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2018年12月04日

昔ながらのあかすりタオル


私の郷里の街には銭湯が多い。もっとも地元にいた頃はどこもそういうものだと思っていたので特別意識したことはなかったが、全国的にもめずらしいらしく、ときどき旅番組などで「風呂好きな人が多い街」として紹介されたりすることがあるので驚いている。

今は郷里を離れてくらしているが、言われてみればたしかに銭湯好きな人が多かった気がする。家風呂がないというわけではないのだが、それとは別に銭湯通いを楽しむ人が多いのだ。銭湯だけに限らず近隣には有名無名の温泉地も多いので、湯めぐりには事欠かないほど湯場には恵まれている。私にとっても銭湯や温泉は子どもの頃から馴染みの場所だった。

そんなわけで、知らず知らずのうちにディープな銭湯文化の中で育っていた私なのだが、地元にいる頃、銭湯に行くと必ずすることがあった。「あかすり」である。

私はこの「あかをする」という行為も、風呂好きな日本人ならおなじみの行為だと思い込んでいたのだが、地元を離れて東京で暮らすようになると、意外にもあかすりを知らない人の方が多くて驚いたものだった。韓国式あかすりがブームなる少し前のことだ。

私の知る限り、私の地元で「あかすり」は、銭湯における定番中の定番の行為だった。もはや銭湯は、あかをするためにある場所とさえ思っていた。たいがいの銭湯で番台に専用の袋状のあかすり(タオル)が売られており、これに固く絞った普通のタオルを入れて肌をゴシゴシとやる。背中は手が届かないので、一緒に入った人と互いにこすりあいっこする。こすり終わった後は、仕上げに石鹸をたっぷりかけて体を洗う。この一連の動作が、私が地元で培ったあかすりの流儀だ。家ではしない。やってもあかがでないのだ。幼い頃の私はこれが不思議で、「どうしておうちのお風呂ではあかがでないのに、お風呂屋さんでは出るのか」と聞くと、まわりの大人は「お風呂屋さんだと肌がよくうるけるから」と言った。「うるける」というのは北の方の方言で、「うるおう」とか「ふやける」とかいう意味。つまり、家風呂に比べて温熱効果が高い銭湯では、皮膚がよりふやけやすくなって、あかも出やすくなるというわけだ。

最近、縁あって再び銭湯通いをするようになったのだが、通っているうちにひさびさにあかすりがしたくなった。やはり銭湯では肌が”うるけ”やすくなるのか、なんとなく皮膚がむずむずとして、古い角質が浮き上がってくる感じがわかるのだ。そこで久しぶりにあかすりタオルを手に入れることにした。最近はもっぱら韓国製のあかすりタオルが主流のようだが、やはり子どもの頃に慣れ親しんだ、あの昔ながらの袋状のあかすりがほしい。全体がピンクのストライプで、上部にアクセントで赤い線が二本入ったやつだ。だけど最近の銭湯では置いてある気配がない。どこで買えるのだろう?ネットで調べると、そのあかすりは、「フレッサー」という商品であることがわかった。パッケージに昭和風な入浴中の女性のイラストが描かれている。そうそうこれだ。懐かしい!

しかし喜びも束の間、「フレッサー」は販売元だった老舗メーカーの廃業で、今やなきものとなっていた。それでもあきらめきれず色々調べていると、 くーる&ほっと さんという会社が、現在、袋状のあかすりを取り扱っていることがわかった。くーる&ほっとさんは、50年という長きにわたって群馬の繊維業界で営業の仕事に尽力されてきた方が、群馬の良質な繊維用品の魅力をもっと多くの人に知ってもらおうと、前職退職後に起業し、お一人で運営なさっている会社らしい。通販サイトを覗いたら、ありがたいことに2枚組の安価なお試しセットが売られていたので購入してみた。

IMG_3346.jpg

届いたくーる&ほっとさんのあかすり。イラストがかわいらしい。

さっそく使ってみた。
求めていたとおりの商品だった。やはりナイロン製ではなく、レーヨン製という点も大きいのだろうか。肌への当たり具合というか、使い心地が一味違うのだ。あかすりとしての機能性も申し分ない。子どもの頃を思い出し、しばしノスタルジックな気分にひたらせてもらった(近所の銭湯で)。やっぱり良質なメイドインジャパンのものはいい。
くーる&ほっとさんのHPによると、昔こそ人気だったレーヨン製の袋式あかすりだが、現在は需要そのものが減少してしまったことや、製造コスト等の問題で、取扱や製造をやめてしまった業者も多く、加えて「フレッサー」を販売していた老舗業者が廃業してしまったことで、ますます希少なものになっているらしい。しかし根強いファンはいまだ多いらしく、その灯を絶やさぬようと、くーる&ほっとさんはあえて、手間も製造コストもかかるレーヨン製袋式あかすりの取り扱いをしてくださっているようだった。なんとなく「フレッサー」を彷彿とさせるのは、製造している工場と織機が同じだからとのこと。ただ、織り方が少し異なるということだ。なるほど。

商品に同封されていた説明書きにはこうあった。
くーる&ほっとは、私一人で活動しているため、至らない点等あるかもしれませんが、誠実な対応をしていきますので、よろしくお願いいたします。
出典: くーる&ほっと さんパンフレット&HP

良心を感じる。
背中用に長尺タイプも買おうっと。

良い買い物をしました。


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