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2023年8月4日に、黒海にてロシア海軍揚陸艦がウクライナUSVに攻撃されました。
写真を見る限り、ほぼ大破(航行不能)に追い込めたといえます。
図1 ロプーチャー級揚陸艦
引用URL:https://twitter.com/Republic_Mag/status/1687359958344413184/photo/1
ロシア海軍黒海艦隊は、受難続きですが何とかさせずに済んだようです。
USVは、港湾襲撃に有効だが決定的威力には欠けるかな?
(前回記事):『 中国052D駆逐艦のダメコンは悪くないが・・?【軍事技術】 』
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(1)ロプーチャー級揚陸艦大破!
2022年3月に、アリゲーター級揚陸艦が撃沈されて以来の揚陸艦への戦果です。
図2 2022年3月の撃沈
引用URL:https://images.wsj.net/im-511257?width=1280&size=1.33333333
ウクライナUSVが、着々と戦果を挙げている状況です。
1.1 船腹に大穴を開けることに成功か?
今回の攻撃は、揚陸艦が傾斜して曳航(航行不能)になるほどまでのダメージを与えました。
図3 傾斜写真
引用URL:https://twitter.com/Capt_Navy/status/1687559381770981377/photo/1
左舷に被弾して、約10〜15度の傾斜となっています。
相当量の浸水があり、航行不能によりえい航されて港に戻ってきたようです。
報道では、約450kgの炸薬の爆発による模様です。
一応攻撃成功と言えるでしょう。
1.2 今回は大破と判定できる
艦船の損傷段階についてはっきりとした基準があるわけではありませんが、
・小破:艦船の機能にダメージがあるが修理すれば行動できる
・大破:戦闘能力を失い浮かんでいるだけ(自力航行不能)
・撃沈:文字通り沈没した状態
・轟沈:短時間で沈没した場合
今回は、上部構造物が無事のようですが航行不能のため大破判定といえます。
(浸水により機関部が使用不能かな?)
1.3 撃沈まで追い込めなかったのはUSVの限界だと思う
軍艦を大破まで追い込めたのは、かなり上出来といえます。
しかしながら、揚陸艦は船体中央部に大きな開口部があります。
図4 船首から
引用wiki
ロシア海軍のダメコン能力不備を指摘する声もありますが、USVでは船体中心部までダメージが届かないともいえるでしょう。
対艦ミサイルのように、高速で突っ込んでくる衝撃力があれば中心部まで爆風を届かせられたかもしれません。
USVについて、ゲームチェンジャーとするにはまだ早いでしょう。
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(2)USV(水上ドローン)は魔法の弾丸に非ず!
ウクライナ戦争にて、ウクライナの救世主となりつつあるのがUSV(水上ドローン)です。
図5 ウクライナUSV
引用URL:https://twitter.com/CavasShips/status/1573166144537694209/photo/1
黒海を射程範囲に、ロシア軍港に襲撃を行っています。
2.1 戦時急造兵器としては上出来なもの
ウクライナUSVについては、海上戦力が壊滅したウクライナの急造兵器として登場しました。
図6 H.I.サットン氏の解説図
引用URL:http://www.hisutton.com/images/Ukraine-Navy-Maritime-Drone-USV-Cutaway-940.jpg
潜水艦や海軍艦船の解説に定評のある、H.I.サットン氏が詳しくウクライナUSVを解説してます。
無人高速艇に大量の炸薬を搭載して、対艦ミサイルを超える長攻撃距離攻撃を可能にしています。
戦時の急造兵器としては、十分なものでロシア黒海艦隊の活動を妨害するには十分でしょう。
2.2 艦船撃沈までの能力はない
一時期は、USVがゲームチェンジャーになるかと思われましたがあまり成果が上がっていません。
一番の理由としては、魚雷のような一発で撃沈できる破壊力が無いことです。
図7 コール襲撃
引用wiki
2000年に発生した、駆逐艦コール襲撃では約300kgの炸薬を搭載した小型ボートが使用されています。
船体に大穴が開き、大量の浸水をしながらなんとか沈没を免れています。
水上からの攻撃では、ダメコン能力がある艦船への撃沈は厳しくなったといえます。
2.3 無人潜水艇UUVに近くないと厳しいか?
潜水艦の魚雷が1発で艦船を撃沈できるのは、竜骨(キール)を破壊できるように水中爆発能力を備えたからです。
無人ドローンにて、同じように艦艇の撃沈を狙うには全潜没ができるUUVの能力が必要になるでしょう。
図8 UUV
引用URL:https://twitter.com/ShephardNews/status/1687418450828726274/photo/1
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(3)USV攻撃能力の限界が見えた
ウクライナUSVの活躍は、海戦に新たな兵器運用を見せたといえます。
しかしながら、ミサイルや魚雷を超える攻撃能力があるとは言えなくなりました。
3.1 港湾警備という海軍古来の戦術の重要性
ウクライナUSVによる軍艦襲撃は、新しい戦術のように見えますが本質は古くからの海戦術の焼き直しです。
港湾警備に対抗する、襲撃・閉塞作戦を無人機で行っています。
図9 旅順港襲撃
引用wiki
1898年の米西戦争や1904年の日露戦争では、軍港への襲撃や閉塞船作戦が行われました。
対抗するために港湾警備は海軍戦術の一つとして成立して、2000年以降は特殊部隊やゲリラ攻撃対処なども追加されていきます。
ウクライナ戦争でのUSV攻撃は、港湾警備への形を変えた攻撃といえます。
決して海戦の決定的戦術にはならないでしょう。
今後も、ウクライナ戦争の海戦状況は注目していくべきでしょう!
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やはり、派手に爆発をしたものの船体中心部までには届いていない現状がはっきりいたしました。
船腹激突型のUSVでは、やはりこの程度の損傷が限界かもしれません。
潜没型UUVにて、船底下に潜り込んでキールを破壊する方向に設計が進化していくでしょう。
(しかしロシアも、攻撃効果が分かる写真を出すなんて情報秘匿体制はどうなっていることやら?)
https://mil.in.ua/en/news/olenegorsk-gornyak-landing-ship-has-a-large-hole-in-the-port-side/
>オレネゴルスクゴルニャック着陸船は左舷に大きな穴があります
4×3.5メートルほどの破孔が開いているにも関わらず内部にはそこまで食い込んでいないように見える為
ご指摘の通り船体中心部までダメージが届かなかったのは間違いない感じなようで
現在の海上自衛隊の港湾警備は、海からの警備はリムペットマイン対策が主流になっています。
(リムペットマイン:潜水ダイバーにより艦艇底部に仕掛ける吸着爆弾)
どうやって検知するかは、色々な方法で検知します。
港湾入口からの洋上侵入は、海上保安庁が平時に実施しています。(有事の海自の対応はヒミツ!色々やるよ?)
冷戦後のゲリコマ対処で、陸上からの侵入対処に力が入っていたところが海上自衛隊にはあります。
(米海軍は自前で紹介警備艇を運用しています)
今回のウクライナ戦争は、港湾警備にUSV対処というなかなか厄介な戦訓を示したといえます。