人生、何があるか分かりません。
イギリス南西部のとある街からからこの話は始まる。
主人公は女性。
明るい性格で学校でも人気者だった。
自宅の広い庭で育った彼女は想像力が豊かで、自分で書いた物語を先生に見せると高評価を得て話題となった。
大学も文学関係に進みたかったが、両親の希望でフランス語と古典を勉強した。
小説が好きだった彼女は出版社に勤め、送られてくる原稿の断り状を書く仕事に就いた。
しかし彼女はなかなか仕事にも集中することができず、興味を見出せなかった。
彼女は25歳までに2つの小説を書き上げたが、残念ながら日の目を見ることはなかった。
この頃から、カフェで小説を書く習慣が身についていた。
大学時代の恋人が離れたところに住んでいたので、そこで一緒に暮らそうと考え
色々と家を探しまわったがなかなか見つからず、仕方なく列車に乗って自宅へ戻っていた。
その列車の中で、ふとアイディアが浮かんだ。
主人公はこんな人で......こんな性格で......
こんなストーリーで......こんな結末で......
なんのきっかけもなく突然浮かんできたのだ。
自宅に戻ってすぐにメモに残すと、そのメモは靴箱いっぱいになった。
しばらくして母が他界。
十年以上に渡る闘病生活だった。
タイミング悪く恋人とも上手くいっておらず派手な喧嘩をして家を飛び出してホテル住まいとなる。
それからポルトガル語の教師として勤務しながら原稿を執筆していった。
その執筆していたバーで出会った男性と結婚。妊娠するが流産となる。
その恋人とも亀裂が入るが妊娠が発覚。女の子を出産する。
しかし彼女は家を追い出される事件に見舞われる。
ここから彼女の生活は一変する。
友人に借金をしながら手当てだけで生活する極貧生活。
後に「自殺も考えた」というほどの不快うつ病にかかる。
それでもカフェでの執筆はやめなかった。
大逆転はあるのか。
長い時間をかけて完成した原稿を出版社に送る。
そう上手くいくはずもなく1社目はそっけない返事で終了。
代理店と契約し、12社へ原稿を提出するが、あまりにも長編のためどこも扱ってくれなかった。
そんな中、とある出版社からの採用通知がくる。
なぜ採用になったかというと、担当の人が自分の子供に読ませたところ
「パパ、こんなに素敵な物語は他にはないよ!」
と子供に高評価だったからだ。
初めて契約金として1500ポンド(約20万円)を得る。
この1冊が彼女の人生を変えた。
彼女は一体......誰?
出版はしたものの予算などなく500部でのスタートとなった。
もちろん宣伝費などもない。アメリカ版への出版権も買えないほどだった。
しかし、発売して3日後にオークションで衝撃の事実を知ることとなる。
なんと落札価格は10万ドル。
アメリカ版での発売は5万部からのスタートとなった。
そして1作目から6週間後に第2作の原稿を送って発売。
なんとイギリス初の「児童書」がベストセラー1位となる。
児童書が新人賞や文学賞など数々の賞を受賞したのは異例の事態。
後に世界各国の言語に訳され世界的ベストセラーとなる。
そう。
彼女の名前は「ジョアン・ローリング」
ペンネームは 「J・K・ローリング」
彼女が発表した第1作目のタイトルは 「ハリー・ポッターと賢者の石」
今では誰もが知るそのビッグタイトルを世に送り出した張本人だ。
気付けば4作目を発表したときに得た印税は7桁を越え、億万長者となる。
小さな女の子を育てながら病気と闘い、母の死と向き合いながら自分の「趣味」を貫いた女性の
努力と忍耐の結果手に入れた波乱万丈の物語であった。
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