やはりこのドラマは最強だったと今さらながら再認識した。
今回見たのは、1986年に放送されたというシリーズ4作目のもの。
毎度おなじみ、市原悦子演じる主人公の家政婦・石崎秋子が派遣されるのは
とある名門女子大学の経営者一家が住まうご邸宅。
とりあえず、昭和の名優、加藤嘉が出ているとわかった時点で
もう怪演の予感しかなくワクワクだったのだが
ほらきたやっぱり!
「いもよ〜」という耳慣れない言葉を発しながら、
物語序盤からいきなり市原悦子さまに襲いかかる加藤御大ww
期待を裏切りません。
ちなみに「いもよ」とは「妹(いも)よ」で、
万葉集に出てくる、愛しい女性に対する呼びかけの言葉とのこと。
今回、加藤御大は名門大学の学長兼理事長にして、万葉集研究の大家という役どころ。
そんな万葉集の大家が、秋子の横顔にいにしえの”天平美人”の面影を見て一目惚れ。
これも恋のなせる業か、それまで堅物で通ってきた老学長が突然「人生最後の著述のテーマを”女人の心”とすることにした」などと柄にもないことを言い出して周りを驚かせたり、はたまた、まじめな会議の席で万葉集の中でも選りすぐりのエチエチな恋の歌をいきなり声高らかに詠いだしたりとなかなかお騒がせなことに。
しかし、学長のおかしな言動は普段の生活でも顕著に表れるようになり、家族の間でにわかに認知症の疑いが浮上。それに伴い、以前から燻っていた一族内のし烈な跡目争いもますます過熱していき・・・
というのが大まかな内容。
はたして学長は本当に呆けてしまったのか否か(ひょっとして演技かも)というところがその後の物語のキーポイントになっていくのだが、後継をめぐって家族が骨肉の争いを繰り広げる中、唯一ほっこりするのが秋子と学長との滑稽ながらも心温まる交流だ。
学長に乞われるまま、とまどいながらも秋子が歌垣(男女の歌の掛け合い)に臨むシーンはおそらく劇中屈指の名場面。
万葉の権威の口から繰り出される風流な古歌に対し、和歌の心得がない秋子は
とっさに都はるみの「浮草ぐらし」の一節で応戦する。
すると・・・
「おおおおお!いもよ〜!!」(学長様大興奮)
出た!!! いもよwwww
ハートにメガヒットです。
そんな調子で
全編を通じてとにかく笑いに事欠かないのだが、最後は少しだけほろっとさせられる。
老いていくことの悲哀や家族関係の難しさをつくづく痛感した。
ラストの痛ーいオチは相変わらずですが。
話の筋立てはさることながら、毒とユーモア、感動のさじ加減が実に絶妙。
おそらくシリーズ内でも指折りの傑作回でありましょう。
大沢家政婦紹介所のゆかいな面々が
珍しく一堂に会して真剣に労働に勤しむシーンなんかも見れたりする。
いつも紹介所の居間に集っては
くだを巻きまくってばかりいるイメージだけに新鮮です笑
よろしければぜひどうぞ。
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