得税の確定申告による住民税への影響を考慮する必要があります!

所得税と住民税には、株取引の取り扱いに差があることに注意が必要

株式等の利益や配当所得」の取り扱いは、所得税と住民税とでは若干当局の捉え方に差があり、確定申告すると住民税の負担増を招きかねない部分があります。 

住民税は、あくまで地域行政負担の応分の負担を求めるところがあり、 特に、介護保険では、過去の繰越控除との相殺を認めないところがありますので注意が必要です。

これでは、節税の為の確定申告ができないため、平成29年度税制改正で、住民税では、「所得税と異なる課税方式」が選べることになりました。 

このため、住民税では、必要に応じて確定申告とは別の課税方式を選択する必要があります。(「申告不要制度」を市区町村住民税課に確定申告前に提出する) 

しかしながら、せっかくのこの制度も廃止に向けた見直しが検討されることになっています!(令和4年1月の政府の動き)

?U.総合課税方式と分離課税方式

以下では、株式の運用を、「特定口座」かつ「源泉徴収」を選択していることを前提とさせていただきます。
(「一般口座」でも、基本的考え方は変わらないと考えます)

1.「総合課税方式」と「分離課税方式」の違い

確定申告には、節税の仕組みとして、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2通りの申告方法があり、実際の申告には、 どちらか一方しか選択できません。

1)「総合課税方式」とは

株式取引ににかかる税金については、
「給与や年金所得が低いのに、株取引による利益や配当への20%課税は高すぎる。売買で得た利益に対する20%(住民税5%含む)はやむを得ないとしても、配当所得に課せられた20%税率(住民税5%含む)については総所得に見合った税率あるいは税額であってほしい」
と思われる方は多いのではないでしょうか? 

こういう願いに適うのが、「総合課税方式」です。 

配当所得を給与所得等に合算し総所得に見合い給与等に関わる所得税率(累進5〜55%)を適用し、「配当控除」を税額控除するという仕組みです。 

※もともと配当は、企業が法人税を納めた後の原資であるため、配当で個人に取得税をかけるのは二重課税ともなっています。
このため、配当を所得として給与等に合算し、所得水準に見合う所得税率(累進課税)を適用する代わりに、「配当控除」により二重課税を避けるという主旨があります。

(1)「総額課税方式」とは、株式取引の損益には一切触れずに、「配当」を「給与等所得」と同等と見做し所得税率を適用し「配当控除」が受けられる仕組みなります。

つまり、「年間の株取引で大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式によるメリットの方が大きい」等の場合に利用できる仕組みが、「総合課税方式」です。 

(2)税額の計算は、下の算式のようになります。

配当を「 配当所得 」として「 給与等の所得 」と合算した上で、社会保険料や基礎控除等の「 所得控除 」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「 累進所得税率 」を乗じて「所得税額」(「 確定前の所得税 」という)を算出します。 

その「 確定前の所得税 」から「 配当控除(配当の10.00%の金額) 」が「 税額控除」され実負担となる「 確定所得税 」が算定されます。

算式(イ→ロ)

イ. {( 給与等の所得 + 配当所得 )- 社会保険等の 所得控除 累進所得税率   = 確定前の所得税
ロ.  確定前の所得税  -  配当控除(配当金額の10%分)   = 確定所得税

なお、総合課税方式のしくみや給与所得によるメリットの違い、具体的数字を使った事例等については後述します。

(3)なお、確定申告で総合課税方式を選んだ場合、住民税への影響に留意する必要があります! 住民税では「住民税申告不要制度」の検討が不可欠です!

確定申告で総合課税を選択した場合、そのままだと住民税で不利益が生じます。 

住民税にも「配当控除制度」があり、住民税も「総合課税方式」が適用されると、配当の「0.28%」が「配当控除」となり、実際に配当受け取り時に納めた「5%」よりも低い控除しか受けられなくなる不利益が生じます。 

このため、この不利益を排除できるように、住民税には、「住民税申告不要制度」が認められる様になっています。(詳細は後述します)

2)「分離課税方式」とは

(1)「分離課税方式」とは、「給与等の所得」や「配当控除」とは一切関わりなく、株式取引での損益や配当収入に的を絞った申告で、「損益通算」や「繰越控除との相殺」などの利益圧縮で節税が図れる仕組みです。

つまり、「年間の株取引の損益結果、配当を含めても大きなマイナス(赤字)だった」、あるいは、「総額課税方式によるメリットよりも、損益通算による節税メリットの方が大きい」等の場合、配当を含む損益に限定して損益通算の利益圧縮で節税できる仕組みが「分離課税方式」です。 

(2)申告は、「今年度の損益と配当収入の結果」に基づいて、次のような損益通算による利益圧縮効果を算出します。

?@「他の口座と損益通算して譲渡所得(含む配当所得)を下げる」
?A「他の口座等で損益通算しても損が残る場合は、損を繰越して翌年以降の譲渡所得(含む配当所得)を下げる」
?「過去の繰越損と相殺して本年の譲渡所得(含む配当所得)を下げる」

なお、分離課税方式のしくみや取引状況によるメリットの違い、具体的数字を使った事例等については後述します。

3)「総合課税方式」と「分離課税方式」の対比表

以上をまとめて対比表にすると次のようになる。

税軽減の方法 節税の仕組みと方式を選択する理由
総合課税方式
「累進所得税率」の適用と 「配当控除」による税額控除 株取引結果には一切触れず、配当を「給与等所得」に合算して所得税を算出した後、配当額の10.28%が「配当控除」として税額控除される。

選択理由: 株取引で利益が出ていて、損益通算や繰越控除の必要がない場合、又は、所得税率と配当控除メリットの方が大きい場合
分離課税方式
「損益通算」による利益圧縮 ◯給与や年金その他の所得とは関わりなく、株取引で生じた損益による「損益通算」や「繰越控除等の相殺」等による利益圧縮で税が軽減される。

選択理由: 配当控除メリットよりも損益通算メリットが大きい場合。

?V.株式取引の運用状況に対応した確定申告のしかた

1.課税方式選択は、どのようにして節税したいかでが決まる

どちらの課税方式を選ぶかは、本年度の運用結果や過去の繰越控除の有無等によって、「どうしたいか」の目的によって下表のように決まります。

目的(どうしたいか?) 選ぶ課税方式
・一部の口座で損失があるため、税金を払っている別の口座と損益通算して別の口座の所得(利益、配当)を減らして還付を受けたい! 分離課税
・利益(含む配当)を、過去の「繰越控除」で相殺して減らしたい! 分離課税
・損益通算しても損が残るので損を繰越し、次年度以降の利益相殺に使いたい! 分離課税
・どの口座にも損がなく、かつ過去の繰越控除もないので損益通算メリットが享受できない。この為、配当控除メリットを受けたい! 総合課税
・計算結果から、分離課税よりも総合課税メリットの方が大きい 総合課税
・計算結果から、配当控除よりも分離課税メリットの方が大きい 分離課税

※分離課税でのメリットとは、損益通算などで利益(所得)を減らしたことによる減税メリットのことです。

2.「総合課税方式」は、課税所得900万円以下にメリットあり

「総合課税方式」は、「配当」を「給与等所得」と同取り扱いとし、給与水準に見合った累進所得税率を適用するため、単純に言うと、5%の所得税率の人であれば、配当にかかった15%(他に住民税5%)が5%で済むことになります。

そこに、さらに「配当控除」(配当の10%)が税額控除メリットが付加され大きな節税につながります。 

従って、所得税率の低い人ほどメリットは高いものとなります。

1)「総合課税方式」の課税所得別のメリット表

では、実際に数字を使ってメリットを表してみます。 

表で使われている各用語の意味は次の通りです。 

・「 課税所得」は、「 給与等所得+配当所得
・「 所得税率」は、 課税所得額(給与等所得+配当所得)に対応した累進課税
・「 配当控除率」は、 配当控除額の算定に用いられる率。1000万円までは10%、1800万円までは5%、1800万以上は0%を配当所得に乗じて配当控除額をだします。
・「 実質負担率」は、所得税率が、 配当控除率分で負担減になった実質負担率を表す
・「 源泉徴収率」は、 配当で源泉徴収された税率を表す
・「 軽減税率」は、配当控除により源泉徴収された税率がいくら 軽くなるかを示す率! 

これらを、数式を使って、分解しますと、結局、配当には累進税率ー10%の税率でよいことになり、既に支払った15%の源泉徴収は、その分還付されることになります。

[課税所得別軽減税率メリット]

課税所得
所得税率
配当控除率
実質負担税率
源泉徴収税率
軽減税率
(所得‐所得控除)
累進税率
配当に乗じる
既に徴収済み
還付率
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
195万円以下
5%
▲10%
0%
15%
▲15%
330万円以下
10%
▲10%
0%
15%
▲15%
695万円以下
20%
▲10%
10%
15%
▲5%
900万円以下
23%
▲10%
13%
15%
▲2%
1000万円以下
33%
▲10%
23%
15%
8%追徴
1800万円以下
33%
▲5%
28%
15%
13%追徴

※源泉徴収税率には復興特別所得税0.315%がありますが省略しました。 

また、「配当控除額」は、 住民税分を含めると 配当所得の10.28%となりますが、ここは、所得税分のみです。なお、 投信等の元本取り崩しによる分配金の場合の「配当控除額」は、低くなります。

結 論:課税所得900万円以下で低所得ほどメリット大!

・給料や年金、その他所得等に配当を含めた「課税所得」が 900万円以上の場合はメリットがないが、 695万円以下の人にメリット(税軽減)が得られる。

・695万円以下でも、合算所得が低いほどメリットが大きく、かつ配当所得の比率が高いほどメリットが大きくなる。

結局、下表のように数式を紐解けば、「総合課税方式」で申告すれば、 配当は、「累進税率ー10%」の税率でよい ことになり、既に支払った15%の源泉徴収税は、その分還付されることになります。

◯確定申告前の支払い税金は次の式となります。   
 ? (給与等所得)×累進税率+配当所得×15%
◯総合課税後の税金額は、次の式となります。
 ?? (給与等所得×累進税率A)+(配当所得×累進税率A)ー(配当所得×10%B)

◯但し、累進税率は、上表の「 課税所得別軽減税率メリット 表」からわかるように、課税所得に200万円以上の増加がなければ変動しないので、配当が加算されても累進税率は影響しないものとします。

すると、結局は、次の通りとなります。  
 ? (給与等所得×累進税率)+(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B)
◯配当加算が税金に影響する部分は、次の式となります。
(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B)

◯この式をまとめると次の式となります。           
配当所得×(累進税率ー10%)

◯結局、 配当に掛かる税率は、「累進税率から配当控除率10%を差し引いた税率」で良いことになります

◯従って、配当受取り時に徴収された15%の所得税(他に5%の住民税)は、確定申告により、払い過ぎた分が還付されることになります。

2)「総合課税方式」による「還付金額」の算出事例

◯年収収入 310万円と配当収入90万円の 年金所得者の事例
年金収入が310万円、配当収入が90万円で、税金は、年金の所得税6.6万円、株式配当所得税13.8万円で合計20.4万円徴収されています。
なお、
社会保険料控除額等所得控除額額は、130万円であった。( 源泉徴収ありの特定口座)

「還付金額の算出」

年金収入310万円は「年金所得190万円」となり、「配当所得90万円」と合せた「合計所得は280万円」となります。
ここから社会保険等の「所得控除額額」130万円を差し引くと、「課税所得」は、150万円(280?130)となります。
所得税は、7.5万円(150万円×得税率5%)
ここから配当控除額9万円(配当90万円×配当控除率10%)が税額控除されます。
従って、「確定所得税」は、7.5万円ー9万円から「-2万円」となりますが、国から税金を徴収するわけにはいかないので「0円」となり、、つまり税の納入は不要となります。
これらの結果、源泉徴収された所得税「20.4万円」が「0」で良いことになるので「20.4万円」の 還付金を受けることになります

これを表を使って表すと下表のようになります の単位 万円

収入 所得 所得控除 課税所得 確定課税 配当控除 申告課税 源泉徴収税 還付
年金
310 190 130 60 5.0% 6.6
配当
90 90 90 15.3% 13.784
合計
400 ?@ 280 ?A 130 ?B 150 ?C 5.0% ?D 7.5 ?E 9.0 ?F -1.5 ?G 20.384 ?H 20.384

[表の説明]

年金と配当所得の合計280万円(?@)から所得控除130万円(?A)を差し引いて課税所得150万円(?B)を求め、所得税率(課税所得額ランク別?T表)の5%(?C)を乗じて課税額7.5万円(?D)を確定します。

そして、この税額から配当控除額(配当90万円×10%=?E9万円)を税額控除し申告する課税額(?F‐1.5万円)が確定します。

ここでは「‐1.5万円」となっていますが、税金を徴収するわけにはいきませんので「0」とカウントされます。

そして「税金が0でいいにも関わらず源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「?G20.384万円」ありますので、これが還付の対象となり「?H還付金20万円」が還付されます。」

3)「総合課税方式」による確定申告の住民税への影響に対策必要!

○住民税でも総合課税方式で配当控除を受けると負担増に繋がります。住民税では不要申告手続きをとることをおすすめします!

下表の通り、住民税率は「10%」であることから、住民税の配当控除「2.8%」の適用を受けても、実質「7.2%」の税率となり、配当で源泉徴収された「5%」よりかえって負担増となります。

[?U表 住民税:課税所得額ランク別に見た配当控除の減税効果]

課税所得金額
住民税率
配当控除率
実質の負担税率
源泉徴収税率
税軽減効果
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
1000万円以下
10%
2.8%
7.2%
5%
2.2%追徴

さらに、 配当込みの課税所得が、次年度の住民税算定基礎(所得割)に適用され負担増になります。 (住民税は昨年度の所得を基礎にするため)

その上、住民税の課税所得を基準とする国民健康保険料、介護保険料、児童手当等の負担増にも繋がりかねません。

従って、確定申告で「総合課税方式」を選択し何もしなければ、住民税では、確定申告の内容がそのまま適用されます。

このため、 確定申告で総合課税をされた場合は、住民税では不要申告の手続きをとる ことをおすすめします。

先程の事例で住民税でも総合課税だと下表のようになります。 (金額の単位 万円)

収入 所得 所得控除 課税対象所得 税率 確定課税額 配当控除額 申告課税額 源泉徴収税額 追徴金
年金
310 190 117 73 10.0% 7.3
配当
90 90 90 5.0% 4.5
合計
400 ?@ 280 ?A 117 ?B 163 ?C 10.0% ?D 16.3 ?E 2.5 ?F 13.8 ?G 11.8 ?H 2.0

年金と配当所得の合計280万円(?@)から、所得控除117万円(?A)を差し引いて課税対象所得163万円(?B)を求め、住民税率の10%(?C)を乗じて課税額16.3万円(?D)を確定します。

この税額から配当控除額2.5万円(?E配当90万円×2.8%)を税額控除し、申告する課税額13.8万円(?F)が確定します。

しかし、源泉徴収された住民税が、年金分と配当分合わせて11.8万円(?G)なので、申告の課税額13.8万円(?F)に対し2.0万円(?H)の不足が生じ、追徴されることになります。

◯住民税「申告不要」の手続は確定申告前に! 異なる課税方式の選択には「住民税申告書」を市区町村へ提出することが必要です。

住民税で異なる課税方式を選択する場合は、確定申告書を提出する日以前に、別途、住民税の申告書を市区町村に提出する必要があります。

詳細はお近くの市区町村窓口にお問い合わせください。 参照⇒「 確定申告と異なる住民税の課税方式選択で株式投資を節税!」

3.「分離課税方式」は、損が大きいほどメリットが大きい

分離課税方式は、配当控除には一切触れず、又、給与や年金その他の所得とは関わりなく、株式等の譲渡所得や配当に限定し、売買で生じた損失を活用して「損益通算や繰越控除」等により税軽減を図ることができる仕組みです。 

分離課税方式では、当然ですが、譲渡所得や譲渡損失、配当所得の大きさによって還付金の大きさが変わりますので、 損や益がが出たから分離課税が有利だとは一概に言えません。

あくまでも両方式を試算した上で、かつ、住民税などへの影響も踏まえて判断されることをことが必要です。

1)損や繰越控除が大きいほど税軽減(還付)効果が大きい!

分離課税方式では、一つの口座で損が大きく出た場合や、過去の繰越控除(損の繰越)額が大きいほど、利益と相殺できる額が大きくなる為、節税メリットが大きくなります。

損が大きすぎて相殺できる利益が足りなければ、損を繰越し翌年以降の利益を相殺できる権利が得られます。 

従って、損が大きければ大きいほど、分離課税選択のメリットは大きいと言えます。

2)株式運用の状況別に「分離課税方式」による節税効果の算出事例

数字の大きさにより税軽減効果がどう変わるか、総合課税方式と比較できるように表にしました。 

簡単にいうと、損益通算や相殺によって得られる税軽減額は、「損×15.315%」となります。(もちろん損失額以上に益(含む配当)があることが必要です)

なお、総合課税方式との比較は、前述した年金者モデル(年金収入が310万円、配当収入が90万円)の「所得税の還付金20万円」との対比でみます。

?@「 損が出たので別口座の益と損益通算して税を軽減したい」

複数の「源泉徴収ありの特定口座」を持っていて、一部口座で損(配当を含めても)となったので、益となった別口座と「損益通算」して税還付を受けるのが目的です。

この場合、あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いので、すべての口座を取り上げる必要はありませんので、ご注意!

◯2つ証券会社(A社、B社)で特定口座を持っていて、それぞれの口座の年間取引結果が下記のケースを想定。

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益400万円と配当45万円で益合計 445万円、源泉徴収税 68万円
B口座 損失300万円 と配当45万円で損合計 255万円、源泉徴収は 0円

A口座では、所得合計が 445万円(400+45)で所得税 68万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が -255万円(-300+45)で所得税は 0で納めていない。

この二つの口座を合計して損益通算すると、A口座とB口座を合わせた所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となります。

従って、実際に負担すべき所得税が 29万円でいいにもかかわらず既に 68万円を納付しているので、 39万円(68−29)が軽減され還付されることになります。

ここでは、損失を超える利益(含む配当)がある場合を想定しましたが、利益が足りなければ損は翌年以降にこち越せます。(「繰越控除」)

?A「益となったので過去の繰越損と相殺して税を軽減したい」

過去の確定申告で繰越控除(3年間を限度として損を繰り越せる制度)の申告をしている場合に、本年度の利益(含む配当)と相殺して、本年度の利益を圧縮して税の還付が受けられます。 

あくまでも繰越損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いので、すべての口座を取り上げる必要はありません。

<事例>

本年度収益は、利益400万円と配当90万円の合計が 490万円となり所得税 75万円が源泉徴収されている。

繰越控除には有効分(3年以内)110万円があるので、これと損益通算すると、本年の収益は、 380万円(490−110)に圧縮でき、これに本来の所得税率15.32%を乗じると納めるべき税金は、 58万円でいいことになる。

従って、既に源泉徴収された75万円から 17万円(75−58)が税軽減分として還付されることになります。
?「繰越控除や 損益通算しても損が残ったので、損を繰越したい」

シミレーションは省略します。

3)住民税への影響を勘案した対策が必要

なお、確定申告を分離課税方式で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられるので、「総合課税で確定申告し住民税で不要申告する場合」に比べて還付金は多くなります。 

しかし、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。 

くれぐれも、口座間で損益通算する場合は、益が大きく残らないよう益の小さい口座との損益通算に限定して申告しましょう。 

結局は、住民税については、還付金の大きさと住民税等への負担増の大きさ等の比較から判断しなければならないところがあり、住民税への影響が大きければ、住民税の還付を断念して、不要申告の手続きをとることも必要です。(住民税での還付金の大きさと、翌年の住民税負担の大きさを比較する必要があります)

最後に

このように、その年の株式取引の売買損益と配当の状況、及び過去の繰越控除のあるなしによって、分離課税方式あるいは総合課税方式の選択によって、株式取引での高い税金を節税することができます。 

従って、株式投資をされる方は、毎年の確定申告を大いに活用されることをおすすめします。 

「総合課税方式」と「分離課税方式」のどちらが税軽減に有利であるかは、およその見当はつきますが、住民税や介護保険料等への影響も勘案され、それぞれを 「e-tax」で試算の上で判断されることをおすすめします。

「定申告|1月はe-Taxで還付申告の準備をしよう!

ーーーーーーーーーーー 完  ーーーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 

次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

おすすめカードリーダー

関連記事

2022年02月16日

株取引の確定申告|株で損した時の確定申告による節税方法と事例解説

株取引で損(配当を含めても損)した場合に、確定申告は福の神(節税補償)に変身!

「特定口座で源泉徴収選択」の場合、年間取引で損となれば、証券会社では、年度末に同口座の配当と損益通算して配当で徴収された税が還付されます。

これは、証券会社が株式取引損益と配当との損益通算を分離課税方式で節税してくることによるものです。 

◯配当と損益通算しても益が残る場合の確定申告

配当と損益通算しても益が残る場合は、確定申告により、「他口座に損があれば損益通算する」、「過去の繰越控除があればそれと損益通算する」などの節税方法があります。(細部は、「 株取引の確定申告|株で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説 」をご参考に願います。) 

◯配当を含めても赤字の場合の確定申告は次の2つの節税方法がある

?@「他に益(配当含めて)となった口座」がある場合は、その口座と損益通算して利益を圧縮節税する方法です。(分離課税方式) 

?A「他に益(配当含めて)となった口座」がない場合は、損を繰越し向後3年間の利益と損益通算して利益圧縮による節税に使う為に「繰越控除」の確定申告をする。


なお、配当を含めても損の場合は、配当にかかった税金は全て証券会社から既に還付されているので総合課税方式を選択しても配当控除のメリットは0であるだけでなく、住民税等で不利益になる場合もあり得るのでご注意ください。 

このように、株で損した場合も、確定申告により大きな節税の種を得ることになります。従って、損した場合は、確定申告を忘れないことが重要です。 

株で損した場合の確定申告の方法を整理しました。参考になれば幸いです。

zei_etaxパソコン確定申告.png

?T.株取引で損した場合の確定申告による節税方法

1.確定申告には、株式運用の高い税金が節税できる「総合課税方式」と「分離課税方式」の仕組みがある

1)株式運用には高い税金がかかる

株で儲かった場合、株取引での利益に20%(所得税15%+住民税)の税金が徴収されています。さらに、配当にも、同率の税金がかかります。

課税対象 所得税 住民税
上場株式の利益・配当
15.315%(0.315%は復興税)  5% 20.315%

従って、株で儲かった場合は、高い税金が源泉徴収された状態にあります。 

以下では、全て、特別口座で源泉徴収選択を前提として説明します。 ) 

所得の高い人ならいざ知らず、一般会社員や年金受給者も低金利時代の中で、資産運用を株式投資などに注力せざるを得ない中で20%の税率は余りに高いものとなっています。

2)確定申告には、「総合課税方式」と「分離課税方式」という節税の仕組みがある

確定申告には、 株式運用に伴う高い税金を節税できる仕組みとして、 損益通算で利益圧縮できる「分離課税方式」や、配当を給与所得と同等扱いにし配当控除が受けられる「総合課税方式」という 2つの課税方式が 用意されています。

「分離課税方式」は、「株式売買で被った損失」と「他の利益や配当など」と損益通算して利益を圧縮し税軽減ができる仕組みです。 

「総合課税方式」は、配当を給与等の所得と同扱いとし、給与等と合算した総所得に給与等の所得税率(累進税率)を適用し、「※配当控除」の税額控除が受けられ、税軽減ができる仕組みです。

※配当は、企業が法人税を既に支払済の原資であるため、配当に更に税を課しているのは二重課税になります。このため、配当を給与等と同取り扱いにした上で「配当控除」を適用して二重課税を解消するというものです。

従って、この2方式の「いずれか」を利用して株式運用に伴う税金の節税が図れることになります!

3)確定申告は、儲けた場合以上に損した場合は節税に生かせます!

株取引で損した場合には、「分離課税方式」を使って、儲けた他口座との損益通算や、次年度以降の儲けが圧縮でき、税金を払わず売価の100%収益化できる「繰越控除」にするなどの節税対策がとれます。

2.株で損した場合の確定申告による節税方法

株で損した場合の年度末の株式口座(特定口座で源泉徴収選択とします)の状況は、次の2つのケースがあります。 

一つは、「株取引は損となったが配当を含めると黒字となった」場合、二つは、「株取引は大きな損となり配当を含めても赤字と黒字となった」場合です。

しかし、前者の 「株取引は損となったが配当を含めると黒字となった」場合は、「特定口座で源泉徴収選択」であれば、配当で支払った税金については、損益通算によってその分の税金還付を証券会社から受け取っています。

従って、残された配当の支払い済みの税金は、分離課税により、「損となった他口座」或いは「過去の繰越控除」との損益通算するか、総合課税方式で、残された配当課税分についての「配当控除」を受けるかの節税方法があります。

細部は、「 株取引の確定申告|株で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説 」をご参考に願います。

従って、この記事では、「配当を含めても損となった場合」に限定して節税のための確定申告をご紹介します。

「配当を含めても損となった場合」には、次の2つの節税方法があります。

配当含めて損した場合の確定申告による2つの節税方法

以下の2方法があります。

?@益となった別 口座と損益通算(利益圧縮)して税を軽減する

他の証券会社に口座があり、配当を加えて黒字であれば、その黒字と損益通算して利益を圧縮し税金を戻してもらうことができます。(「分離課税方式」による確定申告)

?A損を繰越し向後3年間の利益(含む配当)と相殺して税軽減に利用する

他の口座の利益と相殺しても赤字が残った場合、損を繰り越して向後3年間の利益相殺ができる「繰越控除」の確定申告を行う。

「分離課税方式」による確定申告) 

なお、配当を含めて赤字の場合は、配当にかかった税金も既に証券会社で(分離課税方式により)還付されているため、総合課税方式は選択できません。※

※上場株式等に係る譲渡損失(赤字)と上場株式等に係る配当所得との損益通算は、申告分離課税を選択したものに限り可能であり明細書を添付することになっています。

?U.配当含めて損の場合の2つ節税方法(事例で解説)

上述の「損した場合の確定申告による2つの節税方法」の各方法を、数字を使って事例化してみました。ご参考になれば、幸いです。

?@ 「益と なった別 口座と損益通算して税を軽減する」

複数の口座を持っていて、一部の口座で損(配当を含めても)が出ている場合、適当な口座間で「損益通算(利益圧縮)」の申告をすれば税還付が受けられます。 

あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。(すべての口座を 取り上げる必要はありませんので、ご注意を!)

◯事例?@

「2つ証券会社(A社、B社)で特定口座を持っていて、それぞれの口座の年間取引結果が下記の2ケース( 損失の大きさを変えて比較する為です!)を想定」

<ケース?T>配当含めて損失55万円の場合

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失100万円 配当45万円 損合計55万円 源泉徴収税 0円
B口座 利益200万円と配当45万円で益合計245万円、源泉徴収税38万円

A口座では、損合計が-55万円(-100+45)で所得税は 0で納めていない。
B口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。

二つの口座を損益通算すると、所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となる。
従って、実際に負担すべき所得税が29万円となり、既に38万円を納付しているので、 9万円(38−29)が還付されます。

<ケース?U>配当含めて損失155万円の場合

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失200万円 配当45万円 損合計155万円 源泉徴収税 0円
B口座 利益200万円 配当45万円 益合計245万円 源泉徴収税38万円

A口座では、損合計が -155万円(-200+45)で所得税は 0で納めていない。
B口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。

この二つの口座を損益通算すると、所得合計は 90万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 14万円となる。
従って、実際に負担すべき所得税が 14万円となり、既に 38万円を納付しているので、 24万円(38−14)が還付されます。

<ケース?V>配当含めて損失255万円の場合

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失300万円と配当45万円で損合計255万円、源泉徴収は 0円
B口座 利益400万円 配当45万円 益合計445万円 源泉徴収税68万円

A口座では、損合計が -255万円(-300+45)で所得税は 0で納めていない。
B口座では、所得合計が 445万円(400+45)で所得税 68万円が源泉徴収されている。

二つの口座を合計して損益通算すると、所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となります。
従って、実際に負担すべき所得税が 29万円となり、既に 68万円を納付しているので、 39万円(68−29)が還付されます。

以上の様に、配当含めた損失額に15.32%乗じた金額が還付されることになります。

従って、損失額が大きいほど税軽減効果は大きくなります。

ここでは、損失を超える利益(含む配当)が他口座にある場合を想定しましたが、利益が足りなければ、損は、「繰越控除」として翌年以降に持ち越せます。

?A「 損を繰越し(繰越控除という)向後3年間の利益(含む配当)と相殺して税軽減に利用する」

他の口座の利益と相殺しても赤字が残った場合、あるいは、相殺できる他の口座がない場合は、「分離課税方式」による確定申告により、損を繰り越して向後3年間の利益(配当含む)と相殺ができる「繰越控除」の申告を行う。

 「繰越控除」は、確定申告で3年間を限度として損を繰り越せる制度です。 向後3年間において儲かった利益(含む配当)と相殺して、当該年度で源泉徴収された所得税の還付を確定申告により受けとれるための仕組みです。

なお、配当を含めて赤字の場合は、配当にかかった税金も既に証券会社で還付されているため、総合課税方式で確定申告はできません。

◯事例?A

<ケース?T>損110万円を繰越控除した場合

翌年度の取り引きが 、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり、所得税75万円が源泉徴収された場合、

繰越控除の110万円と損益通算して利益を380万円(490−110)に圧縮、
これに所得税率15.32%を乗じて納めるべき税金は、58万円とし、源泉徴収された75万円から17万円(75−58)を還付してもらうことになります。

<ケース?U>損310万円を繰り越した場合

翌年度の取り引きが 、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり、所得税75万円が源泉徴収された場合、

繰越控除の310万円と損益通算して利益を180万円(490−310)に圧縮、
これに所得税率15.32%を乗じて納めるべき税金を28万円とし、源泉徴収された75万円から47万円(75−28)を還付してもらうことになります。

<ケース?V>損600万円を繰り越した場合

翌年度の取り引きが 、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり、所得税75万円が源泉徴収された場合、

繰越控除の600万円の内、490万円の損と損益通算して利益を0円(490−490)に圧縮、納めるべき税金を0円とし、源泉徴収された75万円全額を還付してもらうことになります。

そして、繰り越した損600万円は、翌年度に490万円分が利用されたので、残り110万円は、引き続き2年間の有効期間がある繰越控除として残ります。

最後に

株で損した場合も、確定申告で高い税金の節税が可能となります。

 株で損した時は、資産が減少しますが、損失が大きければ大きいほど、還付金は大きくなります。 

簡単にいうと損失額の20%が還付されるので、株取引で徴収される税金が損失額の範囲で徴収されずに済みます。(次年度の確定申告後となりますが) 

そういう意味では、損失額の確定申告は非常に重要な資産運用術にもなります。

 「特定口座で源泉徴収選択」であっても、損失の場合は、確定申告によって損失回収が早まる可能性は大きくなります。 

是非、株取引で損した場合は、「e-tax」を使って、大きな節税に繋がる有利な選択をされることをおすすめします! 

※参考?「 確定申告|1月はe-Taxで還付申告の準備をしよう!

ーーーーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 

次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 

そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。

?@対応するOSの種類に注意
2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。
?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意
?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある
また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。

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2022年02月09日

株取引の確定申告|株で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説

確定申告は、株式運用にかかる高い税金が節税できる貴重なツール!

確定申告による節税は、取引で損した場合に、損を生かした損益通算で利益圧縮して節税するイメージが強いのですが、利益が出た場合も、確定申告により節税できることも多いのです。 

儲かった場合に、確定申告では2つの節税方法があります。

一つは、その利益を圧縮するために、「他に損となった口座」及び「過去の繰越控除」と損益通算して利益を圧縮する節税方法です。(分離課税方式)

もう一つは、取引の損益には触れず、配当のみに焦点を当て、「配当所得」を「給与等所得」に合算して総所得として累進所得税率の適用を受けて「所得控除」を受ける節税方法です。(総合課税方式)

このように、株で儲けた場合にも、確定申告により高い税金を節税できるチャンスがあり、本記事では、株で儲けた場合の確定申告のやりかたを整理しました。 参考になれば幸いです。

zei_etaxパソコン確定申告.png

?T.株取引で儲かった場合の確定申告による節税方法

1.確定申告には、株式運用の高い税金が節税できる「総合課税方式」と「分離課税方式」の仕組みがある

1)株式運用には高い税金がかかる

株で儲かった場合、株取引での利益に20%(所得税15%+住民税)の税金が徴収されています。さらに、配当にも、同率の税金がかかります。

課税対象 所得税 住民税
上場株式の利益・配当
15.315%(0.315%は復興税)  5% 20.315%

従って、株で儲かった場合は、高い税金が源泉徴収された状態にあります。

 ( 以下では、全て、特別口座で源泉徴収選択を前提として説明します。 ) 

所得の高い人ならいざ知らず、一般会社員や年金受給者も低金利時代の中で、資産運用を株式投資などに注力せざるを得ない中で20%の税率は余りに高いものとなっています。

2)確定申告には、「総合課税方式」「分離課税方式」という節税の仕組みがある

確定申告には、 株式運用に伴う高い税金を節税できる仕組みとして、 損益通算で利益圧縮できる「分離課税方式」や、配当を給与所得と同等扱いにし配当控除が受けられる「総合課税方式」という 2つの課税方式が 用意されています。 

「分離課税方式」は、

「株式売買で被った損失」と「他の利益や配当など」と損益通算して利益を圧縮し税軽減ができる仕組みです。

「総合課税方式」は、

配当を給与等の所得と同扱いとし、給与等と合算した総所得に給与等の所得税率(累進税率)を適用し、「※配当控除」の税額控除が受けられ、税軽減ができる仕組みです。

※配当は、企業が法人税を既に支払済の原資であるため、配当に更に税を課しているのは二重課税になります。このため、配当を給与等と同取り扱いにした上で「配当控除」を適用して二重課税を解消するというものです。

従って、この2方式のいずれかを利用して株式運用に伴う税金の節税が図れることになります!

3)確定申告は、損した場合だけでなく儲けた場合も節税できる仕組みです

株取引で損した場合には、「分離課税方式」を使って、儲けた他口座との損益通算や、次年度以降の儲けが圧縮できる繰越控除にするなどの節税対策がとれます。 

一方、株取引で儲けた場合にも、「分離課税方式」を使って、損した他口座や過去の繰越控除との損益通算で利益圧縮し税できます。

更に、そういったものがない場合には、「総合課税方式」を使い「配当控除」を受けることで節税することもできます。

2.株で儲かった場合の確定申告による節税方法

株で儲かった場合の年度末の株式口座(特定口座で源泉徴収選択とします)の状況は、 「株取引は益となり配当を含めて黒字となった」となっています。 

そのような口座状況で、株式運用にかかった高い税金を取り戻すには、確定申告の仕組みを使って申告する必要があります。

儲かった場合の確定申告による3つの節税方法

以下の3方法があります。

?@損となった別 口座と損益通算(利益圧縮)して税を軽減する

他の証券会社に口座があり、配当を加えても赤字であれば、その赤字と損益通算して利益を圧縮し税金を戻してもらう。(「分離課税方式」による確定申告)

?A今年度の利益(含む配当)と過去の繰越損と相殺(益の圧縮)して税を軽減する

他の口座との相殺を経ても黒字が残った場合、過去の「繰越控除」があれば、それと損益通算(利益圧縮)し税金を戻してもらう。(「分離課税方式」による確定申告)

?株取引には触れず、配当を給与等所得に算入課税し配当控除を受ける

他に相殺すべき口座や過去の繰越控除が無い場合、株取引の損益には一切触れず、「配当所得」を「給与所得等」に合算して累進所得税率を適用し「配当控除」を受けて税金を戻してもらう。(「総合課税方式」による確定申告) 

なお、「総合課税方式」の選択は、他に相殺すべき口座や過去の繰越控除があっても、分離課税方式による節税効果が低ければ、株取引の損益には一切触れず済む「総合課税方式」を選択することになります。

?U.3つの節税方法を数字を使って具体的に解説

上述の「儲かった場合の確定申告による3つの節税方法」の各方法を、数字を使って事例かしてみました。ご参考になれば、幸いです。

?@ 損となった別 口座と損益通算して税を軽減する」

複数の口座を持っていて、一部の口座で損(配当を含めても)が出ている場合、適当な口座間で「損益通算(利益圧縮)」の申告をすれば税還付が受けられます。

あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。(すべての口座を 取り上げる必要はありませんので、ご注意を!)

◯事例?@

「2つ証券会社(A社、B社)で特定口座を持っていて、それぞれの口座の年間取引結果が下記の3ケース( 損失の大きさを変えて比較する為です!)を想定」

<ケース?T>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益200万円 配当45万円 益合計245万円 源泉徴収税38万円
B口座 損失100万円 配当45万円 損合計55万円 源泉徴収税 0円

A口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が-55万円(-100+45)で所得税は 0で納めていない。

二つの口座を損益通算すると、所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となる。

従って、実際に負担すべき所得税が29万円となり、既に38万円を納付しているので、 9万円(38−29)が還付されます。

<ケース?U>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益200万円 配当45万円 益合計245万円 源泉徴収税38万円
B口座 損失200万円 配当45万円 損合計155万円 源泉徴収税 0円

A口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が -155万円(-200+45)で所得税は 0で納めていない。

この二つの口座を損益通算すると、所得合計は 90万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 14万円となる。

従って、実際に負担すべき所得税が 14万円となり、既に 38万円を納付しているので、 24万円(38−14)が還付されます。

<ケース?Vの場合>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益400万円 配当45万円 益合計445万円 源泉徴収税68万円
B口座 損失300万円 配当45万円 損合計255万円 源泉徴収は 0円

A口座では、所得合計が 445万円(400+45)で所得税 68万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が -255万円(-300+45)で所得税は 0で納めていない。

二つの口座を合計して損益通算すると、所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となります。

従って、実際に負担すべき所得税が 29万円となり、既に 68万円を納付しているので、 39万円(68−29)が還付されます。

以上の様に、損失額が大きいほど税軽減効果は大きくなります。

なお、ここでは、損失を超える利益(含む配当)がある場合を想定しましたが、利益が足りなければ、損は、「繰越控除」として翌年以降にこち越せます。

住民税に注意!(重要)

確定申告を「分離課税方式」で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられるので、「総合課税で確定申告し住民税で不要申告する場合」に比べて還付金は多くなります。

しかし、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

従って、口座間で損益通算する場合は、益が大きく残らないよう、 益の小さい口座との損益通算に限定 して申告しましょう。

結局は、住民税については、還付金の大きさと住民税等への負担増の大きさ等の比較から判断しなければならないところがあり、住民税への影響が大きければ、住民税の還付を断念して、不要申告の手続きをとることも必要です。

(住民税での還付金の大きさと、翌年の住民税負担の大きさを比較する必要があります)

?A「今年度の利益(含む配当)と過去の繰越損と相殺して税を軽減する」

過去に損が出て確定申告で繰越控除(3年間を限度として損を繰り越せる制度)の申告をしている場合、本年度の利益(含む配当)と繰越控除とを相殺して、本年度の利益に対して源泉徴収された所得税の還付を受けるのが目的です。 

あくまでも繰越損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。(すべての口座を取り上げる必要はありませんので、ご注意を!

◯事例?A

<ケース?T>繰越控除の有効分(3年以内)が110万円がある場合

本年度の 利益400万円 配当90万円 合計が490万円 所得税75万円が源泉徴収。

繰越控除の有効分(3年以内)110万円と損益通算すると、 本年の利益は、380万円(490−110)に圧縮、これに所得税率15.32%を乗じると 納めるべき税金は、58万円となる。

従って、既に 源泉徴収された75万円から 17万円(75−58)が還付される

<ケース?U>繰越控除の有効分(3年以内)が310万円ある場合

本年度収益は、 利益400万円 配当90万円 合計が490万円となり 所得税75万円が源泉徴収されている。

繰越控除には有効分(3年以内)310万円があるので、これと損益通算すると、 本年の収益は、180万円(490−310)に圧縮でき、これに本来の所得税率15.32%を乗じると 納めるべき税金は、28万円でいいことになる。

従って、既に源泉徴収された75万円から 47万円(75−28)が税軽減分として還付されることになります。

住民税に注意!(重要)

確定申告を分離課税方式で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられるので、「総合課税で確定申告し住民税で不要申告する場合」に比べて還付金は多くなります。

しかし、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

くれぐれも、損益通算して益が大きく残る場合は総合課税方式にするか、住民税不要申告制度を活用するか精査が必要です。

なお、所得税と住民税とでは、株取引に伴う税率及び課税所得の取り扱いに差があり、「住民税の申告不要制度」の理解も重要になります!

株式等の利益や配当所得の取り扱いは、所得税と住民税とでは差があり、確定申告すると住民税の負担増を招きかねない問題がありました。

これでは、節税の為の確定申告ができないため、平成29年度税制改正で、住民税では所得税と異なる課税方式が選べることになりました。

このため、住民税では、必要に応じて確定申告とは別の課税方式を選択する必要があります。(「申告不要制度」を市区町村住民税課に確定申告前に提出する)

しかしながら、せっかくのこの制度も廃止に向けた見直しが検討されることになっています!

?「 株取引には触れず、「総額課税方式」により、配当を給与等所得に算入し配当控除を受ける

「年間の株取引結果は、大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式による配当控除のメリットの方が大きい」等の場合、配当に限定して節税できる仕組みが「総合課税方式」です。

(1)「総合課税方式」による税計算

税額の計算は、下の算式のようになります。

配当を「 配当所得 」として「 給与等の所得 」と合算した上で、社会保険料や基礎控除等の「 所得控除 」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「 累進所得税率 」を乗じて「所得税額」(「 確定前の所得税 」という)を算出します。 

その「 確定前の所得税 」から「 配当控除(配当の10.00%の金額) 」が「 税額控除」され実負担となる「 確定所得税 」が算定されます。

算式(?@→?A)

?@ {( 給与等の所得 + 配当所得 )- 社会保険等の 所得控除 累進所得税率   = 確定前の所得税
?A  確定前の所得税  -  配当控除(配当金額の10%分)   = 確定所得税

この計算の流れを分解すると下表の?@から?Dの流れとなります。

順序 求める額 計算式
?@ 「総所得額」 「給与または年金所得」+「配当所得」
?A 「課税対象額」 「総所得額」-「社会保険料等の所得控除額」
? 「所得税額」 「課税対象額」× 所得税率(累進税率)
?C 「最終の税額」 「所得税額」-「配当控除額」
?D 「還付額」 源泉徴収された給与・年金所得の納税額と配当の納税額」-「最終の税額」

「配当控除額」は、 配当所得の10.00%(参考:住民税の配当控除は2.8%)

(2)総合課税は、課税所得が900万円以下の方にメリット大で低所得ほどメリットが大きい

給与等の所得税は、「累進税率」であるため、「配当控除」によるメリットが享受できるのは、下の?T.表の通り、課税所得900万円以下の方となります。

その中でも、 軽減税率をみるとわかるように、低所得で配当所得の割合が高いほど配当控除のメリットが大きくなります。 

なお、総合課税では全ての所得が合算されるため、給与や年金の他に、不動産家賃収入、事業所得、株式・建物・土地を除く譲渡所得、一時所得等があると、その分メリットが少なくなります。

[?T表 課税所得額別に見た配当控除による減税効果]

表で使われている各用語の意味は次の通りです。 

・「所得税率」は、課税所得額(給与等所得+配当所得)に対応した累進課税 

・「配当控除率」は、「配当控除額」の算定に用いられる率。1000万円までは10%、1800万円までは5%、1800万以上は0%を配当所得に乗じて配当控除額をだします。 

・「実質負担率」は、所得税率が、配当控除率分の負担減になった実質負担率を表す 

・「源泉徴収率」は、配当で源泉徴収された税率を表す 

・「軽減税率」は、配当控除により源泉徴収された税率がいくら軽くなるかを示す率! 

・「配当控除額」は、 住民税分を含めると 配当所得の10.28%となりますが、ここは、所得税分のみです。

なお、 投信等の元本取り崩しによる分配金の場合の「配当控除額」は、低くなります。

課税所得金額
所得税率
配当控除率
実質負担税率
源泉徴収税率
軽減税率
(所得‐所得控除)
累進税率
配当に乗じる
既に徴収済み
還付率
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
195万円以下
5%
▲10%
0%
15%
▲15%
330万円以下
10%
▲10%
0%
15%
▲15%
695万円以下
20%
▲10%
10%
15%
▲5%
900万円以下
23%
▲10%
13%
15%
▲2%
1000万円以下
33%
▲10%
23%
15%
8%追徴
1800万円以下
33%
▲5%
28%
15%
13%追徴

※源泉徴収税率には復興特別所得税0.315%がありますが省略しました。   

なお、「所得」は、「給与等所得+配当所得」であり、「所得税率」は給与等と配当の両方にかかります。 

そこに、配当には10%の控除率が適用となるので、「累進税率」は、その分負担軽減となります。 

これらを、下表の通り、算式を使って、整理すると、 結局、配当には「累進税率ー10%」の税率でよい ことになり、既に支払った15%の源泉徴収は、その分還付されることになります。

配当を給与等に加算し配当控除を受けた場合のメリットを算式の整理にて表します。

?@元々の所得税    : 給与等所得×累進税率
?A配当算入後の所得税 :(給与等所得+配当所得)×累進税率Aー(配当所得×※10%)
10%:配当控除率で「配当控除額」の算定に用いられる率。1000万円までは10%
なお、配当を加算することで累進税率を累進税率Aとしましたが、下表(課税所得額と累進税率)から、累進税率が変わるのは200万円位の加算を要します。従って、 基本的には累進税率はかわらないとして説明します。
また、累進税率を乗じる前に社会保険料等の所得控除が実際にはありますが、割愛します。


まず、?Aの算式 (給与等所得+配当所得)×累進税率ー(配当所得×10%) を並び変えると、
右の様になります。 ( 給与等所得×累進税率)+(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%) ここで配当算入で税金に影響する部分は、 (配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B) の部分。
この式を整理すると右の様になります。   「配当所得×(累進税率ー10%」


以上から、 配当所得に課される税金は、累進税率より10%を差し引いた率で 良いことになります。
 しかし、 配当には既に15%の所得税(他に5%の住民税)が源泉徴収されています。
従って、確定申告すると、払い過ぎた金額が還付されます。


<計算例>
◯給与所得が700万円で累進税率が20%、配当が50万円であった場合
 配当にかかる税金は、50万円×(20%−10%)=5万円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴
取されているので、 確定申告で1.5万円が還付される。

◯給与所得が400万円で累進税率が10%、配当が50万円であった場合
 配当にかかる税金は、50万円×(10%−10%)=0円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴取されているので、確定申告で7.5万円が還付される。

◯給与所得が300万円で累進税率が5%、配当が50万円であった場合
配当にかかる税金は、50万円×(5%−10%)=0円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴取されているので、確定申告で7.5万円が還付される。

[結 論:課税所得900万円以下で低所得ほどメリット大!]

・給料や年金、その他所得等に配当を含めた課税所得が 900万円以上の場合はメリットがないが、 695万円以下の人にメリット(税軽減)が得られる。

・695万円以下でも、合算所得が低いほどメリットが大きく、かつ配当所得の比率が高いほどメリットが大きくなる。

(3)数字を使った「還付金額」算出

◯事例1
年金生活者で、年金310万円と配当90万円あわせた収入が400万円、両方で源泉徴収された所得税が22.4万円のケース

[申告データー]

?@年金収入が310万円で、年金で源泉徴収された所得税は6.6万円、株式の配当は総額で90万円で所得税13.8万円が源泉徴収された。

?A確定申告のため整理したところ、年度末での社会保険料控除額、生命保険料控除額、配偶者控除額、基礎控除額など所得控除額額は、合計で130万円となった。

「源泉徴収ありの特定口座」で運用)

「還付金額算出のシミレーション」

年収は、年金310万円と配当90万円合わせた400万円ですが、所得にすると、年金所得が190万円、配当所得が90万円で「合計所得」280万円となります。

ここから社会保険等の「所得控除額額」130万円を差し引くと、「課税所得」は、280?130より150万円となります。
この課税所得150万円に所得税率5%(上述?T表の195万円以下に該当)を乗じた7.5万円が所得税となります。
ここから「配当控除額」が税額控除されて「最終の所得税」が確定されます。

「配当控除額」は、配当の10%額ですから9万円(90万円×10%)となります。
従って、「確定所得税」は、「-2万円」(7.5万円ー9万円)となりますが、国から税金を徴収するわけにはいかないので「0円」、つまり税の納入は不要となります。

このため、源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「20.4万円」ありますので、これが還付の対象となり 「還付金20万円」が還付 されます。」

これを表を使って表すと下表のようになります の単位 万円

収入 所得 所得控除 課税所得 確定課税 配当控除 申告課税 源泉徴収税 還付
年金
310 190 130 60 5.0% 6.6
配当
90 90 90 15.3% 13.784
合計
400 ?@ 280 ?A 130 ?B 150 ?C 5.0% ?D 7.5 ?E 9.0 ?F -1.5 ?G 20.384 ?H 20.384

[表の説明]

年金と配当所得の合計280万円(?@)から所得控除130万円(?A)を差し引いて課税所得150万円(?B)を求め、所得税率(課税所得額ランク別?T表)の5%(?C)を乗じて課税額7.5万円(?D)を確定します。 

そして、この税額から配当控除額(配当90万円×10%=?E9万円)を税額控除し申告する課税額(?F‐1.5万円)が確定します。

ここでは「‐1.5万円」となっていますが、税金を徴収するわけにはいきませんので「0」とカウントされます。 

そして「税金が0でいいにも関わらず源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「?G20.384万円」ありますので、これが還付の対象となり「?H還付金20万円」が還付されます。」  

(4)注意が必要!総合課税方式による「住民税」への影響と対策

○住民税で総合課税方式の配当控除を受けると負担増に繋がるので、確定申告で総合課税をされた場合、住民税では不要申告手続きをとることをおすすめします!

下表の通り、住民税の給与等所得に対する税率は「10%」であることから、住民税の配当控除「2.8%」の適用を受けても、実質「7.2%」の税率となるので、配当で源泉徴収された「5%」よりかえって負担増となります。 

[?U表 住民税:課税所得額ランク別に見た配当控除の減税効果]

課税所得金額
住民税率
配当控除率
実質の負担税率
源泉徴収税率
税軽減効果
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
1000万円以下
10%
2.8%
7.2%
5%
2.2%追徴

また、配当込みの課税所得が、次年度の住民税算定基礎(所得割)に適用され負担増になります。(住民税は昨年度の所得を基礎にするため)

さらに、住民税の課税所得を基準とする国民健康保険料、介護保険料、児童手当等の負担増にも繋がります。

確定申告で総合課税方式を選択し、住民税で何もしなければ、確定申告の申告内容がそのまま適用されます。

このため、 確定申告で総合課税をされた場合は、住民税では不要申告の手続きをとる ことをおすすめします。

○実際に数字を使った住民税のシミレーション

先程の事例で住民税でも総合課税だと下表のようになります。 (金額の単位 万円)

収入 所得 所得控除 課税対象所得 税率 確定課税額 配当控除額 申告課税額 源泉徴収税額 追徴金
年金
310 190 117 73 10.0% 7.3
配当
90 90 90 5.0% 4.5
合計
400 ?@ 280 ?A 117 ?B 163 ?C 10.0% ?D 16.3 ?E 2.5 ?F 13.8 ?G 11.8 ?H 2.0

年金と配当所得の合計280万円(?@)から、所得控除117万円(?A)を差し引いて課税対象所得163万円(?B)を求め、住民税率の10%(?C)を乗じて課税額16.3万円(?D)を確定します。

この税額から配当控除額2.5万円(?E配当90万円×2.8%)を税額控除し、申告する課税額13.8万円(?F)が確定します。

しかし、源泉徴収された住民税が、年金分と配当分合わせて11.8万円(?G)なので、申告の課税額13.8万円(?F)に対し2.0万円(?H)の不足が生じ、追徴されることになります。

○住民税「申告不要」の手続は確定申告前に!

異なる課税方式の選択には「住民税申告書」を市区町村へ提出することが必要です。

住民税で異なる課税方式を選択する場合は、確定申告書を提出する日以前に、別途、住民税の申告書を市区町村に提出する必要があります。

詳細はお近くの市区町村窓口にお問い合わせください。 

参照⇒「 確定申告と異なる住民税の課税方式選択で株式投資を節税!」

最後に

株で儲けた場合も、確定申告で高い税金の節税が大抵の場合はできます。 

確定申告方法には、「総合課税方式」と「分離課税方式」がありますが、どちらが税軽減に有利であるかは、およその見当はつくものの、住民税や住民税をもとに決定される介護保険料その他への影響も十分考慮する必要があります。 

微妙な場合や、節税の大きさを確認するためには、 「e-tax」が重宝なツールとなります。( 確定申告|1月はe-Taxで還付申告の準備をしよう!

是非、儲かった場合も、 「e-tax」を使って節税方法がないかチェックされることをおすすめします。 

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確定申告用ICカードリーダーの 選び方

次の2点の確認が必要です。

1.マイナンバーカード認証に対応した製品であること

対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます

2.パソコン等にも対応したICカードリーダーであること

?@対応するOSの種類に注意

・2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。 

?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意

?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある

・また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。   

おすすめカードリーダー

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2022年02月08日

株取引の確定申告|特定口座・源泉徴収でも確定申告すれば節税できる!

逆に、確定申告しなければ節税を放棄したことになります!

確定申告は、株式運用に掛かる高い税金が軽減できる貴重な仕組みです!

株取引に掛かる税金は、証券会社で「特定口座で源泉徴収」を選択していれば、基本的には、確定申告の必要はありません。


しかし、申告義務は無くても、 確定申告すれば 、大抵の場合、利益を上げたとしても、または、損をしたとしても、徴収された高い税金を取り戻せて節税することができます。 

確定申告には、株式運用者が節税できる仕組みが用意されています。

従って、特定口座で源泉徴収を選択されている方でも、節税のチャンスが多々溢れていることを知って、機会を逸しないよう、確定申告に関心を持たれることをおすすめします。

zei_etaxパソコン確定申告.png

確定申告には、株取引にかかる高い税金を節税できる仕組みが用意されています!

1.株式の売買や配当には約20%もの高い効率が掛けられている

株式等の取引で得た利益や配当・分配金等には、運用者の所得や生活実態に関わらず 一律に20.315% (所得税15.315%、住民税5%)もの高い税率が掛けられています。

現在の低金利下において、資産運用には株式投資や投信運用に注力せざるを得ない中、一般会社員や年金生活者にとって、20%もの一律税率は非常に重い負担です!

課税対象 所得税 住民税
上場株式の利益・配当
15.315%( 0.315%は復興税  5% 20.315%

2.確定申告には、株式運用者が節税できる仕組みとして「総合課税方式」と「分離課税方式」が用意されている

確定申告には、株式運用に伴う高い税金が節税できる仕組みとして、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2つの課税方式を用意しています。

「分離課税方式」

「分離課税方式」は、「株式売買で被った損失」と「他の利益や配当など」と「損益通算」して利益を圧縮し税軽減ができる仕組みです。

「総合課税方式」

「総合課税方式」は、配当を給与等の所得と同扱いとし、給与等と合算した総所得に給与等の所得税率(累進税率)を適用し、さらに、「※配当控除」の税額控除が受けられ、税軽減ができる仕組みです。

配当は、もともと企業が法人税を既に支払った原資であるため、配当受け取り時に税を課すので二重課税となります。

このため、給与等と同取り扱いにすれば「配当控除」の適用で二重課税が解消されるというものです。

従って、この2方式のいずれかを利用して税金の節税が図れることになります!

3.「特定口座で源泉徴収選択」でも、確定申告をすれば、大きな節税チャンスが得られる!

「特定口座で源泉徴収選択」であっても、 証券会社が節税してくれるのは、「口座内での売買損益と配当との損益通算」のみとなります。

つまり、他口座との損益通算や繰越控除との損益通算、損の繰越などは、証券会社では行ってくれません。

証券会社が行う特定口座内での節税(売買損益や配当との損益通算)範囲

売買に伴う損と益との損益通算は、口座内であれば、取引ごとに損益通算がなされ、常に通算利益に対する税徴収額に改まります。
配当については、年度末に売買損があれば配当と損益通算され、配当の税徴収額が決定されます。
これらの結果をもって、証券会社が、年初に本人に代わって納税してくれます。

従って、次のようなケースは、自分で確定申告しないと、税の軽減を図ることはできません。

確定申告することで節税できる4つのケース

逆に言うと、以下のケースがあっても、自分で確定申告をしないと、節税効果は受けられず、節税チャンスを放棄してしまうことになります。

?@「年間損益が損となったが、益となった別口座がある」ケース

⇒分離課税方式を選択し、損益通算で利益を圧縮する

「複数の特定口座を持っていて、配当を含めても損となっている口座がある一方、他口座では配当を含めて利益を出し高い税金が徴収されている。」という場合は、

確定申告の分離課税方式を利用することによって、口座間での損益通算が可能となり、利益圧縮により税が軽減ができます。

?A「年間損益が損となったが、益となった別口座がない」ケース

⇒分離課税方式を選択し、損を繰り越す

「配当を含めても損となっているが、相殺する相手が無い」という場合は、

確定申告の分離課税方式を利用すれば、「繰越控除」として「損」をくり越すができ、以降3年間は、配当を含めた利益と相殺して節税に利用することができます。

?「年間損益が益となったが、過去の繰越控除の損がある」ケース

⇒分離課税方式を選択し、益を過去の繰越控除と損益通算して益を圧縮する

「損益通算しても配当含めて利益が残ったが、過去の「繰越控除」がある」という場合は、

確定申告の分離課税方式を利用すれば、過去の繰越控除(損)と損益通算して節税ができます。

?C「年間損益が益となり、損益通算できる他口座や繰越控除がない」ケース

⇒総合課税方式を選択し、配当を給与等所得と見做して所得税率を適用し「配当控除」を受ける

「配当含めて利益が出たが、相殺できる損となった他口座や繰越控除がない」という場合は、

確定申告で総合課税方式を利用すれば、株取引の損益には一切触れず、「配当」を「給与所得等」と同等の所得と見做して、給与所得等と合算して累進の所得税率が適用され、さらに、「配当控除」という税額控除が受けられます。

4.特定口座内で対応できない損益通算や繰越控除による節税は、確定申告しないと消滅する!

先ほどご紹介しましたが、年間で利益が出た場合も損となった場合も、確定申告すれば、節税できるケースがほとんどです。 

しかし、損益通算や繰越控除等は、その年度において確定申告しなければ、大抵の場合、節税機会は消滅してしまいます。 

従って、永年、確定申告されてこなかった場合は、大きな節税チャンスを放棄してきたことになります。 

特に、確定申告義務がない会社員や年金者で、「特定口座で源泉徴収選択」の方の多くは、確定申告されていない方が多いのではないでしょうか?大変もったいない話です。

?U.「総合課税方式」と「分離課税方式」の利用法

確定申告には、節税の仕組みとして、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2通りの申告方法があり、実際の申告には、 どちらか一方しか選択できません。

なお、以降は、「特定口座」かつ「源泉徴収選択」を前提として説明させていただきます。(「一般口座」でも、基本的考え方は変わらないと考えます)

1.「総合課税方式」のしくみと留意点

◯株取引による損益には一切触れず、配当のみ着目した申告となる

つまり、「年間の株取引結果は、大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式による配当控除のメリットの方が大きい」等の場合、配当に限定して節税できる仕組みが「総合課税方式」です。

◯税額の計算は、下の算式のようになります

配当を「 配当所得 」として「 給与等の所得 」と合算した上で、社会保険料や基礎控除等の「 所得控除 」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「 累進所得税率 」を乗じて「所得税額」(「 確定前の所得税 」という)を算出します。 

その「 確定前の所得税 」から「 配当控除(配当の10.00%の金額) 」が「 税額控除」され実負担となる「 確定所得税 」が算定されます。

算式(?@→?A)

?@ {( 給与等の所得 + 配当所得 )- 社会保険等の 所得控除 累進所得税率   = 確定前の所得税
?A  確定前の所得税  -  配当控除(配当金額の10%分)   = 確定所得税

◯なお、確定申告で総合課税を選んだ場合、住民税への影響に留意が必要! 住民税では「住民税申告不要制度」の検討が不可欠です!

確定申告で総合課税を選択した場合、そのままだと住民税で不利益が生じます。 

住民税にも「配当控除制度」があり、住民税も「総合課税方式」が適用されると、配当の「0.28%」が「配当控除」となり、実際に配当受け取り時に納めた「5%」よりも低い控除しか受けられなくなる不利益が生じます。 

このため、この不利益を排除できるように、住民税には、「住民税申告不要制度」が認められる様になっています。(詳細は後述します)

2.「分離課税方式」のしくみと留意点

◯株取引の損益や配当収入に焦点を絞り、「損益通算」や「繰越控除との相殺」などで節税が図れる仕組みとなります

つまり、 「年間の株取引の結果、配当を含めても大きなマイナス(赤字)だった」、あるいは、 「総額課税方式による配当控除のメリットよりも、損益通算による節税メリットの方が大きい」等の場合において、配当を含む売買損益に限定して損益通算による利益圧縮で節税できる仕組みが「分離課税方式」です。

◯申告は、今年度の損益(含む配当)結果に基づいて、次の3つのケースがあれば損益通算を行い利益圧縮効果を出す

?@他の口座があれば、他の口座と損益通算して利益(含む配当)を圧縮する

?A他の口座等で損益通算しても損が残る場合、損を繰越して翌年以降の損益通算に使う ?過去の繰越損があれば、それと相殺して本年の利益(含む配当)を圧縮する

◯確定申告で分離課税方式による過去の繰越控除との損益通算を行っても、介護保険料算定には、過去の繰越控除が反映されない場合があるので 「住民税申告不要制度」の検討が必要注意

確定申告で「今年度の利益(含む配当)」と「過去の繰越控除」とを損益通算した場合、介護保険料算定においては、過去の繰越控除が反映されずに、今年度の利益のみが所得とみなされて算定基礎に算入され保険料に跳ね返る恐れがあります。 

従って、その場合、損益通算メリットと比較して損益通算すべきか、あるいは、住民税において、 「住民税申告不要制度」使うべきかは検討が必要となります!

3.「総合課税方式」と「分離課税方式」の対比表

以上をまとめて対比表にすると次のようになる。

税軽減の方法 節税の仕組みと選択理由
総合課税方式
「累進所得税率」の適用と 「配当控除」による税額控除 株取引結果には一切触れず、配当を「給与等所得」に合算して所得税を算出した後、配当額の10.28%が「配当控除」として税額控除される。

選択理由: 株取引で利益が出ていて、損益通算や繰越控除の必要がない場合、又は、所得税率と配当控除メリットの方が大きい場合
分離課税方式
「損益通算」による利益圧縮 ◯給与や年金その他の所得とは関わりなく、株取引で生じた損益による「損益通算」や「繰越控除等の相殺」等による利益圧縮で税が軽減される。

選択理由: 配当控除メリットよりも「損益通算メリット」が大きい場合。

最後に

株式運用には、取引による利益及び配当に対し、一律に20%(所得税15%、住民税5%)もの高い税金がかかります。 

株式運用には、利益や配当が得られる一方損を被ることも多くあります。このため、損益通算により、利益圧縮して節税できる仕組みが用意されています。(分離課税方式) 

一方、配当については、二重課税問題があることと、配当に掛かる所得税15%は、所得が低く、累進所得税率が15%より低い所得層には重税となります。このため、配当については、給与所得等と同等と見做して給与等と合算の上、給与等の累進所得税率を適用し、かつ配当控除が受けられ、節税できる仕組みが用意されています。(総合課税方式) 

 このように、株式投資運用に対しては、実際の運用成果や低所得者への過重負担とならないよう、確定申告で節税できる仕組みが用意されています。 

しかしながら、確定申告しないと節税効果が得られない仕組みとなっています。

特定口座で源泉徴収であっても、常に、確定申告で節税可能かどうかをチェックすることが大切です。

貴重な節税チャンスを逃さないよう是非etaxを利用してチェックされることをおすすめします。

ーーーーーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーーーーー

確定申告用ICカードリーダーの 選び方

次の2点の確認が必要です。

1.マイナンバーカード認証に対応した製品であること

対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます

2.パソコン等にも対応したICカードリーダーであること

?@対応するOSの種類に注意

・2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。 

?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意

?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある

・また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。   

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2022年01月29日

パソコンからe-taxを使って確定申告する手順をわかりやすく解説

パソコンからの確定申告が更に便利になりました!

パソコンを使ってe-Taxで確定申告するには、「マイナンバーカード」か、「IDとパスワード」が必要となりますが、今年度(令和3年分)から、マイナンバーカード認証には、スマホカメラでの読み取りも可能となりました。 

また、源泉徴収票などの数字を、スマホカメラ撮影での自動入力が可能となり、更に、マイナポータル連携対象に、ふるさと納税、地震保険料、医療費などが加わるなど、パソコンによる確定申告が、一層、便利となりました。 

確定申告は、節税チャンスです、e-taxを手軽に活用しましょう!

個人にとって、確定申告は、貴重な節税チャンスです。申告書が簡単に作成でき、手軽に申告できるので、還付金や節税の機会を逃さないよう活用したいものです! 

本記事、パソコンを使って確定申告する方法・手順を明します

初めての方でもパソコンで確定申告が簡単にできるよう手順などを整理してみました。節税の為の確定申告に役立てば幸いです。

zei_etaxパソコン確定申告.png

?T.パソコンで確定申告するための事前準備

税務署に出向くことなくパソコンやスマホで確定申告するためには、「e-Tax」という「国税電子申告・納税システム」を利用します。 

「e-tax」を利用してパソコンで確定申告するためには、次の事前準備が必要です。

1.認証などの為に、「事前準備セットアップファイル」をダウンロードしてパソコン環境を整備しておくことが必要

2.認証に必要な「マイナンバーカード」か「IDとパスワード」を事前に取得しておくことが必要

3.他者のなりすましなどを防ぐため、個人アカウント(16桁の利用者識別番号)とパスワードを事前に登録しておくことが必要

以下、これらの事前準備のしかたを解説します。

1.「事前準備セットアップファイル」のダウンロード

e-taxを利用するためには、毎年、事前にパソコンに「◯◯年度事前準備セットアップファイル」をダウンロードしてパソコンの環境を整備しておく必要があります。 

これに対処していなければ、認証箇所で、「事前準備を行ってください」や「セットアップが未完了です」などのメッセージが表示され、先に進めません

「事前準備セットアップファイル」をダウンロードのしかた

まず、パソコンで検索して、「 e-Tax 事前準備 のご案内 - 国税庁 」にアクセスし、下の画面から、自分の個人認証方式に対応したタブをクリックする。

例えば、マイナンバーカード方式で個人認証を行う場合は、 「マイナンバーカード方式」タブをクリックする。


すると、下の 「事前セットアップのダウンロード」画面が表示されるので、Windowsパソコンを利用されている場合は、 「windowsをご利用の方はこちら」タグをクリックします。

すると、タグの下に、次の様に赤色のダウンロードボタンが表示されるので、これをクリックします。

すると、作業しているパソコンの画面右上部に 「ダウンロード」と「 ファイルを開く」の表示が出るので 「ファイルを開く」をクリックします。 

次に、 ダウンロードを「許可しますか?」の画面に代わりますので、「はい」をクリックするとダウンロードが始まます。
後は、 指示に従ってクリックしていく インストールが完了します。 

以上で、あなたのパソコンは、今年度の確定申告に対応できる体制が整いました。

2.「マイナンバーカード」又は「IDとパスワード」の準備

e-taxで確定申告書を作成し申告するためには、間違いなく本人のものであることを裏付ける必要があります。 

このための本人確認に用いられるのが、「マイナンバーカード」か「税務署交付のIDとパスワード」になります。 

従って、パソコンで確定申告するには、「マイナンバーカード」か「税務署交付のIDとパスワード」のいずれかを事前に用意しておく必要があります。

・「マイナンバーカード」
市区町村への申請により交付される個人番号カードで、おもて面には本人の顔写真と氏名、住所、生年月日、性別が記載され、裏面にはマイナンバーが記載されています。
・「ID・パスワード」
税務署に出向き、税務職員と対面により発行される本人認証のためのIDとパスワードです。

1)「マイナンバーカード方式」の場合の事前準備

(1)「マイナンバーカード」と、それを読み取る「ツール」が必要

マイナンバーカード方式の認証手続きには、「マイナンバーカード」と、それを読み取るツールが必要で、従来は、「カードリーダー」のみでしたが、今回からは、「スマホ」で読み取る方法も可能となりました。 

従って、「マイナンバーカード方式」は、次の?@と?Aを事前準備する必要があります。 

?@本人証明用の「マイナンバーカード」 

?A読み取る為の「ICカードリーダー」か、適合機種の「スマホ」

なお、?Aの読取りについては、次の様な画面で選択を求められことがあります。

キャプ読取り方法の選択.PNG

(2)「マイナンバーカード」の取得方法

マイナンバーカードは、住民票のある市区町村で取得しますが、取得方法には、次のような方法があります。 

なお、マイナンバーカードに登録された電子証明証の有効期間は、交付から5回目の誕生日を迎えるまでとなっていますので、有効期限には注意が必要です。 

◯「交付申請書」による申請

通知カードに同封されていた「交付申請書」に必要事項を記入し、顔写真を貼って郵送するか、市区町村の窓口で申請できます。

いずれの方法でも発行までには1カ月程度かかるので注意が必要です。 

◯オンラインによる申請

オンライン申請用サイト で必要事項を入力し、スマートフォンのカメラで撮影した顔写真を登録して申請できます。 

◯証明写真機からの申請

マイナンバーカード対応のステッカーが貼ってある証明写真機から、画面の案内に従って必要事項を入力し、顔写真を撮影・送信して申請できます。

(3)読み取り用「ICカードリーダー」の取得方法

カードリーダーは、通販や家電量販店などで購入できます。 

「マイナンバーカード(個人番号カード)」に対応したカードリーダについては、「公的個人認証サービスポータルサイト」の 「マイナンバーカードに対応したICカードRW一覧」(外部リンク) で確認できます。 

なお、 公的個人認証サービスポータルサイト にアクセスし、利用者クライアントソフトをインストールして電子証明書を予め確認をしておくことが必要です。

(4)読み取りに使える「スマホ」の適合機種

パソコンの画面に表示された2次元バーコードをスマートフォンで読み取るためには、スマホが、「マイナポータルアプリ」に対応している必要があります。 

マイナンバーカード読み取りの具体的方法は、スマートフォンにインストールした「マイナポータルアプリ」でパソコン等に表示された2次元バーコードを読み込むことで、スマートフォンとパソコン等の連携(接続)が可能となります。

◯スマホの対応機種確認は「 こちら

2)「 IDおよびパスワード方式」の事前準備

パソコンで確定申告するために必要な「ID・パスワード」の取得は、税務署で担当官と面会し、運転免許証などの本人確認書類と照合を経て、「 ID・パスワード方式の届出完了通知 」の形で受け取ります。 

なお、「確定申告書等作成コーナー」で、マイナンバーカードとカードリーダーを使って「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を送信することにより、「ID・パスワード」を取得することもできます。

3.「利用者識別番号」の取得

e-Tax利用のためには、「利用者識別番号(半角16桁の番号)」の取得も必要となります。

「利用者識別番号(半角16桁の番号)」は、納税者個人のアカウントとなるものです。

主旨は、他者のなりすましを防ぐため、16桁の識別番号とパスワード事前に登録しておくというものです。

作成コーナーにある「受付システム」等の利用にも必要になります。

利用者識別番号の取得方法

取得方法は、下記のように多種あります。

注意!「再発行」の手続きを行うと、今までの情報は消滅します!

なお、既に利用者識別番号を取得されている方が、 新たに利用者識別番号を取得すると、今までの利用者識別番号は利用できなくなり、申告書等の送信結果が格納されている「メッセージボックス」の確認ができなくなります。

従って、今までの利用者識別番号、暗証番号が分からない場合は、「 変更届出 」の手続きを行ってください。 

具体的な取得手続きは、「 e-taxご利用の流れ 」をご覧になって、やり易い方法で取得してください。

【取得方法?@】WEBからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
【取得方法?A】WEBから利用者識別番号を取得する
【取得方法?B】マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-Taxを利用する
【取得方法?C】WEBからID・パスワード方式の届出を作成・送信する
【取得方法?D】税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
【取得方法?E】書面で利用者識別番号を取得する

「取得方法?@:WEBからマイナンバーカードを使ってアカウント(利用者識別番号)を登録する」の手順を紹介します。

?@まず、受付システムログイン画面を開く

「確定申告書等作成コーナー」の「作成コーナートップ」画面右側にある「メッセージボックスの確認」の「確認する」ボタンをクリックすると、「受付システムログイン」画面が開けます。

作成コーナートップ メッセージボックスの確認 受付システムログイン画面

?A「受付システム ログイン」画面で「マイナンバーカードでログイン」ボタンをクリックすると、次のマイナンバーカード認証方式の選択画面が出ますので、どちらかを選択してマイナンバーカードの認証を受けます。

?すると、次の画面が表示されるので、マイナンバーカードの「利用者証明用パスワード(数字4桁)」を入力し「OK」をクリックする。

?C次の画面に代わるので、「初めてe-Taxをご利用される方はこちら」をクリックします。

すると、その下に、「マイナンバーカード情報の確認」ボタンが表示されるので、それをクリックする。

初めてe-Taxをご利用される方はこちら キャプチャ初めてetaxを利用する.PNG 「マイナンバーカード情報の確認」 キャプチャマイナンバー情報の確認.PNG

?D入力方法の選択は、「マイナンバーカードから読み取る」を選択し、「ICカードリーダライタで読み取り」か「スマホ」をクリックすると、利用者証明用パスワード(数字4桁)の入力画面が表示されます。

それを入力し「OK」をクリックする と、下に「マイナンバーカード情報」欄に氏名等が表示されるので、内容を確認、間違いがないことを確認して「次へ」をクリックする。

キャプチャマイナンバーカード情報の確認.PNG キャプチャ情報の確認パス入力.PNG

?E下表の「利用者情報入力」画面が出ますので、必要事項を入力し、「確認」をクリックする。

?F提出先税務署名に誤りがなければ、「OK」をクリックする。

?G【既に利用者識別番号を取得されている方へ】の注意・警告メッセージを確認して「OK」をクリックする。

これは、既に登録し利用されていたにもかかわらず、ここで新たに作成すると、前に登録していた識別番号は抹消され、今までのデータ等が見れなくなるとの警告です。

?H入力に誤りがなければ「送信」をクリックする。 ?I「利用者識別番号の通知を希望する」にチェックを入れて、「OK」をクリックする。

?Jすると、画面に「利用者識別番号」が表示されるので、「次」へをクリックする。

?K「利用者識別番号は再表示されない」ので、保存等を促すメッセージが表示されるので、「OK」をクリックする。

?L受付システムのメインメニューが表示されますので、これで「利用者識別番号」の登録が完了しました。

?U.パソコンで 確定申告する作業手順

事前準備が整えば、確定申告に必要な「源泉徴収票」や「生命保険料」や「医療費」等の諸帳票を準備して、パソコンで確定申告の作成と申告手続きを行うことになります。

◯国税庁.HPの「確定申告書等作成コーナー」を使った確定申告の流れ

「1. 作成方法の選択」⇒「2. 税務署への提出方法の選択」⇒「3. 作成する申告書等の選択」⇒「4. 申告書等の作成・中断・再開」⇒「5. 申告書等の提出」

この流れに沿って、以下、確定申告の手順を説明していきます。

1.「確定申告書等作成コーナー」で作成開始する

?国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成コーナートップ」画面の 「作成開始」をクリック します。

すると、 次の「税務署への提出方法の選択」画面に移ります。

なお、 「保存データーを利用して作成」は、過去に作成コーナーを利用したデータを利用したり、作成途中で休止のためデーターを保存した場合の作業再開に利用します。

※初めての方は、 「ご利用ガイド」に目を通されると流れ、仕組みが理解しやすくなります。

2.税務署への提出方法の選択

?確定申告書の税務署への提出方法を、次の4つの選択タブから選び、該当するタブをクリックします。

キャプチャ税務署への提出方法.PNG

?@「マイナンバーカード方式(2次元バーコード)」

・マイナンバーカードの読み取りにスマホを使う方向けです。 

?A「マイナンバーカード方式(?Cカードリーダライタ)」

・マイナンバーカードの読み取りに?Cカードリーダライタを使う方向けです。 

?「ID及びパスワード方式」・税務署で既に登録のID及びパスワードを使う方向けです。

?C「印刷して提出」・作成後プリントアウトして、郵送ないし出向いて届ける方向けです。

?タブによって次画面が以下の様に異なります

?@と?Aの場合

⇒「作成する申告書等の選択」の画面に移ります。 

?の場合

⇒「 e-taxを行うための事前確認」画面に移り、パソコンの推奨環境の確認を行った後、利用者識別番号及びパスワード入力で「ID及びパスワード方式」が税務署に登録されていることを確認します。 

確認されれば、 「作成する申告書等の選択」の画面に移ります。 

?Cの場合

「e-taxを行うための事前確認」画面に移り、パソコンの推奨環境の確認を行った後、「規約に同意」をクリックすると、 「作成する申告書等の選択」の画面に移ります。

3.「 作成する申告書等の選択」

?「作成する申告書等の選択」の画面で、「作成する申告書等」と「年分」を選択しクリックする

?「申告する税区分を選択する」画面 「所得税」を選択する

? 「マイナーポータル連携」画面で「連携する」、「しない」のいずれかをクリックする。

?「確認して次へ」をクリックすると、マイナンバーカード方式等の認証手続き画面に移る。

ここで、個人認証を無事クリアすると、「受付システム」で個人情報が格納された画面が見られるようになります。 

個人情報に間違いがないことを確認して、右最下段にある 「申告書等を作成する」をクリックする。 いよいよ、確定申告書の作成に入っていきます。

4. 申告書等の作成・中断・再開

「次へ進む」をクリックすると、いよいよ、申告書を画面の指示に従って金額等を入力していきます。

こからは、説明書きを参考にしながら入力し、次へ次へとページを移っていったり戻ってみたり、ありいは、一旦、途中で保存をして退出してみたり、再開してみたりと繰り返しながら申告書を仕上げていきます。 

必要、或いは不必要な帳票が次から次へと出てきますが、必要な所のみ入力していきます。 何度でも修正はできますので、気楽ににゅうりょくや訂正をしていきます。

キャプチャsinnkokusyo.PNG

5. 申告書等の提出

申告書が完成すれば、確定申告の手続きに入ります。 

申告には、そのまま、申告書を e-Tax(国税庁が運営するインターネット国税電子申告・納税システム)で送信する方法と、プリントアウトして書面で送付ないし税務署へ持参して提出する方法があります。 

e-Taxで送信する場合は、指示に従って、署名して送信すれば完了です。

6.その他「メッセージボックス(受付システム)について」

一度「確定申告書等作成コーナー」を利用して確定申告をすると、コーナー内に自分用の「メールボックス」が設置されます。

メールボックスを確認するには、「受付システム」で、マイナンバーカードや識別番号とパスワード等でログインすることができます。

「メールボックス」は、次の様な各種書類等の格納BOXが用意され、税務署とのやり取りの文書等が保管されたり、過去の申告データが格納されています。

従って、パソコンが壊れても、メールボックスに保管されているので安心です。

最後に

e-Taxの「 確定申告書等作成コーナー 」を利用すれば、簡単に還付金(節税)を受けられるかどうか確認できます。 

所得税の節減は、ほとんどの場合、住民税の軽減に繋がり、ひいては地域行政サービス費等の負担軽減にも繋がります。 

一度、マイナンバーカード取得か、税務署へ行って本人確認のためのID取得とパスワード設定を行えば、毎年、無料で簡単に「e-Tax(イータックス)」が利用できます。 

毎年、確定申告するかしないかは、e-Taxで試算してみた上判断して決められます。 

是非、e-taxを重宝に利用して節税利益を享受しましょう!

ーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーー

確定申告に使えるICカードリーダーの選び方

e-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーであることが第一条件です。 

マイナンバーカード対応製品リストは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます。 

次に、パソコン等に対応したCカードリーダーでなければなりません。 

そのためには、下記のような事項にも注意が必要です。 

?@対応するOSの種類に注意

2019年に、e-Taxが、macOSにも対応しましたが、Windowsモデルが圧倒的なので注意が必要です。 

?A「接触型」と「非接触型」の2種類があることに注意

?USB接続とBluetooth接続の2種類の接続方式がある

 また、USB接続は、「Type-A」と「Type-C」があります。 

おすすめカードリーダー

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2021年02月11日

確定申告|株運用の節税には確定申告と異なる住民税課税方式選択が重要

確定申告の総合課税で配当控除を受けたら住民税は負担増回避の為「不要申告」を!

以前は確定申告で配当控除を受けると、住民税の負担増を招くことが多かったのですが、2016年の税制改正で、住民税においても申告等手続きすれば、確定申告とは異なる課税方式が選択できることになりました。

従来は、確定申告をすれば、住民税は自動的に決まるものと考えていましたが、今後は、住民税は住民税で節税に有利な課税方式を選択することが可能となりました。

是非、更に確定申告を活用して節税を図りたいものですね。

目  次

・確定申告を提出したままでは住民税はそのデーターで決まる

・税制改正で確定申告と異なる課税方式の選択ができることを明確化

・今後は、確定申告と同時に必要に応じて住民税へ別途申告を!

・異なる課税方式選択によりメリットが出るケース

・異なる課税方式選択には市区町村へ住民税申告書提出が必要 ・最後に

確定申告を提出したままでは住民税はそのデータで決まる

現在でも確定申告を提出してそのままにすれば、税務署から市区町村にデータが報告され、確定申告の内容で住民税は決定されます。

例えば、配当控除を受ける為に総合課税を選択して配当を配当所得として給与等の所得に合算すれば、住民税では、配当を配当所得として給与等と同列に扱われ、住民税算定の基礎に含められます。

住民税でも配当控除はありますが、所得税に比して小さくメリットのないものであるため、住民税で同様に総合課税方式で扱われると大きな負担増を招きかねません。

しかも、国民健康保険・介護保険料などの算定においても負担増の要因になってしまいます。

税制改正で確定申告と異なる課税方式の選択ができることを明確化

従来から、上場株式等の配当所得及び譲渡所得等については、確定申告で<申告不要制度・申告分離課税・総合課税;の選択が任意に選択できましたが、2016年の税制改正で、住民税においても申告等手続きすれば、確定申告(所得税)とは異なる課税方式が選択できることが明確化されました。

今後は、確定申告と同時に必要に応じて住民税へ別途申告を!

この改正により、株取引による譲渡所得や配当所得等において税軽減のための確定申告がしやすくなりました。株取引等で配当や譲渡所得がある方は、是非、この制度を活用し確定申告で節税されることをおすすめします。

異なる課税方式選択によりメリットが出るケース

株取引による譲渡所得や配当所得等の申告において、異なる課税方式を選択することによりメリットが考えられるケースは主に次の2つが上げられます。(「特定口座を持ち源泉徴収あり」を想定)

1.配当について「所得税は総合課税、住民税は申告不要制度(または申告分離課税)」を選択する

配当について確定申告で「総合課税」を選択し 「配当控除」を受けて税軽減をはかるというものです。

確定申告を提出したままだと、住民税では、給与所得等に配当所得が加算され住民税が高くなる可能性があります。

ここで、「申告不要」をとれば、住民税では配当の影響を排除できることになります。

2.株式等の譲渡所得について「所得税は損益通算や繰越控除を利用するため申告分離課税、住民税は申告不要制度」を選択する

?@損益通算や繰越控除との相殺等により所得税還付を受けたい                                   ?A譲渡損が残り繰越控除をしたい

などで確定申告した場合、そのままにすれば住民税の還付を受けられますが、翌年の住民税の算定に譲渡所得(損益通算や繰越損との相殺で益が残った部分)が入れられ負担増になる可能性があります。

このため、住民税で「申告不要(別申告)」の手続きをすれば、これらの影響を排除することができます。

但し、「申告不要(別申告)」の場合、住民税の還付(源泉徴収された所得税を含む20%のうちの住民税相当の5%分)は受けられなくなりますので、 住民税で大きな還付金が見込める場合は、あえて住民税を不要申告する必要がない場合もあります

異なる課税方式選択には市区町村へ住民税申告書提出が必要

異なる課税方式を選択するには、確定申告書を税務署に提出する日の前日以前に、別途、住民税申告書を市区町村に提出する必要があります。 詳細はお近くの市区町村窓口にお問い合わせください。

最後に

確定申告の際は、所得税の税軽減ばかりに囚われると住民税で思わぬ負担増に繋がりかねないことがあり得ます。

確定申告に際して、是非とも住民税への影響を考えて必要な場合は、住民税申告書を活用しましょう。 そのためには、一度市区町村に問い合わせされておくことをおすすめします。  

なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。 確定申告

2021年02月07日

確定申告|株の利益・配当にかかった高い税金を取戻す賢い申告の仕方(後編)

総合課税方式の選択に当たっての留意点 」をご紹介した前編に続き、今回は、「分離課税方式の選択に当たっての留意点」についてご紹介します。

目  次

 ・?U.分離課税方式の選択に当たっての留意点(後編)

   1.分離課税方式の税計算の流れ

   2.損や繰越控除が大きいほど税軽減(還付)効果が大きい!

   3.目的別に数字を使った「還付金額」算出のシミレーション

    1)目的?@「一部特定口座で損がある為口座間で損益通算して益を圧縮したい」

    2)目的?A「今年度譲渡益と過去繰越損と相殺して益を圧縮したい」

    3)目的?「損が残ったので、繰越して次年度以降の税軽減に生かしたい」

・最後に

?U.「分離課税方式」の選択に当たっての留意点

分離課税方式は、配当控除には一切触れず、又、給与や年金その他の所得とは関わりなく、株式等の譲渡所得や配当に限定し、売買で生じた損失を活用して「損益通算や繰越控除」等により税軽減を図ることができる仕組みです。

従って、損益通算で利益を圧縮した節税メリットが、総額課税方式の配当控除メリットよりも大きい場合に選択します。  

1.「分離課税方式」の税計算の流れ

証券会社等が発行する「特定口座年間取引報告書」をもとに申告します。

 「特定口座年間取引報告書」には、「譲渡所得」、「譲渡損失」、「配当所得」、「源泉徴収税額」等が記載されています。

複数の証券会社等で「特定口座」を持ち「源泉徴収」を選択していれば、それぞれの口座で同様に源泉徴収が完了しています。

従って、分離課税方式では、それぞれの口座(1つだけであればより簡単)に記載の譲渡所得(損失所得)と配当額を使って目的に合わせて計算すれば還付金が試算できます。

分離課税方式では、当然ですが、譲渡所得や譲渡損失、配当所得の大きさによって還付金の大きさが変わりますので、 損が出たから分離課税が有利だとは一概に言えません。

あくまでも両方式を試算した上で、かつ、住民税などへの影響も踏まえて判断されることをことをおすすめします。

2.損や繰越控除が大きいほど税軽減(還付)効果が大きい!

分離課税方式では、一つの口座で損が大きく出た場合や、過去の繰越控除(損の繰越)額が大きいほど、利益と相殺できる額が大きくなる為、申告メリットが大きくなります。

損が大きすぎて相殺できる利益が足りなければ、損は翌年以降に繰越ができ、翌年以降の利益を相殺できる権利が留保できることになります。

従って、損が大きければ大きいほど、分離課税選択のメリットは大きくなります。

但し、受け取り配当額が大きく配当控除のメリットが大きければ、e-Taxを使って比較してみることが賢明だと思います。  

3.目的別に数字を使った「還付金額」算出のシミレーション

数字の大きさにより税軽減効果がどう変わるか、総合課税方式と比較できるように表にしました。

簡単にいうと、損益通算や相殺によって得られる税軽減額は、「損×15.315%」となります。(もちろん損失額以上に益(含む配当)があることが必要です)

なお、総合課税方式との比較は、前述した年金者モデル(年金収入が310万円、配当収入が90万円)の「所得税の還付金20万円」との対比でみます。

1)目的?@「 一部の特定口座で損が出たので口座間で損益通算して益を圧縮し税を軽減したい」

複数の「源泉徴収ありの特定口座」を持っていて、一部口座で損(配当を含めても)が出ているため、適当な口座間で「損益通算」し益を減らし税還付を受けるのが目的です。

あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。

( すべての口座を 取り上げる必要はありませんので、ご注意を!)  

[シミレーション]

◯2つ証券会社(A社、B社)で特定口座を持っていて、それぞれの口座の年間取引結果が下記の3ケースを想定。⇒損失の大きさを変えて比較

ー次の二つのケースで試算しますー

ケース
口座名
損益と配当収入及び支払った所得税合計額
?T
A口座
利益200万円と配当45万円で益合計 245万円、源泉徴収税 38万円
B口座
損失100万円 と配当45万円で損合計  55万円、源泉徴収税  0
?U
A口座
利益400万円と配当45万円で益合計 445万円、源泉徴収税 68万円
B口座
損失300万円 と配当45万円で損合計 255万円、源泉徴収は 0円

ーそれぞれの試算結果ー

<ケース?Tの場合>

A口座では、所得合計が 245万円(200+45)で所得税 38万円が源泉徴収されている。

B口座では、損合計が-55万円(-100+45)で所得税は 0で納めていない。

この二つの口座を合計して損益通算すると、A口座とB口座を合わせた所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となる。

従って、実際に負担すべき所得税が29万円でいいにもかかわらず既に38万円を納付しているので、 9万円(38−29)が軽減され還付されることになります。

<ケース?U 場合>

A口座では、所得合計が 445万円(400+45)で所得税 68万円が源泉徴収されている。

B口座では、損合計が -255万円(-300+45)で所得税は 0で納めていない。

この二つの口座を合計して損益通算すると、A口座とB口座を合わせた所得合計は 190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると 29万円となります。

従って、実際に負担すべき所得税が 29万円でいいにもかかわらず既に 68万円を納付しているので、 39万円(68−29)が軽減され還付されることになります。

以上の様に、損失額が大きいほど分離課税方式の税軽減効果は大きくなります。

ここでは、損失を超える利益(含む配当)がある場合を想定しましたが、利益が足りなければ損は翌年以降に繰り越せます。(「繰越控除」)

ーこれらを、表にしたものが下表ですー

この表では、住民税でも同様な計算で還付金が受けられることを表しています。

ケース別税額計算過程表と還付額 (単位 万円)

ース
口座
株式等の所得
所得税
住民税
合計
譲渡所得
配当所得
所得合計
所得税
所得税額
源泉徴収分
還付金
住民税
住民税額
源泉徴収分
還付金
源泉徴収分
還付金
?T
A
200
45
245
15.32%
38
38
5.00%
12
12
B
-100
45
-55
15.32%
-8
0
5.00%
-3
0
通算
100
90
190
15.32%
29
38
8
5.00%
10
12
3
50
11
損益通算で8万円還付
3万円還付
計11万円
?U
A
200
45
245
15.32%
38
38
5.00%
12
12
B
-200
45
-155
15.32%
-24
0
5.00%
-8
0
通算
0
90
90
15.32%
14
38
24
5.00%
5
12
8
50
31
損益通算で24万円還付
8万円還付
計31万円
?V
A
400
45
445
15.32%
68
68
5.00%
22
22
B
-300
45
-255
15.32%
-39
0
5.00%
-13
0
通算
100
90
190
15.32%
29
68
39
5.00%
10
22
13
90
52
損益通算で39万円還付
13万円還付
計52万円

分析から言えること

 ?@前述の総合課税方式でシミュレーションした年金者モデルは、配当合計が90万円で還付金を試算したところ、 所得税が20万円還付される ことになりました。

このモデル者のケース(配当90万円)を分離課税方式で申告した場合 、この配当控除による効果20万円を上回る効果が得られるのは、譲渡損が200万円以上ある?Uと?Vのケースとなります。

簡単に言うと、損失を上回る利益(含む配当)があれば、「損×15.315%」が節税額(還付金)になりますので、20万円以上の節税メリットを得るには、20万円÷15.315%=140万円の損失があればいいことになります。

 ?A上表でわかるように、確定申告を分離課税方式で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられるので、「総合課税で確定申告し住民税で不要申告する場合」に比べて還付金は多くなります。

しかし、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

くれぐれも、口座間で損益通算する場合は、益が大きく残らないよう益の小さい口座との損益通算に限定して申告しましょう。

結局は、住民税については、還付金の大きさと住民税等への負担増の大きさ等の比較から判断しなければならないところがあり、住民税への影響が大きければ、住民税の還付を断念して、不要申告の手続きをとることも必要です。

(住民税での還付金の大きさと、翌年の住民税負担の大きさを比較する必要があります)  

2)目的?A「今年度の譲渡益と過去の繰越損と相殺して益を圧縮して税を軽減したい」

過去に損が出て確定申告で繰越控除(3年間を限度として損を繰り越せる制度)の申告をしている場合に、本年度に利益(含む配当)が出たので、繰越控除と相殺して、本年度の利益に対して源泉徴収された所得税等の還付を受けるのが目的です。

あくまでも繰越損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。( すべての口座を 取り上げる必要はありませんので、ご注意を!)  

[シミレーション]

◯本年度は利益と配当を合わせ大きく収益がでた。

また過去3年間において損失があったので繰越控除分がある。

このため、繰越控除を使って本年の収益を圧縮して、支払った税金の還付を受けたい。

このため、今年の収益と繰越控除額の大きさを変えたケースを2つシミュレーションしました。

<ケース?Tの場合>

本年度収益は、利益400万円と配当90万円の合計が 490万円となり所得税 75万円が源泉徴収されている。

繰越控除には有効分(3年以内)110万円があるので、これと損益通算すると、本年の収益は、 380万円(490−110)に圧縮でき、これに本来の所得税率15.32%を乗じると納めるべき税金は、 58万円でいいことになる。

従って、既に源泉徴収された75万円から 17万円(75−58)が税軽減分として還付されることになります。

<ケース?Uの場合>

本年度収益は、利益400万円と配当90万円の合計が 490万円となり所得税75万円が源泉徴収されている。

越控除には有効分(3年以内) 310万円があるので、これと損益通算すると、本年の収益は、180万円(490−310)に圧縮でき、これに本来の所得税率15.32%を乗じると納めるべき税金は、 28万円でいいことになる。

従って、既に源泉徴収された75万円から 47万円(75−28)が税軽減分として還付されることになります。

分析から言えること

 ?@前述の総合課税方式でシミュレーションした年金者モデルは、配当合計が90万円で還付金を試算したところ、 所得税が20万円還付される ことになりました。

このモデル者のケース(配当90万円)を分離課税方式で申告した場合 、この配当控除による効果20万円を上回る効果が得られるのは、譲渡損が200万円以上ある?Uのケースとなります。

簡単に言うと、繰越損を上回る利益(含む配当)があれば、「損×15.315%」が節税額(還付金)になりますので、20万円以上の節税メリットを得るには、20万円÷15.315%=140万円の損失があればいいことになります。

?A上表でわかるように、確定申告を分離課税方式で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられるので、「総合課税で確定申告し住民税で不要申告する場合」に比べて還付金は多くなります。

しかし、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

 くれぐれも、損益通算して益が大きく残る場合は総合課税方式にするか、住民税不要申告制度を活用するか精査が必要です。

3)目的?「繰越控除や 損益通算しても大きな損が残ったので、損を繰越して次年度以降の税軽減に生かしたい」

シミレーションは省略します。  

最後に

「総合課税方式」と「分離課税方式」のどちらが税軽減に有利であるかは、およその見当はつきますが、住民税や住民税をもとに決定される国民健康保険料や介護保険料、児童手当に反映されて負担増も考慮して、微妙な場合はそれぞれを試算の上で判断することが重要です。

このような時は、「e-tax」が重宝なツールとなります。( 確定申告|1月はe-Taxで還付申告の準備をしよう!

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なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2021年02月06日

確定申告|株の利益・配当にかかった高い税金を取戻す賢い申告の仕方(前編)

株の利益や配当には一律の高い税率が掛けられ重い負担となっている為、確定申告では個別の状況に対応した節税機会が与えられています!

◯株式や投信等運用には高い税率が掛けられています!

取引で得た利益や配当・分配金には、運用者の所得や生活実態に関わらず 一律に20.315% (所得税15.315%、住民税5%)もの高い税率が掛けられています。

課税対象 所得税 住民税
上場株式の利益・配当
15.315%( 0.315%は復興税  5% 20.315%

このため、現在の低預金利子下では、資産運用として株式や投信運用に注力せざるを得ず株式投資等で資産形成を図ろうとする一般の会社員や年金生活者には20%もの一律の税率は非常に重いものとなっています。

◯確定申告によって税を軽減できる機会が与えられています!

このため、確定申告では、個人の所得状況や取引で損失が出た場合、配当控除や損益通算等で税を軽減できる仕組みが設けられています。

具体的には、?@配当控除により税額を下げる、?A損益通算で譲渡所得(含む配当所得)を下げる、?損を繰越して翌年以降の所得を下げる、?C過去の繰越損と相殺して本年の所得を下げる、等により税金の軽減ができる仕組みがあります。

◯但し、所得税と住民税とでは、株取引に伴う所得の取り扱いに若干の違いがあるので「住民税の申告不要制度」の理解も重要になります!

株式等の利益や配当の取り扱いは、所得税と住民税とでは若干違いがあるため、確定申告すると住民税の負担増を招きかねないという問題がありました。

これでは、節税の為の確定申告ができないため、平成29年度税制改正で、住民税では所得税と異なる課税方式が選べることになりました。

このため、住民税では、必要に応じて確定申告とは別の課税方式を選択する必要があります。(「申告不要制度」を市区町村住民税課に提出する)

以上から、仕組みをきっちり理解し上で、確定申告によって株等の運用にかかる税金をがっちり軽減しましょう!

目  次

・はじめに

・確定申告の課税方式には「総合課税方式」と「分離課税方式」の二通りがあり、いずれかを選択する

   「総合課税方式」とは

   「分離課税方式」とは

   「総合課税方式と分離課税方式の対比表」

・貴方の場合、どちらを選択するのが有利(得策)ですか?

・?T. 総合課税方式の選択に当たっての留意点

   1.総合課税方式の税計算の流れ

   2.課税所得900万円以下にメリットがあり、低所得ほどメリット大!

   3.数字を使った「還付金額」算出のシミレーション

   4.注意が必要!総合課税方式による「住民税」への影響と対策

・?U. 分離課税方式の選択に当たっての留意点(後編)

   1.分離課税方式の税計算の流れ

   2.損や繰越控除が大きいほど税軽減(還付)効果が大きい!

   3.目的別に数字を使った「還付金額」算出のシミレーション

    1)目的?@「一部特定口座で損がある為口座間で損益通算して益を圧縮したい」

    2)目的?A「今年度譲渡益と過去繰越損と相殺して益を圧縮したい」

    3)目的?「損が残ったので、繰越して次年度以降の税軽減に生かしたい」

・最後に

はじめに

大半の方は、株式等の運用を証券会社等に「特定口座」を持ち「源泉徴収あり」で運用されているため、利益や配当にかかる税額計算や納税業務一切は証券会社等が代行してくれるので個人では基本的に確定申告の必要はありません。

しかし、確定申告には、税金を軽減できる仕組みがありますので、是非、運用状況に合った申告方法を活用して節税にチャレンジしてください!

なお、以下では、「特定口座」で「源泉徴収」を選択していることを前提とさせていただきます。(「一般口座」でも、基本的考え方は変わらないと考えます)

確定申告の課税方式には「総合課税方式」と「分離課税方式」の二通りがあり、いずれかを選択する

確定申告には、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2通りの申告方法があり、申告には、どちらか一方しか選択できません。

「総合課税方式」とは

株取引による損益には一切触れずに、配当を「所得」として「給与等の他の所得」と合算して所得税を算出した後、「配当控除(配当の10.00%の金額)」が税額控除されて所得税が軽減されます。

※ {(給与等所得+配当所得)-所得控除}×所得税率=所得税- 配当控除(配当金額の10%分)=確定所得税

 (注意:住民税にも配当控除制度があり、住民税も総合課税方式のままだと配当の0.28%の配当控除が受けられますが、かえって不利益になります。この為「住民税申告不要制度」が必要になります。詳細は後述します)

従って、「株取引で利益(配当収入も含む)が出た」、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式による配当控除のメリットの方が大きい」等から、配当に限定して節税したい時に総合課税方式を選択します。

「分離課税方式」とは

逆に、配当控除を受けず、又、給与や年金その他の所得とは関わりなく、株取引での「損益通算」や「繰越控除との相殺」等による利益圧縮で節税を図る仕組みです。

従って、損益通算で利益を圧縮した節税メリットが、総額課税方式の配当控除メリットよりも大きい場合に分離課税方式を選択します。

「総合課税方式と分離課税方式の対比表」
税軽減措置 節税の仕組みと選択の視点
総合課税方式
配当控除による税額控除

◯株取引には一切触れず、配当を給与等の所得に合算して所得税を算出した後、「配当控除:配当額の10.28%」が税額控除される。

選択基準:株取引では損益通算や繰越控除の必要がない場合や利益が出ている場合、又、配当控除の方がメリットが大きい場合に選択する

分離課税方式
損益通算による利益圧縮

◯給与や年金その他の所得とは関わりなく、株取引の「損益通算」や「繰越控除等の相殺」等による利益圧縮で税が軽減される。

選択基準:配当控除メリットよりも損益通算等によるメリットが大きい場合に選択する

貴方の場合、どちらを選択するのが有利(得策)ですか?

あなたの本年度の運用結果からどちらの方式を選びますか?

おおよそは、下表の目安等で見当がつくと思いますが、微妙な場合は、やはり、e-Taxで両方式を試算して有利な方を選択することが賢明だと思います。

[課税方式の使い分けの目安]

大体の目安です。実際には後述の留意点等を勘案してご判断願います。

目的 課税方式
一部の口座で損失があり損益通算して所得(利益、配当)を減らしたい 分離課税
利益(含む配当)を、過去の「繰越控除」で相殺して減らしたい 分離課税
損益通算しても損が残るので損を繰越したい 分離課税
どの口座にも損がなく、かつ過去の繰越控除もない 総合課税
分離課税で計算したメリットよりも配当控除のメリットの方が大きい 総合課税
配当控除のメリットよりも分離課税のメリットの方が大きい 分離課税

※分離課税で計算したメリットとは、損益通算などで大きく所得を減らしたことによる減税メリットのことです。

?T.「総合課税方式」の選択に当たっての留意点

「給与や年金所得が低いのに株取引による利益や配当への20%課税は高すぎる。

売買で得た利益に対する20%はやむを得ないとしても、配当所得については総所得に見合った税率であってほしい」 と思われる方は多いのではないでしょうか?

こういう願いに適うのが、総合課税方式による配当控除の適用を受けることです。

もともと配当は、企業が法人税を納めた後の原資であるため、配当で個人に取得税をかけるのは二重課税ともなっているので、配当を所得として給与等に加算する代わりに、「配当控除」により二重課税を避けるという主旨もあります。

1.「総合課税方式」の税計算の流れ

証券会社等が発行する「特定口座年間取引報告書」をもとに申告します。

「特定口座年間取引報告書」には、「譲渡所得」、「譲渡損失」などとともに「配当所得」が記載されています。

配当を給与所得等と合算して所得税を算出した後、「配当控除」が税額控除されて「最終の所得税」となります。

この計算の流れを分解すると下表の?@から?Dの流れとなります。

順序 求める額 計算式
?@ 「総所得額」 「給与または年金所得」+「配当所得」
?A 「課税対象額」 「総所得額」-「社会保険料等の所得控除額」
? 「所得税額」 「課税対象額」× 所得税率(累進税率)
?C 「最終の税額」 「所得税額」-「配当控除額」
?D 「還付額」 「源泉徴収された給与・年金所得の納税額と配当の納税額」-「最終の税額」

※「配当控除額」は、 配当所得の10.00%(参考:住民税の配当控除は2.8%)

2.課税所得900万円以下にメリットがあり、低所得ほどメリット大!

所得税は、「累進税率」であるため、配当控除によるメリットが享受できる対象は、下表の通り、課税所得900万円以下の方となります。

その中でも、低所得で配当所得の割合が高いほど配当控除のメリットが大きくなります。

なお、総合課税では全ての所得が合算されるため、給与や年金の他に、不動産家賃収入、事業所得、株式・建物・土地を除く譲渡所得、一時所得等があると、その分メリットが少なくなります。

[?T表 課税所得額別に見た配当控除による減税効果]

・所得税率は、課税所得額に対応した累進課税 

・配当控除率は、1000万円まで10%、1800万円まで5%、1800万以上は無し

・実質負担率は、所得税率が配当控除率分負担減になった実質負担率を表す

・源泉徴収率は、利益や配当で源泉徴収された率を表す

・軽減税率は、配当控除により源泉徴収された税率分がいくら分軽くなるかを示す!

課税所得金額
所得税率
配当控除率
実質負担税率
源泉徴収税率
軽減税率
(所得‐所得控除)
累進税率
配当に乗じる
既に徴収済み
還付率
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
195万円以下
5%
▲10%
0%
15%
▲15%
330万円以下
10%
▲10%
0%
15%
▲15%
695万円以下
20%
▲10%
10%
15%
▲5%
900万円以下
23%
▲10%
13%
15%
▲2%
1000万円以下
33%
▲10%
23%
15%
8%追徴
1800万円以下
33%
▲5%
28%
15%
13%追徴

※源泉徴収税率には復興特別所得税0.315%がありますが省略しました。 また、「配当控除額」は、 住民税分を含めると 配当所得の10.28%となりますが、ここは、所得税分のみです。なお、 投信等の元本取り崩しによる分配金の場合の「配当控除額」は、低くなります。

[結 論:課税所得900万円以下で低所得ほどメリット大!]

・給料や年金、その他所得等に配当を含めた課税所得が 900万円以上の場合はメリットがないが、 695万円以下の人にメリット(税軽減)が得られる。

・695万円以下でも、合算所得が低いほどメリットが大きく、かつ配当所得の比率が高いほどメリットが大きくなる。

3.数字を使った「還付金額」算出のシミレーション

◯年金生活者で、年金310万円と配当90万円あわせた収入が400万円、両方で源泉徴収された所得税が22.4万円のケース

[申告データー]

?@年金収入が310万円で、年金で源泉徴収された所得税は6.6万円、株式の配当は総額で90万円で所得税13.8万円が源泉徴収された。

?A確定申告のため整理したところ、年度末での社会保険料控除額、生命保険料控除額、配偶者控除額、基礎控除額など所得控除額額は、合計で130万円となった。

「源泉徴収ありの特定口座」で運用)

「還付金額算出のシミレーション」

年収は、年金310万円と配当90万円合わせた400万円ですが、所得にすると、年金所得が190万円、配当所得が90万円で「合計所得」280万円となります。

ここから社会保険等の「所得控除額額」130万円を差し引くと、「課税所得」は、280?130より150万円となります。

この課税所得150万円に所得税率5%(上述?T表の195万円以下に該当)を乗じた7.5万円が所得税となります。

ここから「配当控除額」が税額控除されて「最終の所得税」が確定されます。

 「配当控除額」は、配当の10%額ですから9万円(90万円×10%)となります。

従って、「確定所得税」は、「-2万円」(7.5万円ー9万円)となりますが、国から税金を徴収するわけにはいかないので「0円」、つまり税の納入は不要となります。

このため、源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「20.4万円」ありますので、これが還付の対象となり 「還付金20万円」が還付 されます。」

これを表を使って表すと下表のようになります の単位 万円

収入 所得 所得控除 課税所得 確定課税 配当控除 申告課税 源泉徴収税 還付
年金
310 190 130 60 5.0% 6.6
配当
90 90 90 15.3% 13.784
合計
400 ?@ 280 ?A 130 ?B 150 ?C 5.0% ?D 7.5 ?E 9.0 ?F -1.5 ?G 20.384 ?H 20.384

[表の説明]

年金と配当所得の合計280万円(?@)から所得控除130万円(?A)を差し引いて、課税所得150万円(?B)を求め、所得税率(課税所得額ランク別?T表)の5%(?C)を乗じて、課税額7.5万円(?D)を確定します。

そして、この税額から配当控除額(配当90万円×10%=?E9万円)を税額控除し申告する課税額(?F‐1.5万円)が確定します。

ここでは「‐1.5万円」となっていますが、税金を徴収するわけにはいきませんので「0」とカウントされます。

そして「税金が0でいいにも関わらず源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「?G20.384万円」ありますので、これが還付の対象となり「?H還付金20万円」が還付されます。」  

4.注意が必要!総合課税方式による「住民税」への影響と対策

○住民税で総合課税方式の配当控除を受けると負担増に繋がるので、確定申告で総合課税をされた場合、住民税では不要申告手続きをとることをおすすめします!

下表の通り、住民税の給与等所得に対する税率は「10%」であることから、住民税の配当控除「2.8%」の適用を受けても、実質「7.2%」の税率となるので、配当で源泉徴収された「5%」よりかえって負担増となります。

[?U表 住民税:課税所得額ランク別に見た配当控除の減税効果]

課税所得金額
住民税率
配当控除率
実質の負担税率
源泉徴収税率
税軽減効果
(A)
(B)
(C)=A-B
(D)
C−D
1000万円以下
10%
2.8%
7.2%
5%
2.2%追徴

また、配当込みの課税所得が、次年度の住民税算定基礎(所得割)に適用され負担増になります。(住民税は昨年度の所得を基礎にするため)

さらに、住民税の課税所得を基準とする国民健康保険料、介護保険料、児童手当等の負担増にも繋がります。

確定申告で総合課税方式を選択し、住民税で何もしなければ、確定申告の申告内容がそのまま適用されます。

このため、 確定申告で総合課税をされた場合は、住民税では不要申告の手続きをとる ことをおすすめします。

○実際に数字を使った住民税のシミレーション

先程の事例で住民税でも総合課税だと下表のようになります。 (金額の単位 万円)

収入 所得 所得控除 課税対象所得 税率 確定課税額 配当控除額 申告課税額 源泉徴収税額 追徴金
年金
310 190 117 73 10.0% 7.3
配当
90 90 90 5.0% 4.5
合計
400 ?@ 280 ?A 117 ?B 163 ?C 10.0% ?D 16.3 ?E 2.5 ?F 13.8 ?G 11.8 ?H 2.0

年金と配当所得の合計280万円(?@)から、所得控除117万円(?A)を差し引いて課税対象所得163万円(?B)を求め、住民税率の10%(?C)を乗じて課税額16.3万円(?D)を確定します。

この税額から配当控除額2.5万円(?E配当90万円×2.8%)を税額控除し、申告する課税額13.8万円(?F)が確定します。

しかし、源泉徴収された住民税が、年金分と配当分合わせて11.8万円(?G)なので、申告の課税額13.8万円(?F)に対し2.0万円(?H)の不足が生じ、追徴されることになります。

○住民税「申告不要」の手続は確定申告前に!

異なる課税方式の選択には「住民税申告書」を市区町村へ提出することが必要です。

住民税で異なる課税方式を選択する場合は、確定申告書を提出する日以前に、別途、住民税の申告書を市区町村に提出する必要があります。

詳細はお近くの市区町村窓口にお問い合わせください。

参照⇒「 確定申告と異なる住民税の課税方式選択で株式投資を節税!」

なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2021年02月01日

確定申告|株取引等の申告で住民税や社保料等へのはね返りで損しない為の留意点

あなたの株式等の譲渡・配当の確定申告には、住民税の「不要申告制度」手続きは必要ないですか?

所得税と住民税では、若干、所得に対する課税の考え方が異なる部分があります。

国税と地方税の背景が異なることから「所得控除」の内容や金額も異なり、特に、株式等の譲渡所得や配当所得の捉え方も若干異なります。

また、住民税を算定基礎とする地方行政サービス費、特に介護保険料では、「損益通算」といった所得を減ずる便宜措置は原則考慮しない考え方となっています。

従って、確定申告で、損益通算の為の「分離課税方式」を選択しても、あるいは、「総合課税方式」で「配当控除」を受ける場合でも、住民税等においては、かえって課税対象金額や算定基礎が上がり負担増になる場合があります。

このため、平成29年度税制改正で、確定申告とは異なる課税方式を選択することができるようになりました。

株式等の譲渡所得や配当所得を税軽減目的で確定申告される場合は、是非、住民税等への影響を勘案して、くれぐれも所得税では節税できたが、住民税とではかえって負担増になったというようなことがないよう注意願います!

目  次

・株式等の譲渡所得や配当所得を確定申告すれば、「住民税等」への負担増に繋がるかも?

・税制改正で確定申告とは関係なく、住民税で異なる課税方式選択が可能に!(「不要申告制度」)

・申告不要制度によって住民税の他、介護保険料等への影響も抑えられる

・確定申告を提出される前に市区町村窓口へ手続き確認を!

・最後に!住民税の軽減は非常に重要!

株式等の譲渡所得や配当所得を確定申告すれば、「住民税等」への負担増に繋がるかも?

株式等の譲渡所得や配当所得を確定申告する場合、そのままだと、住民税では、これら 株式等の譲渡所得 や配当所得が課税対象となって住民税を追徴されたり、次年度の住民税負担増に繋がる可能性があります。

税制改正で確定申告とは関係なく、住民税で異なる課税方式選択が可能に!(「不要申告制度」)

このため、平成29年度税制改正で、確定申告で株式等の所得等を含めた申告が出されても、住民税で別個の申告( 「申告不要制度適用・総合課税・申告分離課税」)があれば、それと関係なく住民税では異なる方式の課税ができることになりました。

 これにより、確定申告で株式の譲渡所得や配当所得が申告されても、住民税では、「申告不要制度」を選択すれば、これら譲渡所得や配当所得は課税所得に含めずに済む(できる)ようになりました。

「申告不要制度」によって住民税の他、介護保険料等への影響も抑えられる

住民税への影響を回避できれば、住民税を基に算定される介護保険料等へのはね返りや児童手当や学校教育費などへの影響も防ぐことができます。

(注)

「介護保険料」の算定は、国民健康保険料算定の場合と違って、過去の損失(繰越控除)との損益通算は考慮せず、今年度発生した損益のみの所得認識となります。従って、過去の繰越損と損益通算されない所得で介護保険料算定が行われるので注意が必要です。

確定申告を提出される前に市区町村窓口へ手続き確認を!

従って、株式等の譲渡所得や配当所得を絡めた確定申告を提出する場合において、

確定申告と異なる課税方式が望ましい場合には、確定申告を提出する前に、できれば市区村町の市民税窓口に行って以下の手続きをされることをおすすめします。

(地域によっては確定申告後でも良いとするところもあるようですが)

⇒「市民税・県民税申告書」により住民税の課税方法(「申告不要制度、総合課税・分離課税制度」)の選択手続きを行う。

最後に!住民税の軽減は非常に重要!

所得税の場合、年収650万円までは税率10%ですが、住民税の場合、収入に関わらず一律税率10%のため、年収650万円までの方(含む大半の年金所得者等)には大きい負担となります。

また、介護保険料や地方行政サービス費負担などにも影響してきます。

従って、住民税を軽減することは家計費節約にとって非常に重要です。

確定申告には、住民税の「申告不要制度」をお忘れなく!

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なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。 確定申告

2021年01月31日

確定申告|パート年収が103万円以下なら申告で所得税は全額戻せる

徴収された所得税が勤務先から返却されていなければ確定申告で還付請求を!

 パート収入が年間103万円以下であった場合、給与から引かれた所得税や住民税は、勤務先の年末調整で払い戻しされます。

また、途中で退社したり勤務先の都合等で返戻されなかった場合には、確定申告をすれば全て払い戻しを受けることができます!

夫の「配偶者控除」の適用を受けていても、年収103万円以下であれば、本人が確定申告しても「配偶者控除」への影響は全くありません。

年収が103万円以下であった場合は、支払った所得税が全額戻されているかをチェックして、戻されていなければ、確定申告をしましょう!

目  次

・パート収入が年間103万円以下なら所得税はかからない!

・パート年収が150万円以下なら夫の配偶者控除は満額適用!

・年収103万円以下を見込んだパート勤務でも月々に所得税等を徴収される場合が多くあります!

・年収103万円以下であっても所得税が戻らない場合もある!

・年収が103万円以下であれば、確定申告で所得税は戻せます!

・確定申告に際して注意すべき点

・最後に

パート収入が年間103万円以下なら所得税はかからない!

会社員(含むパート等)の所得税は、次の算式で計算されます。(あくまでも年間で見ます)

全体式
参考:全体式を要素別に分解
(年収−給与所得控除額−所得控除) ×税率
年収-給与所得控除=給与所得
給与所得-所得控除=課税所得
課税所得×税率

このように、パート(会社員を含む)の所得税は、年間で見た場合に、年収から「給与所得控除」と「基礎控除」を引いた「課税所得金額」に所得税率を乗じて算出されます。

そして、「給与所得控除」は、年収がどんなに低くても最低55万円が適用され、「基礎控除」の48万円は全てのパートに適用されます。(この控除額は令和2年に改正されました)

従って、この2つの控除額を合計すると103万円となるので、年間103万円を超えなければ、所得税は発生しないことになります。( 「103万円の壁」)

※給与収入103万円-(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)=課税対象所得0円

なお、給与収入には特別に支給される賞与が含まれます。

また、食事代や交通費・通勤手当などのは基本的には、収入に該当しないことになっていますが、過分な場合は収入と見做される場合がありますので注意が必要です。

< 補足説明>

「給与所得控除」

経費に相当するもので年収に応じて決められている。

収入が180万円以下の場合、「収入金額×40%-100,000円」であるが、この値が55万円に満たない場合は一律55万円が給与所得控除となる。 従って、年間収入が180万円以下の場合、給与収入から55万円控除された額が「給与所得」になる。

「所得控除」

個人的な経済的事情(扶養者有無、障害者有無、家族の所得状況など)を「課税所得」に反映させるための控除制度で「社会保険料控除」や「生命保険料控除」等の14種類がある。

その中で、誰にも適用されるものが「基礎控除」の48万円。

パート年収が150万円以下なら夫の配偶者控除は満額適用!

パートの年収が、103万円以下であれば課税所得が0円なので夫の扶養内(配偶者控除の満額適用)となります。

しかし、収入が103万を超えても150万円以下であれば「配偶者特別控除」という名目で満額受けられます。(150万円〜201万円では、段階的に夫の配偶者控除額が少なくなります。)

従って、年収150万円以下であれば、夫の扶養内(配偶者控除の満額適用)でいることができますが、本人のパート収入には、(所得控除項目がなければ)所得税や住民税が掛かる可能性があります

所得税や住民税が掛からないためには、年収を103万円以下に収めることが必要です!

年収103万円以下を見込んだパート勤務でも月々に所得税等を徴収される場合が多くあります!

しかし、これら所得税計算は、あくまでも年間の結果を見ての計算になるため、勤務先では、勤務時間や月額収入によっては所得税が引かれるケースが多くあります。

また、月収が8万8千円(103÷12か月が根拠?)を超えれば所得税徴収が雇い主に義務付けられている(所得税法)!

 「扶養控除等(異動)申告書」等で非課税扱いを受けていても、月額が8万8,000円を超えれば所得税は徴収されることになっています。

(逆に、この申告書を提出しないと、8万8千円にかかわらず全額に対して所得税を徴収される場合もあるので注意)

(補足) 「扶養控除等(異動)申告書」の提出

パート勤務に際し、事業所では「扶養控除等(異動)申告書」の提出を求めることがあります。提出しない場合は、8万8千円の枠に関わらず税金が徴取されます。

因みに月額パート収入が8万8千円未満の場合、3.063%の所得税が徴収されます。

従って、残業など何らかの事情によって月額収入が8万8千円を超えた場合、所得税が徴収されることは承知しておく必要があります。(事業所の手違いではありません!)

このような場合、通常は、年度末において年間収入が103万円以内であれば、勤務先の「年末調整」で支払った税金は戻ってきます。

年収103万円以下であっても所得税が戻らない場合もある!

しかし、途中で勤め先を辞めたり変えたりした場合や、勤務先の事情によって年末調整をしてくれないところもあります。

また、副業などで源泉徴収された場合なども合計収入が103万円以下であっても戻りません。

このような場合は、確定申告をすれば税金が還付してもらうことができます。

年収が103万円以下であれば、確定申告で所得税は戻せます!

年収が103万円以下であった場合は、所得税は掛からないことになりますが、 勤務先の都合により戻し入れを受けられない場合や、年末までに退職し、徴収された所得税の戻しを受けていなければ、確定申告によって徴収された所得税を還付してもらうことができます。

徴収された所得税が大した額でなければ確定申告の必要がないと思われがちですが、住民税も同様に徴収される可能性があるので注意が必要です。

(補足)  住民税の課税対象額

住民税も、年収100万円(=給与所得控除65万円+基礎控除35万円)以下が無税ですが、それを超えると発生し、翌年度にも住民税支払い義務が発生します。

従って、年間103万円以下の年収であった場合、徴収された税金が多ければ多いほどには確定申告で還付を受けておかれた方がいいと思われます。

確定申告に際して注意すべき点

?確定申告に、源泉分離課税の譲渡所得や配当所得は、一切記載不要!

夫が配偶者(特別)控除の適用を受けている場合に、妻(配偶者)が確定申告することで思わぬ否認を受ける場合があります。

これは、妻(配偶者)にパート収入以外の所得が相当あると認識された場合などです。

代表例は、株式の譲渡所得や配当所得などです。

源泉分離課税などで運用されている譲渡所得や配当所得は、一切、確定申告時に記載する必要はありません。

従って、税還付のための確定申告をする際には、「特定口座で源泉徴収あり」で運用している株式等の配当や売買による譲渡所得、あるいは源泉分離課税の利子所得などは、一切記載しないように注意が必要です。

参考 :確定申告|配偶者控除のメリット大!パートや株投資等での留意点

最後に

パート収入が年間103万円以下なら月々に支払った税金は戻ります。

大抵は勤務先の年末調整で戻りますが、パートを辞めたり勤務先を変えたりで会社で処理できなかった場合は、確定申告で還付を受けることができます。

僅かでも住民税や他への影響もあり得るので所得を減らすことが重要です!

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なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。
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